会社の心臓

April 15, 2013

無借金経営

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第247号 2013/4/13 『無借金経営』
▼ まえがき
▼ (1)中小企業の社長は借金好き
▼ (2)貸借対照表的に表現すると
▼ (3)無借金経営は厳しさを求める
▼ (4)無借金経営の大きな利点
▼ (5)本気の経営参加
▼ あとがき


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まえがき
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こんにちは。蒲生嘉達(がもうよしさと)です。

今回は無借金経営について話します。



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 (1)中小企業の社長は借金好き
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> 借金が好きな人はいません。
> と言いたいところですが、中小企業の社長は結構借金好きです。
> お金がなければ、すぐに借入れを考えます。
> (「会社にお金が残らない本当の理由」(岡本 吏郎著)より)


これには銀行の営業マンにも責任があります。
銀行は借すのが商売なので、銀行の営業マンは中小企業の社長を
おだてながら、満面の笑みを浮かべて、融資を勧めてきます。

「〇〇という制度があと半年で無くなるんですよ。借りられるうちに
大目に借りてしまいましょう。」
「皆さん、お腹一杯食べていらっしゃいますよ(他の会社はみんな
融資枠一杯まで借りていますよ)。」

などと言ってきます。



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 (2)貸借対照表的に表現すると
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中小ソフト会社の場合、現金不足になる主な理由は次の3つでしょう。

・売掛金の現金化が遅い(早くて1ヶ月。遅い場合半年以上)
・プロジェクトの失敗や仕事減少による赤字
・顧客倒産などによる貸し倒れ


この現金不足を補うには次の二つの方法があります。
貸借対照表的に表現します。
(A)「負債の部」を大きくする
(B)「純資産の部」を大きくする

(A)の代表的なものが銀行からの借入です。
他に様々な支払を伸ばす(買掛金を増やすなど)という手もあります。

(B)には次の二つがあります。
 (B-1)資本金を増やす。
 (B-2)利益剰余金を増やす。

そして、現金を増やす方法として(A)ではなく(B)を選択した経営が
無借金経営です。



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 (3)無借金経営は厳しさを求める
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「(B-1)資本金を増やす」と言っても、たいていは経営者が資金を
出すことになります。
つまり、経営者は役員報酬の一部を増資のために取っておかなければ
ならないということです。
その意味で無借金経営は経営者に自己規制を強いることになります。

また、「(B-2)利益剰余金を増やす」ということは、無借金経営は
借金経営以上に利益を求めるということであり、経営者と社員に
厳しさを強いることになります。

さらに、無借金経営の場合、キャッシュ不足が発生すれば、
支払もできなくなるので、入出金に神経を尖らせる必要があります。
(借金経営の場合、数字上の利益が出ていれば、キャッシュが不足しても、
銀行から輸血することができます。)



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 (4)無借金経営の大きな利点
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無借金経営には上記の厳しさがありますが、次の二つの大きな利点があります。

・事業継承が容易である。
・事業継承せずに解散することも容易である。

その理由は二つとも同じです。
銀行からの借り入れは経営者が連帯保証人になることが必須だからです。

借金のある会社を引き継いだ社長は、個人としても自動的に借金を
引き継ぐことになります。
無借金経営の会社なら、借金なしで事業を引き継ぐことができます。

また、借金のある会社を清算する場合は、その会社の社長は個人の資産を
全て失ってでも借金を返済しなければなりません。



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 (5)本気の経営参加
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「経営参加」はどこの会社でも謳い文句になっていますが、それはせいぜい
「経営数字をオープンにする」「社員の提案を尊重する」といった程度です。

しかし、「本気の経営参加」の前提は、「経営を引き継ぐ可能性がある」
ということです。

自分が引き継ぐつもりで経営参加できる会社でありたいものです。



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あとがき
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関連記事
 第113号(2006/02/06)電車に飛び込む人が後をたたない理由
  Blog版: http://www.gamou.jp/sailing/2006/02/post_0b95.html
  HP版:http://www.kei-it.com/sailing/113-060206.html

 第114号(2006/02/13)連帯保証人制度が無ければ大半の中小企業は潰れる
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 第150号(2006/10/23)増資問題は次期体制問題
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November 21, 2008

不況は自分が強くなる機会

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第213号  2008/11/21 『不況は自分が強くなる機会』
  ▼  まえがき:春告魚(はるつげうお)
  ▼  [会社の心臓] (1)読者に元気を出してもらうために
  ▼  [会社の心臓] (2)不況は自分が強くなる機会(B.トレーシー)
  ▼  [会社の心臓] (3)今回の不況が生易しいものでないことも事実
  ▼  [会社の心臓] (4)成功を予言(predict)できる資質
  ▼  [会社の心臓] (5)委縮せず、根気よく多くの課題に取り組む


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  まえがき:春告魚(はるつげうお)
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蒲生嘉達(がもうよしさと)です。

11月9日(土)、9歳の息子を連れて、メバルを狙って夜釣りに行って
きました。

メバル釣りは冬から春にかけて最盛期を迎えます。
そのため、メバルには「春告魚(はるつげうお)」という呼び名も
あるそうです。

春告魚(はるつげうお)、縁起の良い名前ですね。



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[会社の心臓] (1)読者に元気を出してもらうために
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11月22日号の週刊ダイヤモンドの特集は「日本経済崩落 トヨタショック
で始まる景気総崩れ」です。

 目次:http://dw.diamond.ne.jp/number/081122/index.html


9月15日のリーマンショック以来、世界経済についても日本経済
についても悲観論が広まっています。


読者に元気を出してもらうために、今週号ではブライアン・トレーシーが
不況について語った言葉を紹介します。

ブライアン・トレーシーについては、第153号「営業の神様」を参照
してください。

 第153号:営業の神様
 [Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2006/11/post_51b6.html
 [HP版]  http://www.kei-it.com/sailing/153-061113.html



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[会社の心臓] (2)不況は自分が強くなる機会(B.トレーシー)
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ブライアン・トレーシーは、不況になったら次のように考えろと
説いています。


