借入れと連帯保証

February 13, 2006

連帯保証人制度が無ければ大半の中小企業は潰れる

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第114号 2006/2/13
▼ まえがき
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 連帯保証人制度は日本だけ(?)
▼ [大きくなるか、小さくなるか] それが無ければ大半の中小企業は潰れる
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 有限責任性を否定していない
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 規模は問題ではない
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 次回以降の予告

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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

第110号から「大きくなるか、小さくなるか」シリーズを再開しています。
「大きくなるか、小さくなるか」シリーズでは、慶を含め、中小ソフト
ウェア会社にとって理想の組織はどのようなものか、考えていきます。

「大きくなるか、小さくなるか」シリーズを最初から読みたい方は、
http://www.kei-it.com/sailing/back_big_small.html 
を参照してください。

バックナンバーはブログでも公開しています。
ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/

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[大きくなるか、小さくなるか] 連帯保証人制度は日本だけ(?)
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第113号では、失敗した経営者が連帯保証人制度によって追い詰められ、
自殺にまで至る姿を描きました。

中小企業が融資を受ける際に連帯保証人を求められることについて、
多くの評論家や学者は次のように語ります。

(1)日本は直接金融が機能していなからダメなんだ。
(2)米国では銀行もVCも事業の可能性に金を貸す。日本では銀行やVCが
 事業の可能性を判断できないから、連帯保証に頼るのだ。
(3)先進国の銀行で連帯保証人を取るのは日本だけだ。

Googleで「銀行、連帯保証人、日本」などで検索すると、すぐに
そのような主張に出会います。

例:
http://hiraharayoshihiro.president-blog.jp/e514249.html
> ここには、「貸した人の責任や落度」は全くありません。
> 先進国でこういう制度があるのは、日本だけです。

http://shomon.net/seikei/keieiso4.htm
> このことは、世界の中で稀有なことなんですよ。
> アメリカでもフランスでも韓国でもやっていません。

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[大きくなるか、小さくなるか] それが無ければ大半の中小企業は潰れる
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しかし、私の意見は少し違います。

この問題は日本の銀行の土地担保主義と密接に関係しています。
借入れのかなりの部分は、連帯保証となる社長が持つ不動産を実質的な
担保としています。
会社が小さければ小さいほど、この不動産担保ローン的な性格は
強まります。

日本の銀行の土地担保主義は、世界でも稀なことでしょう。

しかし、私は土地担保主義が良くないと言っているのではありません。

森永卓郎氏は「年収300万円時代を生き抜く経済学」の中で、
「土地担保主義の金融システムは、地価が下落しないことを前提に
するなら、世界最強と言ってもよいメリットをいくつも持っていた」
という意味のことを述べています。

土地担保主義によって銀行のリスクが小さくなり、その結果として
次のメリットが生まれるからです。

(1)銀行は自己資本に比べてより大きな融資ができるようになり、
 そのため、中小企業により潤沢な資金を供給できるようになる。
(2)融資先の審査が簡単になり、銀行にとっても融資先にとっても
 審査の負担が軽くなる。
(4)リスクが小さいから、低金利で貸せるようになる。

森永卓郎氏は「担保で融資を十分にカバーできないアメリカの銀行は、
日本の2倍の利ざやを取っている」と言っています。

もしも連帯保証人制度がなければ、融資金利は消費者金融並みになり、
大半の中小企業は潰れてしまうでしょう。

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[大きくなるか、小さくなるか] 有限責任性を否定していない
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また、株式会社の有限責任制とは「株主が有限責任だ」と言う意味です。
したがって、下記のような主張は少し違います。

> 株式会社の代表取締役というのは、「有限責任」ですから、いわば
> 「無限責任」と言っていい個人保証を会社の債権者に対して差し入れては
> ならないというのが、欧米の資本主義の原理原則なのです。
> ( http://shomon.net/seikei/keieiso4.htm )

