大きくなるか、小さくなるか

February 20, 2006

小さくなって大きくなる

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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第115号 2006/2/20
▼ まえがき
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 収穫逓減の法則
▼ [大きくなるか、小さくなるか] コア・コンピタンスに集中しよう
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 大きくなるメリット
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

第110号から「大きくなるか、小さくなるか」シリーズを再開しています。
「大きくなるか、小さくなるか」シリーズでは、慶を含め、中小ソフト
ウェア会社にとって理想の組織はどのようなものか、考えていきます。

「大きくなるか、小さくなるか」シリーズを最初から読みたい方は、
http://www.kei-it.com/sailing/back_big_small.html 
を参照してください。

バックナンバーはブログでも公開しています。
ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/

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[大きくなるか、小さくなるか] 収穫逓減の法則
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さて、この「大きくなるか、小さくなるか」シリーズもまとめる時が
来ました。


私は慶の(そして他の多くの独立系中小ソフトウェアハウスの)
基本戦略は「小さくなって大きくなる」だと思います。

小さくなることのメリットとして、まず、直感的に把握しやすい規模の
方が収支管理がしやすいということが挙げられます。

> 「収穫逓減の法則」という法則を聞いたことがあると思います。
> 収穫が増えると効率が落ちるという法則です。
> これは企業経営では切実な問題です。
>   (岡本吏郎著「会社にお金が残らない本当の理由」より)


売上が少なかったときの方が利益率が高かったという現象は、
多くの会社で見られます。

この現象が発生する理由の一つは、「規模が小さい方が直感的に把握
しやすいから」です。

もう一つの理由は、会社が大きくなると、間接費を使うときに、
「自分が苦労して稼いだ金を使う」という意識がなくなり、
「しょせん他人の金を使う」という意識になってしまうからです。


慶は来年度は、事業部制をより強化しようと思っています。
間接費の配賦には多少コストがかかります。
経理上の入力コストだけでなく、判断と調整のコストがかかります。
多少コストがかかっても事業部単位の収支管理を徹底していきます。

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[大きくなるか、小さくなるか] コア・コンピタンスに集中しよう
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「小さくなろう」と私が言う意味は、もう一つあります。
「各事業部が自らのコア・コンピタンスに集中しよう」という意味です。


> 他の会社が容易に模倣できない独自の差異性を創造し維持し拡大
> していく能力のことを、経営学では、会社の「コア・コンピタンス」
> とよんでいます。会社の中核(CORE)をなす競争力(COMPETENCE)という
> 意味です。
>      (岩井克人著「会社はこれからどうなるのか」より)


よく事業部制やカンパニー制の弊害として、「セクショナリズムを
生んでしまう」ということが挙げられます。
しかし、それは事業部同士が同じようなことをやり、競合してしまう
からです。

各事業部が、常に「自分達の強みは何か」を自問し、それを強化する
方向に進めば、事業部ごとの個性は強まります。
個性のある事業部間の関係は競合ではなく、相乗・補完になるでしょう。


慶のWEB事のコア・コンピタンスがKS倍速開発にあるなら、それを常に
意識し、強化すればよいのです。

慶のIT事の技術者の中からも、ITコンサルタントを目指したい、小売業の
パッケージを作りたいという動きも出てきています。
それをコア・コンピタンスとするチームを育てていけばよいのです。


「小さくなる」ということは、常に自分達のコア・コンピタンスを
意識できる単位にしておくということでもあります。

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[大きくなるか、小さくなるか] 大きくなるメリット
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それでは大きくなるメリットは何でしょうか?

その一つは、上述のとおり、相乗・補完メリットが生まれることです。
各事業部がまず個性的になることが、その前提です。
だから「小さくなって大きくなる」のです。


しかし、大きくなるメリットはそれだけではありません。

事業の時間軸は、事業によって異なります。
短期で成果で出る事業があれば、2,3年かからないと成果がでない
事業もあります。

大きくなるメリットは各事業部の時間軸の調整ができることです。

そのメリットを享受する前提として、セクショナリズムを抑制し、
会社全体の損益通算をする機構が必要となります。

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次回以降の予告
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次号以降で労務なテーマも取り上げたいです。

例えば、
・雇用契約、裁量労働制、個人事業主

それ以外に、下記の技術系テーマも、そのうち書きます。

・ブルックスの法則を超えるもの
・贈与と交換
・ピアレビュー


次号は、2月27日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、
目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は2006年2月13日現在、455名です。


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January 30, 2006

社員500人全員が借入の連帯保証人という組織

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第112号 2006/1/30
▼ まえがき
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 社員500人全員が借入の連帯保証人
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 公認会計士からの返信
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 組織は自由に設計してよい
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 監査法人以上に個人が重要
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

