1990年代後半からITバブル崩壊まで
**************************************************************
_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
**************************************************************
第138号 2006/7/31
▼ まえがき
▼ [グーグルの衝撃] 1990年代後半はどのような時代だったのか?
▼ [グーグルの衝撃] 1990年代後半のIT革命ブーム
▼ [グーグルの衝撃] IT革命論は、ほとんど詐欺に近いものだった
▼ [グーグルの衝撃] 今後の展開
▼ 次回以降の予告
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
まえがき
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
蒲生嘉達(がもう よしさと)です。
今回から「グーグルの衝撃」シリーズを開始します。
このシリーズではIT業界の現在と未来について考えてみます。
今週号では、まず1990年代後半から現代までを俯瞰してみます。
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
[グーグルの衝撃] 1990年代後半はどのような時代だったのか?
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
1990年代後半はどのような時代だったのでしょうか?
これについては、私は「2010年のシステム開発」試読版「第3章
1990年代以降の激変」で詳細に論じています。
「2010年のシステム開発」については、
http://www.kei-it.com/sailing/2010.html を参照してください。
「2010年のシステム開発」試読版「第3章 1990年代以降の激変」は、
http://www.kei-it.com/sailing/pdf/2010-shidoku-2.pdf を参照
してください。
(ちなみに、「2010年のシステム開発」出版計画は進んでいません。
今回から開始する「グーグルの衝撃シリーズ」を第4章に入れることで
完成するかもしれません。)
「2010年のシステム開発 第3章 1990年代以降の激変」の内容は
次の2点に要約できます。
・経済のグローバル化が企業間の低価格化・短納期化競争を激化
させている。
その結果としてシステム開発予算が削減され、このことがシステム
開発会社に対する直接的な低価格化・短納期化圧力となっている。
・また、技術の標準化がシステム開発会社間の競争を促している。
これがシステム開発会社に対する間接的な低価格化・短納期化圧力
となっている。
1990年代後半はコンピュータメーカー、SI会社、ソフトウェア会社に
とって、また、他の業種にいる会社にとっても、低価格化・短納期化
競争が激化したつらい時代でした。
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
[グーグルの衝撃] 1990年代後半のIT革命ブーム
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
しかし、1990年後半は、「インターネットを利用した新しいビジネス
モデル」「IT革命」を標榜する新興ITベンチャーが次々と生まれた
時代でもありました。
それは米国から始まり、少し遅れて日本に波及しました。
そして、1990年の終盤には次のようにITベンチャーの一大公開ブームが
巻き起こったのです。
1999年6月 グローバルメディアオンライン(旧インターキュー)が
店頭公開
1999年9月 光通信が東証一部に昇格
1999年12月 サイバー・ミュージックエンタテイメント(旧リキッド
オーディオジャパン)がマザーズで公開
1999年12月 インターネット総合研究所がマザーズで公開
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
[グーグルの衝撃] IT革命論は、ほとんど詐欺に近いものだった
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
しかし、この「IT革命バブル」は、2000年春、米国でも日本でも崩壊
しました。
(「ネットバブルが崩壊した2000年」
http://www.mochioumeda.com/archive/nb/001204.html 参照。)
このネットバブルの崩壊によって、「IT革命は単なる幻想であった」
という見方が説得力を持つようになってきました。
> 2001年にはインターネットによる玩具販売で、将来的には世界最大の
> 「トイザらス」と並ぶとまで言われていた「eトイス」が経営破綻し、
> 最大手インターネット・スーパーの「ウェブ・バン」も破綻した。
> ・・・(中略)・・・
> もちろん日本でも、ITバブル崩壊後に、ITビジネスモデルは軒並み
> 破綻している。
> ・・・(中略)・・・
> しかしよく考えれてみればそれも当然のことだった。
> とてもビジネスにならないような浅はかなビジネスモデルが、単に
> 「IT」という言葉を被せるだけで、あたかも確実に成功するかの
> ような幻想がふりまかれていたのだから。
> いまから考えたら、IT革命論は、ほとんど詐欺に近いものだった
> IT革命論が残したもの、それはIT詐欺師たちの懐に貯まった莫大な
> キャッシュだけだったのかもしれない
>
> (森永卓郎著「年収300万円時代を生き抜く経済学」より)
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
[グーグルの衝撃] 今後の展開
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
グーグルの衝撃シリーズの今後の展開は次のように考えています。
・2000年のITバブル崩壊に伴い、日本のITベンチャーには「日銭稼ぎ
への回帰」が起きた。
・しかし、小泉政権の経済政策が一部のITベンチャーをマネーゲーム
に走らせた。その間、米国ではグーグルが台頭していた。
・2000年のITバブル崩壊後、IT革命に批判的な論者も増えたが、
ジョン・シーリー・ブラウンは1999年の段階で既に著作「なぜITは
社会を変えないのか」でIT革命論を批判していた。
・2000年までのIT革命で社会が変わらなかった理由。
そして、梅田望夫氏が「ウェブ進化論」で「本当の大変化はこれから
始まる」と言っている理由。
・インターネットが普及しても新聞が無くならないのは、インターネット
上の情報の玉石混交問題が解決されなかったから。
しかし、最近、新聞が無くなる可能性が出てきた。
これと関連して、ブログの重要性。
・日本でのeコマースのプラットフォーム企業の例
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
次回以降の予告
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
次号以降では次のようなテーマを取りげていきます。
ゴーイング・コンサーンシリーズ:
・会社は継続しなくてもよいという考え方もある。
・メリーチョコレートを支えている人事制度。
技術系:
・メーカからの請負、エンドユーザからの請負
(品質管理、検収、瑕疵担保責任の違い)
・オブジェクト指向再論
・PMBOK
・SEO対策
外国系:
・中国は脅威か?
財務系
・資産と費用
経営系:
・壊れ窓の理論
法務系:
・コンプライアンス
・執行役の裁量の範囲と取締役会の決定権
労務系:
・雇用契約、裁量労働制、個人事業主
・景気回復、新卒の採用難、2007年問題
営業系:
・売れる営業マン
次号は、8月7日発行予定です。
乞うご期待!!
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
本メルマガについて
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、
目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。
したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。
また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は2006年7月28日現在、520名です。
本メルマガの内容に興味を持つであろう方をご存知なら、是非
本メルマガの存在を教えてあげてください。
(以下をそのまま転送するだけです。)
---------------------------------------------------
【お勧めメルマガ ソフトウェア業界 新航海術】
⇒ http://www.mag2.com/m/0000136030.htm または
http://www.kei-it.com/sailing/
--------------------------------------------------
このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して
発行しています。配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000136030.htm
(但し、web@kei-ha.co.jp it@kei-it.com には直接配信しています。)
発行者Webサイト: http://www.kei-it.com/sailing/
(発行者Webサイトではバックナンバーの全文検索も可能です。)
バックナンバーはブログでも公開しています。
ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/
--------------------------------------------------