銀行は連帯保証を株主に求めているわけではなく、代表者個人に求めて
いるのです。
したがって、株式会社の有限責任制を否定しているわけではありません。
しかし、中小企業の場合、代表者個人が株式の過半数を持っている
場合が多く、そのような意味では、「株主が無限責任を負っている」と
言えなくもありません。

さて、世の中には、株主が無限責任を負う法人もあります。
合名会社、合資会社です。

上記のように「連帯保証によって株主(=社長)が無限責任を負っている」
という意味では、日本の中小株式会社は、実態としては合名会社、
合資会社に近いということも言えるでしょう。

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[大きくなるか、小さくなるか] 規模は問題ではない
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多くの中小ソフト会社は、下記の(1)の戦略からスタートし、(2)(3)の
戦略をどの程度実行できるかによって、大きさが規定されます。

(1)経営者個人が出資できる資本金、経営者個人が負担できる連帯保証の
 枠内で小規模に運営していく。

(2)利益を上げて、内部留保を増やし、自己資金で賄える部分を増やす。
(3)出資者を増やし、自己資金で賄える部分を増やす。

大企業にはならないかもしれません。
また、大きくなるにしても小さな企業の連合体となるかもしれません。
必ずしも大きくならなくてもよいのです。

知的創造社会では、会社の規模はあまり問題ではありません。

> 第一次産業の商品であるお米を生産したり、第二次産業の商品である
> お豆腐を作る場合、作る人の才能によって、それほど生産額に違いはない。
> 同じ土地や同じ原材料を使っていたら、付加価値の差は、作る人によって
> せいぜい数割だろう。
> ところが、知的創造物となると、それこそ一銭にもならない人から
> 何億円稼ぐ人まで、生み出す付加価値に途方もない格差がついてくる。
>
>     (森永卓郎著「年収300万円時代を生き抜く経済学」より)

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[大きくなるか、小さくなるか] 次回以降の予告
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次号以降は次のようなテーマで書く予定です。

・知的創造社会と格差

それ以外に、下記の技術系テーマも、そのうち書きます。

・ブルックスの法則を超えるもの
・贈与と交換
・ピアレビュー

次号は、2月20日発行予定です。

乞うご期待!!

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February 06, 2006

電車に飛び込む人が後をたたない理由

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第113号 2006/2/6
▼ まえがき
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 190万円の貸倒損失
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 「生命保険に入ってますよね」の意味
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 電車に飛び込む人が後をたたない理由
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 連帯保証人を取るのは日本だけ?
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

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[大きくなるか、小さくなるか] 190万円の貸倒損失
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2003年9月、慶の顧客(以下I社と呼びます)が経営破綻し、民事再生法の
適用を受けました。

資本金5,000万円、従業員数約150名、年商約18億のそこそこの規模の
ソフトウェア会社でした。
しかも、親会社が大証一部上場企業だったので、民事再生法適用は
私にとっても寝耳に水でした。

業績悪化の直接的な原因は一括請負の失敗でしたが、同時期に親会社が
経営破綻したため、親会社からの支援が受けられなかったということも
背景にありました。

2003年9月時点のI社に対する慶の売掛金は約550万円でした。
その後、2回の弁済があり、2005年7月に残余財産確定後の最終配当があり、
2005年9月に清算決了しました。
全額が弁済されたわけではなく、慶としては2006年3末決算で約190万円を
貸倒損失として計上することになります。


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[大きくなるか、小さくなるか] 「生命保険に入ってますよね」の意味
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さて、2003年9月に民事再生法の申請をした直後に、I社本社で債権者
説明会で行われ、200名位の債権者が出席しました。
私もその中の一人でした。

その際、ある債権者とI社社長との間で次のようなやりとりがありました。

債権者:社長は自宅をお持ちですよね。
I社社長:抵当権が付いていて、それを売っても弁済に回せる金は
    出てきません。
債権者:社長は生命保険に入ってますよね。
I社社長:・・・。


