業界動向

March 31, 2014

消費税増税について思うこと

**************************************************************
_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
**************************************************************
第251号 2014/3/30 『消費税増税について思うこと』
▼ まえがき
▼ (1)一人あたり6.2万円の増税
▼ (2)消費税納税の基本式
▼ (3)消費税にとって企業は単なる通り道
▼ (4)簡易課税業者・消費税免税業者の場合
▼ (5)利益を確保し、社員に還元していく
▼ (6)消費税が抱える別の問題点
▼ あとがき

*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
まえがき
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

こんにちは。蒲生嘉達(がもうよしさと)です。

4月1日からの消費税増税について思うことを話します。


*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (1)一人あたり6.2万円の増税
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

消費税増税による個人の負担増はどの程度なのでしょうか?
これについて、FRIDAY 4月11日号 に次のように書かれていました。

「3%の増税で約7.5兆円の収入増が見込め、そのうち約5.7兆円が国庫に
入る計算になる。単純に計算すれば赤ん坊から老人まで国民一人当たり
6万2000円ほどの負担増となる。」


*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (2)消費税納税の基本式
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

消費税増税は、個人にとっては負担大になりますが、企業にとっては
負担増にも負担減にもなりません。

企業は「課税売上の中の消費税-課税仕入の中の消費税」を納税します。

【例1】735円(税35円)の商品を仕入れて1,050円(税50円)で売ったら、
    税50円-税35円=15円 を納税する必要があります。
    手元に残る現金は、売上1,050円-仕入735円-税15円=300円。

上記計算式の「課税仕入」には、商品仕入だけでなく、原材料費、外注費、
光熱費、通信費なども含まれます。

尚、給与は「非課税仕入」なので消費税の計算には無関係です。


*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (3)消費税にとって企業は単なる通り道
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

消費税が8%になったら、先の例は次のようになります。

【例2】
 756円(税56円)の商品を仕入れて1,080円(税80円)で売ったら、
 税80円-税56円=24円 を納税する必要があります。
 手元に残る現金は、売上1,080円-仕入756円-税24円=300円。

仕入時期と販売時期で税率が異なる場合はどうでしょうか?

【例3】
 3月に735円(税35円)で商材を4月に1,080円(税)で売った場合は、
 税80円-税35円=45円 を納税する必要があります。
 手元に残る現金は、売上1,080円-仕入525円-税45円=300円。

消費税が5%でも8%でも、仕入時期と販売時期で税率が異なっていても、
手元に残る現金は300円であることが分かります。

企業にとって消費税は通り過ぎるだけのお金です。

消費税にとって企業は単なる通り道です。


*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (4)簡易課税業者・消費税免税業者の場合
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

上記は、一般課税の消費税課税業者の例であり、簡易課税の場合は
計算方法が異なります。

また、消費税免税業者の場合は、納税ではなく、コスト増の問題となります。

簡易課税業者や消費税免税業者の場合は、もともと益税が発生する
可能性があります。

もともと益税が発生していた場合は、消費増税でその益税が若干増える
可能性があります。

しかし、それは消費増税の問題よりも益税そのものの問題の方が大きく、
国も益税対策を強化しています。


*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (5)利益を確保し、社員に還元していく
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

最大の問題は、消費税増税によって個人の負担が増加するのに、
会社は利益が増えるわけではないから、多くの中小企業は簡単に給料を
上げられないということです。

マクロ的には、「日本全体の景気を良くし、会社の利益を増やす」が
解決策であり、逆に言えば、景気が良くなったと判断したから安倍首相は
増税の決断をしたのでしょう。

一企業にとっての解決策は、「自助努力によって、利益を確保し、
社員に還元していく」に尽きます。


*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (6)消費税が抱える別の問題点
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

上で【例1】【例2】【例3】の計算をしたとき、どのパターンでも
会社に残るお金が同じであり、消費税がきれいに会社を通り過ぎて
いくことを確認し、「よくできているな」と思いました。

しかし、この仕組みがうまく機能するのは、会社がきちんと処理する
ことが前提です。

実際には、消費税の通り道であるはずの企業が滞納することも多いようです。

参考記事:中小企業、消費税を“ネコババ”し運転資金確保が常態化? 
     滞納額突出のワケ
     http://biz-journal.jp/2013/05/post_2015.html


*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
あとがき:農家.comのおすすめ商品
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

農家.com http://www.nou-ka.com/ のおすすめ商品
・ 【送料無料詰め合わせ】『ネーブルオレンジ・デコポン』5kg
  http://www.nou-ka.com/detail0000000085.html

・【送料無料】伊佐米ヒノヒカリ(白米)20kg
  http://www.nou-ka.com/detail0000000232.html



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
本メルマガについて
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