【不況は自分が強くなる機会】

トレーニング中は重しをつけて走るランナーがいます。
重しをつけたまま普通に走れれば、重しをはずしたときに、
以前よりも速く走れるようになるからです。

不況とはランナーにとっての重しのようなものです。
経済状況が厳しいから(つまり重しがあるから)業績は上がりません。
しかし、そこで頑張っていれば、経済状況が好転したとき(つまり
重しがなくなれば)業績は上がるはずです。
したがって、不況は自分をより強くするためのチャレンジの機会なのです。

不況を会社の筋肉を鍛える好機だと捉えましょう。


【競争相手が減る】

競争に耐えられない人たちはいなくなり、競争相手が減るから、
本当に有能な人たちにとっては不況はプラスに作用します。


詳細は「新航海術の補足ブログ」に載せておきますので、参照して
ください。少し元気になると思います。


 [新航海術の補足ブログ]
 ブライアン・トレーシーが不況について語ったこと
 http://www.gamou.jp/comment/2008/11/post-ea53.html



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[会社の心臓] (3)今回の不況が生易しいものでないことも事実
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しかし、今回の不況が生易しいものでないことも事実です。
「新航海術の補足ブログ」の下記の記事を参照してください。


 [新航海術の補足ブログ]
 「恐慌的スタグフレーションが来る」の要約
 http://www.gamou.jp/comment/2008/09/211-d868.html




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[会社の心臓] (4)成功を予言(predict)できる資質
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ここでもう一度、ブライアン・トレーシーの教えを思い出しましょう。

成功を予言(predict)できる資質とは「楽観主義(Optimism)」であり、
その理由は楽観主義者(Optimist)が次の二つの資質を備えていてるからだ
という教えです。

・多くの課題に取り組む( try more things )
・根気( persist more )

  ※ persist:固執する; 主張する; やり通す; 持続する


> 彼らは非現実的な期待を抱いて根気よく努力し続けますから、
> いずれは成功するのです。
>       (ブライアン・トレーシー「販売の心理学」より)


詳しくは下記の記事を参照してください。

 第160号:成功と幸福を予言(predict)できる資質
 [Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2007/01/predict_56e6.html
 [HP版]  http://www.kei-it.com/sailing/160-070101.html



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[会社の心臓] (5)委縮せず、根気よく多くの課題に取り組む
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不況に委縮せず、根気よく多くの課題に取り組んでいきましょう。

・積極的に営業すること。
・技術を磨くこと。
・独自性のあるサービスを作りだすこと。
・厳しい中で、ある程度の投資も必要なので、お金の管理をしっかり
 すること。



 関連記事:
 第211号:本格的な冬の時代に突入する前に
 [Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2008/09/post-bc17.html
 [HP版]  http://www.kei-it.com/sailing/211-080923.html




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October 23, 2008

血液が回りさえすれば

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第212号  2008/10/23 『血液が回りさえすれば』
  ▼  まえがき
  ▼  [会社の心臓] (1)事実を基にしたフィクションとして
  ▼  [会社の心臓] (2)巨額の借入
  ▼  [会社の心臓] (3)売掛と買掛の差はチープにならない
  ▼  [会社の心臓] (4)仕掛品が異常に大きい
  ▼  [会社の心臓] (5)今年破綻した理由
  ▼  [会社の心臓] (6)血液が回りさえすれば
  ▼  [会社の心臓] (7)技術、営業、そしてきちんとした資金計画
  ▼  [会社の心臓] (8)関連記事

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  まえがき
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蒲生嘉達(がもうよしさと)です。

最近、慶の取引先(以降A社と呼びます)が民事再生法の適用をうけました。

我々にとっても教訓となるので、本日はこのことについてお話しします。

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[会社の心臓] (1)事実を基にしたフィクションとして
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A社は資本金約1億円、年商約30億円の大きな会社です。
コンピュータ周辺機器の開発・販売、組み込みシステムの開発・販売を
得意としてきました。

慶にもA社に対する売掛金があったので、債権者説明会に私も出席
しました。

そこで配布された資料に過去3年間の貸借対照表、損益計算書の抜粋が
記載されていました。

多少なりとも会計の基礎知識があると、このような資料が面白く読めます。

「図212-1 2008年3月末時点の貸借対照表」
( http://www.kei-it.com/sailing/2008/212-1.htm )は極端に
簡略化した2008年3月末時点(2007年度決算)のA社の貸借対照表です。
分かりやすくするため、数字もかなり変えているので、「事実を
基にしたフィクション」としてご覧ください。単位は億円です。

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[会社の心臓] (2)巨額の借入
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まず、借入の多さが目を引きます。

短期借入金が10億、長期借入金が6億、借入金の合計が16億。
社債8億を含めると合計で約24億の資金調達が行われています。

A社の年商は30億円です。

金融機関から融資を受ける場合、一般には「借入は月商の3倍以内」
という非常に大雑把な目安があります。
この目安からするとA社の借入の限度額は7.5億程度です。

何故、A社は24億円もの資金調達が必要だったのでしょうか?

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[会社の心臓] (3)売掛と買掛の差はチープにならない
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請負会社が借入を必要とする最大の理由は、「売掛金」と「買掛金」
の差額です。
(拙著「ソフト会社の心臓 第3部4-1運転資金」参照)
 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4779002958/keiitteanifty-22

 関連記事:第149号「売掛と買掛の差額はチープにならない」
 [HP] http://www.kei-it.com/sailing/149-061016.html
 [Blog] http://www.gamou.jp/sailing/2006/10/post_393d.html

「図212-1 2008年3月末時点の貸借対照表」での売掛金は14億円、
買掛金が5億円、その差額は9億円です。

けっして小さな数字ではありませんが、それだけでは約24億もの
資金調達を必要とした理由としては不十分です。

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[会社の心臓] (4)仕掛品が異常に大きい
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「図212-1 2008年3月末時点の貸借対照表」をもう一度見ると
「仕掛品」が異常に大きいことに気づきます。8億円もあります。

「仕掛品とは何か」については、「ソフト会社の心臓 第4部1仕掛品」
を参照してください。

A社の主な得意先は公官庁、または、公官庁をエンドユーザとする
メーカーです。

公官庁相手の大型案件の特徴は、納品と支払が毎年、年度末の
前後2ヶ月(2月から5月)に集中するという点です。
その他の時期はひたすら売掛金と仕掛品が増大していくのです。

「図212-1 2008年3月末時点の貸借対照表」は、3月末時点、つまり、
売掛金と仕掛品が比較的少ない時期の財務状況を表しています。

民事再生手続を申立てした9月末時点では、売掛金と仕掛品がさらに
膨らみ、現金が枯渇する一方で、短期借入金がさらに膨らんでいたで
あろうことが想像できます。

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[会社の心臓] (5)今年破綻した理由
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債権者説明会で配布された資料には2005年度、2006年度の貸借対照表、
損益計算書の抜粋も記載されていました。

それらも「巨額の売掛・仕掛品、それに対応した巨額の融資・社債」
という体質は同じでした。

それでもA社は回っていました。
特に2006年度には過去最高の売上、利益を記録しています。

何故今年、破綻したのでしょうか?