ここで債権者が言わんとしていることは、「自殺して金を払え」と
いうことです。

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[大きくなるか、小さくなるか] 電車に飛び込む人が後をたたない理由
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後日、私は生命保険のセールスマンに「自殺でも生命保険は出るんですか?」
と質問しました。

生命保険のセールスマン曰く。
「出るんですよ。だから、電車に飛び込む人が後をたたないんですよ。」


よく人身事故で電車が止まります。
私は、この話を聞くまでは、なぜ電車でこれほど人身事故が多いのか
分かりませんでした。
そして、「不注意で人身事故を起こしているのなら、人の迷惑を考え
ない人たちだ」と思っていました。
しかし、この話を聞いて、「彼らは人に迷惑をかけないために飛び込
んでいるんだ」ということが分かりました。
彼らは生命保険で借金を返そうとしているのです。

それ以来、車中で「○○駅と○○駅間で人身事故が発生したため、電車に
遅れが生じています」というアナウンスを聞くたびに、
「自分さえ死ねば、会社も家族も債権者も救われるんだ」という
債務者の悲痛な思いを感じるようになりました。

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[大きくなるか、小さくなるか] 連帯保証人を取るのは日本だけ?
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失敗した経営者を追い詰める最大の問題は、「連帯保証」です。

中小企業が銀行から借入れをするとき、経営者は連帯保証人になる
ことを要求されます。(大企業の場合は要求されません。)


> 社長は自宅を担保に入れ連帯保証をして借入れ、万一破綻すれば
> 全部パーッとばかりにすべてを失う。再起をしようにも生活費すら
> ままならないのが実情となる。それ以上に再度挑戦しようにも失った
> 信用は大きく、まるで犯罪者扱いをされる。
>
> 倒産で個人破産にも直面した経営者は43.4%、その中で再び起業を
> 実現した人は13.7%。これは半数が再起業する米国に比べると極端に低い。
> 再起の最大の障害は資金調達である。個人財産を担保に出していたり
> 連帯保証していることにより過半数の経営者が1億円以上の債務を
> 背負い、3/4が自宅の売却を迫られている。
>
> (「e-経営コンサルタント通信」http://www.mirai-j.co.jp/mmback/md25.htm )


多くの評論家や学者はこの問題について下記のように語ります。

(1)日本は直接金融が機能していなからダメなんだ。
(2)米国では銀行もVCも事業の可能性に金を貸す。日本では銀行やVCが
 事業の可能性を判断できないから、連帯保証に頼るのだ。
(3)先進国の銀行で連帯保証人を取るのは日本だけだ。


私も以前は、銀行が連帯保証人を要求するのは日本の金融の後進性の
現われだと思っていました。
しかし、現時点では、違った考え方をしています。
上記(1)(2)(3)はウソだと思っています。


考察は次号に続きます。

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[大きくなるか、小さくなるか] 次回以降の予告
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次号以降は次のようなテーマで書く予定です。

・「日本は直接金融が機能していなからダメなんだ」のウソ

・二つの道:
 (1)徹底した情報公開によって出資金を集める(株式会社としての王道)
 (2)個人企業の良さを生かした日本版LLC型ソフトウェア会社

・差異性を生み出せる会社とは?
・その中での、自由と自己責任とは?(無限責任との関係が重要)


それ以外に、下記の技術系テーマも、そのうち書きます。

・ブルックスの法則を超えるもの
・贈与と交換
・ピアレビュー


次号は、2月13日発行予定です。

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October 24, 2005

無借金経営なら赤字の方がいい

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第98号 2005/10/24
▼ まえがき
▼ [ソフトウェア振替という麻薬] 無借金経営なら赤字の方がいい
▼ [ソフトウェア振替という麻薬] 借入れは節税を封じ込める
▼ [ソフトウェア振替という麻薬] 先週号の訂正
▼ [ソフトウェア振替という麻薬] 次回以降の予告


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まえがき
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こんにちは、蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

