グーグルの衝撃 第二部

January 24, 2009

ITは英語と他言語との格差を拡大し固定する

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第216号  2009/1/24 『ITは英語と他言語との格差を拡大し固定する』
  ▼  まえがき
  ▼  [グーグルの衝撃] (1)6D-ビジョン
  ▼  [グーグルの衝撃] (2)図書館の本質は選択と集積
  ▼  [グーグルの衝撃] (3)英語を母語とする人々の鈍感さ
  ▼  [グーグルの衝撃] (4)「ITと言語」を「6D-ビジョン」で見ると
  ▼  [グーグルの衝撃] (5)英語と他の言語との格差拡大・格差固定
  ▼  [グーグルの衝撃] (6)日本語は亡びるか
  ▼ おまけ:「なぜITは社会を変えないのか」を引用した主な記事

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  まえがき
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蒲生嘉達(がもうよしさと)です。

第215号で取り上げた「日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で」
(水村美苗著)について、もう少し話します。

 【関連記事】
 第215号:「日本語が亡びるとき」を読んで
 [Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2009/01/post-53ea.html
 [HP版] http://www.kei-it.com/sailing/215-090101.html

特に、グーグルなどによる大図書館計画について掘り下げます。

 【関連記事】
 新航海術の補足ブログ:グーグル「大図書館」計画の影の部分
 http://www.gamou.jp/comment/2008/12/post-c352.html

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[グーグルの衝撃] (1)6D-ビジョン
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「なぜITは社会を変えないのか」(ジョン・シーリー ブラウン、
ポール ドゥグッド著)という本があります。
( http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532149312/keiitteanifty-22 )

1999年9月にアメリカで出版され、2002年3月に日本語版が出版されました。

通俗的なIT革命論を痛烈に批判した本です。

多くの未来学者は、ITによって社会が次のような方向に変わると説きます。

 非マス化 (demassfication)
 非集中化 (decentralization)
 非国有化 (denationalization)
 非専門化 (despecialization)
 非仲介化 (disintermediation)
 非集約化 (disaggregation)

これらは全て「D」で始まるので、「なぜITは社会を変えないのか」では
「6D-ビジョン」と呼んでいます。

「なぜITは社会を変えないのか」は「6D-ビジョン」が「複雑化する
世界を見通す強力なレンズだ」と認めながらも、実際にはそれとは
反対の流れもあると指摘しています。
ITによって逆にマス化や集中化が進行しているというように・・・。

詳しくは、「新航海術の補足」ブログの下記の記事を参照してください。

 [新航海術の補足]「6D-ビジョン」と反対の流れ
 http://www.gamou.jp/comment/2009/01/6d-7900.html

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[グーグルの衝撃] (2)図書館の本質は選択と集積
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「なぜITは社会を変えないのか」は、約10年前に書かれたにも関わらず、
既に大図書館計画について非常に鋭い指摘をしています。

> 図書館は「収集庫」というよりはむしろ役に立つものを選択して
> 集積しているところだ
>   (ジョン・シーリー ブラウン、ポール ドゥグッド著
>   「なぜITは社会を変えないのか」より)

図書館を図書館たらしめているものは「保有すべきもの」を選ぶ
見識であり、大図書館の時代になっても既存の図書館の重要性は損な
われないという主張です。

詳しくは、「新航海術の補足」ブログの下記の記事を参照してください。

 [新航海術の補足] 図書館を図書館たらしめているもの
 http://www.gamou.jp/comment/2009/01/post-66d4.html

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[グーグルの衝撃] (3)英語を母語とする人々の鈍感さ
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「なぜITは社会を変えないのか」は非常に広範囲な議論を精緻に展開
していますが、「ITと言語」の問題については一言も触れていません。

「日本語が亡びるとき」が大図書館を言語との関連で論じているのに対し、
「なぜITは社会を変えないのか」では、既存の図書館と大図書館との
関係を論じているにすぎません。