第110号から「大きくなるか、小さくなるか」シリーズを再開しています。
「大きくなるか、小さくなるか」シリーズでは、慶を含め、中小ソフト
ウェア会社にとって理想の組織はどのようなものか、考えていきます。

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を参照してください。

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[大きくなるか、小さくなるか] 社員500人全員が借入の連帯保証人
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第111号では監査法人の組織を取り上げました。

引き続き、監査法人についてお話します。

ものの本には「監査法人は合名会社の形態をとる」と書かれています。
また、「合名会社では社員(出資者)は会社の債務について無限責任を負う」
とも書かれています。
これは、「会社が会社の借金を返せなくなったときは、社員が個人の
財産を提供してでも返さなければならない」という意味です。

大手監査法人には約500人の社員がいます。
その社員全員が借入金の連帯保証人になるということなど、あり得る
のでしょうか?

この点について、大手監査法人に勤めている友人にメールで質問して
みました。


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[大きくなるか、小さくなるか] 公認会計士からの返信
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すると、その公認会計士から次のような返信が来ました。


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 基本的には、監査法人の社員及び代表社員は、借入金その
 他すべてにおいて、無限連帯責任を負っています。

 現在の監査法人は、社員・代表社員の数が500人程度まであり、
 職員も含めると3000人規模の大組織となっています。
 全く知らない社員・代表社員の監査上の問題から、訴訟に
 及んだ場合にも、無限連帯責任を負うことになり、責任が
 重過ぎるものとなっています。

 平成16年4月1日から改正公認会計士法が施行され、
 指定社員制度が設けられました。
 企業等の法定監査については、社員・代表社員のうち、
 指定社員として当該企業等を担当するものについては従来どおり
 無限連帯責任を負うものとし、指定社員以外の社員・代表社員は
 出資金額を限度とする有限責任にとどめるものです。

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[大きくなるか、小さくなるか] 組織は自由に設計してよい
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監査法人の組織を取り上げた理由は、株式会社以外の組織を例示
したかったからです。それも個人中心の組織を・・・。

平成17年7月に交付された新会社法では、会社組織の自由度は大幅に
拡大されています。

今話題の日本版LLP、日本版LLCも可能となっています。

日本版LLP、日本版LLCとは、簡単に言えば、合名会社に無限責任制を
導入したような組織です。
Googleで「日本版LLP」「日本版LLC」で検索すれば、5万件以上ヒット
するので、詳しくはそちらを参照してください。

新会社法の下では、日本版LLC型ソフトウェア会社を作ることも
不可能ではありません。

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[大きくなるか、小さくなるか] 監査法人以上に個人が重要
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今の慶のITサービス事業部に約20名の個人事業主がいます。
このグループの発展形として日本版LLCが考えられなくもありません。

しかし、そこに単純に日本版LLCを導入するだけでは、今すでにある
ソフトウェア技術者の事業協同組合と大差ないものになってしまいます。
ソフトウェア技術者の事業協同組合からは、新しい事業・製品・
サービスは生まれません。

もしもソフトウェア会社の仕事が、公認会計士の仕事のように型に
はまった仕事(昔の汎用機のプログラマの仕事はそれに近いものが
ありました)なら、それでもよいかもしれません。

しかし、ポスト産業資本主義時代のソフトウェア会社は新しい製品や
サービスを次々と生み出していかなければ、利益を上げられません。
そして、コアとなるアイデアは個人からしか生まれません。
ソフトウェア会社で個人が重要だという意味は、監査法人で
個人が重要だという意味以上のものがあるのです。

 関連事項:
  第8号「ポスト産業資本主義の時代」
  http://www.kei-it.com/sailing/08-040126.html
  第85号「コアになるアイデアは個人からしか生まれない」
  http://www.kei-it.com/sailing/85-050725.html

差異性を次々と生み出せる組織とは?
その中での、自由と自己責任とは?(無限責任との関係が重要)

考察は次号に続きます。

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[大きくなるか、小さくなるか] 次回以降の予告
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次号以降は次のようなテーマで書く予定です。

・差異性を生み出せる会社とは?
・その中での、自由と自己責任とは?(無限責任との関係が重要)
・日本版LLC型ソフトウェア会社


それ以外に、下記の技術系テーマもそのうち書きます。

・ブルックスの法則を超えるもの
・贈与と交換
・ピアレビュー


次号は、2月6日発行予定です。

乞うご期待!!

