ゴーイング・コンサーン

July 24, 2006

経営理念

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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第137号 2006/7/24
▼ まえがき
▼ [ゴーイング・コンサーン] メーカの経営理念の三点セット
▼ [ゴーイング・コンサーン] ゲーム会社には経営理念がない(?)
▼ [ゴーイング・コンサーン] ゲームは作品が全てだから(?)
▼ [ゴーイング・コンサーン] メーカの黄金律、ゲーム業界の不条理
▼ [ゴーイング・コンサーン] 慶の経営理念
▼ 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

今回は経営理念について基本的な話をします。

「ゴーイング・コンサーン」シリーズに分類します。

「ゴーイング・コンサーン」シリーズを最初から読みたい方は、
「バックナンバー ゴーイング・コンサーン」
http://www.kei-it.com/sailing/back_going.html を参照してください。

または、ブログ( http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/ )の
左列にあるCategories「ゴーイング・コンサーン」をクリックして
ください。

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[ゴーイング・コンサーン] メーカの経営理念の三点セット
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第134号で、メリーチョコレートと任天堂という対照的な会社を例に
出しました。

( 第134号「各社のゴーイング・コンサーン」
http://www.kei-it.com/sailing/134-060703.html または
http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/07/post_83c8.html )


メリーチョコレートのホームページ( http://www.mary.co.jp/ )には
次のような経営理念が掲げられています。

1.品質第一に徹する。
2.顧客奉仕に最善を尽くす。
3.社員の福利増進に努める。


これは製造業の会社の経営理念の典型です。

家電業界でも自動車業界でもコンピュータ業界でも、ほとんどの
メーカの経営理念は、「品質第一・顧客奉仕・社員福利」の三点セット
のバリエーションです。

会社によって言葉は違いますし、今はやりの言葉がちりばめられている
場合もあります。
しかし、よく読むとこの三要素が盛り込まれているのです。

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[ゴーイング・コンサーン] ゲーム会社には経営理念がない(?)
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こんどは任天堂のホームページ( http://www.nintendo.co.jp/ )を
見てみましょう。

売上高4,117億円(2006年3月期、単独)の大企業にしては、簡素な
ホームページです。

企業理念や経営理念などは一切載っていません。
代表者の挨拶すらありません。
「社長メッセージ」 http://www.nintendo.co.jp/n06/message.html
というページはありますが、これは採用情報の中の1ページに過ぎません。

他にも次に示すようなゲーム業界大手のホームページを幾つか見て
みました。

・セガ  http://sega.jp/
・スクウェア・エニックス http://www.square-enix.com/jp/index_f2.html
・アトラス http://www.atlus.co.jp/

どの会社のホームページにも、企業理念や経営理念のページはあり
ませんでした。

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[ゴーイング・コンサーン] ゲームは作品が全てだから(?)
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メーカはどんなに小さな会社でも経営理念を掲げたがります。
その中身が似通っているにもかかわらず・・・。

一方、ゲーム会社は任天堂のように巨大企業になっても経営理念を
掲げません。

この違いの原因は何でしょうか?

次の原因が考えられます。

・ゲームはサブカルチャーなので、肩肘張って理念を語る世界ではない。
・ゲーム業界には「目標」や「志」が嫌いな人が多い(?)
・ゲームは作品が全てであって、その作家の理想や生き様などどう
 でもいい。ましてや、販売元の会社の経営理念なんてどうでもいい。

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[ゴーイング・コンサーン] メーカの黄金律、ゲーム業界の不条理
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しかし、最大の原因は、業界としての性格の違いでしょう。

> 家電の世界では、最高の技術を安価に提供する事がベスト。
> そこに黄金律が存在する。また、もし10万円で売れなくても5万円に
> 値引きすればまず売れる。
> http://www.geocities.co.jp/Playtown/4007/phy40c2.html


「品質第一・顧客奉仕」はメーカでの製造現場の日常的な目標です。
製造現場ではこれ以外の目標はないと言っても過言ではありません。
しかも、全員が一丸となれる目標です。
そして、それを支えるために終身雇用的な「社員福利」があります。
したがって、メーカが「品質第一・顧客奉仕・社員福利」を経営理念
とすることは、自然なことなのです。
たとえ経営者からトップダウンされたかのように語られていたとしても、
実際にはメーカの日常業務から自然発生したことでもあるのです。