・第97号から「ソフトウェア振替という麻薬」シリーズを開始しています。

・「ソフトウェア振替という麻薬」シリーズを最初から読みたい方は、
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[ソフトウェア振替という麻薬] 無借金経営なら赤字の方がいい
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多くの人は「会社は利益を出した方がいい」と思っています。
しかし、もしも無借金経営なら、「会社は利益を出さない方がいい」が
正解なのです。

利益が出てその40%を税金に取られるよりも、儲かったお金を帳簿外の
資産にして、決算書上は赤字基調にしておいた方が有利なのです。

儲かったお金を帳簿外の資産にする方法として、次の二つが考えられます。

(1)全額損金型の保険。

(2)岡村吏郎氏が「会社にお金が残らない本当の理由」「裏帳簿のススメ」
 などで提唱している「裏金」。
 (名目は役員報酬にし、経費化するが、役員個人が使えないよう
 別口座にして管理するという方法。)

そのようにして貯えられた帳簿外資産は、多くの会社が借入れを
必要とする局面(事業拡大時の投資、貸し倒れ損失の発生など)で、
営業外収益として帳簿内に還流され、無借金経営を維持します。

またその営業外収益は、全て経費に使われてしまうので、やはり
決算上は赤字基調となり、税金を納める必要はありません。

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[ソフトウェア振替という麻薬] 借入れは節税を封じ込める
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借入れがある場合はどうでしょうか。

第97号で記したとおり、借入れの返済は経費ではありません。

営業利益であろうと、営業外利益であろうとその利益が返済に
使われた場合は、その利益分は税金がかかってしまいます。

それでも納税を阻止しようとすると、別途その利益分の経費を作ら
なければなりません。
上記(1)(2)の方法のどちらを選ぶにしても、返済分と裏金分の二倍の
現金が必要になるわけで、現実的には無理です。


私は会社を始めたころ、他社が何故決算上の利益を出そうとするのか
不思議でした。
利益の40%を税金に取られてしまうなら、その分、何故社員に還元
しないのか、あるいは、何故役員報酬を増やし次の投資に備えないのか
理解できませんでした。

そして、そのころの私は、「決算上の利益を多く出している会社は、
外部株主が入っているため配当を出さねばならない会社だろう」と
思っていました。(配当は税引き後の利益から出されます。)

しかし、慶がある程度大きくなり、借入れをするようになったとき、
現金を返済に使うと、その分決算上も利益が出てしまうことに気付きました。
借入れは節税を封じ込めるのです。

また、借入れをするようになると、銀行からの評価を常に意識しなければ
ならなくなります。
そして、銀行は決算書のみで融資金額も融資金利も決定します。
「決算書は赤字だけど本当は帳簿外資産があります」と言ったら、
逆に怪しい会社だと思われ、評価を下げられるでしょう。

次のような言い方もできます。

決算上利益が出ているように見えても、借入れの多い会社は利益が
返済に充てられるので、自由に使える金は少ない。
社員への還元、新規投資に回される分は少ないのです。

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[ソフトウェア振替という麻薬] 先週号の訂正
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第97号で正確でない記述がありましたので、訂正します。

次のように書きました。

> 借入れの返済は経費ではありません。
> したがって、363万円経常利益が出て、その全額を返済に充てたため、
> 手持ちの現金が無くなっても、363万円に対する税金は払わなければ
> なりません。

しかし、金利分30万円は営業外費用になるので、「元本返済分333万円
に対する税金は払わなければなりません」がより正確です。

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[ソフトウェア振替という麻薬] 次回以降の予告
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次号以降は次のようなテーマで書く予定です。

・ソフトウェア振替
・増資


次号は、10月31日発行予定です。

乞うご期待!!