その理由は次のとおりです。

・ターゲットとする業界の不況による業績悪化。
・不況のため、銀行としても融資に慎重になっている。
・実際には現金化できない仕掛品、現金化できない売掛金を計上していた。
・社債の償還時期と重なった。

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[会社の心臓] (6)血液が回りさえすれば
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私にはA社のつらさも分かります。

しかし、今回の破綻で弊社も被害を受けました。

A社の破綻はA社の従業員を不幸にするのみならず、取引先企業、
さらには取引先の従業員にも被害が及びます。

A社には優秀な技術者と有能な営業マンがいました。

お金という血液が回りさえすれば成功できる会社だったのです。

拙著「ソフト会社の心臓」で私は「経営者は常に貸借対照表の鼓動に
耳を傾けなければならない」と書きました。

鼓動に耳を傾けていれば、例え経営不振に陥ったとしても、民事再生
というハードランディングに至る前に何らかのソフトランディングが
可能だったのではないでしょうか?

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[会社の心臓] (7)技術、営業、そしてきちんとした資金計画
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第211号「本格的な冬の時代に突入する前に」ではソフト会社内の
構造改革の必要性を述べました。

 第211号『本格的な冬の時代に突入する前に』
 [HP] http://www.kei-it.com/sailing/211-080923.html
 [Blog] http://www.gamou.jp/sailing/2008/09/post-bc17.html

技術、営業、そしてきちんとした資金計画で構造改革を成し遂げましょう!

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[会社の心臓] (8)関連記事
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倒産したベンチャーの貸借対照表
[HP] http://www.kei-it.com/sailing/100-051107.html
[Blog] http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2005/11/bs_2c30.html

電車に飛び込む人が後をたたない理由
[HP] http://www.kei-it.com/sailing/113-060206.html
[Blog] http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/02/post_0b95.html

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October 30, 2007

資金調達は借入れと増資のどちらがよいのか

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第194号 2007/10/29
▼ まえがき
▼ [会社の心臓] (1)「ソフト会社の心臓」は来年2月12日出版
▼ [会社の心臓] (2)「ソフト会社の心臓」の構成
▼ [会社の心臓] (3)資金調達は借入れと増資のどちらがよいのか
▼ 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達です。

本日は台風一過、爽やかな秋晴れです。


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[会社の心臓] (1)「ソフト会社の心臓」は来年2月12日出版
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さて、第192号「(1)出版計画進行中」で記した「ソフト会社の心臓」
出版計画が着々と進行しています。

 第192号(1)出版計画進行中:
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2007/08/post_9de7.html


本日、原稿が完成しました。明日出版社に渡します。

出版予定日は平成20年2月12日です。


小冊子版「会計は会社の心臓」は本文が70ページでしたが、
「ソフト会社の心臓」は本文のみで147枚、表紙、目次、まえがき、
あとがき、索引などと含めると160枚超えそうです。

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[会社の心臓] (2)「ソフト会社の心臓」の構成
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「ソフト会社の心臓」は次の5部構成になっています。

●第Ⅰ部 まず水に飛び込もう(54枚)

ソフトウェア請負開発によって財務諸表がどのように変化するかを
解説します。

●第Ⅱ部 パッケージ・ソフトウェア開発(22枚)

パッケージ・ソフトウェア開発によって財務諸表がどのように変化
するかを解説します。固定資産と減価償却についても解説します。

●第Ⅲ部 資金調達(32枚)

資金調達の方法とそれらが財務諸表に与える影響について解説します。
運転資金と設備資金の違いについても言及します。

●第Ⅳ部 様々な応用(25枚)

仕掛品、貸倒れ、子会社の設立、事業部制とカンパニー制など、
様々なバリエーションについて解説します。
また、ソフトウェア会社に実際に行われている収支管理方法に
ついても言及します。

●第Ⅴ部 金持ちソフトウェア会社(14枚)

金持ちソフトウェア会社になる方法を解説します。


上記のみからも想像できると思いますが、ソフトウェア会社の経営
全般を網羅する、非常に内容の濃いものになっています。

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[会社の心臓] (3)資金調達は借入れと増資のどちらがよいのか
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ほんの少しだけ、サワリの部分を紹介します。

多くの経営本で「資金調達は借入れと増資のどちらがよいのか」という
問題を取り上げています。

しかし、ほとんどの本は、借入れ、増資のそれぞれのメリット・
デメリットについての説明で終わり、結論が明確に書かれていません。

「ソフト会社の心臓 第Ⅲ部 資金調達」では、この問題に対し
次のように明確な回答を与えています。

【回答】
それは資金の使途によります。

○資金の使途が設備投資、研究開発・新規事業への投資の場合

粗利の中での投資が理想ですが、どうしても資金が必要なら、
「1.増資、2.借入れ」の順です。


○資金の使途が運転資金の補填の場合

運転資金も最初の資本金やその後に生み出される粗利の中で吸収
するのが理想です。しかし、それができなければ、「1.借入れ、
2.増資」の順です。

その根拠は来年2月発売の「ソフト会社の心臓」をご覧ください。

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次回以降の予告
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今後、メルマガ→小冊子→書籍 という流れを確立していきます。

次は小冊子を作ります。

メルマガの次回発行は、11月中旬発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
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また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は2007年10月28日現在、632名です。