このあたりが、水村美苗氏が言うところの「英語を<母語>とする
書き手の底なしの無邪気さと鈍感さ」なのでしょう。

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[グーグルの衝撃] (4)「ITと言語」を「6D-ビジョン」で見ると
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「ITと言語」の問題を、上記「6D-ビジョン」で見れば、非集中化、
非集約化に向かっているように見えます。

1960年代末、UNIXが誕生したとき、UNIXはASCIIコードしか扱えま
せんでした。

現在は、ユニコードによって、漢字、カナ、ハングル、アラビア文字
など様々な言語の文字がインターネット上を行き交っています。

世界中のブログで最も使われている言語は日本語だそうですし
( http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20070406_technorati_blog/ )、
YouTubeでも日本語のコンテンツが大量に登録されています。

これのみを見ると、言語は「6D-ビジョン」のとおり、非集中化、
非集約化に向かっているように見えます。

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[グーグルの衝撃] (5)英語と他の言語との格差拡大・格差固定
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しかし、水村美苗氏が「日本語が亡びるとき」で指摘していることは、
「量の問題ではない」ということです。

英語の大図書館が、英語圏の人々のみならず世界中の非英語圏の
インテリによっても利用されるということ、そして、そこにグーグル
のようなランキング・システムが作用するということが重要なのです。

> 世界中の<叡智を求める人々>がアクセスし、何が、より<読まれる
> べき言葉>であるかという序列を、もっとも<世界性>をもった、
> もっとも厳しいところで、おのずから創り出す必然性がある。

> そして、その序列づけ=ランキング・システムは、永久革命のように
> 変化して、<叡智を求める人>にとってもっとも意味があるもので
> あり続ける必然性がある。
>
>     (水村美苗氏著「日本語が亡びるとき」より)

それによって、英語と他の言語との格差は拡大し、且つ、その格差は
固定され、近代以降に成立した「普遍語-国語-現地語」という3階層は、
再び「普遍語(英語)-現地語」という近代以前の2階層に戻っていくと
水村美苗氏は予測しています。

これは、英語を母語とする人々、英語に近い西洋語圏の人々、
英語で学問してきた開発途上国のインテリからは出ない意見であり、
日本人ならではの意見だと思います。

ここに「日本語が亡びるとき」のオリジナリティがあると思います。

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[グーグルの衝撃] (6)日本語は亡びるか
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上でも書いたとおり、「なぜITは社会を変えないのか」でも
「6D-ビジョン」は必ずしも間違いではないと認めています。

ITが非集中化、非集約化を進めるという面も確かにあるのです。

日本語の言語としての魅力を日本人が磨き続けようとしたなら、
ITにはそれを助ける面もあるはずです。

日本人が日本語を磨き続けることができるなら、日本語は「普遍語」
にはなり得ないとしても、「国語」であり続けるのではないでしょうか。

しかし、ほうっておいたら、日本語は「現地語」に転落し、その意味で
「日本語は亡びる」でしょう。

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 おまけ:「なぜITは社会を変えないのか」を引用した主な記事
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「なぜITは社会を変えないのか」を引用した主な記事を紹介します。

第46号:超巨大企業の時代
 [Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2004/10/post_d926.html
 [HP版] http://www.kei-it.com/sailing/46-041025.html

第142号:グーグルの検索やアマゾンの推薦は中立か?
 [Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2006/08/post_8f6e.html
 [HP版] http://www.kei-it.com/sailing/142-060828.html

第143号:ロングテール
 [Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2006/09/post_70c5.html
 [HP版] http://www.kei-it.com/sailing/143-060904.html

第196号:eXtreme Programming(エクストリーム・プログラミング)
 [Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2007/12/extreme_program_b60b.html
 [HP版] http://www.kei-it.com/sailing/196-071203.html

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January 01, 2009

「日本語が亡びるとき」を読んで

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第215号  2009/1/1 『「日本語が亡びるとき」を読んで』
  ▼  まえがき
  ▼  [教育] (1)日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で
  ▼  [教育] (2)インターネットと英語
  ▼  [教育] (3)文化的にも、政治的にも、重大な問題
  ▼  [教育] (4)私が微力ながらできること

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  まえがき
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蒲生嘉達(がもうよしさと)です。