一方、ゲーム業界とは下記のように不条理な世界です。

> ブーム時には1万円でも売れた娯楽品「たまごっち」は、ブームが
> 去ると、100円でも売れない。遊びが飽きられ、付加価値(流行)
> を失い、欲しいと思わせない。
> http://www.geocities.co.jp/Playtown/4007/phy40c2.html


ゲーム会社の最も大事な目標は「何か面白いことを考え出す」でしょう。
しかし、これは全員が一丸となってできることではありません。
「何か面白いこと」は、むしろ少数の変人から出てきます。
したがって、全員が納得できる経営理念が自然発生的に生まれてきません。

また、この「何か面白いこと」を固定的な言葉で表現してしまうと、
それにとらわれてしまうという弊害があるので、成功しているゲーム
会社ほど経営理念を言葉にしないのではないでしょうか?

> 第一、"一寸先は闇"のこの業界(娯楽)で、こうしなきゃならんなど
> という固定的な考え方は、なんらプラスにならない。それどころか、
> 自ら負けを招くようなものです。

(「山内社長の信念」
http://www.geocities.co.jp/Playtown/4007/phy40c2.html より)

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[ゴーイング・コンサーン] 慶の経営理念
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さて、中小ソフトウェア会社の経営理念、そして、慶の経営理念は
どうあるべきでしょうか?

メーカ下請け型のソフトウェア請負開発会社で行くなら、企業理念は
「品質第一・顧客奉仕・社員福利」のバリエーションでよいでしょう。

しかし、パッケージ型、サービス型で行くなら、少しゲーム会社の
ような不条理な世界に近づきます。

4月に作成した慶の会社案内の表紙では、私は、次のような表現を
使いました。
岩井克人著「会社はこれからどうなるのか」の影響を受けています。


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          <経営理念>
市場を驚かす差異性をもった製品及びサービスを効率的かつ
迅速的に提供し続けること。
そのために、個々の事業部は自らのコア・コンピタンス
(中核的競争能力)を特定化し、そこに人的資産を集中的に
投入すること

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次回以降の予告
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次号以降では次のようなテーマを取りげていきます。

ゴーイング・コンサーンシリーズ:
・会社は継続しなくてもよいという考え方もある。
・メリーチョコレートを支えている人事制度。


技術系:
・グーグルの衝撃
  本を読むこと、ネットで読むこと
  ITバブルは詐欺だった
  ポスト産業資本主義化はIT革命によって引き起こされたのではない。

・メーカからの請負、エンドユーザからの請負
 (品質管理、検収、瑕疵担保責任の違い)
・オブジェクト指向再論
・PMBOK
・SEO対策

外国系:
・中国は脅威か?

財務系
・資産と費用

経営系:
・壊れ窓の理論

法務系:
・コンプライアンス
・執行役の裁量の範囲と取締役会の決定権

労務系:
・雇用契約、裁量労働制、個人事業主
・景気回復、新卒の採用難、2007年問題

営業系:
・売れる営業マン


次号は、7月17日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、
目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は2006年7月23日現在、519名です。


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July 10, 2006

20年後の危機

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第135号 2006/7/10
▼ まえがき
▼ [ゴーイング・コンサーン] ソフト会社は20年経ったときが苦しい
▼ [ゴーイング・コンサーン] 突然死する会社
▼ [ゴーイング・コンサーン] 普通の中小ソフトウェア会社とは
▼ [ゴーイング・コンサーン] 徐々に疲れていく会社
▼ [ゴーイング・コンサーン] 人は確実に変わる
▼ 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

第133号からゴーイング・コンサーン(継続企業の前提)について
解説しています。

「ゴーイング・コンサーン」シリーズを最初から読みたい方は、
「バックナンバー ゴーイング・コンサーン」
http://www.kei-it.com/sailing/back_going.html を参照してください。

または、ブログ( http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/ )の
左列にあるCategories「ゴーイング・コンサーン」をクリックして
ください。

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[ゴーイング・コンサーン] 中小ソフト会社は20年経ったときが苦しい
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先日、某中小ソフトウェア会社のM会長が来社されました。
その方は、8年ほど前にソフトウェア会社を設立し、去年健康上の理由で
引退し、現在は取締役会長となられています。
年齢は60代で、この業界を長い間見てこられた方です。