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August 27, 2007

製造業の在庫とソフトウェア業の仕掛品

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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第192号 2007/8/20
▼ まえがき
▼ [会社の心臓] (1)出版計画進行中
▼ [会社の心臓] (2)製造業の資金の循環サイクル
▼ [会社の心臓] (3)製造業の在庫とソフトウェア業の仕掛品
▼ [アクセス解析] 過去1ヶ月間でアクセスの多い記事
▼ 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達です。

この猛暑のせいか、今年は自宅のベランダでもホテイアオイの花が
よく咲きます。(去年は咲きませんでした。)

涼しげな姿を残暑見舞いとして贈ります。
http://kei-it.tea-nifty.com/small/2007/08/post_c956.html

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[会社の心臓] (1)出版計画進行中
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さて、第186号で予告したとおり、出版計画を進めています。

 第186号:出版とパッケージソフトウェア開発
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/cat6959849/index.html


小冊子「会計は会社の心臓」の発展形ですが、内容的にも大幅に
リニューアルし、ページ数は小冊子版の倍くらいになります。

題名も「ソフト会社の心臓」に変えます。
この題名には、従来からの「会計は会社の心臓」という意味以外に
下記の意味が付け加えられています。

・よりソフト会社に特化した書き方をする。
・ソフト会社の温かい心を表現したい。
(マーシャルの「ウォーム・ハート、クール・ヘッド」を少し意識)


ソフト会社の経営者、管理職が常に立ち戻れるような本にしたいと
思っています。

また、「ソフトウェア業界 新航海術」バックナンバーもコンテンツが
充実してきたので、「ソフト会社の心臓」以外にも体系化して
いきたいと思っています。

例えば、新営業マニュアル
http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/cat6624385/index.html は、
営業マンが常に立ち戻れるような小冊子にしたいです。


そして、何よりも私がそれらを土台とした経営をしていきたいのです。

しかし、平日は通常業務に全エネルギーをつぎ込んでいるので、
原稿書きは休日しかできません。

本日も原稿書きに時間を取られるので、メルマガは軽めにします。

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[会社の心臓] (2)製造業の資金の循環サイクル
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「ソフト会社の心臓」のミソは、ソフト会社で起きる様々な事象を
損益計算書と貸借対照表と関連付けて説明するところです。

実はそのヒントとなった記事があります。

「Q&A 経営者のための財務管理」の中の「資金の循環サイクル」
http://www.ccsjp.com/kaikei/kaikei103-2.htm です。

製造業の資金の循環サイクルが単純化して書かれています。


下記は「資金の循環サイクル」からの引用ですが、そのページに
飛ばなくても十分に理解できる内容でしょう。

ステップ1:資金調達
 株主から60、銀行から40の資金を調達し、現金100をもって事業を
 開始する。

ステップ2:調達資金の投資
 調達した現金で原材料を30、機械50を購入する。この結果、現金は
 20に減り、会社資産の構成が変化する。

ステップ3:製品の製造
 原材料や機械をもとに製品を製造する。この結果、会社資産の構成は
 左図のように、製品40、機械40、現金20へと変化する。

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[会社の心臓] (3)製造業の在庫とソフトウェア業の仕掛品
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これは非常に単純化した書き方ですが、製造業の本質を表現しています。

ここで注意すべきところは、次の点です。

製造業の場合、現金が最も減るフェーズは、原材料の購入と機械の
購入のフェーズです。製造時点では現金はあまり減りません。

また、製造業の在庫の計上金額(上記引用文では「製品40」)は、
「原材料+機械の減価償却」が大部分を占め、人件費の割合は非常に
少ないのです。
上記「資金の循環サイクル」で無視されているほど少ないのです。

それに対し、ソフトウェア業の場合は、現金が最も減るフェーズは
「ステップ3:製品の製造」のフェーズです。

ソフトウェア業で在庫にあたるのが仕掛品やソフトウェア資産ですが、
それらの計上金額の中身は、人件費のみと言っても過言ではありません。

詳しくは「ソフト会社の心臓」に書きます。

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[アクセス解析] 過去1ヶ月間でアクセスの多い記事
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ブログの魅力の一つは、アクセス解析機能にあります。

レンタルサーバ上にホームページを置いた場合、詳細なログは採れ
ますが、それを解析するのに手間がかかります。

CGIの解析ツールも多数出回っていますが、CGIをレンタルサーバに
設置するのに手間がかかります。
その点、ブログは実にお手軽に、様々なアクセス解析を見ることが
できます。一例をあげます。


<過去1ヶ月間でアクセスの多い記事>

解析対象期間: 2007年7月27日(金) ~ 2007年8月25日(土)

アクセス数: 2,137
訪問者数: 1,668

順位 タイトル 訪問者数 アクセス数
1 トップページ 140 234
http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/
2 瑕疵担保責任 129 164
http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2005/06/post_aa40.html
3 請負と派遣 94 131
http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/cat5986809/
4 AsIs(現状)とToBe(あるべき) 69 85
http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2007/06/asistobe_e60d.html
5 本社費は本当は変動するが配賦額は固定 48 61
http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2007/01/post_d4b7.html
6 3種類の基本的な労働時間制度 50 60
http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2007/08/post_7666.html
7 ファウラー氏の請負契約観 43 59
http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2005/05/post_deaf.html
8 請負開発を人月で見積もる理由 47 57
http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/04/post_3018.html
8 本社費の配賦 54 57
http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/11/post_bac0.html
10 裁量労働型の労働者派遣 47 53
http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/05/post_e73b.html
11 マイクロソフトの「ブルックスの法則」対策 40 52
http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/04/post_3020.html
12 外部設計と内部設計を並行して進めるのが正しいウォータフォール
  41 44
http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2005/03/post_0a52.html

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次回以降の予告
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次号は、9月3日発行予定です。

乞うご期待!!