明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願いいたします。

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[教育] (1)日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で
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水村美苗著「日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で」を読みました。

「日本語が亡びるとき」は今インターネット上で書評があふれている
本です。
 (例 http://en.yummy.stripper.jp/?eid=1094337 )

「今世紀においてこれまで書かれた中で、最重要の一冊」と絶賛している
人もいれば、「やや雑なアジテーション」と酷評している人もいます。

私は、この本は英語・日本語問題について考える上での基盤を提供
してくれる良書だと思います。

「日本語が亡びるとき」の要約は「新航海術の補足」ブログの下記の
記事を参照してください。

  [新航海術の補足] 「日本語が亡びるとき」の要約
 http://www.gamou.jp/comment/2008/12/post-6879.html

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[教育] (2)インターネットと英語
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「日本語が亡びるとき」の中で、本メルマガの読者が最も興味を持てる
部分は、「6章 インターネット時代の英語と<国語>」だと思います。

インターネット上には、様々な言語が流れています。
したがって、インターネットは、一見、多言語主義であり、あらゆる
言語が平等に扱われているように見えます。

多くの人々は、「インターネットと英語」について、「インターネットは
アメリカで生まれたから用語や技術資料は全部英語だ」という
程度にしか考えません。

しかし、水村美苗は「インターネットによって英語は普遍語としての
地位をほぼ永続的に保てる運命を手にした」と主張します。

> インターネットという技術の登場によって、英語はその<普遍語>
> としての地位をより不動のものにしただけではない。
> 英語はその<普遍語>としての地位をほぼ永続的に保てる運命を手にした
> のである。
> 人類は、今、英語の世紀に入ったというだけではなく、これからも
> ずっと英語の世紀のなかに生き続ける
>
>  (水村美苗著「日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で」より)

グーグル・ブックサーチなどの「大図書館」によって莫大な英語の
文献が参照可能となり、利用者が増えればランキング・システムの
精度も高まり、それがさらに文献と利用者を増加するという循環が
生まれるからです。

詳しくは「新航海術の補足」ブログの下記の記事を参照してください。

 [新航海術の補足] グーグル「大図書館」計画の影の部分
 http://www.gamou.jp/comment/2008/12/post-c352.html

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[教育] (3)文化的にも、政治的にも、重大な問題
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「英語の世紀」問題に関連することと言えば、2年前、私は第157号
「サービス業のオフショアリング」で次のようなことを述べました。

日本語という壁があるため、日本ではサービス業(ソフトウェア開発も
含む)のオフショアリングが進まない。
このことは、長期的には日本企業の競争力を弱めていく。

 第157号「サービス業のオフショアリング」
 [Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2006/12/post_6f55.html
 [HP版] http://www.kei-it.com/sailing/157-061211.html

これは、主に経済面での問題です。

しかし、「日本語が亡びるとき」を読んで、「英語の世紀」問題は、
文化的にも、政治的にも、今まで考えていた以上に、重大な問題で
あると思いました。

> 英語が<国語>であることの計り知れぬ利益は、英語を<国語>と
> する幸せな国民以外は、誰もがよく知っている
>
>  (水村美苗著「日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で」より)

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[教育] (4)私が微力ながらできること
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「日本語が亡びるとき」は、時間的も地域的にも、広く深い考察を
展開しています。

しかし、最終章「英語教育と日本語教育」では、次のような、
ごく常識的な結論となっています。

・英語教育は国民の一部がバイリンガルになることを目的とすべき。
・日本語教育で日本近代文学をもっと教えるべき。

問題が大きすぎるだけに、実現可能な解決策はこれくらいしかない
のでしょう。

そして、私は自分が微力ながらできることは次のことだと思っています。

 日本語で魅力的なコンテンツを提供し続けること。
 会社としては自社サービスで、個人的にはメルマガやブログで・・・。

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August 13, 2007

YouTubeは画期的な独自技術ではない

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第191号 2007/8/13
▼ まえがき
▼ [グーグルの衝撃] (1)ネット産業はテクノロジー事業
▼ [グーグルの衝撃] (2)YouTubeは画期的な独自技術ではない
▼ [グーグルの衝撃] (3)YouTubeについて次に語りたいこと
▼ [グーグルの衝撃] (4)Amazonアフェリエイト
▼ 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達です。