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また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
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October 17, 2005

完済には「元本1.4倍+金利分」の経常利益が必要

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第97号 2005/10/17
▼ まえがき
▼ [ソフトウェア振替という麻薬] シリーズで書きたいこと
▼ [ソフトウェア振替という麻薬] 税金のない世界での借入れと返済
▼ [ソフトウェア振替という麻薬] 税金のある世界での借入れと返済
▼ [ソフトウェア振替という麻薬] 次回以降の予告


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まえがき
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こんにちは、蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

・今週号から「ソフトウェア振替という麻薬」シリーズを開始します。

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[ソフトウェア振替という麻薬] シリーズで書きたいこと
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「ソフトウェア振替という麻薬」シリーズでは次のようなことを
書きたいと思っています。

(1)いくらまでなら借りていいの?
中小企業は通常は銀行からの借入れで資金を調達します。
この借入れの限度額はいくらでしょうか?
銀行が貸してくれるという限度額ではなく、会社として借りてもいい
限度額です。

(2)借入れは納税額を増やす
適正な限度額を決定する要素は、返済能力であり、返済能力とは
どれだけ利益を上げられるかということです。
しかし、100万円の返済をするために100万円利益を出せばよいと
いうわけではなく、税金を考慮すると、140万円利益を出さなければ
なりません。

(3)ソフトウェア振替とは
パッケージや独自サービスを作り出そうとすると、銀行からの借入れは
増大し、それに比例して返済額と納税額は膨らんでいきます。
この納税額を抑える手法として「ソフトウェア振替」があります。
「ソフトウェア振替」とは開発したソフトウェアを資産として計上する
手法であり、返済のかなりの部分が減価償却費として経費化されて、
納税額が減ります。
しかし、このソフトウェア振替には、減価償却というものが一般に持つ
有害な副作用があります。

(4)増資
資金調達のもう一つの手法として、増資があります。
しかし、よほど利益率が高くないとIPOはできないし、数千万円の現金を
持っている中小企業経営者などほとんどいないでしょう。
したがって、作り出そうとしている商品が大きな投資を必要として
いる場合には、大手との資本提携による増資という選択肢もあり得るのです。

(5)その他
米国ソフトウェア会社はソフトウェアを資産として計上することは嫌う
という話も聞きます。その真相は?


借入れ、投資、資産、原価償却、資本金、M&A、といったことを
テーマとするので、体系的には「金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社」
シリーズの中のサブシリーズに位置づけられます。

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[ソフトウェア振替という麻薬] 税金のない世界での借入れと返済
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話を分かりやすくするために、まず税金のない世界で考えてみましょう。

銀行から1,000万円を返済期間3年で借りたとしましょう。
3年間毎年、元本約333万円を返済するだけでなく、金利も払わなければ
なりません。
金利は元本が減るにしたがって減りますから、大雑把に1年目30万円、
2年目20万円、3年目10万円としましょう。

1年目は元本分333万円+金利分30万円=合計363万円 を銀行に支払わな
ければなりません。

これはたとえ363万円経常利益を出しても会社には現金が残らないことを
意味します。再投資にまわせるお金は0円です。

もしも経常利益が363万円に満たなければ、返済するために新たに借入れを
起こさなければなりません。

それでも30万円の金利分の利益が出ていれば、返した分だけ新たに借入れを
すればよいので、元本は増えません。
もしも30万円の経常利益すら無ければ、金利分も新たに借入れなければ
ならないので、借入れの元本は増え続けることになります。
(現実には新たな借入れをするためには保証金や手数料が発生するので、
元本を増やさないためだけでも、約40万円の経常利益が必要となります。)


また、上記は年利3%程度を前提としています。
金利が今後上昇しそうだという話は、第81号「借入れ依存体質の危険性」
http://www.kei-it.com/sailing/81-050627.html を参照してください。)

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[ソフトウェア振替という麻薬] 税金のある世界での借入れと返済
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次に税金を考慮してみましょう。

借入れの返済は経費ではありません。
したがって、363万円経常利益が出て、その全額を返済に充てたため、
手持ちの現金が無くなっても、363万円に対する税金は払わなければ
なりません。

