行動指針

August 23, 2010

ニッチを切り開く

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_/_/_/_/_/_/_/  ソフトウェア業界 新航海術  _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第230号  2010/08/22 『ニッチを切り開く』
  ▼  まえがき:ニッチの語義
  ▼  [行動指針] (1)島泰三著「親指はなぜ太いのか」
  ▼  [行動指針] (2)初期人類は肉食獣の捨てた骨を主食にしていた
  ▼  [行動指針] (3)地球規模での植生の大きな変化
  ▼  [行動指針] (4)残されるにはわけがある
  ▼  [行動指針] (5)ニッチを切り開く


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  まえがき:ニッチの語義
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株式会社慶の蒲生嘉達です。

「ニッチ」という言葉は、通常は「隙間」という意味で使われます。

しかし、生物学で使われる「ニッチ」とは「生態系における位置」という
概念であり、「隙間」とか「狭い」とかという意味はありません。

ニッチの語義の詳細は、下記のブログ記事を参照してください。

 [新航海術の補足ブログ]
 ニッチ概念と島泰三著「親指はなぜ太いのか」
 http://www.gamou.jp/comment/2010/08/post-12da.html



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[行動指針] (1)島泰三著「親指はなぜ太いのか」
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最近、島泰三著「親指はなぜ太いのか─直立二足歩行の起原に迫る」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4121017099/keiitteanifty-22
を読みました。


内容を大雑把に要約すると次のようになります。

前半では、原猿類から類人猿にいたるまで、島泰三氏の「口と手連合仮説」
(主食は霊長類の手(指)と口(歯)の形を決定する)が成り立つことを
論証しています。

もしも「口と手連合仮説」が正しいなら、形は知られているが生態が
わからないサルの主食を推理できることになります。

そして、後半では、形は知られているが生態がわからないサル
(=初期人類)の口と手から、彼らの主食を推理しています。

初期人類は次のような特別な口と手を持っています。

・歯列の表面が平ら
・臼歯のエナメル質が厚い
・すり潰しシステムのある頑丈なあご
・しっかり握りしめられる手

彼らの主食は何だったのか、と。



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[行動指針] (2)初期人類は肉食獣の捨てた骨を主食にしていた
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島泰三氏は、狩猟・肉食仮説、種子食仮説、堅果食仮説、植物食仮説、
小動物・根菜類仮説(掘り棒仮説)、スカベンジャー(残肉処理者)仮説、
と検証していき、最後にボーン・ハンティング(骨猟)仮説にたどり
つきます。

初期人類は肉食獣の捨てた骨を主食にしていた(骨についた肉ではなく、
骨そのものを石で砕いて食べていた)というのです。

ボーン・ハンティング(骨猟)仮説は過去にB.E.ポルシェネフが主張し、
その後まったく顧みられませんでしたが、「口と手連合仮説」によって、
説得力のある仮説となりました。



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[行動指針] (3)地球規模での植生の大きな変化
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地球全体が乾燥化し、草原が広がっていったときに、初期人類が
誕生したことはよく知られています。

> 人類はこの森林を草原に変えた地球規模での植生の大きな変化に対応して、
> そこで新しい主食を開発し、新しいニッチを切り開いた類人猿だった
>        (島泰三著「親指はなぜ太いのか」より)


さて、本メルマガの主な読者は、中小ソフト会社の経営者、管理職、
技術者です。

そのようなメルマガで、初期人類の主食の話をした理由は、
初期人類の姿が現在の中小ソフト会社と重なって見えたからです。

地球規模での植生の大きな変化があり、そこで新しい主食を開発し、
新しいニッチを切り開く必要があるという意味で・・・。


ソフト業界の植生の大きな変化については、第227号から第229号を
参照してください。

 第227号:クラウドが技術者に与える影響
 [Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2010/03/post-7560.html
 [HP版] http://www.kei-it.com/sailing/227-100319.html

 第228号:プライベートクラウド vs. パブリッククラウド
 [Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2010/05/vs-1cd4.html
 [HP版] http://www.kei-it.com/sailing/228-100505.html

 第229号:日本のソフト会社は今後5年で半減する(?)
 [Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2010/07/5-2083.html
 [HP版] http://www.kei-it.com/sailing/229-100704.html



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[行動指針] (4)残されるにはわけがある
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「骨には十分な栄養がある。それもなまじの肉よりもはるかに優れた
食材なのである」と島泰三氏は述べています。

それでは、なぜ、他の動物は骨を食べないのでしょうか?

堅過ぎるからです。

初期人類はそれを石で砕いて食べられるようにしました。


> 直立姿勢は両手を自由にし、それをあたかも第二のあごとする。
> こうして新しい食物採食様式とニッチを開くのである
>        (島泰三著「親指はなぜ太いのか」より)



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[行動指針] (5)ニッチを切り開く
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ニッチを切り開くことはけっして容易なことではありません。

しかし、植生が変化していく中で、我々はニッチを開拓していかな
ければなりません。

> 誰も使わないニッチに初期人類が足を踏み入れたのだから、
> 成功は保証されていたといってよい。

> サルたちは、彼らをとりまく生態系のなかから他の種が利用して
> いない物を取り上げて、それを自分たちの主な食物としたとき、
> 新しい種として生態系のなかで安定した地位を得ることができる。
> それがニッチである。
>        (島泰三著「親指はなぜ太いのか」より)