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July 09, 2007

出版とパッケージソフトウェア開発

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第186号 2007/7/9
▼ まえがき
▼ [会社の心臓] (1)出版は儲からない
▼ [会社の心臓] (2)印税だけで生活している人はほとんどいない
▼ [会社の心臓] (3)それでも出版したがる理由
▼ [会社の心臓] (4)「会計は会社の心臓」出版の理由
▼ [会社の心臓] (5)パッケージソフトは請負開発と組み合わせる
▼ [会社の心臓] (6)パッケージ会社は営業やサポートの負担が大きい
▼ 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達です。

第185号で、「会計は会社の心臓」について、「もう少し加筆して、
今年中に普通の本として出版します」と予告しました。

 第185号:財務は重要だが主役ではない
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2007/07/post_0824.html


本日は、出版の話から始めて、ソフトウェア開発に言及します。

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[会社の心臓] (1)出版は儲からない
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個人または会社の出版というものは単独の商売として考えた場合、
けっして儲かるものではありません。

大雑把に言って、1万5千冊くらい売れないと元は取れないのです。
その根拠は次のとおりです。

定価1,500円、初版の部数を1,000冊とした場合、初版時に出版社へ
支払う費用は、200万円前後です。

これには、編集、デザイン、印刷、広告宣伝、そして、書店への
営業やアフターフォローの費用が含まれます。

印刷された1,000冊は出版社が在庫として抱え、売れたら作者に印税が
支払われます。

印税率を8%とすると、1,000冊売れた場合、
定価1,500円×1,000冊×8%=12万円 の印税が出版社から支払われます。

費用が200万円で印税が12万円なので、粗利は-188万円の赤字となります。

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[会社の心臓] (2)印税だけで生活している人はほとんどいない
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出版社は、売れ行きを見て、「これなら増刷しても大丈夫」と判断
したら、増刷します。

増刷時の費用は出版社が負担します。
したがって、第2刷以降は、著者は何もしなくても収入を得られる
ことになります。ここに魅力を感じる人も多いでしょう。

しかし、印税率は8%前後です。

1冊売れて 1,500円×8%=120円 の印税収入。

188万円の赤字が解消されるためには、188万円÷120円=15,000冊 
売れなければなりません。

毎月200冊以上の新刊書が出版されるそうですが、その中で15,000冊
以上売れる本はほんの一握りです。
したがって、文芸以外の世界で、印税だけで生活している人は
ほとんどいないのです。

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[会社の心臓] (3)それでも出版したがる理由
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上記のとおり、出版というものは、けっして儲かる商売ではありません。
しかし、それでも、出版したがる人がいる理由は何でしょうか。


(A)セミナー業とのタイアップ

一つはセミナー業とのタイアップということが考えられます。

「セミナーの講師をしている人は著作物が多い」ということに
気づいている人も多いと思います。

彼らは自分の本をセミナー資料とすることも、講演会場で売ることも
できます。
出版物があると講師として信用されるなどの営業的なメリットも
あるのでしょう。

(B)自己満足

しかし、本を出版したがる最大の理由は、自己満足でしょう。

第2刷以降は、出版社が売れ残るリスクを取るので、出版社は売れ
行きと内容を厳しくチェックします。

しかし、初版時には出版社は何のリスクを抱えないので、なるべく
出版させる方向に話を進めます。
原稿を持ち込んだ作者には、褒めて、おだてて、出版を勧めます。

売れなくても出版社は損をしないので、良く言えば、作者の希望を
尊重してくれます。
悪く言えば、出版社の目的は、作者を満足させることであり、良い本や
売れる本を作ることではないのです。

したがって、悪質な出版社も存在します。

インターネット上でも、「○○舎に200万円払って出版したが、本屋
に自著が置かれているのを見たことがない」とか、「そもそも印刷さえ
していないのではないか」という悪評を数多く見かけます。

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[会社の心臓] (4)「会計は会社の心臓」出版の理由
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私は「会計は会社の心臓」を年内に出版し、その後も、他の本を
出版していきたいと思っています。

その理由は次の三つです。

・ある程度は売れると思っているから。

・会社としての宣伝効果。

・創造的で文化的な価値を生み出し、社会に貢献したいから。

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[会社の心臓] (5)パッケージソフトは請負開発と組み合わせる
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出版は次の2点でソフトウェアのパッケージ開発と似ています。


(A)ほとんどの製品は開発費を回収できない

パッケージソフトも出版も、ほとんどの製品は、それ自体では開発費を
回収できません。

パッケージソフトの場合、この問題を解決するために、パッケージと
請負開発のタイアップということをやります。

「パッケージと請負開発のタイアップ」とは次の二つを意味します。

・個別開発システムを汎用品として商品化する。
 →これによって、開発費を減らします。

・パッケージを売り込んで、そのカスタマイズや追加開発で儲ける。

  第183号:AsIs(現状)とToBe(あるべき)(1)インドのERPコンサル会社
  http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2007/06/asistobe_e60d.html


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[会社の心臓] (6)パッケージ会社は営業やサポートの負担が大きい
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(B)一回作れば、後は、労力をかけずに継続的な収入が期待できる

一回作れば、後は、労力をかけずに継続的な収入が期待できるという
ところも似ているように思えます。
しかし、この部分は少し違います。

出版の場合は、営業やアフターフォローは出版社がしてくれます。
その代わり、印税率は低く抑えられています。

パッケージソフトの粗利率は、本における印税率よりもはるかに
高くなるでしょう。
しかし、ソフトウェア会社は、その粗利を使って、営業もサポートも
しなければなりません。
この負担が大きいのです。関連記事を下記に示します。

 第104号:パッケージソフトで長期的に成功することが難しい理由
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2005/12/post_9173.html

 第109号:ソフトウェアのコモディティ化が進むということ
     (3)パッケージ・ソフトが置かれている状況
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/01/post_3d3c.html


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次回以降の予告
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今回、出版について書いてみて、出版とソフトウェア開発との比較は、
面白い切り口だと感じました。

他にも次のような記事が考えられます。

・雑誌の編集長とソフトウェア開発のPMとの比較

・原稿料をもらってライターが記事を書くことと、ソフトウェア会社が
 請負料金をもらってプログラムを作ることの比較

・出版の自己満足とパッケージソフトウェア開発の自己満足との比較


機会があれば、書きます。

次号は、7月16日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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July 02, 2007