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January 23, 2006

監査法人の組織

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第111号 2005/1/23
▼ まえがき
▼ [大きくなるか、小さくなるか] オレが、オレがって奴ばっかり
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 四大監査法人
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 機能資本家が結合する企業形態
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 「オレが、オレが」を大切にしながら
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

今週号から、もう一度、会社の適正規模「大きくなるか、小さくなるか」
について考えてみます。

・バックナンバーはブログでも公開しています。
 ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/


「大きくなるか、小さくなるか」シリーズでは、慶を含め、中小ソフト
ウェア会社にとって理想の組織はどのようなものか、考えていきます。

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[大きくなるか、小さくなるか] オレが、オレがって奴ばっかり
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私の友人に大手の監査法人に務めている公認会計士がいます。
その友人から「公認会計士って『オレが、オレが』って奴ばっかりだよ。
SEも似てると思うけど・・・」という言葉を聞いたことがあります。

確かに、ある程度仕事ができるようになったソフトウェア技術者は
次の点で公認会計士に似ています。

(1)汎用的な技能
公認会計士の技能もシステム開発の技能もともに汎用的な技能です。
したがって、組織特殊的な技能を持っている人よりも、転職が容易です。

 関連事項:
  第36号「汎用的な人的資産を蓄積した従業員は流動的」
   http://www.kei-it.com/sailing/36-040809.html 
  第30号「組織特殊的な人的資産」
   http://www.kei-it.com/sailing/30-040628.html


(2)開業が容易
公認会計士は独立して税務の仕事ができます。(監査の仕事はできません。)
つまり組織に属さなくても、個人で開業できるのです。
ソフトウェア技術者も組織に属さず、個人で開業する(個人事業主になる)
ことが容易です。

 関連事項:
  第83号「個人事業主とは」
   http://www.kei-it.com/sailing/83-050711.html


(3)組織でなければできない仕事もある
それでは、監査法人という組織に入りたがる公認会計士がいる理由は
何でしょうか?
税務の仕事は個人でできますが、監査の仕事は個人ではできないからです。
ソフトウェア技術者にも、組織に属さなければできない仕事もあります。


(4)責任の大きなプロジェクト
監査はチームで行うプロジェクトです。
また、その結果に対する責任が厳しく要求されます。
この点もシステム開発と似ています。

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[大きくなるか、小さくなるか] 四大監査法人
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5人以上の公認会計士がいれば監査法人は設立できますが、中には
500人以上もの公認会計士を擁する巨大組織になっている監査法人も
あります。

いわゆる四大監査法人(あずさ監査法人、監査法人トーマツ、
新日本監査法人、中央青山監査法人)です。

このような巨大な監査法人は「オレが、オレがって奴」をどうやって
組織化しているのでしょうか?

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[大きくなるか、小さくなるか] 機能資本家が結合する企業形態
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http://www.kei-it.com/sailing/pdf/111-060123.pdf は、
一般的な大手監査法人の組織図を簡略化したものです。


社員総会が最高機関です。
ここで言う「社員」とは出資者のことです。
会社の基本方針は、社員総会において、総社員の過半数によって
決められます。

監査法人で働く公認会計士の全てが「社員」ではありません。
出資していない公認会計士は「職員」と呼ばれます。

監査法人の社員総会は株式会社の株主総会に似ていますが、次の
点で大きく異なります。

株式会社の株主総会はできることが極めて限定されています。
株主総会は取締役の選任はしますが、経営も業務の執行もしません。
その代わり、その結果責任も負いません。

一方、監査法人の社員総会は少なくとも理論的には何でも決められます。
監査法人の社員は、出資し、経営に参加し、業務の執行もし、そして、
結果責任も負うのです。

監査法人は、機能資本家(出資をし、かつ経営にも参加する資本家)が
結合する企業形態なのです。

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[大きくなるか、小さくなるか] 「オレが、オレが」を大切にしながら
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次回以降で、監査法人の組織について、もう少し掘り下げます。

ソフトウェア会社が、規模を拡大しながらも、個人の「オレが、オレが」
を大切にし、創造的で高収益の会社になるためには、学ぶべき点が多いと
思うからです。

> 知的創造物を売る会社では、現場が個別に経営判断をして、
> その積み重ねが会社の判断になればいいんです。
>  (森永卓郎著「リストラと能力主義」より)


次のようなことを書こうと思っています。
・監査法人は合名会社。
・事業協同組合と合名会社との比較。
・機能資本家と社員持ち株制度との比較。
・機能資本家と事業部制、カンパニー制、企業グループとの比較。
・現実に中小ソフトウェア会社は運営上は株式会社ではないし、
 典型的な株式会社になる必要もない。
・新会社法との関連

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[大きくなるか、小さくなるか] 次回以降の予告
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次号以降のテーマは上述のとおりです。

それ以外に、下記の技術系テーマもそのうち書きます。

・ブルックスの法則を超えるもの
・贈与と交換
・ピアレビュー


次号は、1月30日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、
目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
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また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
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January 16, 2006

大きくなるか、小さくなるか

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第110号 2005/1/16
▼ まえがき
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 2006年は第二の創業期
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 第45号~第51号での考察
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 有限会社にヒントがあるかも
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