税率を40%とすると、363万円×40%=146万円 の税金を払わなければ
ならないのです。

したがって、新たに借入れをせずに返済するためには最低509万円の
経常利益が必要ということになります。

もしも、経常利益が509万円に満たなければ、税金を払うために新たな
借入れをしなければならないのです。

今の日本でひとたび多額の借入れをして、元本を完済しようとすれば、
「元本の1.4倍+完済までに要する年月の金利」分の経常利益が必要と
なります。


会社として借りてもいい限度額は、今後予想される経常利益によって
決定されます。

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[賃金決定の仕組み] 次回以降の予告
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次号以降は次のようなテーマで書く予定です。

・会社として借りてもいい限度額(もう少し踏み込んで)
・ソフトウェア振替
・増資


次号は、10月24日発行予定です。

乞うご期待!!

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第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
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July 04, 2005

返さなくてもいい借入れ

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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第82号 2005/07/04
▼ まえがき
▼ [金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社] 返さなくてもいい借入れ
▼ [金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社] IPA不採択
▼ [その他] 新航海術クラブ
▼ 次回以降の予告


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まえがき
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こんにちは、蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

第81号では銀行からの融資金利をテーマに取り上げました。
今回も引き続き資金調達について話します。

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[金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社] 返さなくてもいい借入れ
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第81号で銀行からの融資をテーマに取り上げたからというわけでは
ないのですが、タイムリーなことに、先週某中堅ソフトウェア会社の
N社長から「返さなくてもいい借入れ」の話を聞きました。

その会社は平成16年にグリーンシート銘柄になりました。
グリーンシートとは日本証券業協会が、未公開企業の株式を売買する
ために、平成9年7月からスタートさせた制度です。
企業内容の開示(ディスクロージャー)を行い、投資家が相応の
投資判断材料を入手することができるなら、日本証券業協会が売買の
仲介をしましょうという制度です。
詳細は、 http://www.jsda.or.jp/html/greensheet/index.html
参照してください。

株式を公開すれば、直接金融で資金調達ができるようになり、
「返さなくてもいい資金」が手に入ります。
ここまでは誰でも知っています。

しかし、N社長は次のように言います。
「それだけではありません。実は『返さなくてもいい借入れ』も
できようになるんですよ。」

そのソフトウェア会社は優良企業なので、銀行からの借入れ金利は
グリーンシート銘柄になる前も比較的低く、2%前後でした。
それが、グリーンシート銘柄になることにより、企業内容の開示が
行われるので、銀行も融資金利を下げてきます。
今では1%を切っているそうです。
金利がそこまで下がると、毎月の金利負担が減ります。
金利だけ払い、元本は返さなくてもさほど負担にならなくなります。
これが「返さなくてもいい借入れ」です。

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[金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社] IPA不採択
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ソフトウェア会社が派遣型アウトソース業(常駐作業)、下請け型
アウトソース業(一括請負)にとどまるなら、間接金融で十分です。
しかし、横請け型アウトソース業(水平分業)に移行するためには、
それだけでは不十分です。
(派遣型アウトソース業、下請け型アウトソース業、横請け型アウトソース業
については、第78号 http://www.kei-it.com/sailing/78-050606.html 
参照してください。)

大手の傘下に入るか、国から支援を受けるか、直接金融で資金を
調達する必要があります。

慶はあるビジネスモデルについて、2005年度IPA中小ITベンチャー
支援事業に応募しましたが、残念ながら、採択されませんでした。
IPA中小ITベンチャー支援事業については、
http://www.ipa.go.jp/software/chusho/index.html を参照してください。
80件応募があり、10件採択されたそうです。

IPAから送られてきた「採択されなかった事由」には
「アイデアは評価しました。しかし、技術的課題が多く存在し、
かつその対策の具体化検討が不十分なため、開発実現性の妥当性が
希薄であると判断いたしました」と書かれていました。

国からの支援が受けられなかったので、今度はグリーンシートについて
研究してみます。

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[金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社] 新航海術クラブ
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「新航海術クラブ」(仮称)を立ち上げようかと思っています。