その方は次のようなことをおっしゃっていました。

> 中小ソフトウェア会社は設立後20年経ったときが一番苦しいんですよ。
> 中小ソフトウェア会社というものは、社長や創業時のメンバーの力で
> すぐに売上2億、3億の規模になります。
> しかし、3.5億位で頭打ちになります。
>
> そして、気付いたら20年。
> しかし、後継者がいません。育ててこなかったのです。
>
> 社長や中核メンバーも歳をとって、技術の変化について行けなく
> なっています。


これは私が今回のゴーイング・コンサーンシリーズで言いたかった
ことの一つです。

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[ゴーイング・コンサーン] 突然死する会社
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第133号で「9割以上の会社が10年以内につぶれる」という話をしました。
(http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/06/post_6e2f.html
または http://www.kei-it.com/sailing/133-060626.html 参照)


10年以内につぶれる会社は、打ち上げ花火的な会社です。
地道に日銭を稼げないにもかかわらず、思いつき、自惚れ、思い込み
だけで立ち上げた会社はすぐにつぶれます。

運転資本の管理ができていないので、資金が回らなくなり、突然死
するのです。
それまでは「来年はヒルズだ!」と叫んでいた社長に、ある日突然
連絡が取れなってしまうパターンです。

関連記事:
第118号「アイデア系ベンチャーは打ち上げ花火」
( http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/03/post_8ea4.html
または http://www.kei-it.com/sailing/118-060313.html )

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[ゴーイング・コンサーン] 普通の中小ソフトウェア会社とは
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しかし、堅実な普通の中小ソフトウェア会社も20年たてば苦しくなります。

堅実な普通の中小ソフトウェア会社とは、どのような会社でしょうか?

営業面、技術面では、次のような会社です。

社長や中核メンバーがある程度技術力をもち、自ら客先常駐してでも
自分たちの食い扶持が稼げる会社。
あるいは、技術力と安定した顧客を持ち、社内持ち帰り開発ができる
会社です。

営業主体のソフトウェア会社なら、技術者と協力会社の管理と営業が
きちんとできる会社です。


経営面では、月単位、年単位の短期的な収支管理・資金管理ができる
会社、つまり、次のような会社です。

・儲かっているか儲かっていないか自分で分かっている会社
・運転資本の管理(売掛金と買掛金の管理)ができる会社

(関連記事:第24号「危ない会社、普通の会社」
  http://www.kei-it.com/sailing/24-040517.html )


周囲を見回しても、このように地味で真面目な会社は、大儲けも
できないかわりにつぶれることもありません。

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[ゴーイング・コンサーン] 徐々に疲れていく会社
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しかし、このような会社も設立後数年で売上が頭打ちになり、その後は
頑張っても規模は変わらず、そのうち社長も中核メンバーも歳をとって
きます。
冒頭のM会長の言葉どおりに・・・。

打ち上げ花火的なベンチャーが突然死するのに対して、長期間続いた
真面目な中小ソフトウェア会社は徐々に疲れて、老いていく感じです。

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[ゴーイング・コンサーン] 人は確実に変わる
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企業は継続することが大前提だとすると、長期的には主力商品の交代と
人の交代が発生します。

但し、主力商品が交代しない可能性は無くはありません。
第134号で見たように、メリーチョコレートは昭和25年創業以来、
56年間高級チョコレートなどのギフト菓子一筋です。
貝印の主力商品は、明治41年の創業以来、98年間カミソリです。

しかし、人の方は確実に変わります。
社長も取締役も社員も・・・。
同じ人物が社内で昇進・昇格・配置転換するのも一種の交代です。
契約社員から正社員になる、あるいはその逆も、交代の一種です。

会社の組織・制度、特に人事・給与制度とは、人をスムーズに交代
させるための制度だという観点で見ると、今まで見えなかった面が
見えてきます。

考察は次号に続きます。

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次回以降の予告
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次号以降では次のようなテーマを取りげていきます。

ゴーイング・コンサーンシリーズ:
・会社は継続しなくてもよいという考え方もある。
・メリーチョコレートを支えている人事制度。


技術系:
・グーグルの衝撃
  本を読むこと、ネットで読むこと
  ITバブルは詐欺だった
  ポスト産業資本主義化はIT革命によって引き起こされたのではない。

・メーカからの請負、エンドユーザからの請負
 (品質管理、検収、瑕疵担保責任の違い)
・オブジェクト指向再論
・PMBOK
・SEO対策

外国系:
・中国は脅威か?