今週号から、もう一度、会社の適正規模「大きくなるか、小さくなるか」
について考えてみます。

・バックナンバーはブログでも公開しています。
 ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/

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[大きくなるか、小さくなるか] 2006年は第二の創業期
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慶が会社として機能しだしたのは2000年からです。
その後5年間で、WEBシステム開発事業部、ITサービス事業部、
人材コンサルティング事業部が立ち上がり、売上高は4億円を超え、
正社員・契約社員・個人事業主の合計が60名となっています。

まずまずの成功ですが、最近、私は、今までのやり方が一つの限界に
来ていると感じています。

したがって、「2006年は第二の創業期」と捉え、やり方を根本的に
変えていこうと思っています。


さて、今後の方向性を考える上で、まず極めて基本的な問題が、
念頭に浮かびます。
「大きくなるか、小さくなるか」という問題です。


> --------------------【問題】--------------------
> ○売上2億円の会社を5つ作るべきか、売上10億の会社を1つ作るべきか?
> ○大きくなるか?小さくなるか?
> 会社は「規模の経済」「範囲の経済」の論理で大きくなる方がよいのか?
> それとも、コア・コンピタンスに集中し、残りの機能は極力アウト
> ソーシングする、つまり小さくなる方がよいのか?
> ------------------------------------------------
> (第50号 http://www.kei-it.com/sailing/50-041122.html より)

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[大きくなるか、小さくなるか] 第45号~第51号での考察
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次に示すように、以前にもこの問題について考えたことがあります。

第45号 http://www.kei-it.com/sailing/45-041018.html
  ・一人当たりの採用コストは大企業の方が安い
  ・中小企業の中途採用の現状
  ・リクナビやリクナビNEXTも「規模の経済」
  ・慶の営業に見る「範囲の経済」

第46号 http://www.kei-it.com/sailing/46-041025.html
  ・巨大組織がかかりやすい病気
  ・大企業が有利でなくなる理由
  ・超巨大企業の時代へ

第48号 http://www.kei-it.com/sailing/48-041108.html
  ・大きくなる必要がない理由
  ・巨大にならなければならない理由
  ・二つの道

第50号 http://www.kei-it.com/sailing/50-041122.html
  ・人材紹介会社の適正規模

第51号 http://www.kei-it.com/sailing/51-041129.html
  ・小さな会社の方が給料が高くなる
  ・システム開発請負会社の過去と現在


これらで書いたことを要約すると、次のようになります。
(岩井克人著「会社はこれからどうなるか」からの影響を強く受けて
います。)

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ポスト産業資本主義の時代にあっては、会社には次の二つの道がある。
(1)地球規模で「規模の経済」「範囲の経済」を追求する激烈な
 競争に参加する。
(2)標準化の進展によって、モノでもカネでも情報でも世界中どこでも
 ほぼ同一条件で手に入れられるようになったことを利用して、
 モノ・カネ・情報の流通以外の分野で独自の差異性を見出していく。
 この場合は、「規模の経済」「範囲の経済」の力は弱まる。
 システム開発請負会社の最適規模も10年前と比べ、小さくなっている。

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[大きくなるか、小さくなるか] 有限会社にヒントがあるかも
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このように以前の考察は抽象的なレベルに止まっていました。

しかし、最近、「規模の経済」「範囲の経済」という視点からではなく、
「会社の組織」という視点から考えると、もう少し具体的な回答が
見出せるのではないかと考えるようになりました。

自ら規模の拡大に制限をかけた「有限会社」という仕組みにヒントが
あるのではないかと考えるようになったのです。

「売上2億円の会社を5つ作るべきか、売上10億の会社を1つ作るべきか?」
という問題を次のように、置き換えて考えて見たいのです。

「有限会社の良さを取り入れた有限会社的な株式会社を5つ作るべきか、
それとも、株式会社の良さを活かした典型的な株式会社を1つ作るべきか?」

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[大きくなるか、小さくなるか] 次回以降の予告
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次号以降は次のようなテーマで書く予定です。

・新会社法では有限会社は無くなるのか?
・有限会社の知恵


これ以外に、下記の技術系テーマもそのうち書きます。

・ブルックスの法則を超えるもの
・贈与と交換
・ピアレビュー


次号は、1月23日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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November 08, 2004

二つの道

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第48号 2004/11/08
▼ まえがき
▼ [永久運動の設計] 第45号、第46号のおさらい
▼ [永久運動の設計] 大きくなる必要がない理由
▼ [永久運動の設計] 巨大にならなければならない理由
▼ [永久運動の設計] 二つの道
▼ [永久運動の設計] 次回以降の予告:ではどうすればよいのか?