慶でいうなら、農家.comのニッチ、常駐・請負ビジネスでのニッチ、
そして、現在企画している医療系クラウドサービスのニッチを
切り開かなければなりません。



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November 16, 2009

凄い時代・脳に悪い7つの習慣

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第224号  2009/11/16 『凄い時代・脳に悪い7つの習慣』
  ▼  まえがき:幻の洋梨ルレクチェ
  ▼  [行動指針] (1)堺屋太一著「凄い時代 勝負は2011年」
  ▼  [行動指針] (2)「凄い時代」こそおもしろい
  ▼  [行動指針] (3)何をやったらよいか分からない
  ▼  [行動指針] (4)林 成之著「脳に悪い7つの習慣」
  ▼  [行動指針] (5)気質、体質、体格の変革の基礎


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  まえがき:幻の洋梨ルレクチェ
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蒲生嘉達(がもうよしさと)です。

慶が運用している「農家.com」http://www.nou-ka.com/ で、
「幻の洋梨ルレクチェ」の予約を開始しました。
お歳暮などの贈答用に最適です!!



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[行動指針] (1)堺屋太一著「凄い時代 勝負は2011年」
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第223号で紹介した、堺屋太一著「凄い時代 勝負は2011年」を読み
終えました。
( http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062120801/keiitteanifty-22 )

まえがきで著者が「『凄い時代』の世界を丹念に追おうとした」と
述べているいるとおり、ここ10年前後の世界と日本の変化を、
広く、しかも、丹念に追っている良書でした。

「序章 本書の主張」に本全体の要点が要約されていますが、
新航海術の補足ブログで「序章 本書の主張」をさらに要約して
おきました(↓)。


 新航海術の補足:「凄い時代」の「序章 本書の主張」の要約
 http://www.gamou.jp/comment/2009/11/2011-9db0.html



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[行動指針] (2)「凄い時代」こそおもしろい
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堺屋太一氏は同書で日本の将来について激しく警鐘を鳴らしています。

しかし、一方で、「『凄い時代』こそおもしろい」「不況の時にこそ
新しい産業が生まれやすい」とも語っています(↓)。

 新航海術の補足:「凄い時代」こそおもしろい
 http://www.gamou.jp/comment/2009/11/post-cb35.html



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[行動指針] (3)何をやったらよいか分からない
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しかし、中小ソフト会社の経営者や技術者にしてみれば、
「『凄い時代』こそおもしろい」「不況の時にこそ新しい産業が
生まれやすい」と言われても、何をやったらよいか分からないと
いうのが本音だと思います。

 関連記事
 第218号:1990年のバブル崩壊と今回の不況の違い
 [Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2009/04/1990-2a70.html
 [HP版] http://www.kei-it.com/sailing/218-090415.html
 (バブル崩壊時よりも今回の方がソフト会社や技術者に閉塞感が
 漂っていることを指摘。)


一括請負にしても客先常駐にしても、仕事全体が増えないから、
ゼロサムゲームの様相を呈しています。

 関連記事
 第223号:上は曇、下は雨
 [Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2009/10/post-1e1f.html
 [HP版] http://www.kei-it.com/sailing/223-091012.html
 (中小まで仕事が回ってこないことを指摘。)


但し、これはソフトウェア業界だけではなく、日本のほとんど全ての
業種について言えることです。
むしろ、ソフトウェア業界は一定量の仕事があるだけましとも
言えます。

 関連記事
 第222号:「求められる以上にやる」という姿勢
 [Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2009/08/post-6069.html
 [HP版] http://www.kei-it.com/sailing/222-090823.html
 (ソフト業界は一定量の仕事があり続けることを指摘。)



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[行動指針] (4)林 成之著「脳に悪い7つの習慣」
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では、どうすればよいでしょうか?


さて、「凄い時代 勝負は2011年」とほぼ同時に読んだ本があります。

林 成之著「脳に悪い7つの習慣」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344981448/keiitteanifty-22
です。

脳神経外科の立場から脳に悪い習慣、良い習慣が解説されています。

例えば、独創的な思考力を発揮するためには次の習慣が必要だと
されています。

・効率にこだわらず、くり返し考えている
・考えたことは随時、文章や図に整理している
・よい本はくり返し何度も読んでいる
・自分の考えを疑うことができる
・立場を捨てて、他人の意見に耳を傾けている
・大事なことは、4日おいて考え直している


半分くらいは常識的な指針でしたが、脳神経外科の理論的裏付けがあるので
説得力がありました。


 関連記事:
 [新航海術の補足]「脳に悪い7つの習慣」自己評価記録表は使える
 http://www.gamou.jp/comment/2009/11/7-477c.html



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[行動指針] (5)気質、体質、体格の変革の基礎
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「凄い時代」という複雑で巨大すぎる問題に単純な解はありません。

しかし、歩き方という点では、「脳に悪い7つの習慣」は一つの指針を
与えてくれます。

日々、脳の本能を磨き、感性を磨き、理解力を高め、達成率を上げ、
独創的な思考力を発揮し、空間認知能を高め、人間性を磨き、
コミュニケーション力を高めること。

「脳に悪い7つの習慣」は自分自身の指針としても、社員の指針としても
活用できると思います。


それが、気質、体質、体格の変革の基礎になるのではないでしょうか。

> 自由と繁栄の道を選ぶとすれば、この国の気質(価値観)と体質
> (行為基準)と体格(社会構造)の三つを抜本的に変えねばならない。
>        (堺屋太一著「凄い時代 勝負は2011年」より)


「脳に悪い7つの習慣」については、次回以降、もう少し話を続け
ようと思います。



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