財務系
・資産と費用

経営系:
・壊れ窓の理論

法務系:
・コンプライアンス
・執行役の裁量の範囲と取締役会の決定権

労務系:
・雇用契約、裁量労働制、個人事業主
・景気回復、新卒の採用難、2007年問題

営業系:
・売れる営業マン


次号は、7月17日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、
目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は2006年7月1日現在、513名です。


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July 03, 2006

各社のゴーイング・コンサーン

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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第134号 2006/7/3
▼ まえがき
▼ [ゴーイング・コンサーン] 日本技術貿易株式会社
▼ [ゴーイング・コンサーン] 本業に密接にかかわる副業を行う
▼ [ゴーイング・コンサーン] 貝印もカミソリの売上高は3分の1
▼ [ゴーイング・コンサーン] 創業以来この道一筋の会社
▼ [ゴーイング・コンサーン] 任天堂のゴーイング・コンサーン
▼ [ゴーイング・コンサーン] 主力商品だけでなく、人も交代する
▼ 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

先週号からゴーイング・コンサーン(継続企業の前提)について
解説しています。

現在は「永久運動の設計」シリーズに分類しますが、別シリーズ
として立ち上げるかもしれません。

「永久運動の設計」シリーズを最初から読みたい方は、
http://www.kei-it.com/sailing/back_forever.html を参照して
ください。

バックナンバーはブログでも公開しています。
ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/

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[ゴーイング・コンサーン] 日本技術貿易株式会社
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第133号では「主力商品は交代し得る」という話をしました。
今週号では、それをもう少し具体的にお話しましょう。

先日、日本技術貿易株式会社( http://www.ngb.co.jp/ )を訪問しました。

1959年設立。外国特許明細書の輸入販売からスタートした会社です。

市場調査や基礎研究の結果として外国特許明細書の分野に進出した
というよりも、特許などとは無縁の創業者がたまたま外国特許明細書
という商材に出会い、「これはいける!」と感じたことがきっかけ
だったようです。

その後、次のように知的所有権に関連する様々な分野に進出し、
成功しています。


1961年 05月 特許情報会社 英国ダウエント社と総代理店契約締結
1963年 01月 翻訳サービス開始
1964年 01月 特許・商標の調査サービス開始
1965年 04月 特許・意匠・商標の外国出願仲介サービス開始
1973年 12月 英国CPA社と年金管理業務提携
1981年 10月 翻訳センター設立
1994年 11月 翻訳センターが日本ビジネス翻訳株式会社として独立
1999年 10月 「ドケッティング室(文書管理部門)」新設
2001年 04月 知的財産に特化したシンクタンク「IP総研」設立
2002年 11月 「模倣品情報センター」開設

現在では、全体の売上の中で外国特許明細書の売上が占める割合は
微々たるもので、特許・意匠・商標の外国出願仲介サービス、
調査サービス、翻訳サービスが主力業務となっています。


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[ゴーイング・コンサーン] 本業に密接にかかわる副業を行う
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山田慎哉氏は「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」の中で、料理・
ワイン教室も行っているフランス料理店を例に挙げて、「本業に密接に
かかわる副業を行うこと」の重要性を次のように説いています。

> 何も本業だけで儲ける必要はなく、副業など他のところでちゃんと
> 利益を上げることができれば商売はなりたちますよということだ。

> 本業と副業とはバラバラになっていてはいけない、お互いをつなげて
> 考えろということだ。

> たとえば、鉄道会社はむかしからその沿線に住宅地を作ったり、
> 遊園地を作ったりして、自分の鉄道の利用者を増やそうとしてるが、
> これはまさに連結経営の考え方だといえる。

> 企業は、「自社にとって相乗効果の高い事業はないか?」
> 「自社の技術を生かせる新規事業はないか?」ということを常に
> 考えているのである。


日本技術貿易株式会社は連結経営の好例でしょう。

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[ゴーイング・コンサーン] 貝印もカミソリの売上高は3分の1
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連結経営の例として、カミソリで有名な貝印株式会社(創業 明治41年)
も挙げられます。

実は、「創業以来この道一筋」の例として挙げようと思い、
ホームページ( http://www.kai-group.com/index.shtml )を
見たのですが、そこには次のように書かれていました。

> カミソリの分野の売上高はすでに全体の3分の1で、この他に、
> 家庭用品や美粧用品の分野など新たな事業の柱がいくつも育って
> おり、総合生活産業へとKAIは変貌しています。


貝印というカミソリで築き上げたブランドと製造ノウハウを基に、
本業に密接にかかわる副業を積極的に行っているようです。

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[ゴーイング・コンサーン] 創業以来この道一筋の会社
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それでは、「創業以来数十年間この道一筋」という会社はないの
でしょうか?

