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August 2006

August 28, 2006

グーグルの検索やアマゾンの推薦は中立か?

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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第142号 2006/8/28
▼ まえがき
▼ [グーグルの衝撃] オプティミズムに支えられたビジョン
▼ [グーグルの衝撃] 「ウェブ進化論」だけ読んだら誤解する
▼ [グーグルの衝撃] 電子メールに広告を忍ばせる
▼ [グーグルの衝撃] 実は金を出した出版社の利益を守っていた
▼ [グーグルの衝撃] グーグル八分
▼ [グーグルの衝撃] 誰が本当にコントロールしているのか
▼ 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

第138号から「グーグルの衝撃」シリーズを開始しています。

このシリーズではIT業界の現在と未来について考えます。

「グーグルの衝撃」シリーズを最初から読みたい方は、
「バックナンバー グーグルの衝撃」
( http://www.kei-it.com/sailing/back_google.html )を参照して
ください。

または、ブログ( http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/ )の
左列にあるCategories「グーグルの衝撃」をクリックして
ください。

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[グーグルの衝撃] オプティミズムに支えられたビジョン
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> シリコンバレーにあって日本にないもの。それは、若い世代の創造性
> や果敢な行動を刺激する「オプティミズムに支えられたビジョン」
> である。
>
>          (梅田望夫著「ウェブ進化論」より)


「ウェブ進化論」は、日本もシリコンバレーのように「オプティミズム
に支えられたビジョン」を持って欲しいという、梅田望夫氏の願いが
込められている本です。

したがって、IT革命に懐疑的な議論(注)はあえて無視して、グーグル
やアマゾンの輝かしい部分のみが書かれています。

暗い面は書かず、肯定的な面のみを描いたことによって、「ウェブ
進化論」は、分かりやすく、読みやすい本となっています。


(注)IT革命に懐疑的な議論の例:
 ・なぜITは社会を変えないのか
  (ジョン・シーリー ブラウン, ポール ドゥグッド著)
 ・ITにお金を使うのは、もうおやめなさい
  (ニコラス・G・カー著)
 ・日本経済「暗黙」の共謀者
  (森永卓郎著)

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[グーグルの衝撃] 「ウェブ進化論」だけ読んだら誤解する
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上記(注)で示したような本を読んで理解した人が「ウェブ進化論」を
読んだ場合、単に「シリコンバレーの最新情報」として読むでしょう。
あるいは、IT革命に懐疑的な本と「ウェブ進化論」での主張とを比較
しながら、バランスの取れた読み方をするでしょう。

しかし、IT革命論に批判的な議論を聞いたことがない人が「ウェブ
進化論」だけを読んだら、誤解する点も多いと思います。
なにしろグーグルやアマゾンの輝かしい面しか書かれていないの
ですから・・・。


例えば、彼らは次のように考えるでしょう。

「グーグルの検索もアマゾンの推薦(リコメンデーション)も、
中立で公平で清潔で、我々の味方である。」

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[グーグルの衝撃] 電子メールに広告を忍ばせる
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「ウェブ進化論」ではグーグルもアマゾンも(特にグーグルは)、
テクノロジー志向の会社として描かれています。

そして、テクノロジー志向が強く人間の介在を嫌う会社だからこそ
中立で公平で清潔なサービスを提供できるのだという書き方がされて
います。

例えば、グーグルは「個々人の電子メールの内容を自動的に判断し、
最適な広告へのリンクを電子メールに忍ばせる」というビジネスを
構想しているそうです。
これについて、梅田望夫氏は、「グーグルがやれば人間が介在
しないからプライバシー侵害の危険はない」というグーグルの
考え方を代弁しています。

> 「迷惑メールの除去やウィルスの駆除のために、電子メールの
> 内容をその判断材料に使うのは現代の常識です。これまで
> それを誰も問題にしなかったでしょう。電子メールへの広告挿入
> にも同じような技術を使います。作業は全部コンピュータが
> 自動的にやるんです。そのプロセスに人間は関与させません。
> 悪いことをするのは人間でコンピュータではありません。
> 人間はこのプロセスから遠ざけます。このルールはがっちり守ります。
> だからプライバシー侵害の危険はないのです」
> こんな全く独特の思考回路で、個人の電子メールというプライベート
> 空間までを広告事業の対象にできないかと、グーグルは発想するの
> である。
>             (梅田望夫著「ウェブ進化論」より)

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[グーグルの衝撃] 実は金を出した出版社の利益を守っていた
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しかし、グーグルの検索やアマゾンの推薦は本当に中立なのでしょうか?