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まえがき
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蒲生嘉達です。お疲れ様です。

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[永久運動の設計] 第45号、第46号のおさらい
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第45号から「会社の規模」について書いています。

--------------------【問題】--------------------
○売上2億円の会社を5つ作るべきか、売上10億の会社を1つ作るべきか?
○大きくなるか?小さくなるか?
会社は「規模の経済」「範囲の経済」の論理で大きくなる方がよいのか?
それとも、コア・コンピタンスに集中し、残りの機能は極力アウト
ソーシングする、つまり小さくなる方がよいのか?
------------------------------------------------


第45号では、重要な基礎知識である「規模の経済」「範囲の経済」
について解説しました。

第46号では、「IT革命の進展により今後は必ずしも大企業が有利では
なくなると1990年代に多くの識者は予想したが、現実には大企業の
時代から超大企業の時代になってしまった」という話を書きました。


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[永久運動の設計] 大きくなる必要がない理由
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ここで、再び岩井克人氏の意見に耳を傾けましょう。

「会社はこれからどうなるのか」で岩井克人氏が会社の規模について
語っている部分の要旨です。
原文のままではなく、私がリライトしました。

(1)産業資本主義の時代
産業資本主義の時代は、生産設備に関する規模や範囲の経済の時代
でした。
生産設備が大きい方が有利な時代、したがって大企業が有利な時代
だったのです。
しかし、その時代にあっても、生産設備に関する規模や範囲の経済は
無限には続きませんでした。
生産設備に関してはあまり大きくするとさまざまな原因で生産効率が
落ちてしまうのです。

(2)ポスト産業資本主義の時代
しかし、農村からの安価な労働力の枯渇によって、産業資本主義が
行き詰まりました。
そこから来るグローバル化の要求、それを技術的に支えるIT革命、
金融革命によってポスト産業資本主義経済が出現しました。
このあたりのメカニズムについては下記を参照してください。
第8号 http://www.kei-it.com/sailing/08-040126.html

ポスト産業資本主義の世界では、標準化の進展によって、モノでも
カネでも情報でも、世界中どこでもほぼ同一条件で手に入れられます。
この意味では、規模や範囲の経済の支配が弱まったのです。

第46号で紹介した1990年代の有識者の下記の指摘はこの面では正し
かったのです。

・規模の大小による情報格差がなくなりました。
・中小企業でも顧客開拓が容易になりました。
・標準化が進んだことにより企業間での分業が容易になりました。
 そのため、広い分野を自足的に行なう巨大企業よりも、専門の分野で
 高度な能力を持つ企業同士が連携するほうが効果的になりました。
( http://www.kei-it.com/sailing/46-041025.html 参照)


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[永久運動の設計] 巨大にならなければならない理由
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しかし、ポスト産業資本主義経済とは、モノ・カネ・情報の流通に
関する規模や範囲の経済の時代でもあるのです。
グローバル化、IT革命、金融革命によってモノ・カネ・情報の流通に
関する規模や範囲の経済に限界が無くなってしまったのです。
モノ・カネ・情報の流通に関しては、産業資本主義の時代以上に
大きいことが有利になったのです。

例えば次のように。
(1)モノの流通
・デルによる全世界的なネットワークの構築。
・アマゾン・ドット・コムのインターネットによる書籍販売。

(2)カネの流通
・シティ・グループ、バンク・オブ・アメリカなどの巨大総合金融会社
 による寡占化。

(3)情報の流通
・マイクロソフトによるパソコンのOSの独占。
・ビデオなどの記録媒体の規格。

モノ・カネ・情報の流通に関しては、地球規模で規模や範囲の経済を
追求するグローバル企業の時代となりました。
これが第46号で指摘した「超巨大企業の時代になった」理由なのです。
http://www.kei-it.com/sailing/46-041025.html 

グローバル企業は地球規模で差異性を見つけ出し、そこから利潤を
生み出すと同時に、急速にその差異性を消し去り、世界中のモノを
標準化していきます。


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[永久運動の設計] 二つの道
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このように考えると、ポスト産業資本主義の時代にあっては、企業には
二つの道があることが分かります。

一つは地球規模で規模や範囲の経済を追求する激烈な競争に参加する
という道です。中小企業なら、巨大企業の傘下に入るということでしょう。

もう一つは、標準化の進展によって、モノでもカネでも情報でも
世界中どこでもほぼ同一条件で手に入れられるようになったことを
利用して、モノ・カネ・情報の流通以外の分野で独自の差異性を
見出していく道です。

第46号で紹介した、1990年代の有識者の下記指摘も正しいことだったのです。
・生産手段が安価になる。
・重要なのはアイデアとノウハウ。
http://www.kei-it.com/sailing/46-041025.html 参照。


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[永久運動の設計] 次回以降の予告:ではどうすればよいのか?
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> 重要なことは、ポスト産業資本主義の時代においては、生産設備
> にかんする規模や範囲の経済の支配から、企業活動が基本的に自由に
> なったということなのです。・・・(中略)・・・
> それぞれの会社は、組織の規模や範囲にとらわれずに、独自の差異性
> を創造し維持し拡大していくことに全力を集中することができるよう
> になったということであるのです。
> (岩井克人著「会社はこれからどうなるか」より)


では、「差異性を創造し維持し拡大する」ということは具体的に
どういうことなのでしょうか?
「会社はこれからどうなるのか」にはそこまでは書かれていません。

「差異性を創造し維持し拡大しろ」と言われても、中小企業の経営者、
技術者、営業職、事務職は具体的にはどうしたらよいのか分からず、
困惑するかもしれません。

オンリーワンと言えるような独創的な技術がなければならないのでしょうか?
飛びぬけた営業力がなければならないのでしょうか?