上述のN社長とは慶が所属している小さな業界団体で知り合いました。

以前加盟企業700社ほどの大きな団体にも所属していましたが、
そのような大きな団体だと逆に面白い情報が得られないので、
今年4月で退会しました。
中小ソフトウェア会社は大きな団体に入るよりも、小さな交流の場を
複数持つ方がよいと思います。

「新航海術クラブ」(仮称)の目的は次のとおりです。

1.厳選された優良案件のみ紹介し合う
他の業界団体のように二次請け、三次請けの仕事の紹介はしません。
エンドユーザ直案件、または一括請負案件のみの紹介をします。
会員制WEBページでの公開と、直接合ってニュアンスまで伝え合う
案件情報交流会の両方を考えています。

2.メルマガ連動セミナー
メルマガ「ソフトウェア業界 新航海術」と連動し、専門家の講師に
講義してもらいます。例えば、次のように。

・グリーンシート銘柄
  講師:某証券会社 X氏

・本当の成果主義賃金体系とは何か?
  講師:人事・労務専門コンサルタント U氏

3.懇親会

もしも「新航海術クラブに参画してみたい」という方がいらっしゃったら、
メールで下記アドレスまで返信してださい。
office@kei-ha.co.jp

賛同者の数によって、私のやる気も違ってきますから・・・。

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 次回以降の予告
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次のようなテーマを取り上げたいと思っています。

・本当の成果主義賃金体系とは何か?
・最近強まっている業務請負から労働者派遣への流れ
・新航海術クラブ

次号は、7月11日発行予定です。

乞うご期待!!

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June 27, 2005

借入れ依存体質の危険性

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第81号 2005/06/27
▼ まえがき
▼ [金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社] 借入れ金利が10%を超えていた時代
▼ [金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社] 借入れ依存体質の危険性
▼ [金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社] インフレ目標のスイッチが押される日
▼ [金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社] もう一つの問題
▼ 次回以降の予告


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まえがき
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こんにちは、蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

今回は久々に「金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社」シリーズです。

小売業なら売上は売った瞬間に現金になり、仕入れは請求書ベースなので、
「売掛金<買掛金」となります。
一方、システム受託開発会社では通常「売掛金>買掛金」となります。
入りより出の方が早いのです。
したがって、多くのソフトウェア会社では、売上が拡大するにつれて
銀行からの借入れも増えていきます。

今回は、この銀行からの借入れが以前よりも危険なものになりつつ
あるという話しをします。

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[金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社]
 借入れ金利が10%を超えていた時代
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私が慶を立ち上げたのは1998年9月、初めて銀行から借入れをしたのは、
2000年9月です。その時の金利は年3.3%でした。
つまり、私は金利が低くなってからの融資しか経験がないのです。

そこで、先日、国民生活金融公庫の営業マンに次のような質問をしました。

「例えば、今は銀行の住宅ローンの金利は1%台のものもある位低い
ですよね。
でも、バブルの頃は住宅金融公庫でも6%、銀行なら8%位でしたよね。
バブルの頃って企業への融資金利もすごく高かったんですか?
そもそも銀行の融資金利は何によって決まるのですか?」


国民生活金融公庫の営業マンの回答は次のようなものでした。

・銀行の融資金利が決まる仕組みは、その融資商品によって異なります。
 長期プライムレートをベースにするものも、短期プライムレートを
 ベースにするものもあります。また、銀行の融資政策にも左右されます。

・国民生活金融公庫の企業融資の金利は長期プライムレートに若干
 上乗せしたものです。上乗せ率はその企業の業績や担保によって
 決まります。

・長期プライムレートは今は1%台前半ですが、バブルの頃は6%~7%でした。
 したがって、バブルの頃は国民生活金融公庫の企業融資の金利は10%を
 超えることも珍しくありませんでした。