例えば、アマゾンは過去に書評記事を広告として売買していたことが
あります。

(1)
> 2月8日『ニューヨーク・タイムズ』の記事は,新たなる不信感と幻滅の
> 始まりとなったかもしれない。書評記事が広告として売買されていた
> のである。
> アマゾン・パッケージという書籍広告の仕組みでは,出版社は最大
> 12500ドルを支払うと,分野別に紹介したトップページにタイトルを
> 載せることができる。

( http://www.tdupress.jp/network/network_606.html )

(2)
> オンライン小売り大手のAmazon社は、顧客向けの電子メールで書籍を
> 推薦する代わりに、その料金を出版社に負担させるという計画を始め
> ようとしている。Amazon社はこれを出版社に提供するサービスとして
> 位置づけており、これにより出版社は書籍をAmazon社のWWWサイトで
> より目立つように掲載することが可能となる。

( http://bizns.nikkeibp.co.jp/cgi-bin/search/wcs-bun.cgi?ID=122953&FORM=biztechnews )


両方とも古い記事です。((1)は1999年、(2)は2001年)

今はどうなっているかは分かりません。

当たり前のこととしてやられているのか、分からないようにやって
いるのか、「これは広告です」と明示してやっているのか、それとも
批判を受けたので止めたのか・・・。


もしも今でもやっているなら、アマゾンの推薦は、消費者の便宜を
図っているかのように見せて実は金を出した出版社の利益を守って
いるということです。

今やっていないとしても、批判を受けなければ続けていたでしょう。
あるいは将来、多少批判されても広告収入の方が重要だとアマゾンの
経営者が判断すれば、再開するでしょう。

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[グーグルの衝撃] グーグル八分
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グーグル八分とは、グーグルが特定のウェブサイトをグーグルの
検索用インデックスから削除し、グーグルの検索で表示されなく
することです。

グーグルがウェブサイトをグーグル八分にする基準は公開されて
いません。

ある日突然検索しても出てこなくなり、初めてグーグル八分にされた
ことが分かるのです。

通常グーグル八分は検索する国の法律に従って行われますが、その
国の法律に反するか否かはグーグルが判断します。
また、米国内の法律によって違法と判断されたサイトは全世界で
表示されません。
さらに、中国のグーグルでは、同国政府側からの要請により、
同政府に反する記事を検索しても一切表示されません。

ウェブサイトの来訪者は、通常、検索エンジン経由でたどり着きます。
したがって、検索エンジンで表示されないということは、事実上
インターネット上で存在しないということに近くなります。

この「抹殺」が、グーグルという一米国企業の判断に委ねられて
いるのです。
そして背後には米国人の世界観・倫理観があり、(米国法に準拠する
という意味で)米国政府の意図も入ってきます。
さらに、グーグルは中国政府から圧力を受ければ中国政府の便宜まで
図ってしまうのです。

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[グーグルの衝撃] 誰が本当にコントロールしているのか
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上記「電子メールに広告を忍ばせる」の節で、「ウェブ進化論」の
下記の言葉を引用しました。

> 悪いことをするのは人間でコンピュータではありません。
> 人間はこのプロセスから遠ざけます。このルールはがっちり守ります。


しかし、アマゾンの推薦もグーグルの検索も、コントロールしている
のは、コンピュータだけではありません。
陰でコントロールしているのは、グーグルやアマゾンのごく少数の
経営者であり(彼らが独善的判断を下さない保証はありません)、
スポンサー企業であり、米国政府であり、さらに中国政府も関与して
いるのです。


> われわれは誰でもエージェントを利用できるかもしれないが、そのうち
> どれだけの人間が、自分の嗜好の組み合わせを積極的に導き出すための
> 複雑な計算処理に組み込まれているバイアス(偏り)を理解できる
> だろうか。
> 自分のエージェントは中立なのか、バイアスがかけられているのか、
> あるいは単に操作が偏っているだけなのかといったことを確認する必要
> がある。
> 誰がそのエージェントを本当にコントロールしているのか、それは自分
> なのか、設計者それとも情報提供者なのか。
>
>          (「なぜITは社会を変えないのか」より)