答えは、否です。
次号でその方法が明かされます。

次号は、11月15日発行予定です。乞うご期待!!


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October 24, 2004

超巨大企業の時代

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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第46号 2004/10/25
▼ まえがき
▼ [永久運動の設計] 巨大組織がかかりやすい病気
▼ [永久運動の設計] 大企業が有利でなくなる理由
▼ [永久運動の設計] 超巨大企業の時代へ
▼ [永久運動の設計] 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達です。お疲れ様です。

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[永久運動の設計] 巨大組織がかかりやすい病気
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第45号( http://www.kei-it.com/sailing/45-041018.html )では
「規模の経済」「範囲の経済」の解説をしました。

一般に大企業は規模が大きくなり、範囲が大きくなる方が、生産費用が
低下します。
多くの企業が本能的に規模を拡大したがり、多角化したがる理由は
実はここにあるのです。

もちろん、組織が大きくなることによるデメリットもあります。
非効率になり、共同体化し、鈍重になっていくのです。

堺屋太一氏は「組織の盛衰」で、豊臣家、帝国陸海軍、日本石炭産業を
例にあげて巨大組織が崩壊していく様を解説しています。
組織は巨大化すると、次のような病気にかかりやすいのです。

(1)人事圧力シンドローム
社員からの昇進・賃上げ要求が強まりすぎると、無謀な事業拡大を
してしまうこと。(豊臣秀吉の朝鮮出兵のように)

(2)共同体化による機能の低下
組織としての機能よりも、構成員の満足と組織そのものの拡大を
求めるようになること。(帝国陸海軍のように)

(3)環境への過剰適応・成功体験への埋没
ある環境で成功し、その環境に過剰適応してしまうと、環境が変
わって業績が悪化しても、環境変化に適応できなくなること。
(日本石炭産業のように)

身近な大企業や公官庁を観察しても上記傾向は感じられるでしょう。


しかし、1980年代までは日本の大企業は「規模の経済」「範囲の経済」
のメリットを享受していました。
巨額の資金を使って生産設備や人に投資してますます繁栄していく
大企業とそれを支えている優秀な下請け・系列企業という図式が、
支配的でした。

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[永久運動の設計] 大企業が有利でなくなる理由
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しかし、1990年代以降、「今後は大企業が必ずしも有利でなくなる」
という見方が出てきました。

例えば、先に言及した「組織の盛衰」(1993年出版)で、堺屋太一氏は
「今後は組織は非属人的で大規模なフィルハーモニー型から属人的で
小規模なジャズバンド型へと変わっていくであろう」という見方を
示しています。
それ以外にも多くの論者が、今後は大企業が必ずしも有利でなくなると
説いています。その根拠は次の通りです。


【生産手段が安価になる】
IT系新興企業の生産手段(PC、情報インフラなど)は従来の大量生産型
企業の工場や機械と比べると安価です。
最近プロ野球参入問題で話題となっている楽天やライブドアは、
今でこそお金持ちですが、事業開始時に巨額の投資を必要としたわけ
ではありません。

【重要なのはアイデアとノウハウ】
従来の大量規格生産型の産業では、生産手段(工場や機械)が良ければ
安くて良い製品ができました。だから高価な生産手段を購入できる
大資本が有利だったのです。
しかし、IT系新興企業はアイデアやノウハウが命であり、生産手段が
良ければ良い製品できるということはありません。
高いコンピュータを買えば面白いサービスを提供できるわけではない
のです。

【情報格差がなくなる】
かつては情報のルートが限られていて、大企業でなければ手に
入らない情報が多かったのですが、インターネットの普及によって、
均質な情報が誰でもどこでも手に入るようになりました。
コンピュータの世界ではIBMや富士通内部にいなければ最先端の
情報が手に入らなかった時代もありましたが、現在では多くの
研究者、技術者、企業が最先端の情報をインターネットで公開
しているので、大企業でなければ手に入らない技術情報は少なく
なりました。

【顧客開拓が容易】
かつては「大手と下請け」「大手の系列」「長年のつきあい」
という関係で仕事が流れました。
しかし、インターネットの普及によって顧客や提携相手を全世界的に
求めることができるようになりました。

