ニッチを切り開く
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第230号 2010/08/22 『ニッチを切り開く』
▼ まえがき:ニッチの語義
▼ [行動指針] (1)島泰三著「親指はなぜ太いのか」
▼ [行動指針] (2)初期人類は肉食獣の捨てた骨を主食にしていた
▼ [行動指針] (3)地球規模での植生の大きな変化
▼ [行動指針] (4)残されるにはわけがある
▼ [行動指針] (5)ニッチを切り開く
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まえがき:ニッチの語義
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株式会社慶の蒲生嘉達です。
「ニッチ」という言葉は、通常は「隙間」という意味で使われます。
しかし、生物学で使われる「ニッチ」とは「生態系における位置」という
概念であり、「隙間」とか「狭い」とかという意味はありません。
ニッチの語義の詳細は、下記のブログ記事を参照してください。
[新航海術の補足ブログ]
ニッチ概念と島泰三著「親指はなぜ太いのか」
http://www.gamou.jp/comment/2010/08/post-12da.html
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[行動指針] (1)島泰三著「親指はなぜ太いのか」
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最近、島泰三著「親指はなぜ太いのか─直立二足歩行の起原に迫る」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4121017099/keiitteanifty-22
を読みました。
内容を大雑把に要約すると次のようになります。
前半では、原猿類から類人猿にいたるまで、島泰三氏の「口と手連合仮説」
(主食は霊長類の手(指)と口(歯)の形を決定する)が成り立つことを
論証しています。
もしも「口と手連合仮説」が正しいなら、形は知られているが生態が
わからないサルの主食を推理できることになります。
そして、後半では、形は知られているが生態がわからないサル
(=初期人類)の口と手から、彼らの主食を推理しています。
初期人類は次のような特別な口と手を持っています。
・歯列の表面が平ら
・臼歯のエナメル質が厚い
・すり潰しシステムのある頑丈なあご
・しっかり握りしめられる手
彼らの主食は何だったのか、と。
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[行動指針] (2)初期人類は肉食獣の捨てた骨を主食にしていた
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島泰三氏は、狩猟・肉食仮説、種子食仮説、堅果食仮説、植物食仮説、
小動物・根菜類仮説(掘り棒仮説)、スカベンジャー(残肉処理者)仮説、
と検証していき、最後にボーン・ハンティング(骨猟)仮説にたどり
つきます。
初期人類は肉食獣の捨てた骨を主食にしていた(骨についた肉ではなく、
骨そのものを石で砕いて食べていた)というのです。
ボーン・ハンティング(骨猟)仮説は過去にB.E.ポルシェネフが主張し、
その後まったく顧みられませんでしたが、「口と手連合仮説」によって、
説得力のある仮説となりました。
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[行動指針] (3)地球規模での植生の大きな変化
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地球全体が乾燥化し、草原が広がっていったときに、初期人類が
誕生したことはよく知られています。
> 人類はこの森林を草原に変えた地球規模での植生の大きな変化に対応して、
> そこで新しい主食を開発し、新しいニッチを切り開いた類人猿だった
> (島泰三著「親指はなぜ太いのか」より)
さて、本メルマガの主な読者は、中小ソフト会社の経営者、管理職、
技術者です。
そのようなメルマガで、初期人類の主食の話をした理由は、
初期人類の姿が現在の中小ソフト会社と重なって見えたからです。
地球規模での植生の大きな変化があり、そこで新しい主食を開発し、
新しいニッチを切り開く必要があるという意味で・・・。
ソフト業界の植生の大きな変化については、第227号から第229号を
参照してください。
第227号:クラウドが技術者に与える影響
[Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2010/03/post-7560.html
[HP版] http://www.kei-it.com/sailing/227-100319.html
第228号:プライベートクラウド vs. パブリッククラウド
[Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2010/05/vs-1cd4.html
[HP版] http://www.kei-it.com/sailing/228-100505.html
第229号:日本のソフト会社は今後5年で半減する(?)
[Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2010/07/5-2083.html
[HP版] http://www.kei-it.com/sailing/229-100704.html
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[行動指針] (4)残されるにはわけがある
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「骨には十分な栄養がある。それもなまじの肉よりもはるかに優れた
食材なのである」と島泰三氏は述べています。
それでは、なぜ、他の動物は骨を食べないのでしょうか?
堅過ぎるからです。
初期人類はそれを石で砕いて食べられるようにしました。
> 直立姿勢は両手を自由にし、それをあたかも第二のあごとする。
> こうして新しい食物採食様式とニッチを開くのである
> (島泰三著「親指はなぜ太いのか」より)
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[行動指針] (5)ニッチを切り開く
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ニッチを切り開くことはけっして容易なことではありません。
しかし、植生が変化していく中で、我々はニッチを開拓していかな
ければなりません。
> 誰も使わないニッチに初期人類が足を踏み入れたのだから、
> 成功は保証されていたといってよい。
> サルたちは、彼らをとりまく生態系のなかから他の種が利用して
> いない物を取り上げて、それを自分たちの主な食物としたとき、
> 新しい種として生態系のなかで安定した地位を得ることができる。
> それがニッチである。
> (島泰三著「親指はなぜ太いのか」より)
慶でいうなら、農家.comのニッチ、常駐・請負ビジネスでのニッチ、
そして、現在企画している医療系クラウドサービスのニッチを
切り開かなければなりません。
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