財務は重要だが主役ではない

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第185号 2007/7/2
▼ まえがき
▼ [会社の心臓] (1)ゴーン改革 挫折の内幕
▼ [会社の心臓] (2)会社の付加価値力の主役は、技術、営業、企画
▼ [会社の心臓] (3)「会計は会社の心臓」の意味
▼ [会社の心臓] (4)書籍版「会計は会社の心臓」を出版する予定
▼ 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達です。

秩父にあるなじみの民宿から「蛍が出てきた」という連絡が入り、
6月24日に蛍を見に行きました。荒川の上流です。
星のように無数に飛んでいる姿を想像していましたが、実際には一度に
見えるのは数匹でした。
秩父でも蛍が見える場所は少なくなったそうで、大勢の人が車で見に
来ていました。
民宿のおばさんは「昔は寝ている部屋まで入ってきたんだけどね」と
言っていました。


さて、今週号は「会社の心臓シリーズ」です。

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[会社の心臓] (1)ゴーン改革 挫折の内幕
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文芸春秋7月号に「ゴーン改革 挫折の内幕」という記事が載って
いました。

今の日産は、コミットメント至上主義、行き過ぎたコスト削減、
ルノーへの上納金(研究開発費は抑制しながら、配当は増やし続けている)
のため、「技術の日産」ではなくなっているという内容の記事でした。

日産の役員たちに「カーガイ(自動車野郎)」風の野性味がなくなり、
ゴーンの顔色ばかり窺っているような人が増え、とりわけ「財務屋」
が重用されているそうです。


> 販売の現場は、新車を売って売上げを伸ばしたいと考えるが、財務の
> 視点ではコストを削り、資産や資金を効率的に運用して収益を確保する
> ことを優先しがちだ。
>       (文芸春秋7月号に「ゴーン改革 挫折の内幕」より)

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[会社の心臓] (2)会社の付加価値力の主役は、技術、営業、企画
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会社の付加価値力の主役は、財務ではありません。

技術、営業、企画です。

第180号で、機能組織に必要な4つの機能を挙げましたが、その中の
現場(ライン部門)と参謀(企画部、研究開発部)が、会社の付加価値力の
主要な部分です。

 第180号:機能組織に必要な4つの機能
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2007/05/post_34fd.html


財務は補佐役機能の一部に過ぎません。


また、ハードウェアメーカは莫大な設備投資を必要とするのに対し、
ソフトウェア会社は大きな設備投資を必要としません。
したがって、ハードウェアメーカに比べて、ソフトウェア会社では
財務の重要性は低いのです。

 第18号:ソフト会社の真の資産
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2004/04/post_8d2d.html

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[会社の心臓] (3)「会計は会社の心臓」の意味
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それでも、次のような意味で、財務は重要です。

> 「会計」は人間にたとえるなら、「心臓」のようなものです。
> 創造の源泉である脳も、脳の指令を実行する手足も、血液が流れ
> ないと死んでしまいます。会計とは、会社の隅々にまで、おカネ
> という血液を流す心臓のようなものです。
>             (「会計は会社の心臓」より)

 会計は会社の心臓:
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2007/01/post_822e.html


財務は重要ですが、それは主役ではないのです。
財務が主役になると、短期的な収益や論理を好み、管理主義的になって
いきます。

そして、財務に弱い技術や営業は、財務屋の主張に逆らえません。
数字は雄弁すぎるからです。
財務屋本人や経営者すら数字に騙されることがあります。

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[会社の心臓] (4)書籍版「会計は会社の心臓」を出版する予定
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小冊子「会計は会社の心臓」は、財務に弱い経営者、技術者、営業マン
が、財務に踊らされず、財務を使いこなすために書きました。

もう少し加筆して、今年中に普通の本として出版します。
小冊子版が約70ページなのに対し、書籍版は約120ページを予定しています。

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次回以降の予告
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次号は、7月9日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
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目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
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また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
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ことにしました。
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May 10, 2007

セミナー「会計は会社の心臓」のご案内

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特別号 2007/5/10

セミナー「会計は会社の心臓」のご案内です。

私は去年暮れに小冊子「会計は会社の心臓」を出版し、今年1月23日の
特別号( http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2007/01/post_822e.html )
で宣伝しました。

このたび、「会計は会社の心臓」を解説するセミナーを企画しました。

「会計は会社の心臓」のコンセプトは、小冊子もセミナーも
「ソフトウェア会社の経営者や社員の方々が、最短の時間と最小の労力で、
仕事に生かせるホンモノの会計の基礎知識を習得できる」です。

会計が苦手の方、一応分かっているが何となく腑に落ちない方、
会計は得だが別の視点で見てみたい方は、是非ご出席ください。

日時:2007年5月18日(金)19:00~21:00
講師:佐藤(会計にも造詣の深いベテランSE)
場所:株式会社慶ネクスト会議室
   東京都豊島区池袋1-8-7サン池袋1 405号
定員:8名
費用:2,500円
   (これには小冊子「会計は会社の心臓」代が含まれます。
   既に「会計は会社の心臓」を購入済みで不要な方は、2,000円)

当日スケジュール:
 19:00~20:50 シンプルな取引、借入、増資、会社の営み
 20:50~21:00 Q&A
 21:00~ 有志で懇親会

申込方法:
 下記までメールにてお申込みください。
 慶ネクスト管理本部: kn-office@kei-it.com


また、今後は定期的に「会計は会社の心臓」セミナーを開いていきますし、
「会計は会社の心臓」コミュニティを作っていきたいと思っています。

「今回は出席できないが、次回出席したいので、この日時を希望」とか
「このようなコミュニティを作りたい」というご意見もお待ちしています。

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February 05, 2007

ソフトウェア会社の資金計画

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第165号 2007/2/5
▼ まえがき
▼ [会社の心臓] (1)ソフト会社の資金計画の3要素
▼ [会社の心臓] (2)仕掛とは開発途中のこと
▼ [会社の心臓] (3)足りない部分を補う3要素
▼ あとがき
▼ 次回以降の予告


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まえがき
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小冊子「会計は会社の心臓」好評発売中!