そのような会社の例として、株式会社メリーチョコレートカムパニー
( http://www.mary.co.jp/ )が挙げられます。

メリーチョコレートはバレンタインデーのチョコの定番の一つなので
ご存知の方も多いと思います。

昭和25年創業以来、56年間、高級チョコレートを始めとするギフト菓子
の製造・販売一筋の会社です。

製造ノウハウの蓄積とブランドの構築が圧倒的な役割を演じる業界では、
「創業以来この道一筋」の企業が出やすいのでしょう。

グッチ、シャネル、ルイ・ヴィトンなどの高級ブランド会社も同類
なのかもしれません。
(これらの会社についてはまだ詳しく調べていませんが・・・。)

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[ゴーイング・コンサーン] 任天堂のゴーイング・コンサーン
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逆に、主力商品を極端に変えた例として、任天堂が挙げられます。

任天堂の主力商品は花札から家庭用ゲーム機に変わりました。
この変化は、「本業に密接にかかわる副業」というレベルでは
ありません。
しかも、その過程は次のように苦難に満ちたものでした。

> 山内任天堂は、決してヒットばかりしてきたのではない。
> むしろ失敗の方が多い。
> 「任天堂五ヶ年計画」は、トランプの売れ行きが止まり中途で捻挫した。
> ノウハウ無しの「インスタントライス」は惨敗、横井の玩具がヒット
> してもブームは急速に萎む。「光線銃カスタム」は、値段が高すぎて
> 売れず、「レーザークレー射撃システム」はオイルショックで夢と
> 散った。

( 「山内社長の信念」http://www.geocities.co.jp/Playtown/4007/phy40c2.html より)


既存のノウハウやブランドをベースにして事業展開している貝印や
メリーチョコレートとは対極にある、毎回全取替えのような生き方です。

娯楽業界ではブランドなど意味がありません。
製造ノウハウもあてになりません。
面白ければ、楽しければ、勝ちなのです。
本当に価値を生み出せるのはアイデアだけです。

そのような世界でゴーイング・コンサーン(企業継続)していくため
には、山内元社長のような信念が必要だったのでしょう。

> 社是やら社訓といったものは邪魔になる。

> 第一、"一寸先は闇"のこの業界(娯楽)で、こうしなきゃならんなど
> という固定的な考え方は、なんらプラスにならない。それどころか、
> 自ら負けを招くようなものです。

( 「山内社長の信念」http://www.geocities.co.jp/Playtown/4007/phy40c2.html より)

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[ゴーイング・コンサーン] 主力商品だけでなく、人も交代する
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第133号、第134号では「主力商品は交代し得る」という話をしましたが、
人も交代します。
むしろこちらの方が、より確実に・・・。

次号はこの方向で話を進めます。

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次回以降の予告
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次号以降では次のようなテーマを取りげていきます。

技術系:
・グーグルの衝撃
  本を読むこと、ネットで読むこと
  ITバブルは詐欺だった
  ポスト産業資本主義化はIT革命によって引き起こされたのではない。

・メーカからの請負、エンドユーザからの請負
 (品質管理、検収、瑕疵担保責任の違い)
・オブジェクト指向再論
・PMBOK
・SEO対策

外国系:
・中国は脅威か?

財務系
・資産と費用

経営系:
・壊れ窓の理論

法務系:
・コンプライアンス
・執行役の裁量の範囲と取締役会の決定権

労務系:
・雇用契約、裁量労働制、個人事業主
・景気回復、新卒の採用難、2007年問題

営業系:
・売れる営業マン


次号は、7月10日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、
目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
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June 26, 2006

ゴーイング・コンサーン

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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第133号 2006/6/26
▼ まえがき
▼ [永久運動の設計] 9割以上の会社が10年以内につぶれる
▼ [永久運動の設計] ゴーイング・コンサーン
▼ [永久運動の設計] 主力商品は交代し得る
▼ [永久運動の設計] 中央集権的に商品を開発することができない
▼ 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

今週号では、ゴーイング・コンサーン(継続企業の前提)について
解説します。

「永久運動の設計」シリーズに分類します。

「永久運動の設計」シリーズを最初から読みたい方は、
http://www.kei-it.com/sailing/back_forever.html を参照して
ください。

バックナンバーはブログでも公開しています。
ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/

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[永久運動の設計] 9割以上の会社が10年以内につぶれる
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9割以上の会社が10年以内につぶれるという話はよく聞きます。