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次回以降の予告
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次号以降では次のようなテーマを取りげていきます。

グーグルの衝撃シリーズ:
・ロングテール論の誤解
・ウェブサービス時代のソフトウェア会社のあり方

ゴーイング・コンサーンシリーズ:
・会社は継続しなくてもよいという考え方もある。
・メリーチョコレートを支えている人事制度。
・IPOとゴーイング・コンサーン

財務系
・資産と費用

法務系:
・コンプライアンス
・執行役の裁量の範囲と取締役会の決定権

労務系:
・裁量労働制

営業系:
・売れる営業マン


次号は、9月4日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、
目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は2006年8月27日現在、535名です。


本メルマガの内容に興味を持つであろう方をご存知なら、是非
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August 21, 2006

ウェブサービスの世界

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第141号 2006/8/21
▼ まえがき
▼ [グーグルの衝撃] ネットは本質的にビジネスに向いていない(?)
▼ [グーグルの衝撃] ブライアン・アーサーの技術革命史観
▼ [グーグルの衝撃] I(情報)インフラの構築で革命的変化が起きる
▼ [グーグルの衝撃] そこは大多数の人々は、儲からない世界
▼ [グーグルの衝撃] 「あちら側」は帝国主義の世界
▼ [グーグルの衝撃] 容易に模倣できない独自の差異性を
▼ 次回以降の予告
▼ メールマガジン「Don't think. Just feel.」の紹介


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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

第138号から「グーグルの衝撃」シリーズを開始しています。

このシリーズではIT業界の現在と未来について考えます。

「グーグルの衝撃」シリーズを最初から読みたい方は、
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[グーグルの衝撃] ネットは本質的にビジネスに向いていない(?)
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第138号で紹介したとおり、森永卓郎氏はIT革命論を「単なる幻想」
さらには「暗黙の共謀者による詐欺」だったとさえ言っています。

 第138号「IT革命論は、ほとんど詐欺に近いものだった」
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/07/1990it_4944.html
 http://www.kei-it.com/sailing/138-060731.html
 

森永卓郎氏に言わせれば、インターネットは本質的にビジネスに向い
ていないのです。

> インターネットは情報を瞬時に世界中に広げるシステムだから、
> 経済学の教科書に書いてある完全競争の世界に近いことがそのなか
> では起こることになる。
> そして完全競争の世界とは利益がゼロになる世界だということは、
> すでに教科書のなかに書いてあるのである。
>
>      (森永卓郎著「日本経済「暗黙」の共謀者」より)

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[グーグルの衝撃] ブライアン・アーサーの技術革命史観
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一方、梅田望夫氏は「ウェブ進化論」で徹底したIT革命論を展開して
います。

そしてその背後にはブライアン・アーサーの技術革命史観があります。

「ウェブ進化論」によれば、ブライアン・アーサーの技術革命史観は
次のようなものです。

 ○人類は過去に次の4つの革命を経験している。
  ・産業革命(1780年~1830年) 発祥地:英国
  ・鉄道革命(1830年~1880年) 発祥地:英国
  ・重工業分野での革命(19世紀後半)  発祥地:ドイツ
  ・製造業革命(1913年~1970年) 発祥地:米国

 ○1960年代から米国を発祥地として情報革命が始まり、現在も
  続いている。

そして、ブライアン・アーサーは、次のように予言しています。
 ・21世紀の最初の20~30年間に経済に深い変質が起こる。
  (これが「大規模な構築ステージ」)
 ・我々が想像したこともなかったような完全に新しい産業が
  勃興する。
 ・長期的にみれば、これは産業革命よりももっと深く、もっと
  重要な転換である。


「ウェブ進化論」に「目先のことではなく、20~30年間続く革命の
話をしているんだ」という壮大さを与えているものは、このブライ
アン・アーサーの理論です。


私はブライアン・アーサーの著作は読んでいないので、深くは
論じられません。
ここでは、ブライアン・アーサーの理論には、批判的な意見もある
ことのみ指摘しておきましょう。

> 1990年代の後半、ナスダックの株価が青天井に上昇していた頃、
> 「ニューエコノミー」という言葉が流行った。複雑系の経済学の
> パイオニア、ブライアン・アーサーによれば、オールドエコノミーが
> 収穫逓減の法則に基づいていたのに対して、ニューエコノミーは、
> 収穫逓増の法則に基づいているので、無制約的な成長が可能という
> ことになる。このバブルを煽った理論は、どこが間違っていたのか。
>
> ( http://www.nagaitosiya.com/a/new_economy.html )