本メルマガの精神については、発行者サイト
http://www.kei-it.com/sailing/index.html を参照してください。

本メルマガの歴史については、
http://www.gamou.jp/comment/2010/02/227-3991.html を参照してください。

本メルマガの内容に興味を持つであろう方をご存知なら、是非、
本メルマガの存在を教えてあげてください。

(以下をそのまま転送するだけです。)
---------------------------------------------------
【お勧めメルマガ ソフトウェア業界 新航海術】
http://www.mag2.com/m/0000136030.htm または
 http://www.gampu.jp/sailing/ または
 http://www.kei-it.com/sailing/ 
--------------------------------------------------

このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して
発行しています。配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000136030.htm

「まぐまぐ!」での読者数は2014年3月30日現在、587名です。

バックナンバーは、発行者サイトまたはブログで、体系として
見てもらいたいので、「まぐまぐ!」でのバックナンバー公開は
最新号のみとなっています。

発行者サイト: http://www.kei-it.com/sailing/
ブログ:http://www.gamou.jp/sailing/

◎ソフトウェア業界 新航海術
  のバックナンバー・配信停止はこちら
http://archive.mag2.com/0000136030/index.html

--------------------------------------------------
蒲生 嘉達
y_gamou@kei-it.com

|

December 23, 2013

法人税を払って内部留保を溜めていく

**************************************************************
_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
**************************************************************
第250号 2013/12/22 『法人税を払って内部留保を溜めていく』
▼ まえがき
▼ (1)アベノミクスが最後のチャンス
▼ (2)ソフト業界はアベノミクスよりも先に回復に転じていた
▼ (3)法人税を払って堅実に内部留保を溜めていく経営
▼ (4)内部留保を溜めて一株の価値を高める
▼ (5)きちんとやれば黒字になる時代だからこそ
▼ あとがき


*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
まえがき
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

こんにちは。蒲生嘉達(がもうよしさと)です。

ソフトウェア業界の状況とその中で目指すべき方向について記します。



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (1)アベノミクスが最後のチャンス
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

半年前、日経コンピュータに「アベノミクスが最後のチャンス
国内IT大手4社、成長への道筋」という記事が載っていました。

次のような内容の記事です。

> 「人が足りない」―。今年の春以降、国内IT業界ではうれしい悲鳴が
> 聞こえるようになった。「アベノミクス」の影響で、国内企業の
> 景況感が好転し、IT投資意欲が回復している。
> だが、浮かれるのは早い。
> 国内市場で安定した利益を稼げる今こそ、中長期的な成長戦略を
> 描き直す必要がある。
> 出そろった中期計画を基に、国内IT大手4社の成長戦略を検証する。
>
> (日経コンピュータ(2013年6月27日号)
>   http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NCD/20130619/486195/ )



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (2)アベノミクスよりも先に回復に転じていた
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

私は2008年8月10日に新航海術の補足ブログに
「ソフト業界は2008年3月を境に技術者余りに転じた」という記事を書きました。
http://www.gamou.jp/comment/2008/08/3_fb49.html


2008年3月から始まった「技術者余り」は、中小ソフト会社レベルでは
2012年夏頃終ったと私は感じています。
大手元請会社の回復はそれよりも半年ほど早かったのではないでしょうか。

第2次安倍内閣誕生は2012年12月26日なので、ソフトウェア業界の需給関係の
改善はアベノミクスよりも少し先んじていました。

しかし、日経コンピュータの記事にあるとおり「国内IT業界ではうれしい
悲鳴が聞こえるようになった」という状況になったのは、アベノミクスの
おかげかもしれません。



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (3)法人税を払って堅実に内部留保を溜めていく経営
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

「技術者余り」の時代は、正社員を抱えている会社にとってはつらい時代でした。

社員数を減らさないことを前提にすれば、(売上は減っているわけだから)
赤字にならざるを得ない時代でした。

生き延びるためには、政府の中小企業保護政策(借入保証、助成金)に
頼らざるを得ない非常時でした。

「技術者余り」が解消された今は、きちんとやれば黒字になり得る時代です。
そのような時代では次の方向を目指すべきだと私は思います。

・無借金経営
・法人税を払って堅実に内部留保を溜めていく経営

無借金経営については第247号「無借金経営」(2013/4/13)で解説しました。

 [新航海術]第247号:無借金経営
  Blog版: http://www.gamou.jp/sailing/2013/04/247130413-617c.html
  HP版:http://www.kei-it.com/sailing/247-130413.html


今回は「法人税を払って堅実に内部留保を溜めていく経営」について述べます。



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (4)内部留保を溜めて一株の価値を高める
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

会社の規模が大きくなるにしたがって、必要な運転資金も増えていきます。
その中で借金に頼らない方法として次の二つがあります。

(A)役員報酬をある程度大目に取り、会社の利益はゼロにして、その役員が
 増資を引き受ける。または、会社に貸し付ける。

(B)コンスタントに利益を上げることにより、内部留保を増やしていく。

法人税を払いたくないために、一般的には(A)の方法が採られますが、
これだと「役員報酬の一部は本当は会社のもの」という分かりにくさが
生じるというデメリットがあります。