【標準化が進んだ】
標準化が進んだことにより企業間での分業が容易になりました
広い分野を自足的に行なう巨大企業よりも、専門の分野で高度な
能力を持つ企業同士が連携するほうが効果的になったのです。

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[永久運動の設計] 超巨大企業の時代へ
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必ずしも大企業が有利でなくなり、大企業のデメリット(非効率性、
共同体化など)がそのままであるとすると、中小企業が繁栄する時代に
なるはずです。

しかし、現実を観察すると世の中はそのようには動いていないことが
分かります。

銀行は統合を繰り返し、メガバンクが誕生しています。
日本の銀行は不良債権問題に苦しんでいるから統合するという面も
ありますが、それだけではなく、全世界的に金融の再編成、寡占化が
進んでいるのです。

自動車業界も全世界的に再編成が進み、日本でも日産、マツダ、
三菱などが外資の傘下に入りました。

通信業界、流通業界でも再編成と寡占化が進んでいます。

IT業界に目をやれば、マイクロソフト、アマゾン、IBM、オラクル
など巨大企業は次々と他の企業を買収しています。
2003年6月2日にピープルソフトがJDエドワーズを買収したら、6月6日
にはオラクルはピープルソフト自体を買収してしまう対抗措置を打ち
出しました。

第45号( http://www.kei-it.com/sailing/45-041018.html )で
「規模の経済」の例にあげたリクナビやリクナビNEXTはかつてない
ほど強大になっています。

「大企業の時代」から「中小企業の時代」になるのではなく、
「超巨大企業の時代」になってしまったようなのです。

> 資金はないが強力なアイデアを持つ小規模で身軽な企業が
> 前途洋々した新興企業になれる、というような伝説はもはや
> 成り立たないのだ。
> (ジョン・シーリー・ブラウン、ポール・ドゥグッド著
> 「なぜITは社会を変えないのか」より)


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[永久運動の設計] 次回以降の予告
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次号では、「超巨大企業の時代」についてより詳しく分析し、その中
での中小企業の生き方を探ります。

次号は、11月1日発行予定です。乞うご期待!!

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October 18, 2004

規模の経済、範囲の経済

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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第45号 2004/10/18
▼ まえがき
▼ [永久運動の設計] 大きくなるか?小さくなるか?
▼ [永久運動の設計] 一人当たりの採用コストは大企業の方が安い
▼ [永久運動の設計] 中小企業の中途採用の現状
▼ [永久運動の設計] リクナビやリクナビNEXTも「規模の経済」
▼ [永久運動の設計] 慶の営業に見る「範囲の経済」
▼ [永久運動の設計] 次回以降の予告
▼ [その他] マガジン紹介:ブランディング・コーチング


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まえがき
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蒲生嘉達です。お疲れ様です。

本メルマガは2003年12月8日に創刊され、第32号(2004年7月12日号)
までは、慶の社員(正社員・契約社員)及び慶と契約している個人
事業主の方々のみに配信していましたが、第33号からは一般の方々
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[永久運動の設計] 大きくなるか?小さくなるか?
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今週号から数回にわたって、「会社の規模」をテーマにします。

第40号( http://www.kei-it.com/sailing/40-040913.html )で次のように
表現した問題です。

> 【問6】
> 売上2億円の会社を5つ作るべきか、売上10億の会社を1つ作るべきか?


また、第13号( http://www.kei-it.com/sailing/13-040301.html )では
次のように表現しました。

> ○大きくなるか?小さくなるか?
> 会社は「規模の経済」「範囲の経済」の論理で大きくなる方がよいのか?
> それとも、コア・コンピタンスに集中し、残りの機能は極力アウトソーシング
> する、つまり小さくなる方がよいのか?
> ソフト会社の適正規模はどのくらいなのか?

カテゴリーとしては「永久運動の設計」に分類します。
「金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社」シリーズは財務寄りの話題、
「永久運動の設計」シリーズは、組織や制度的な話題を扱います。


それでは、「規模の経済、範囲の経済とは何か」から話しを始めましょう。

「規模の経済」「範囲の経済」は、経営学の教科書では次のように
定義されます。
・規模の経済:ひとつの製品を大量に生産することによる生産費用の低下
・範囲の経済:多数の製品を同時に生産することによる生産費用の低下

サービス業においては「製品」を「サービス」、「生産」を「提供」と
置き換えてもよいでしょう。


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[永久運動の設計] 一人当たりの採用コストは大企業の方が安い
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「規模の経済」の身近な例をあげましょう。

人材募集というものは中小ソフト会社にとっては悩みのタネです。

新卒採用の代表的なサイトはリクナビ( http://www.rikunabi2006.com/ )、
中途採用の場合はリクナビNEXT( http://rikunabi-next.yahoo.co.jp/ )です。
これがものすごく高いのです。