今週は「グーグルの衝撃シリーズ 第二部」です。

「グーグルの衝撃シリーズ 第二部」では、慶を含めて各社が独自
サービスを生み出す上でのヒントになるような話をしていきます。

本日はYouTubeについて話します。

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[グーグルの衝撃] (1)ネット産業はテクノロジー事業
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梅田望夫氏は「ウェブ進化論」の中で、次のようなことを主張して
います。要約して紹介します。

 グーグルはネット産業をテクノロジー事業としてとらえている。
 ヤフーやアマゾンなどの米国のネット列強もグーグルの影響を
 受けて、同じように考えるようになった。
 したがって、彼らには強烈なテクノロジー志向があり、テクノロ
 ジーを創造しようとしている。

 一方、楽天などの日本のネット企業はテクノロジーを創造する気
 はない。彼らはネット産業は「生活密着型サービス産業」であり、
 テクノロジーはサービスのために利用するものと考えている。

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[グーグルの衝撃] (2)YouTubeは画期的な独自技術ではない
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それなら、YouTubeはどうでしょうか?
テクノロジーを創造しようとしているのでしょうか?

確かに世界最大の動画配信サイトを構築し運用するには高度な技術が
必要なのでしょう。
しかし、それは画期的な独自技術と言えるほどのものでしょうか?

むしろ、要素技術を独自に開発するのではなく、既存のものをうまく
組み合わせて開発しているところがWeb2.0らしいのではないでしょうか。


梅田望夫著「ウェブ進化論」には、次のような話も出てきます。
これも要約して紹介します。

 グーグル・マップスというAPIが公開されたことにより、日本の
 某ベンチャーが、「たくさんの人たちが、それぞれ撮影した写真や
 書いた文章を、関連する場所を示す地図上に自由に添付できる
 サービス」を作った。(はてなマップ http://map.hatena.ne.jp/ )

 もしもこれをゼロから開発したら数億円以上かかったであろうが、
 グーグル・マップスAPIを使うことによって、エンジニア1人が
 わずか5日で作り上げることができた。


YouTubeとはてなマップとでは、サービスとしての普及率や規模は
比較になりませんが、既存の技術を組み合わせて、新規サービスを
短期間に作り上げたという点では似ているではないでしょうか。

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[グーグルの衝撃] (3)YouTubeについて次に語りたいこと
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YouTubeについては、メルマガ1回では語り切れません。

今回、話したかったことを要約すると次のようになります。

 YouTubeのような新しい世界的なサービスも、既存の技術を組み
 合わせて作られている。
 日本の中小ソフトウェア会社が、Googleの検索エンジンやAmazonの
 ウェブサービスそのものを作ることはできないが、YouTubeを作る
 ことは不可能ではない。


次に話すべきことは、「では、どのようなサービスを提供すればよいか」
ということでしょう。

ここで、キーワードとなるのが、「総表現社会、娯楽性、楽しさ」です。

それについては次号以降で解説していきます。


また、YouTubeについて語る上で、必須のテーマが著作権、法制度、
社会の体質です。
ここに日本からYouTubeが出てこない理由の一つがあります。

それについても次号以降で解説していきます。

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[グーグルの衝撃] (4)Amazonアフェリエイト
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今回は梅田望夫著「ウェブ進化論」についての言及が多かったですが、
実際には、坂村健著「変われる国・日本へ」からも想を得ています。

> 私が注目するのは、YouTubeが何も難しい技術を使っていないという
> ところです。インターネットの中でよく知られている技術を組み合
> わせるだけで、これだけのことができてしまう。
> 逆に言うと、Googleが目をつけて買ったのは画期的な独自技術など
> ではなく、YouTubeという仕組みの新規性だったのです。これが
> インターネットのすごいところなのです。
>           (坂村健著「変われる国・日本へ」より)


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次回以降の予告
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次号は、8月20日発行予定です。

乞うご期待!!