また、社会保険料は会社負担分と個人負担分合計で28.5%にもなります。
役員報酬を増やせばそれだけ社会保険料も増えるのだから、
役員個人と会社全体での、税金と社会保険料合計を最小にすることを
前提にして役員報酬を決めた場合、その金額はあまり高くないと思います。


内部留保を溜めて一株の価値を高めることにより、創業者利益を確保する
ということが王道であり、その恩恵を社員にも与えることが社員持ち株制度
の意義であると思います。



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (5)きちんとやれば黒字になる時代だからこそ
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

冒頭に紹介した日経コンピュータの記事「アベノミクスが最後のチャンス」は
「国内市場で安定した利益を稼げる今こそ、中長期的な成長戦略を
描き直す必要がある」と指摘しています。

この記事は国内IT大手4社についての記事ですが、次の点は中小ソフト会社に
とっても言えます。

・技術者不足の今こそ、中長期的な成長戦略を描き直す必要がある。
・今後も景気の下降局面はあり得るので、その意味でも内部留保を
 溜める必要がある。



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
あとがき:農家.comのおすすめ商品
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

農家.com http://www.nou-ka.com/ のおすすめ商品
・ 【送料無料】【超特大玉4Lサイズ・8玉・約5kg】【山形県産】洋ナシの王様シルバーベル
  http://www.nou-ka.com/detail0000000304.html

・【送料無料】春風のように爽やかな柑橘「スイートスプリング」5kg
  http://www.nou-ka.com/detail0000000094.html




*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
本メルマガについて
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

本メルマガの精神については、発行者サイト
http://www.kei-it.com/sailing/index.html を参照してください。

本メルマガの歴史については、
http://www.gamou.jp/comment/2010/02/227-3991.html を参照してください。

本メルマガの内容に興味を持つであろう方をご存知なら、是非、
本メルマガの存在を教えてあげてください。

(以下をそのまま転送するだけです。)
---------------------------------------------------
【お勧めメルマガ ソフトウェア業界 新航海術】
http://www.mag2.com/m/0000136030.htm または
 http://www.gampu.jp/sailing/ または
 http://www.kei-it.com/sailing/ 
--------------------------------------------------

このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して
発行しています。配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000136030.htm

「まぐまぐ!」での読者数は2013年12月22日現在、594名です。

バックナンバーは、発行者サイトまたはブログで、体系として
見てもらいたいので、「まぐまぐ!」でのバックナンバー公開は
最新号のみとなっています。

発行者サイト: http://www.kei-it.com/sailing/
ブログ:http://www.gamou.jp/sailing/


◎ソフトウェア業界 新航海術
  のバックナンバー・配信停止はこちら
http://archive.mag2.com/0000136030/index.html


|

August 12, 2012

面白かった5つの記事

**************************************************************
_/_/_/_/_/_/_/  ソフトウェア業界 新航海術  _/_/_/_/_/_/_/_/_/
**************************************************************
第245号  2012/08/11 『面白かった5つの記事』
  ▼ まえがき
  ▼ (1)スマホアプリ 開発の最適解
  ▼ (2)Rubyでスマホアプリを手軽に開発 フレームワークが相次ぎ登場
  ▼ (3)2年連続成長、じわり二極化 ITサービス企業業績ランキング
  ▼ (4)国内医療関連IT市場、2016年は5,705億円
  ▼ (5)富士通とNECが農業クラウドを相次ぎ開始


*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
  まえがき
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

こんにちは。
(株)慶の蒲生嘉達です。

今日は2012年8月2日発行の日経コンピュータの中で面白かった記事を紹介します。

成功するためには、流行を追いかけるのではなく、目の前の仕事に
全力を尽くすこと、そして、己を知り得意分野を深化させることが重要です。

 関連記事:「求められる以上にやる」という姿勢(第222号  2009/8/23)
  [Brog版] http://www.gamou.jp/sailing/2009/08/post-6069.html
  [HP版]  http://www.kei-it.com/sailing/222-090823.html


しかし、今回紹介するような話は常識として理解しておく必要があります。
クラウドやスマホは既にシステムの基盤の一つになってきているからです。



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (1)スマホアプリ 開発の最適解
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

「スマホアプリ 開発の最適解」
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NC/20120726/411961/?ST=NC

次の3つの章からなり、スマホアプリ開発の全体像を知るためには良い特集でした。

・アプリ開発の「常識」が違う
・先行企業に見る五つの勘所
・開発基盤でスピードアップ

「先行企業に見る五つの勘所」の中で一例として在宅調剤アプリが
紹介されていました。

薬剤師が訪問先でiPadを使って調剤履歴や訪問時のやり取りなどを登録・
参照できるアプリです。



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (2)Rubyでスマホアプリを手軽に開発 フレームワークが相次ぎ登場
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