 特別号(2007/1/23):会計は会社の心臓
 [B] http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2007/01/post_822e.html
 [H] http://www.kei-it.com/sailing/00-070123.html


今後は「会計は会社の心臓」で書き残したこと、会計について新しく
気づいたことを「会社の心臓」シリーズとして書いていきます。


「会社の心臓」シリーズをまとめて読みたい方は、
ブログ( http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/ )の
「カテゴリー 会社の心臓」を参照してください。
http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/cat6959849/index.html

または、「バックナンバー 会社の心臓」
( http://www.kei-it.com/sailing/back_heart.html )を参照して
ください。

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[会社の心臓] (1)ソフト会社の資金計画の3要素
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「会計は会社の心臓」で書き残したことの一つに、「資金計画」が
あります。

ソフトウェア開発請負会社の資金計画は単純です。
下記の3要素のみを考えればよいのです。

・売掛金-買掛金
・仕掛
・手持ちの現金


「図:ソフト会社の資金繰りを理解するために」
( http://www.kei-it.com/sailing/2007/165.htm )を参照してください。
この図は、上記3要素のみに焦点をあてて簡略化した試算表の推移を
表しています。

ソフトウェア請負開発会社の資金計画の最大の要素は、売掛金と
買掛金の差額です。

「売掛金>買掛金」となる理由は、下記のとおりです。

・社員が上げた売上は売掛金になるが、社員への給与は売掛金に
 なり得ない。(経理上なり得ないし、実際にすぐに出ていく。)
・顧客からの入金よりも、個人事業主への支払が先になる場合が
 多いし、協力会社への支払すら先になる場合がある。
・売掛金には利益が含まれる。


 関連記事:第149号(3)売掛金と買掛金の差額
 [B] http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/10/post_393d.html
 [H] http://www.kei-it.com/sailing/149-061016.html

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[会社の心臓] (2)仕掛とは開発途中のこと
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次に、資金計画の2番目の要素である「仕掛」について見てみましょう。
「仕掛」とは、「開発途中」のことです。
人件費はかかっているが、顧客にはまだ請求できないという状態です。

「図:ソフト会社の資金繰りを理解するために」
( http://www.kei-it.com/sailing/2007/165.htm )の黄色の部分です。

ここでは、10月から12月にかけて受託開発をし、12月末に納品した
ということを想定しています。

仕掛の中身は開発に要した人件費ですから、10月の開発開始から
12月の納品直前まで膨らんでいき、その結果として、手持ちの現金が
減っていきます。

納品し、請求書を発行した時点で、仕掛は売掛金に変わります。
しかし、それが手持ちの現金に変わるのは、さらに1ヶ月か2ヶ月
後のことです。

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[会社の心臓] (3)足りない部分を補う3要素
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「図:ソフト会社の資金繰りを理解するために」
( http://www.kei-it.com/sailing/2007/165.htm )のそれぞれの月の
左側の箱が会計用語で言うなら「資産」であり、右側の箱が「負債」と
「資本」です。

右側の箱の足りない部分(グレーに網掛けした部分)を、借入、資本金、
利益で補うことになります。
資本金が大きければ借入が少なくてすむし、資本金が少なければ
より多くの借入を必要とします。
また、利益が出ていれば、借入を少し減らすこともできます。


規模の大きな受託案件を取れば、売上が増え、長期的には会社にとって
プラスになりますが、短期的には仕掛が増え、必要な資金も増加し、
資金繰りは苦しくなります。
また、毎月請求できる業務請負の稼動人数が増えても、規模の大きな
受託案件ほどではありませんが、必要な資金は増加します。


 関連記事:
 第154号:運転資金と設備投資
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/11/post_dc1d.html
 http://www.kei-it.com/sailing/154-061120.html

 第81号:借入れ依存体質の危険性
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2005/06/post_8fcc.html
 http://www.kei-it.com/sailing/81-050627.html

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次回以降の予告
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新営業マニュアルシリーズの「新しいリレーションシップ販売モデル
 ( new relationship selling model )」を書こうかなと思っています。


次号は、2月12日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、
目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
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「まぐまぐ!」での読者数は2007年1月21日現在、574名です。


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January 29, 2007

本社費は本当は変動するが配賦額は固定

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第164号 2007/1/29
▼ まえがき:「会社の心臓」シリーズ開始
▼ [会社の心臓] (1)「本社費」は会計用語ではなく収支管理用語
▼ [会社の心臓] (2)ソフトウェア会社の収支管理の基本形
▼ [会社の心臓] (3)分類しにくい費用
▼ [会社の心臓] (4)販管費と本社費の関係
▼ [会社の心臓] (5)変動費は実績数字で収支管理
▼ [会社の心臓] (6)本社費は本当は変動するが固定として扱う
▼ あとがき
▼ 次回以降の予告


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まえがき:「会社の心臓」シリーズ開始
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

小冊子「会計は会社の心臓」を発売開始しました。

 特別号(2007/1/23):会計は会社の心臓
 [B] http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2007/01/post_822e.html
 [H] http://www.kei-it.com/sailing/00-070123.html


今後は「会計は会社の心臓」で書き残したこと、会計について新しく
気づいたことを「会社の心臓」シリーズとして書いていきます。

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[会社の心臓] (1)「本社費」は会計用語ではなく収支管理用語
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第155号「本社費の配賦」は、読者はあまり理解できなかったと思います。

何しろ、メルマガ1回で、「販管費と売上原価」「固定費と変動費」
「間接費と直接費」「本社費と事業部経費」を説明してしまったの
ですから。

 第155号「本社費の配賦」:
 [B] http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/11/post_bac0.html
 [H] http://www.kei-it.com/sailing/155-061127.html


今週号では、「本社費」についてもう少し詳しく説明します。

「本社費」は正式な会計用語でも税金用語でもありません。
収支管理用語です。

「販管費」や「固定費」という概念より「間接費」という概念に
親しい概念です。


第155号では、本社費を次のように説明しました。

> 本社費とは、管理部門の人件費・共通的な経費です。
> これは会社全体にとっての間接費であり、事業部に配賦されます。
>
> 事業部経費とは、「会社全体にとっては直接費である販管費」です。
>
> 不動産の賃貸料を例にすると、実際にある部門が占有している面積分が
> 事業部経費として賦課され、管理部門が占有している部分と会議室
> などの共通部分の面積分が、本社費として配賦されます。
> 事業部の側からすると、不動産の賃貸料は二種類あるということに
> なります。