リクナビは年間約500万円、リクナビNEXTは2週間で100万円以上かかります。
リクナビNEXTには2週間55万円のコースもありますが、実際には100万円
以上のコースでないと効果は期待できません。
ちなみに最も高いコースは2週間600万円です。
したがって、リクナビNEXTは1ヶ月で200万円~1,200万円かかることに
なります。しかも1ヶ月で求める人材を採用できる保証はありません。

中小企業の人事部長のため息が聞こえてきそうです。

但し、ここで重要なことは、単純に「中小企業が資金的にそれだけの
人材募集費を用意できない」というだけではないということです。
採用人数が少ないが故に一人当たりの採用コストが大きくなってしまう
という面もあるのです。

例えば、新卒を5名しか採らない中小企業がリクナビをやると一人当たりの
採用コストは、500万円÷5人=100万円 となります。
一方、新卒を100人採る大企業なら、一人当たりの採用コストは、
500万円÷100人=5万円 に過ぎません。

規模が大きくなることにより、費用が低下するという例です。


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[永久運動の設計] 中小企業の中途採用の現状
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少し余談になりますが、中小企業の中途採用の現状について記して
おきましょう。

大企業なら、中途採用の場合も採用予定人数が多く、人材募集費も
潤沢なので、迷うことなくリクナビNEXTの100万円以上のコースを選びます。

一方、中小企業は中途採用でも採用予定人数が少なく、人材募集費も
乏しいので、人材募集費を小出しに、中途半端に使ってしまいます。
例えば、リクナビNEXTの55万円のコースを契約してしまうのです。
55万円のコースだと100万円以上のコースよりも表示スペースは小さく、
表示位置も最後の方にまわされてしまいます。
知名度のある大企業ならともかく、知名度のない中小企業がそのような
ことをやっても効果が出るわけがありません。
効果が出ないから、さらに50万円位の単位で人材募集費を逐次投入して
いくことになります。
結局、人材募集費の年間の総額は相当な金額になりますが、良い人材は
いっこうに採用できずに、「人材募集費をドブに捨てた」という思い
だけが残ります。


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[永久運動の設計] リクナビやリクナビNEXTも「規模の経済」
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一人当たりの採用コストは中小企業よりも大企業の方が安くなる
ということは、規模の経済の一つの例です。
しかし、リクナビやリクナビNEXTそのものも「規模の経済」の好例です。
規模が大きいから下記の循環が発生するのです。

規模が大きく、情報量が豊富。
→情報が豊富だから、求職者が集まる。
→求職者が集まるから、ユーザ企業も高い金を払って契約する。
→さらに情報量が増えるし、リクルートは儲かるので再投資できる。

再投資の一例として「Yahoo!リクナビ」があげられます。
リクルートはソフトバンクに大金を払って今年の4月からYahoo!JAPANの
求人ページを買い取りました。
それがYahoo!リクナビ( http://rikunabi.yahoo.co.jp/ )です。
これによって、二番手以下の求人サイトは大きな打撃を受けたはずです。


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[永久運動の設計] 慶の営業に見る「範囲の経済」
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次に「範囲の経済」の身近な例をあげましょう。

慶には下記の3つの事業部が存在します。
・Javaによる一括請負を得意とするWEBシステム開発事業部
・準委任契約による技術支援に特化したITサービス事業部
・有料職業紹介を行う人材コンサルティング事業部


例えば、WEBシステム開発事業部に一括請負の仕事を発注している
会社があったとしましょう。
慶の営業マンがある日その会社を訪問し、担当者と雑談している時、
その担当者が「そう言えば、弊社の中国オフショア部門が『日本語と
中国語ができる優秀なSEを採用できなくて困っている』って言って
いましたよ」と話したとしましょう。
慶の営業マンは、「それなら弊社の人材コンサルティング事業部に
お任せください」と言うことができます。
あるいは、「他部門で行っているテレビ会議システム開発プロジェクトで
VC++のプログラマが2名不足しています。弊社内常駐になりますが・・・」
と言われたら、慶の営業マンは「それなら弊社のITサービス事業部で
対応します」と言うことができます。

つまり、1社で複数の製品やサービスを持っていれば、生産費用
(この場合は営業コスト)が低下するのです。これが「範囲の経済」です。


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[永久運動の設計] 次回以降の予告
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それでは、企業は規模が大きくて、製品が多い方が有利かというと
必ずしもそうではありません。このあたりを次号で解説します。
次号は、10月25日発行予定です。乞うご期待!!

また、「金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社」シリーズで、近いうちに、
「適正な自己資本比率はどのくらいか?」という問題も取り上げようと
思っています。
売上が大きくなっていくと自己資本比率は下がってきます。
「売上数億円で資本金が1,000万円ということは、アンバランスなこと
なのか?」という問題です。


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