「Rubyでスマホアプリを手軽に開発 フレームワークが相次ぎ登場」
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NCD/20120726/411883/

スマホアプリ開発基盤が進化している例です。
Objective-CやJavaに比べ開発効率と保守性に優れているそうです。



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (3)2年連続成長、じわり二極化 ITサービス企業業績ランキング
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

「2年連続成長、じわり二極化 ITサービス企業業績ランキング」
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NCD/20120726/411841/

次のようなことが書かれていますが、全て実感と一致します。

(a)多くの企業がIT投資を再開している。
 →ITサービス業界全体として回復基調。

(b)サーバーの仮想化や統合が進んでハード重要が弱含みになった。
 →ハードウエア販売の比重が大きい企業は業績不振。
  但し、スマホ普及によってデータ通信量が急増しているので、
  ネットワーク機器販売は好調。

(c)クラウドサービスへの移行が始まって従来の運用サービスの単価が
 下がっている。
 →運用サービスの比重が大きい企業は業績不振。

(d)成長性ランキングでは、「クラウド銘柄」がトップ5に集中。

(e)受託開発は11年度までの好況期のように業界全体が大きく潤う状況には
 ならないと各社は見ている。


 関連記事:
 (b)(c)(d)→ クラウドが技術者に与える影響(第227号  2010/3/19) 
  [Brog版] http://www.gamou.jp/sailing/2010/03/post-7560.html
  [HP版]  http://www.kei-it.com/sailing/227-100319.html

 (e)→ もがきながら、楽しみながら、進む(第244号  2012/6/2)
  [Brog版] http://www.gamou.jp/sailing/2012/06/post-74cb.html
  [HP版]  http://www.kei-it.com/sailing/244-120602.html



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (4)国内医療関連IT市場、2016年は5,705億円
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

「国内医療関連IT市場、2016年は5,705億円」

この記事の元になった記事が下記のURLで見られます。

「国内医療/健康/介護福祉関連IT市場予測を発表」
http://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20120710Apr.html


医療IT市場の大きさ、成長性、特殊性については、本メルマガでも
第233号で取り上げました。
 
 関連記事:医療IT市場(第233号  2010/12/31)
  [Brog版] http://www.gamou.jp/sailing/2010/12/it-480b.html
  [HP版]  http://www.kei-it.com/sailing/233-101231.html



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (5)富士通とNECが農業クラウドを相次ぎ開始
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

「富士通とNECが農業クラウドを相次ぎ開始 流通や外食を顧客に新ビジネス創出」
http://www.nikkeibp.co.jp/article/news/20120802/318352/?rt=nocnt

現場での作業実績や生育情報などのデータを、スマホを使って収集し、
クラウドに蓄積するそうです。

GAPなどの農業生産工程管理を導入するためには、農業生産活動の
各工程の正確な実施、記録、点検では必須になってきます。

その実現には、ネットの即時性とアーカイブ性が不可欠です。

スマホが農家がITを活用するハードルを下げれば、大規模農業では
農業クラウドも普及していくでしょう。

 関連記事:農業とIT(第236号  2011/3/26) 
  [Brog版] http://www.gamou.jp/sailing/2011/03/it-74c2.html
  [HP版]  http://www.kei-it.com/sailing/236-110326.html



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
  本メルマガについて
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

本メルマガの精神については、発行者サイト
http://www.kei-it.com/sailing/index.html を参照してください。

本メルマガの歴史については、
http://www.gamou.jp/comment/2010/02/227-3991.html を参照してください。

本メルマガの内容に興味を持つであろう方をご存知なら、是非、
本メルマガの存在を教えてあげてください。

(以下をそのまま転送するだけです。)
---------------------------------------------------
【お勧めメルマガ ソフトウェア業界 新航海術】
http://www.mag2.com/m/0000136030.htm または
 http://www.gampu.jp/sailing/ または
 http://www.kei-it.com/sailing/ 
--------------------------------------------------

このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して
発行しています。配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000136030.htm
(但し、慶社員には社内のメーリングリストで配信しています。)

「まぐまぐ!」での読者数は2012年8月12日現在、638名です。

バックナンバーは、発行者サイトまたはブログで、体系として
見てもらいたいので、「まぐまぐ!」でのバックナンバー公開は
最新号のみとなっています。

発行者サイト: http://www.kei-it.com/sailing/
ブログ:http://www.gamou.jp/sailing/

|

June 03, 2012

もがきながら、楽しみながら、進む

**************************************************************
_/_/_/_/_/_/_/  ソフトウェア業界 新航海術  _/_/_/_/_/_/_/_/_/
**************************************************************
第244号  2012/06/02 『もがきながら、楽しみながら、進む』
  ▼ まえがき
  ▼ (1)ここ半年の受託ソフト案件の状況
  ▼ (2)生き残れるSEは1割
  ▼ (3)第241号「縮小均衡」
  ▼ (4)もがきながら、楽しみながら
  ▼ (5)関連記事