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[グーグルの衝撃] I(情報)インフラの構築で革命的変化が起きる
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梅田望夫氏は、ブライアン・アーサーの言う「大規模な構築ステージ」
とは「 I(情報)インフラの構築によって、情報そのものに関する革命的
変化が起きることだ」と説きます。


> アーサーが言う10年・20年単位での「大規模な構築ステージ」を、
> 90年代には誰もが「情報スーパーハイウェイ」つまり「物理的な
> ITインフラ」の構築なのだと考えていた。
> しかし実際に21世紀に入ってみて明らかになったのは、「大規模な
> 構築ステージ」で作られるのは、実はITインフラではなく、 I(情報)
> インフラで、それによって「情報そのものに関する革命的変化」が
> 起ころうとしているということである。
> Iインフラの本質は、インターネットの「あちら側」に作られる情
> 報発電所ともいうべき設備だったのだ。
>
>           (梅田望夫氏「ウェブ進化論」より)

インターネットの「あちら側」で、I(情報)インフラが作られて、
それが社会に大きな影響を与えていくという見方には、私も賛同
します。

また、Iインフラ側からウェブサービスのAPIが提供されることに
よって、「ネット・サービスのかなりのところまでを、一人または
数人のチームでどんどん作っていくことができるようになった」
( 梅田望夫氏のブログhttp://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20050309/p1
より)ということも事実でしょう。


しかし、本メルマガでは、ウェブ進化論に書かれていないことを
指摘します。

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[グーグルの衝撃] そこは大多数の人々は、儲からない世界
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Iインフラ側からウェブサービスAPIが提供されて、システム構築が
容易になる世界、一人または数人のチームでどんどん作っていくこと
ができるようになる世界とは、どのような世界でしょうか?


たとえば、第140号で取り上げたアマゾン・ウェブサービスやecosecの
世界とは、商品情報も物流・決済システムも標準化された世界です。

 第140号「アマゾン・ウェブサービスとecosec」:
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/08/ecosec_dcc3.html
 http://www.kei-it.com/sailing/140-060814.html 

アマゾン・ウェブサービスやecosecの加盟店の全員が同じ土俵に上がって、
アマゾンやドンキホーテの商品を売るための独自サービス開発競争を
させられる世界なのです。

確かに、そこでは規模は必要ありません。
これは金のない起業家にとっては朗報でしょう。

しかし、そこは大多数の人々は、儲からない世界です。

私は「2010年のシステム開発 第3章(試読版)」
( http://www.kei-it.com/sailing/pdf/2010-shidoku-2.pdf )で、
「『素材では差別化を否定しながら、結果は差別化しなければならない』
という根本的な難しさがオープンシステムには存在する」と述べました。

そのオープンシステムの厳しさが極限にまで追求されるのが、
ウェブサービスの世界なのです。

冒頭に紹介した森永卓郎説「インターネットは完全競争だから
本質的にビジネスに向いていない」の世界です。
現在アフェリエイトで普通の人々が儲けられる金額は、どんなに
頑張ってもせいぜい月に数万円程度だということを考えれば、普通の
人がアマズレットをやっても儲けはたかが知れていることは明らかです。

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[グーグルの衝撃] 「あちら側」は帝国主義の世界
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一方、Iインフラ提供側(梅田望夫氏の言う「あちら側」)から見ると
どうでしょうか?

ウェブサービスの世界は、その土俵に上がる人々が成功しようが失敗
しようが、確実にマージンを徴収できる世界です。
アマゾン・ウェブサービスでは売り上げの15%が徴収されます。
その利益率はアマゾン本体よりも高いそうです。

しかし、彼らもけっして楽ではありません。
「あちら側」は徹底して規模の経済が支配する世界だからです。

規模を求めて、熾烈な覇権競争が繰り広げられる帝国主義的な世界
なのです。

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[グーグルの衝撃] 容易に模倣できない独自の差異性を
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再び、ウェブサービスの利用者の立場に戻ってみましょう。