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ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
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 代表取締役 蒲生 嘉達

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July 30, 2007

Googleで上位表示される理由

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第189号 2007/7/30
▼ まえがき
▼ [グーグルの衝撃] (1)「ソフトウェア業界 新航海術」の精神
▼ [グーグルの衝撃] (2)「ソフトウェア業界 新航海術」ブログ
▼ [グーグルの衝撃] (3)グーグルの貢献
▼ [グーグルの衝撃] (4)他の権威ある書き手よりも上位に表示
▼ [グーグルの衝撃] (5)上位に表示される理由
▼ [グーグルの衝撃] (6)記事のタイトルと検索エンジンとの関係
▼ 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達です。

暑中お見舞い申し上げます。


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[グーグルの衝撃] (1)「ソフトウェア業界 新航海術」の精神
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私が本メルマガを書く上で心がけている点、いわば「ソフトウェア業界
新航海術」の精神は下記の3つです。

・あるものをあるがままに見る。
 色眼鏡(例えば権威者の意見)でものを見ない。

・くっきりはっきり見る。
 複雑な現実もある観点から見ると、あるいはある角度から光を
 あてると、くっきりはっきり見えてくる。

・批判だけではなく、明るく前向きな解決策を提示する。


「毎週書くのは大変でしょう」と言われるときがあります。
休日に書いていますが、実際に半日から1日かかります。

しかし、平日の日銭稼ぎから少し距離を置いたところで、本質的な
ことを考える時間は貴重なものです。

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[グーグルの衝撃] (2)「ソフトウェア業界 新航海術」ブログ
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「ソフトウェア業界 新航海術」ブログはメルマガをコピペしただけの
ブログです。独自ドメインを取っていないので、URLは長いです。
( URL : http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/ )

しかし、アクセス数はそこそこあります。
例えば、6月28日(木) から 7月27日(金)までのアクセス数合計は
2,597(日平均:87)、訪問者数合計は1,705(日平均:57)です。

このブログは、将来的には、お役立ちサイト、あるいはコミュニティ
サイトへと発展させていきたいと思っています。

上記「ソフトウェア業界 新航海術」の精神に共感していただける方、
アイデアをお持ちの方、協力していただける方は、是非ご連絡ください。

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[グーグルの衝撃] (3)グーグルの貢献
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さて、梅田望夫氏の「ウェブ進化論」にはグーグルやアマゾンの輝
かしい面しか書かれていなかったので、グーグルの衝撃シリーズ
第一部では、グーグルやアマゾンに批判的なことも書きました。

 第141号:ウェブサービスの世界
 (4)そこは大多数の人々は儲からない世界
 (5)「あちら側」は帝国主義の世界
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/08/post_a37c.html

 第142号:グーグルの検索やアマゾンの推薦は中立か?
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/08/post_8f6e.html

 第143号:ロングテール
 (3)ニッチな規格品を安く売る人が恩恵を受ける
 (5)無に近いものの提供者とそれを集積するグーグル
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/09/post_70c5.html


しかし、「グーグルの衝撃」というカテゴリー名にも表現されている
とおり、私はグーグルの貢献を非常に高く評価しています。

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[グーグルの衝撃] (4)他の権威ある書き手よりも上位に表示
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例えば、Googleで「ブルックスの法則」で検索してくみてださい。

2007年7月28日21:00時点では、665件ヒットし、3番目、4番目、
6番目、22番目に、ソフトウェア業界新航海術の記事が出てきました。
ソフトウェア業界新航海術よりも上位表示されている2件は、ともに
Wikipediaです。

あるいは「瑕疵担保責任 ソフトウェア」で検索してみると、
81,900件ヒットし、3番目と10番目にソフトウェア業界新航海術の
記事が出てきました。

他の権威ある書き手よりも上位に表示されているのです。

「ブルックスの法則」や「ソフトウェアにおける瑕疵担保責任」について
知りたいと思ったとき、多くの人はGoogleで検索するでしょう。
そのとき、私の書いた記事を目にすることになります。