*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
  まえがき
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

こんにちは。
(株)慶の蒲生嘉達です。

 農家.comの美味しいさくらんぼはいかがですか?
 ⇒ http://www.nou-ka.com/main/search/010001



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (1)ここ半年の受託ソフト案件の状況
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

ここ半年の受託ソフト案件の状況は、中小ソフト会社の実感としては、
次のようなものです。

・スマホ関係の開発は増加。
・公官庁からの発注も増加。(予算確定による季節的なものと復興需要)
 →それに関連してJavaの開発案件も増加。(民間のJava開発は横ばい。)
・一方でオフショアで大幅に縮小している事業もある。
・予算削減の中でやることは増えているので、高稼働のプロジェクトが増加。
・予算削減、スマホ化の中で、中高年技術者の仕事は減り続けている。


全体的には、スマホ、Java案件を中心に仕事量は増えています。

景気回復基調とも関係しているのかもしれません。
(「1─3月設備投資は内外需要増見込み2期連続増、4期ぶり増収・増益」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120601-00000035-reut-bus_all



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (2)生き残れるSEは1割
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

それでは、受託ソフト業界は2007年以前のような活況へと向っていく
のでしょうか?


今月のITproに次のような記事が載っていました。

【記事1】受託ソフト開発会社は、もう終わり!(2012/05/31)
 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20120530/399413/?ST=ittrend

【記事2】スルガ銀-IBM裁判から垣間見えた“SI時代の終焉”(2012/05/09)
 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20120507/394881/?ST=ittrend


「受託ソフト開発に寿命が来ており、(いずれ)なくなる」、
より具体的には、
「IT産業は『ITユーティリティベンダー』、ITユーティリティに必要な
ハードやソフトを開発する『ITベンダー』、サービスを開発する『IT企業』、
そして開発を請け負う『受託ソフト開発会社』に再編・統合されるだろう」と
いう内容の記事でした。

ここでの「ITユーティリティ」とは、クラウド型開発環境とそれによって
開発されたクラウド型サービスのことです。

そして、「システム開発の国内需要は激減するので、生き残れるSEは
1割だろう」と結論付けています。



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (3)第241号「縮小均衡」
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

私も大きな流れとしては上記ITproの記事と同意見です。

そして、本メルマガ第241号(2011年11月19日発行)で現在のソフト業界を
「縮小均衡」と表現しました。

 [新航海術]第241号  縮小均衡
  Blog版: http://www.gamou.jp/sailing/2011/11/post-ea67.html
  HP版:http://www.kei-it.com/sailing/241-111119.html




*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (4)もがきながら、楽しみながら
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

上記「記事2」は次の文章で結ばれています。

> 期待するのは、IT活用のアイデアと技術力のある中小IT企業だ。
> 彼らが、日本企業のIT活用力の向上に貢献するはずである。


ITゼネコンがジリ貧になる中でも、資本的、業務的にその系列に
ガッチリと組み込まれた系列型中小ソフト会社は、今後もITゼネコン
についていくでしょう。
また、ITゼネコンも極力彼らを守ろうとするでしょう。

しかし、独立系中小ソフト会社は「IT活用のアイデアと技術力」で
独自サービスを切り開くしか生き延び、成長することはできません。


慶は、農業と医療で独自サービスを展開すべく、3年半前から取り組んでいます。

 関連記事:
  第233号 医療IT市場
   Blog版: http://www.gamou.jp/sailing/2010/12/it-480b.html
   HP版:http://www.kei-it.com/sailing/233-101231.html

  第236号農業とIT
   Blog版: http://www.gamou.jp/sailing/2011/03/it-74c2.html
   HP版:http://www.kei-it.com/sailing/236-110326.html


しかし、独自サービスというものはそう簡単に軌道に乗るものではありません。

もがきながら、そして、長期戦になることを覚悟して楽しみを見出しながら、
進んでいくしかありません。



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (5)関連記事
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

本号の関連記事です

第230号(2010/8/22) ニッチを切り開く
 [Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2010/08/post-75bc.html
 [HP版]  http://www.kei-it.com/sailing/230-100822.html

第229号(2010/7/4) 日本のソフト会社は今後5年で半減する(?)
 [Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2010/07/5-2083.html
 [HP版]  http://www.kei-it.com/sailing/229-100704.html

第228号(2010/5/5) プライベートクラウド vs. パブリッククラウド
 [Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2010/05/vs-1cd4.html
 [HP版]  http://www.kei-it.com/sailing/228-100505.html

第227号(2010/3/19) クラウドが技術者に与える影響
 [Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2010/03/post-7560.html
 [HP版]  http://www.kei-it.com/sailing/227-100319.html