「93.7%の会社は10年以内につぶれる」(岡本吏郎氏)
( http://www.nikkeibp.co.jp/style/bizinno/book/article20040309.shtml )

この数字は私の実感とも一致しています。

慶が有限会社として生まれたのは1998年、社員を雇うようになったのが
2000年、株式会社に組織変更したのが2001年です。

それから今までの間、周囲で多くの会社が立ち上がりました。

しかし、正確に数えたわけではありませんが、それらの約9割が既に
つぶれたか、休眠状態になったか、またはずっと実質的には個人事業の
ままです。

関連記事:第118号「アイデア系ベンチャーは打ち上げ花火」
( http://www.kei-it.com/sailing/118-060313.html または
http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/03/post_8ea4.html )

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[永久運動の設計] ゴーイング・コンサーン
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> さおだけ屋に限らず、企業というものは継続することが大前提に
> あって、会計用語ではそれをゴーイング・コンサーンという。
> そして、継続するためにはまず利益、なにがなんでも利益が
> なければはじまらない。
>
>   (山田 慎哉著「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」より)


多くの経営者は、ゴーイング・コンサーン(継続企業の前提)のために
起業したわけではありません。

自分の持っている技術や商品が「これはいける!可能性がある!」と
信じたからこそ起業したのでしょう。
あるいは、「○○で社会に貢献したい」というような理想に燃えて
起業したのかもしれません。

つまり、先に技術、商品、理想があり、企業の継続はその結果に過ぎ
なかったのです。
「起業した目的は『継続』です」などという経営者にはお目にかかった
ことがありません。

しかし、会社がある程度続き、ある程度の規模になると、逆に会社の
継続が目的となり、技術や商品は(そして理想ですら)、継続の
ための手段となります。

そして、それは自然なことなのです。

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[永久運動の設計] 主力商品は交代し得る
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長期継続が目的であり、技術、商品、理想はその手段であるという
ことはどのようなことを意味するのでしょうか?

まず、「主力商品は交代し得る」ということを意味します。

時代や環境の変化によって企業の主力商品が大きく変化することは、
昔からあることです。
30年間この道一筋という企業は皆無ではありませんが、長続きして
いる企業のほとんどが主力商品の交代を経験しています。

さらに、近年は、下記の理由によって主力商品の交代が加速されています。

・技術の短命化
・成功確率の低下

( 第85号「成功確率が低く、成功しても寿命が短い」
http://www.kei-it.com/sailing/85-050725.html または
http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2005/07/post_b7f3.html 参照)


システム請負開発の場合は、基本となるノウハウはあまり変わらず、
開発環境、実行環境、開発手法、開発言語が変わっていく感じですが、
パッケージ開発、WEBサービスとなると主力商品が目まぐるしく変わって
いきます。

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[永久運動の設計] 中央集権的に商品を開発することができない
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しかも、知的創造型産業では、主力商品の変化が激しいにもかかわらず、
中央集権的、計画的に商品を開発することはできません。

( 第85号「コアになるアイデアは個人からしか生まれない」
http://www.kei-it.com/sailing/85-050725.html または
http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2005/07/post_b7f3.html 参照)

したがって、下記の施策が必要となります。

・思い切った権限委譲を行う。
・新しい技術や分野への挑戦を促す仕組みを作る。


技術、商品、理想の側からではなく、会社の継続の側から考えることは
とりわけ、人事や組織について考えるときに役に立ちます。

それらについては、詳細は別の号でお話します。

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次回以降の予告
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次号以降では次のようなテーマを取りげていきます。

技術系:
・グーグルの衝撃
  本を読むこと、ネットで読むこと
  ITバブルは詐欺だった
  ポスト産業資本主義化はIT革命によって引き起こされたのではない
  グーグルの正体

・メーカからの請負、エンドユーザからの請負
 (品質管理、検収、瑕疵担保責任の違い)
・オブジェクト指向再論
・PMBOK
・SEO対策

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・中国は脅威か?

財務系
・資産と費用

経営系:
・壊れ窓の理論

法務系:
・コンプライアンス
・執行役の裁量の範囲と取締役会の決定権

労務系:
・雇用契約、裁量労働制、個人事業主
・景気回復、新卒の採用難、2007年問題

営業系:
・売れる営業マン


次号は、7月3日発行予定です。

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ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は2006年6月24日現在、510名です。


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