グーグル登場前には、このように一個人が書いた記事が、多くの
人々の目に触れるということはありませんでした。

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[グーグルの衝撃] (5)上位に表示される理由
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【リンク】

これらの記事が上位に表示される理由の一つは、「リンク」にあります。

記事を評価してくれた人がリンクしてくれているのです。

グーグルのページランク・アルゴリズムは、リンクの数だけでなく、
そのリンクのされ方も分析しているようです。


【ブログ】

もう一つの理由は、ブログです。

ブログと通常のホームページに全く同じ内容の記事を掲載した場合、
どちらが検索エンジンに表示されやすいでしょうか?

ブログの方が表示されやすいのです。

通常のブログ・サーバーには「Ping通知サービス」という機能があり、
記事が更新されると、Pingサーバに対して更新を通知します。
その結果、検索エンジンに掲載されやすくなるのです。

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[グーグルの衝撃] (6)記事のタイトルと検索エンジンとの関係
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最後にブログの記事のタイトルと検索エンジンとの関係について
言及しておきましょう。


例えば、「ブルックスの法則」で検索して3番目と4番目に表示された
記事は、次の二つでした。

 第124号:マイクロソフトの「ブルックスの法則」対策
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/04/post_3020.html

 第120号:ブルックスの法則は正しいか?
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/03/post_5bcc.html


また、「瑕疵担保責任 ソフトウェア」で検索して3番目に表示
された記事は、「第80号:瑕疵担保責任」でした。

 第80号:瑕疵担保責任
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2005/06/post_aa40.html

いずれも検索キーワードがタイトルに含まれていることが分かります。

私は検索エンジンを意識して記事のタイトルを決めたことはありません。
しかし、SEO対策としてタイトルを考えるなら、「検索されることを
期待するキーワードをタイトルにいれなさい」ということになります。

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次回以降の予告
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「グーグルの衝撃シリーズ 第二部」は、ブログ、RSSから始めて、
YouTube、DRMまで切り込んでいきます。


次号は、8月6日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、
目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は2007年7月21日現在、603名です。


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July 23, 2007

RSS対応

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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第188号 2007/7/23
▼ まえがき
▼ [グーグルの衝撃] (1)某高校のホームページのRSS対応
▼ [グーグルの衝撃] (2)RSSリーダー
▼ [グーグルの衝撃] (3)RSSに対応するのが当たり前になりつつある
▼ [グーグルの衝撃] (4)読み手の習慣も変わってきた
▼ [グーグルの衝撃] (5)一般大衆向けのサイトはRSS対応に敏感
▼ 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達です。

今週号から「グーグルの衝撃シリーズ 第二部」をスタートします。

慶を含めて各社が独自サービスを生み出す上でのヒントになるような
話をしていきたいと思っています。

ブログ、RSSから始めて、YouTube、DRMまで切り込んでいきます。

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[グーグルの衝撃] (1)某高校のホームページのRSS対応
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長女が通っている私立高校のホームページに「RSSについて」という
ページがあり、次のように書かれていました。

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 RSSは、サイトの更新情報を記録し配信するためのフォーマットです。
 RSSリーダー(ニュースフィードリーダ)と呼ばれるソフトウェアを
 インストールして更新情報を得ることも可能ですが、ホームページ
 上で同等の機能を提供しそのホームページにアクセスすれば、登録
 したサイトの更新状況を一括して確認できるサービスも各種業者
 から提供されています。

 ○○高等学校事務室では、Informationの更新情報をRSS2.0で提供
 しています。
 ------------------------------------------------------------

そしてその下に次のようなリンクがありました。

 InformationのRSS2.0 (全て)
 InformationのRSS2.0 (一般の方へ)
 InformationのRSS2.0 (卒業生の方へ)
 InformationのRSS2.0 (在校生の方へ)
 InformationのRSS2.0 (奨学金情報)

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[グーグルの衝撃] (2)RSSリーダー
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読者は上記文章が理解できますか?