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
  本メルマガについて
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

本メルマガの精神については、発行者サイト
http://www.kei-it.com/sailing/index.html を参照してください。

本メルマガの歴史については、
http://www.gamou.jp/comment/2010/02/227-3991.html を参照してください。

本メルマガの内容に興味を持つであろう方をご存知なら、是非、
本メルマガの存在を教えてあげてください。

(以下をそのまま転送するだけです。)
---------------------------------------------------
【お勧めメルマガ ソフトウェア業界 新航海術】
http://www.mag2.com/m/0000136030.htm または
 http://www.gampu.jp/sailing/ または
 http://www.kei-it.com/sailing/ 
--------------------------------------------------

このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して
発行しています。配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000136030.htm
(但し、慶社員には社内のメーリングリストで配信しています。)

「まぐまぐ!」での読者数は2012年6月2日現在、644名です。

バックナンバーは、発行者サイトまたはブログで、体系として
見てもらいたいので、「まぐまぐ!」でのバックナンバー公開は
最新号のみとなっています。

発行者サイト: http://www.kei-it.com/sailing/
(バックナンバーの全文検索も可能です。)

ブログ:http://www.gamou.jp/sailing/
(人気記事ランキングが見られます。)

|

November 21, 2011

縮小均衡

**************************************************************
_/_/_/_/_/_/_/  ソフトウェア業界 新航海術  _/_/_/_/_/_/_/_/_/
**************************************************************
第241号  2011/11/19 『縮小均衡』
  ▼ まえがき
  ▼ (1)求職中の40代後半SEからのメール
  ▼ (2)2008年から2009年にかけて起きたこと
  ▼ (3)全体的に落ち着きを取り戻しているが・・・
  ▼ (4)縮小均衡
  ▼ (5)慶は農業と医療で独自サービスを展開
  ▼ あとがき:メールの返信


*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
  まえがき
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

こんにちは。
(株)慶の蒲生嘉達です。

最近、農家.com http://www.nou-ka.com/ では、東日本の農家さん
からの出店が増えています。

是非、農家.comにお立ち寄りください。



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (1)求職中の40代後半SEからのメール
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

先月、約2年間連絡の無かったソフトウェア技術者(年齢:40代後半、
SE/PG経験15年)Sさんから、次のようなメールが届きました。
Sさんは、2009年1月から他業界にいて、今年10月から再度、IT業界
での仕事を探しています。

> システムエンジニア・プログラマを中心に仕事を探しております。
> しかし、成果が上がらず、景気が悪いのか、どのような状況か判断が
> つきにくくなっています。
>
> 現在のIT業界の状態など知ることが出来れば・・・と思います。
> 情報をいただけたら幸いです。宜しくお願いします。


「景気が悪いのか、どのような状況か判断がつきにくくなっています」
というSさんの気持ちは分かります。

後述するように「縮小均衡」と言うべき状況だからです。



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (2)2008年から2009年にかけて起きたこと
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

2008年以降、仕事が減った大手元請ソフト会社は自社の雇用を守るために
内製化を進めました。
そのために、中小ソフト会社は倒産したり、余剰人員をリストラしました。

(「システム・ソフトウェア開発業者倒産、7月までに107件--過去最悪に
迫る勢い」 http://japan.zdnet.com/cio/analysis/20418163/ 参照)

その結果、大量の技術者が労働市場に放出されました。

2008年、2009年当時、ハローワークに求人を出したら、その日は朝から
電話が鳴りやみませんでした。
外国籍、高齢者だけでなく、30代の日本人技術者も多数応募してきました。

求人件数が激減したので、求人媒体は大幅なディスカウントをしていました。


 関連記事(2008年から2010年前半に書いた記事です):
 [新航海術の補足ブログ]ソフト業界は3月を境に技術者余りに転じた
 http://www.gamou.jp/comment/2008/08/3_fb49.html

 [新航海術]第218号  1990年のバブル崩壊と今回の不況の違い
  Blog版: http://www.gamou.jp/sailing/2009/04/1990-2a70.html
  HP版:http://www.kei-it.com/sailing/218-090415.html

 [新航海術]第229号日本のソフト会社は今後5年で半減する(?)
  Blog版: http://www.gamou.jp/sailing/2010/07/5-2083.html
  HP版:http://www.kei-it.com/sailing/229-100704.html



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (3)全体的に落ち着きを取り戻しているが・・・
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

今はどうでしょうか?

ハローワークに求人を出しても、応募数は2009年に比べて激減しました。
外国籍、若手技術者の応募は無くなり、応募者は高齢技術者のみと
なりました。

求人媒体も通常価格に戻っています。

業界団体の集まりなどで話を聞いても、全体的に落ち着きを取り
戻しているように感じます。

では、景気が良くなったのでしょうか?