標準化された世界でも優れたアイデアを持つ参加者なら、儲けられる
可能性はあります。
しかし、長期的に利益を生むことは容易ではありません。
アイデアはすぐにマネされてしまうからです。

 関連記事:第85号「成功確率が低く、成功しても寿命が短い」
 http://www.kei-it.com/sailing/85-050725.html 
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2005/07/post_b7f3.html


その世界で利益を上げていくためには、他の会社が容易に模倣できない
独自の差異性を創造し維持し拡大していくしかありません。

それ故に、私は慶の経営理念は下記のとおりであるべきだと述べて
いるのです。

「市場を驚かす差異性をもった製品及びサービスを効率的かつ
迅速的に提供し続けること。
そのために、個々の事業部は自らのコア・コンピタンス
(中核的競争能力)を特定化し、そこに人的資産を集中的に
投入すること。」

 関連記事:経営理念
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/07/post_54a6.html
 http://www.kei-it.com/sailing/137-060724.html

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次回以降の予告
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次号以降では次のようなテーマを取りげていきます。

グーグルの衝撃シリーズ:
・グーグルの「検索」やアマゾン「推薦」は中立ではない。
・ウェブサービス時代のソフトウェア会社のあり方

ゴーイング・コンサーンシリーズ:
・会社は継続しなくてもよいという考え方もある。
・メリーチョコレートを支えている人事制度。
・IPOとゴーイング・コンサーン

財務系
・資産と費用

法務系:
・コンプライアンス
・執行役の裁量の範囲と取締役会の決定権

労務系:
・裁量労働制

営業系:
・売れる営業マン


次号は、8月28日発行予定です。

乞うご期待!!


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創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
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目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
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第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
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August 14, 2006

アマゾン・ウェブサービスとecosec

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第140号 2006/8/14
▼ まえがき
▼ [グーグルの衝撃] アマゾンのWeb2.0化
▼ [グーグルの衝撃] ecosec(エコセック)
▼ [グーグルの衝撃] なぜアマズレットは日本で普及しないのか?
▼ 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

第138号から「グーグルの衝撃」シリーズを開始しています。

このシリーズではIT業界の現在と未来について考えます。

「グーグルの衝撃」シリーズを最初から読みたい方は、
「バックナンバー グーグルの衝撃」
( http://www.kei-it.com/sailing/back_google.html )を参照して
ください。

または、ブログ( http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/ )の
左列にあるCategories「グーグルの衝撃」をクリックして
ください。

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[グーグルの衝撃] アマゾンのWeb2.0化
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梅田望夫氏は「ウェブ進化論」で、Web2.0の代表例としてアマゾン・
ウェブサービスを挙げています。

アマゾン・ウェブサービスはアマゾンが取り扱っている厖大な商品
データを自由に利用できるウェブサービスです。

小売り業者やネット事業を始めてみたい開発者たちは、このウェブ
サービスを利用してアマゾンの商品データベースにアクセスし、自ら
のサイトでアマゾンの商品を自由に売ることができます。
また、アマゾンの物流システムや決済システムも自由に利用できます。

そのようにしてできたショピング・サイトをアマズレット(amazlet)
と呼びます。

アマゾンはアマズレットから売り上げの15%を手数料として徴収します。


> 自社の生命線たる商品データベースを公開することで、アマゾンは
> ネット小売り業者から、eコマースのプラットフォーム企業へ、
> テクノロジー企業へと変貌を遂げたのである。
> これがアマゾンの Web2.0 化である。
>           (梅田望夫氏「ウェブ進化論」より)

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[グーグルの衝撃] ecosec(エコセック)
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日本にはアマゾン・ウェブサービスに似たサービスは存在しないの
でしょうか?

たとえば楽天では、販売店が独自に商品を仕入れ、在庫を抱え、
商品の発送をし、代金の回収もしなければなりません。

商品情報から物流・決済までアマゾンに依存し、自らはユーザ向け
サービスの開発に専念できるアマズレットとは根本的に違います。

日本でアマゾン・ウェブサービスに似ているものを強いて挙げると
すれば、ecosec(エコセック)でしょう。
ecosecはドンキホーテの子会社であるドンキコムが提供している
ショッピングモールです。
( http://www.ecosec.jp/ 参照)

ecosecは、加盟店にドンキホーテが取り扱っている膨大な種類の
商品を安価で提供しています。
また、物流システム、決済システムも提供しています。

ドンキホーテがecosecに提供している商品数は数万点にものぼり、
その多様性はアマゾンよりも上かもしれません。

しかし、ecosecは今年2月に加盟店の一般募集を開始したばかりで、
まだ実際の店舗を見ることはできませんし、実態はよく分かりません。

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[グーグルの衝撃] なぜアマズレットは日本で普及しないのか?
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梅田望夫著「ウェブ進化論」では、「日本でもアマズレットのような
サイトを自由に誰もが作ることができる」と書かれていますが、
ほとんど普及していません。

これは何故でしょうか?