私は、「RSSは、サイトの更新情報を記録し配信するための
フォーマットです」の部分は、知識としては知っていました。

しかし、RSSリーダーを使ったことも「同等の機能を提供しその
ホームページにアクセスすれば、登録したサイトの更新状況を
一括して確認できるサービス」を利用したことも無かったので、
せっかく提供されている「InformationのRSS2.0」をどのようにして
使ったらよいのか分かりませんでした。

この記事を読んだ後、RSSリーダーを使ってみて、理解できました。
私が使ったRSSリーダーは、goo RSSリーダーです。
( http://reader.goo.ne.jp/ )
「同等の機能を提供しそのホームページにアクセスすれば、登録した
サイトの更新状況を一括して確認できるサービス」にあたります。

高校の「InformationのRSS2.0」も goo RSSリーダーの自分のページに
登録しました。

尚、RSSリーダーは「goo RSSリーダー」以外にもたくさんあります。
(RSSナビ http://www.rssnavi.jp/reader.html#10 参照)

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[グーグルの衝撃] (3)RSSに対応するのが当たり前になりつつある
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> 頻繁にWebページを更新するWebサイトは、RSSに対応するのが
> 当たり前になりつつある。
> ブログ・サイトはほぼすべてRSSデータに対応している。
> ニュース・サイトや企業のWebサイトも、RSSデータを配信する
> ところが増えている。
> (日経NETWORK8月号「図解で学ぶネットワークの基礎 RSS」より)


とは聞いていましたが、まさか高校の事務室がRSSデータを配信して
いるとは思っていませんでした。

「RSSはここまで普及しているのか!」と驚きました。

その点、ソフトウェア会社は自社のホームページのRSS対応には
無関心です。
デザインには凝りますが、あるいは場合によってはSEO対策まで
考えますが、RSSデータを配信しようという発想はありません。


その理由の一つとして、ホームページの性格があるでしょう。

ソフトウェア会社のホームページはWEB上の会社案内のようなもので、
頻繁に更新して情報発信するという性格のものではありません。
一方、高校の事務室のInformationも個人のブログも、頻繁に更新し、
情報発信するためのサイトです。

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[グーグルの衝撃] (4)読み手の習慣も変わってきた
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しかし、もう一つ、理由が考えられます。

想定している閲覧者の層の問題です。


ブログを書くという習慣が広く普及しました。
しかも、芸能人や有名人の間でも広まっています。

そうなると、読み手の習慣も変わってきます。
芸能人や有名人や知人のブログをRSSリーダーを使ってチェックする
という習慣が普及してきたのです。

上述のとおり、私も実際にRSSリーダーを使ってみましたが、確かに
いくつものブログをチェックしている人にとっては必須のツールです。

好きな歌手やタレントのブログをRSSリーダーでチェックしている人は
かなりいると思います。
例えば、「宇多田ヒカルと中川翔子と柴田淳のブログはRSSリーダーで
ウォッチングしています」というように・・・。

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[グーグルの衝撃] (5)一般大衆向けのサイトはRSS対応に敏感
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そして、RSSリーダーの利用者は、ITに強いはずのIT業界人の方が
多いかというと、そのようなことはありません。
プログラマ、SEは意外と疎いです。

むしろ、IT業界以外の一般大衆、特に若い人(学生も含む)に、
より多く普及しているでしょう。

したがって、一般大衆、特に若い人に対する情報発信を目的にした
サイトの場合は、RSS対応に敏感になります。

例えば、上述の高校事務室のInformationは、学生や一般大衆を
対象としています。
ブログ・サイトも一般大衆を対象としています。

RSSをうまく取り込んだからブログが普及し、ブログが普及したから
RSSがさらに普及するという循環が起きています。

一方、ソフトウェア会社のホームページは、業界内の取引先を
主な閲覧者として想定しています。
一般大衆向けのサイトではないのです。
これがRSS対応に消極的な理由の一つだと思います。

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次回以降の予告
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「グーグルの衝撃シリーズ 第二部」は、ブログ、RSSから始めて、
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次号は、7月30日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

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慶と契約している個人事業主を想定しています。
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ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
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