そうではありません。



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (4)縮小均衡
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

次のような「縮小均衡」と言うべき状況なのです。

【求職者側】

2010年から2011年にかけて、求職者側では次のことが起きました。

a. 外国人は日本での就職をあきらめて、母国に帰りました。
b. Web開発経験のある若手技術者は転職先を見つけました。
c. 汎用機系技術者など需要の少ない技術者はIT業界での
  就職をあきらめて、他業種に転職しました。
d. 未経験者もIT業界での就職をあきらめて、他業種を志望するように
  なりました。
e. 最後に残った高齢技術者も他業種での転職に向っています。

ハローワークからの求人が減った理由は、景気が回復したからではなく、
滞留している求職者数が減ったからです。


【会社側】

一方、中小ソフト会社側では次のことが起きました。

・業績が悪すぎる会社はつぶれました。
・大部分の会社は余剰人員をリストラして縮小均衡しました。


中小ソフト会社は、縮小均衡した後も、未経験採用には依然として慎重です。

Web開発経験のある若手技術者を採用をしたがっていますが、
上記b.のとおり、彼らは既に技術者市場から姿を消しています。

その結果、若手のWeb経験者に関しては、若干の人手不足感が漂い、
求人数も増えました。



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 (5)慶は農業と医療で独自サービスを展開
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

業績を回復するためには縮小均衡も必要でした。

しかし、慶は、それだけでなく、農業と医療で独自サービスを展開すべく、
3年前から取り組んでいます。

 第233号 医療IT市場
  Blog版: http://www.gamou.jp/sailing/2010/12/it-480b.html
  HP版:http://www.kei-it.com/sailing/233-101231.html

 第236号農業とIT
  Blog版: http://www.gamou.jp/sailing/2011/03/it-74c2.html
  HP版:http://www.kei-it.com/sailing/236-110326.html



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
 あとがき:メールの返信
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

冒頭に紹介したSさんには、次のような返信を書きました。

> 現在の請負、客先常駐の状況は次のとおりです。
>
> a. 元請会社がパイを独占しているため、二次請け以下は厳しい状況が
>   続いています。
> b. 若手Java技術者を中心に、若手経験者の需要は回復しています。
> c. COBOL、C、VB案件は無くなりました。
> d. 確実に「量から質」「グローバル化」という2大変化が進行しています。
> e. 日本国内の請負、客先常駐の仕事の総量は、緩やかに減っていくでしょう。


上記e.の「国内市場先細り」という問題は、本メルマガ第232号で
取り上げたことです。

 第232号「向い風と追い風と」
  Blog版: http://www.gamou.jp/sailing/2010/11/post-91f4.html
  HP版:http://www.kei-it.com/sailing/232-101114.html




*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
  本メルマガについて
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

本メルマガの精神については、発行者サイト
http://www.kei-it.com/sailing/index.html を参照してください。

本メルマガの歴史については、
http://www.gamou.jp/comment/2010/02/227-3991.html を参照してください。

本メルマガの内容に興味を持つであろう方をご存知なら、是非、
本メルマガの存在を教えてあげてください。

(以下をそのまま転送するだけです。)
---------------------------------------------------
【お勧めメルマガ ソフトウェア業界 新航海術】
http://www.mag2.com/m/0000136030.htm または
 http://www.gampu.jp/sailing/ または
 http://www.kei-it.com/sailing/ 
--------------------------------------------------

このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して
発行しています。配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000136030.htm
(但し、慶社員には社内のメーリングリストで配信しています。)

「まぐまぐ!」での読者数は2011年11月19日現在、654名です。

バックナンバーは、発行者サイトまたはブログで、体系として
見てもらいたいので、「まぐまぐ!」でのバックナンバー公開は
最新号のみとなっています。

発行者サイト: http://www.kei-it.com/sailing/
(バックナンバーの全文検索も可能です。)

ブログ:http://www.gamou.jp/sailing/
(人気記事ランキングが見られます。)

|

February 12, 2011

デフレの正体

**************************************************************
_/_/_/_/_/_/_/  ソフトウェア業界 新航海術  _/_/_/_/_/_/_/_/_/
**************************************************************
第235号  2011/2/11 『デフレの正体』
  ▼  まえがき
  ▼  [業界動向] (1)「デフレの正体」への批判についての私見
  ▼  [業界動向] (2)否定できない部分
  ▼  [業界動向] (3)生産年齢人口減少でも明るい未来が可能
  ▼  [業界動向] (4)数年前と同じことをやろうとしている


*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
  まえがき
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

こんにちは。
蒲生嘉達(がもうよしさと)です。

藻谷浩介著「デフレの正体」を読みました。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4047102334/keiitteanifty-22



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
[業界動向] (1)「デフレの正体」への批判についての私見
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

賛否両論のある本ですが、私は良いと思いました。

「デフレの正体」に対する批判についての私見を「新航海術の補足」
ブログに載せておきましたので、興味のある方は参照してください。


 [新航海術の補足ブログ]「デフレの正体」に対する批判についての私見
 http://www.gamou.jp/comment/2011/02/post-3a2a.html



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
[業界動向] (2)否定できない部分
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

「デフレの正体」を経済学的な理論面から批判する人も次の点は
否定しない、または、賛同するのではないでしょうか?