私は、アマゾン・ウェブサービスもecosecも利用したことがないので、
以下は憶測です。

アマゾン・ウェブサービスはプログラミング指向が強く、プログラマに
とっては強力なツールを提供する反面、素人には敷居が高いのではない
でしょうか?

一方、ecosecは、楽天に対抗するために素人でもできる「らくらく設定」
指向で行くでしょうから、普及するかもしれません。

もっとも、あまりにも「らくらく設定」にしてしまうと、ウェブサービス
が本来持つ柔軟性、創造性を排除することになり、単なるASPサービス、
あるいはアフェリエイトに近づいてしまうかもしれません。


さて、アマゾン・ウェブサービスやecosecが普及することによって、
経済、社会、そして、ソフトウェア会社やソフトウェア技術者が
どのように変わっていくのでしょうか?


結論を出す前に、もう少し考えてみましょう。

次回は、いよいよ「検索」について考えてみます。

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次回以降の予告
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次号以降では次のようなテーマを取りげていきます。

グーグルの衝撃シリーズ:

・「検索」とは
・2000年のITバブル崩壊と日本のITベンチャー
・日本のITベンチャーとマネーゲーム
・2000年までのIT革命で社会が変わらなかった理由。

ゴーイング・コンサーンシリーズ:
・会社は継続しなくてもよいという考え方もある。
・メリーチョコレートを支えている人事制度。
・IPOとゴーイング・コンサーン

技術系:
・メーカからの請負、エンドユーザからの請負
 (品質管理、検収、瑕疵担保責任の違い)
・オブジェクト指向再論
・PMBOK
・SEO対策

外国系:
・中国は脅威か?

財務系
・資産と費用

経営系:
・壊れ窓の理論

法務系:
・コンプライアンス
・執行役の裁量の範囲と取締役会の決定権

労務系:
・雇用契約、裁量労働制、個人事業主
・景気回復、新卒の採用難、2007年問題

営業系:
・売れる営業マン


次号は、8月21日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、
目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
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August 07, 2006

ITの発展が資本主義の変化をもたらしたのではない

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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第139号 2006/8/07
▼ まえがき
▼ [グーグルの衝撃] ITバブルはソフト会社にとっては別世界の話
▼ [グーグルの衝撃] ITベンチャーは異業種の新興企業
▼ [グーグルの衝撃] ITバブルの発生と崩壊
▼ [グーグルの衝撃] ITが資本主義を変化させたのではない
▼ [グーグルの衝撃] WEB2.0バブル(?)
▼ 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

第138号から「グーグルの衝撃」シリーズを開始しています。

このシリーズではIT業界の現在と未来について考えます。

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[グーグルの衝撃] ITバブルはソフト会社にとっては別世界の話
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第138号では、1990年代後半からITバブル崩壊までを概観しました。

第138号の前半の短納期化・低価格化の話は、ソフトウェア技術者や
ソフトウェア会社にとって、今現在でも進行している切実な問題です。

しかし、後半のITバブルの話は、ソフトウェア技術者やソフトウェア
会社経営者にとっては、いまひとつ実感が沸かない話だったのでは
ないでしょうか?