これは、ほぼ正しい説明なのですが、一点だけ間違いがあります。
間違えている部分は、本号の後半で明らかになります。

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[会社の心臓] (2)ソフトウェア会社の収支管理の基本形
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ある一定規模(部門が複数ある規模)のソフトウェア請負開発会社の
収支管理の基本形を、「図:ソフトウェア会社の収支管理の基本形」
( http://www.kei-it.com/sailing/2007/164-1.htm )に示します。

これは、20年以上前から同じですし、ソフトウェア請負開発という
業態が変わらない限り、変わらないでしょう。

売上から、技術者人件費、外注費、時間外手当、部門間接費、
部門経費、本社費を引いて毎月の損益を把握します。


【技術者人件費】
正社員、契約社員の給料、法定福利費(会社負担分)、旅費交通費
などです。

【外注費】
協力会社、個人事業主への支払いです。

【時間外手当】
正社員、契約社員の時間外手当です。

【部門間接費】
その部門の担当役員や営業の人件費です。
上述の技術者人件費が自分で直接稼ぐ人たちの人件費なのに対し、
直接的には売上を上げない人たちの人件費です。

【部門経費】
特定の部門が使う人件費以外の経費です。
事務所家賃(部門スペース分)、消耗品(PC代、書籍代など)、
通信費(部門特有のレンタルサーバ、営業が持つ携帯など)、
会議費などがあります。
部門特有の機器の減価償却費もここに入ります。

【本社費】
全社共通の間接費です。
社長や事務職の人件費、事務所家賃(共有スペース分)、会社全体で
使うレンタル機器の減価償却費などです。

本社費をこれらの項目に限定すれば、最終的に求められる損益は、
営業損益になりますし、本社費に営業外費用(支払利息など)も
含めると最終的に求められる損益は、経常損益になります。

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[会社の心臓] (3)分類しにくい費用
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中には分類しにくい費用もあります。例えば、次のようなものです。

【部門間接費か本社費か】

複数の部門を担当している役員や営業もいるはずです。
その人件費は本社費に組み込むべきでしょうか?
それとも部門間接費として按分すべきでしょうか?

その人が本当に全社的に動いているなら本社費に組み込み、限られた
部門のために動いているなら、「A部門○%、B部門○%」という
ように部門間接費として按分すればよいでしょう。


【部門経費か本社費か】

通信費(電話代、プロバイダー料金)は本社費に組み込むべきで
しょうか?それとも部門経費として按分すべきでしょうか?

実際には、例えば、「通信費は社員の人数割り」という按分の仕方を
すれば、どちらも結果的には同じになります。

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[会社の心臓] (4)販管費と本社費の関係
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販管費と本社費の関係は、「図:収支管理の基本形と販管費との関係」
http://www.kei-it.com/sailing/2007/164-2.htm のようになります。

図を見たら分かるとおり、部門経費の部分が微妙です。
部門経費には、会計上は売上原価に分類されるものと販管費に分類
されるものとが含まれています。

先に「第155号の説明は正確でなかった」と述べた部分はここです。

第155号では「本社費とは、会社全体にとっては間接費である販管費」
という説明をしましたが、よく考えたところ、「直接費である販管費」
もありことが分かりました。
つまり、収支管理上は直接費だから部門経費なのに、会計上は販管費
にしかなり得ない科目があります。
(「図:収支管理の基本形と販管費との関係」で網掛けしている部分)


例えば、広告宣伝費です。
広告宣伝費は、収支管理上は部門経費になり得ます。

例:ある特定の部門が特定の人材を採用しようとした場合
  ある商品を販売しようとした場合


しかし、会計上は売上原価になり得ない、というのが私の理解です。


> たとえば広告宣伝費なんか業種によっては変動費の代表だけど、
> 会計上は販売費及び管理費ですからね。
>
>  (小堺桂悦郎著「なぜ、社長のベンツは4ドアなのか」より)


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[会社の心臓] (5)変動費は実績数字で収支管理
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技術者人件費、外注費、時間外手当、部門間接費、部門経費は
全て変動費です。

部門間接費の担当役員の人件費は変動しませんが、営業の人件費は
毎月変動します。また、営業マンの人数が変われば変動します。

これらの費用は、ある一定規模以上のソフトウェア会社は、期首に
予算を組み、毎月予実管理し、実績数字で収支管理をしています。
(ITベンチャー系や零細ソフトウェア会社はやっていないかもしれま
せんが・・・。)


ここで質問です。

【質問1】
本社費は固定費でしょうか?それとも変動費でしょうか?

【質問2】
もしも変動費なら、本社費は予実管理すべきなのでしょうか?

【質問3】
もしも予実管理するなら、その実績で収支管理すべきなのでしょうか?
つまり、部門に配賦する本社費を毎月変動させるべきでしょうか?

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[会社の心臓] (6)本社費は本当は変動するが固定として扱う
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答えは次のとおりです。

【回答1】
本社費は変動します。
(「固定費」「変動費」という概念は相対的な概念なので、ここでは
「変動費だ」とまでは言いません。)

例えば、例年はAという求人サイトのみで十分に人が採れたのに、
今年は採れなかったから求人イベントに参加したり、別の求人サイト
と契約したため、広告宣伝費が増えたということはあり得るでしょう。

あるいは、事務部門が忙しくなり、残業代が増えたということもあり
得るでしょうし、アルバイトを雇うこともあるかもしれません。

他にも、期首に予測できなかった出費というものは、必ずあります。


【回答2】
実際には毎月変動するし、本社部門の中では予実管理をすべきです。

【回答3】
各部門に配賦する本社費は変えません。
しかし、「回答1」のとおり、実際には変動するので、それを吸収
するための予備費を本社費の中に組み込んでおかなければなりません。


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次回以降の予告
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新営業マニュアルシリーズの「新しいリレーションシップ販売モデル
 ( new relationship selling model )」を書こうかなと思っています。


次号は、2月5日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
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したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
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ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
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