--------------------------------

○1995年頃から就業者数減少が始まり、それによって内需は構造的な
 縮小を始めた。

○日本の生産年齢人口は、今後20年間で少なくとも2割近く、
 40年間では少なくとも4割減少する。

○現実の経済は次のような国内経済縮小の悪循環に向かっている。

 団塊世代の一次退職
 →彼らの年収の減少
  →彼らの消費の減退
   →内需対応産業の一層の供給過剰感
    →内需対応産業の商品・サービスの値崩れ
     →内需対応産業の採算悪化
      →内需対応産業の採用抑制・人件費抑制
       →内需の一層の減退


○この悪循環を断ち切るためには次の3つを目標にすべきである。

・生産年齢人口が減るペースを少しでも弱めよう
・生産年齢人口に該当する世代の個人所得の総額を維持し増やそう
・(生産年齢人口+高齢者による)個人消費の総額を維持し増やそう

○【上記目標達成の方策1】高齢富裕層から若者への所得移転

その実現方法の一つとして、「高齢者市場の開拓」が挙げられる。

すなわち、
・高齢者の個別の好みを先入観を排して発見すること
・高齢者が手を出す際に使える「言い訳」を明確に用意すること
・多ロット少量生産に伴うコスト増加を消費者に転嫁可能な水準以下に
 抑えること

○【上記目標実現の方策2】女性の就労と経営参加を当たり前にする

○【上記目標>実現の方策3】
 労働者ではなく外国人観光客・短期定住客を受け入れる。

--------------------------------


*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
[業界動向] (3)生産年齢人口減少でも明るい未来が可能
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

「デフレの正体」の魅力の一つは、上記3目標に向けて努力すれば、
次のような明るい未来も可能だと言っているところです。

○生産年齢人口減少は、「日本の雇用や内需を維持しつつ同時に生産性も
 高めていける」チャンスでもある。

○人口減少に合わせて都市開発地域を縮小し、旧来の市街地や農山村集落を
 再生していけば、「多様な個性のコンパクトシティたちと美しい田園が
 織りなす日本」になれる。



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
[業界動向] (4)数年前と同じことをやろうとしている
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

第233号「医療IT市場」で書いたとおり、IT業界の景気は、
情報サービス、医療、公共/公益分野では回復基調にあります。

証券/その他金融、建設/土木、一般サービス/その他、官公庁では
依然としてマイナス成長が続いていますが、・・・。

 第233号「医療IT市場」
 [Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2010/12/it-480b.html
 [HP版] http://www.kei-it.com/sailing/233-101231.html


また、未経験者、年配者の仕事は厳しいままですが、若手WEB系技術者の
需要は回復しつつあります。
(単価は上がりませんが・・・。)

周囲の中小ソフト会社からも「社内の空き要員がいなくなった」
という声が聞こえてきます。

「求人サイトでJava経験者の募集を再開した」という声も聞こえてきます。

数年前と発想は変わっていません。


それも必要でしょうが、「デフレの正体」で述べられているような
長期トレンドを念頭に入れた戦略も必要でしょう。

慶は現在の請負開発業務の中で収益を確保し、人材を育成しながらも、
長期的には医療IT、農業ITを志向しています。



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
  本メルマガについて
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

本メルマガの精神については、発行者サイト
http://www.kei-it.com/sailing/index.html を参照してください。

本メルマガの歴史については、
http://www.gamou.jp/comment/2010/02/227-3991.html を参照してください。

本メルマガの内容に興味を持つであろう方をご存知なら、是非、
本メルマガの存在を教えてあげてください。

(以下をそのまま転送するだけです。)
---------------------------------------------------
【お勧めメルマガ ソフトウェア業界 新航海術】
http://www.mag2.com/m/0000136030.htm または
 http://www.gampu.jp/sailing/ または
 http://www.kei-it.com/sailing/ 
--------------------------------------------------

このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して
発行しています。配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000136030.htm
(但し、慶社員には社内のメーリングリストで配信しています。)

「まぐまぐ!」での読者数は2011年2月11日現在、671名です。

バックナンバーは、発行者サイトまたはブログで、体系として
見てもらいたいので、「まぐまぐ!」でのバックナンバー公開は
最新号のみとなっています。

発行者サイト: http://www.kei-it.com/sailing/
(バックナンバーの全文検索も可能です。)

ブログ:http://www.gamou.jp/sailing/
(人気記事ランキングが見られます。)

|