一般のソフトウェア技術者やソフトウェア会社にとって、1990年代
終盤から2000年にかけてのITバブルの発生と崩壊は、自分とは直接
関係のない別世界のできごとでした。

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[グーグルの衝撃] ITベンチャーは異業種の新興企業
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1999年から2000年にかけて株式公開した主なITベンチャーを10社
挙げてみました。

・グローバルメディアオンライン(旧インターキュー)
・光通信
・サイバー・ミュージックエンタテイメント
 (旧リキッドオーディオジャパン)
・インターネット総合研究所
・クレイフィッシュ
・サイバーエージェント
・ライブドア(旧オン・ザ・エッヂ)
・楽天
・サイボウズ
・まぐクリック

この中でソフトウェア会社と言えるのは、サイボウズだけです。
それ以外の会社は、IT関連とは言ってもソフトウェア会社ではあり
ません。

1990年代終盤に登場したITベンチャーは、一般のソフトウェア会社
にとっては、単なる異業種の新興企業だったのです。

ITベンチャーが構想したことも、実際に行った事業も、一般のソフト
ウェア会社の受託開発や業務請負のビジネスには全く影響を与えません
でした。
ITベンチャーが新たな顧客になったり、そのITベンチャーが倒産して
貸し倒れ損失が発生したりすること以外は・・・。

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[グーグルの衝撃] ITバブルの発生と崩壊
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ドットコム企業に対する過剰な期待と、「ITが社会を変える」という
IT革命論によって、ITバブルは発生し、そしてバブル故に崩壊しました。

米国では多くのIT関連ベンチャーは倒産に追い込まれ、2002年の米国の
IT関連失業者数は56万人に達しました。

日本でも上で例示したようなITベンチャーの大半が、業績、株価
ともに低迷していました。

しかし、このITバブルの発生と崩壊によって、日本のソフトウェア
技術者やソフトウェア会社が影響を受けることはありませんでした。

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[グーグルの衝撃] ITが資本主義を変化させたのではない
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それでは、IT革命とは何だったのでしょうか?

岩井克人氏は「会社はこれからどうなるのか」で「IT革命もグローバル
化も金融革命も、それぞれが独立した現象ではなく、まさにポスト
産業資本主義の三つの現れ方にすぎない」と説いています。

> つい最近までIT革命の「革命性」を熱っぽく説いていた論者の
> 多くは、一種の技術史観にとらわれているのです。
> かれらは、情報技術(IT)の進歩のあまりの急激さと広範さに目を
> 奪われてしまい、情報技術の進歩によって資本主義の変化が引き起
> こされていると考えています。
> だが、このような考え方は、原因と結果を取り違えているのです。
>  ・・・(中略)・・・
> 情報技術の発展が資本主義の変化をもたらしたのではないのです。
> 逆です。資本主義のポスト産業資本主義化が、情報技術の発展を
> うながしているのです。


私はこの見方は正しいと思います。

ポスト産業資本主義化の結果として発生している、標準化・短納期化・
低価格化の強烈な流れは、ソフトウェア技術者の仕事を根本的に変えて
しまいましたし、今でも変え続けています。

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[グーグルの衝撃] WEB2.0バブル(?)
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ところが、グーグルの登場によって、最近再びIT革命論が復活して
きました。

梅田望夫氏によれば、グーグルは「ITの進歩によってはじめて可能
となる新しい仕組みを是とし、人間の側こそがそれに適応していく
べき」という視点で世界を眺め、その視点で世界を作り直そうと
しているそうです。

しかも、(前回のITバブルと違い)ソフトウェア技術者の仕事も
ソフトウェア会社のあり方も大きく変えていくと主張しています。

これらの主張について、次号以降で考察します。

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次回以降の予告
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次号以降では次のようなテーマを取りげていきます。

グーグルの衝撃シリーズ:

・2000年のITバブル崩壊と日本のITベンチャー
・日本のITベンチャーとマネーゲーム
・2000年までのIT革命で社会が変わらなかった理由。
・梅田望夫氏が「ウェブ進化論」で「本当の大変化はこれから
 始まる」と言っている理由。
・日本でのeコマースのプラットフォーム企業の例

ゴーイング・コンサーンシリーズ:
・会社は継続しなくてもよいという考え方もある。
・メリーチョコレートを支えている人事制度。
・IPOとゴーイング・コンサーン

技術系:
・メーカからの請負、エンドユーザからの請負
 (品質管理、検収、瑕疵担保責任の違い)
・オブジェクト指向再論
・PMBOK
・SEO対策

外国系:
・中国は脅威か?

財務系
・資産と費用

経営系:
・壊れ窓の理論

法務系:
・コンプライアンス
・執行役の裁量の範囲と取締役会の決定権

労務系:
・雇用契約、裁量労働制、個人事業主
・景気回復、新卒の採用難、2007年問題

営業系:
・売れる営業マン


次号は、8月14日発行予定です。

乞うご期待!!

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目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
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ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
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