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[金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社] 借入れ依存体質の危険性
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銀行の営業マンも国民生活金融公庫の営業マンも、私が将来の金利
上昇の話をすると、必ず次のように言います。

・今のところ金利が上昇する気配はありません。
・また、融資金利は変動ではなく固定なので、例えば3年間の融資期間
 中に長期プライムレートが上昇しても融資金利は変わりませんので、
 安心してください。


しかし、借入れ依存体質が染み付いてしまったら、完済後に、また
借入れを起こさなければなりません。
そのときには、後述のように、借入れ金利が大幅に上昇している
可能性が高いのです。

借入れ金利が上昇しても、それ以上に営業利益が増えればよいのですが、
もしも営業利益が増えなければ経常利益が減ります。
また、最悪の場合、金利を払うために、さらに借入れが必要となります。

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[金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社]
 インフレ目標のスイッチが押される日
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銀行マンは「金利が上昇する気配はありません」と言いますが、私は
ここ1、2年で金利が急上昇する気配を感じています。


森永卓郎氏が「年収300万円時代を生き抜く経済学」などで展開している
下記の主張には説得力があります。
・現在のデフレ不況は政府と日銀の暗黙の共謀によって演出されたもの。
・小泉改革の正体は「金持ちをますます金持ちにする」こと。

森永卓郎氏によれば「金持ちをますます金持ちにする」仕掛けは次の
とおりです。

> (1)ITバブルを引き起こして「頭金」を作る。
> (2)金融引き締めによるデフレを仕掛けて、資産価格を急落させ、不動産を
>  借金で購入した企業を追い込む。
> (3)不良債権処理を強行して、放出された不動産を二束三文で買い占める。
> (4)デフレを終わらせて、買い占めた不動産価格でキャピタルゲインを得る。
> (5)一度たたき落とした旧来型の企業や一般市民が、這い上がってこない
>  ように弱肉強食社会へと転換する。
>       (森永卓郎著「年収300万円時代を生き抜く経済学」より)

そして、現在は(3)の後半の段階です。

> そう遠くない将来、日銀が事実上のインフレ誘導に打って出ることは
> 確実と言っていい情勢なのです。・・・(中略)・・・
> もう一段の不良債権処理を待って、外資のハゲタカファンドや日本の
> 投資ファンド、「勝ち組」企業が土地や株を買い漁ったあと、ついに
> インフレターゲティングへのスイッチが押されるはずです。
>       (森永卓郎著「「家計破綻」に負けない経済学」より)


6月19日の日経新聞の「インフレ目標論争二幕へ」という記事でも
「インフレ目標の有効性は最近の経済学では広く共有されている」という
竹中経済財政相の言葉を紹介しています。

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[金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社] もう一つの問題
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借入れが大きくなり過ぎると、もう一つ問題が発生します。

多くの中小企業では、社長個人が会社の借金の連帯保証人になっています。
これは会社の借金にたいして社長個人が自分の資産を担保に差し出して
いることを意味します。

したがって、借入れが大きくなり過ぎるということは、社長個人に
とってもつらいことですが、会社にとってもデメリットがあります。
社長の交代が難しくなるのです。

たとえ社長が業績を上げられなくとも、年をとっても、交替しづらく
なるのです。
あるいは社長職を後輩に譲って、自分は新しい事業を立ち上げるような
ことができなくなります。


まえがきで次のように書きました。

> 一方、システム受託開発会社では通常「売掛金>買掛金」となります。
> したがって、多くのソフトウェア会社では、売上が拡大するにつれて
> 銀行からの借入れも増えていきます。

しかし、本当に利益が出ていれば、「売掛金>買掛金」による運転資金の
増加も内部留保で補えるはずです。たとえ全額でなくとも・・・。


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 次回以降の予告
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「保存できないエディタ」シリーズはしばらくお休みし、次のような
テーマを取り上げたいと思っています。

・本当の成果主義賃金体系とは何か?
・最近強まっている業務請負から労働者派遣への流れ

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