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June 2006

June 26, 2006

ゴーイング・コンサーン

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第133号 2006/6/26
▼ まえがき
▼ [永久運動の設計] 9割以上の会社が10年以内につぶれる
▼ [永久運動の設計] ゴーイング・コンサーン
▼ [永久運動の設計] 主力商品は交代し得る
▼ [永久運動の設計] 中央集権的に商品を開発することができない
▼ 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

今週号では、ゴーイング・コンサーン(継続企業の前提)について
解説します。

「永久運動の設計」シリーズに分類します。

「永久運動の設計」シリーズを最初から読みたい方は、
http://www.kei-it.com/sailing/back_forever.html を参照して
ください。

バックナンバーはブログでも公開しています。
ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/

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[永久運動の設計] 9割以上の会社が10年以内につぶれる
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9割以上の会社が10年以内につぶれるという話はよく聞きます。

「93.7%の会社は10年以内につぶれる」(岡本吏郎氏)
( http://www.nikkeibp.co.jp/style/bizinno/book/article20040309.shtml )

この数字は私の実感とも一致しています。

慶が有限会社として生まれたのは1998年、社員を雇うようになったのが
2000年、株式会社に組織変更したのが2001年です。

それから今までの間、周囲で多くの会社が立ち上がりました。

しかし、正確に数えたわけではありませんが、それらの約9割が既に
つぶれたか、休眠状態になったか、またはずっと実質的には個人事業の
ままです。

関連記事:第118号「アイデア系ベンチャーは打ち上げ花火」
( http://www.kei-it.com/sailing/118-060313.html または
http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/03/post_8ea4.html )

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[永久運動の設計] ゴーイング・コンサーン
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> さおだけ屋に限らず、企業というものは継続することが大前提に
> あって、会計用語ではそれをゴーイング・コンサーンという。
> そして、継続するためにはまず利益、なにがなんでも利益が
> なければはじまらない。
>
>   (山田 慎哉著「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」より)


多くの経営者は、ゴーイング・コンサーン(継続企業の前提)のために
起業したわけではありません。

自分の持っている技術や商品が「これはいける!可能性がある!」と
信じたからこそ起業したのでしょう。
あるいは、「○○で社会に貢献したい」というような理想に燃えて
起業したのかもしれません。

つまり、先に技術、商品、理想があり、企業の継続はその結果に過ぎ
なかったのです。
「起業した目的は『継続』です」などという経営者にはお目にかかった
ことがありません。

しかし、会社がある程度続き、ある程度の規模になると、逆に会社の
継続が目的となり、技術や商品は(そして理想ですら)、継続の
ための手段となります。

そして、それは自然なことなのです。

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[永久運動の設計] 主力商品は交代し得る
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長期継続が目的であり、技術、商品、理想はその手段であるという
ことはどのようなことを意味するのでしょうか?

まず、「主力商品は交代し得る」ということを意味します。

時代や環境の変化によって企業の主力商品が大きく変化することは、
昔からあることです。
30年間この道一筋という企業は皆無ではありませんが、長続きして
いる企業のほとんどが主力商品の交代を経験しています。

さらに、近年は、下記の理由によって主力商品の交代が加速されています。

・技術の短命化
・成功確率の低下

( 第85号「成功確率が低く、成功しても寿命が短い」
http://www.kei-it.com/sailing/85-050725.html または
http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2005/07/post_b7f3.html 参照)


システム請負開発の場合は、基本となるノウハウはあまり変わらず、
開発環境、実行環境、開発手法、開発言語が変わっていく感じですが、
パッケージ開発、WEBサービスとなると主力商品が目まぐるしく変わって
いきます。

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[永久運動の設計] 中央集権的に商品を開発することができない
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しかも、知的創造型産業では、主力商品の変化が激しいにもかかわらず、
中央集権的、計画的に商品を開発することはできません。

( 第85号「コアになるアイデアは個人からしか生まれない」
http://www.kei-it.com/sailing/85-050725.html または
http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2005/07/post_b7f3.html 参照)

したがって、下記の施策が必要となります。

・思い切った権限委譲を行う。
・新しい技術や分野への挑戦を促す仕組みを作る。


技術、商品、理想の側からではなく、会社の継続の側から考えることは
とりわけ、人事や組織について考えるときに役に立ちます。

それらについては、詳細は別の号でお話します。

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次回以降の予告
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次号以降では次のようなテーマを取りげていきます。

技術系:
・グーグルの衝撃
  本を読むこと、ネットで読むこと
  ITバブルは詐欺だった
  ポスト産業資本主義化はIT革命によって引き起こされたのではない
  グーグルの正体

・メーカからの請負、エンドユーザからの請負
 (品質管理、検収、瑕疵担保責任の違い)
・オブジェクト指向再論
・PMBOK
・SEO対策

外国系:
・中国は脅威か?

財務系
・資産と費用

経営系:
・壊れ窓の理論

法務系:
・コンプライアンス
・執行役の裁量の範囲と取締役会の決定権

労務系:
・雇用契約、裁量労働制、個人事業主
・景気回復、新卒の採用難、2007年問題

営業系:
・売れる営業マン


次号は、7月3日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
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目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
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彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
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June 19, 2006

オープンでもクローズドでも良い製品を生み出す環境は似ている

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第132号 2006/6/19
▼ まえがき
▼ [ブルックスの法則] オープンソースプロジェクトのリーダの資質
▼ [ブルックスの法則] オープンソースプロジェクトの実態
▼ [ブルックスの法則] 指揮命令権のないマネージャ
▼ [ブルックスの法則] 命令は良い製品を生み出さない
▼ 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

今週号では、「ブルックスの法則」シリーズで書ききれなかった
次の二つのことについて書きます。

・オープンソースプロジェクトの実態
・オープンソースプロジェクトのリーダとマイクロソフトのプログラム
 マネージャとが似ていること


「ブルックスの法則」シリーズに分類します。

「ブルックスの法則」シリーズを最初から読みたい方は、
http://www.kei-it.com/sailing/back_brooks.html を参照してください。

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[ブルックスの法則] オープンソースプロジェクトのリーダの資質
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エリック・レイモンド氏は「伽藍とバザール」の中でバザールプロ
ジェクト(オープンソースプロジェクトのこと)のコーディネータ
やリーダに必要な資質について、次のように書いています。
(「伽藍とバザール」http://cruel.org/freeware/cathedral.html 参照)


(1)コミュニティ形成を始めるときには、まずなによりも実現でき
 そうな見込みを示せなきゃならない。・・・(中略)・・・
 絶対不可欠なのが、開発者候補たちに、それが目に見える将来には
 なにか本当に使える代物に発展させられると説得できることだ。

(2)デザイン上の才覚に匹敵するほど――あるいはそれ以上――重要な
 ものがあると思う。バザールプロジェクトは、コーディネータや
 リーダの対人能力やコミュニケーション能力が優れていないとダメだ。

(3)絶対に必要なのは、その人物がほかの人たちのよいデザイン上の
 アイデアを認識できるということだ。

(4)バザールモデルが機能するためには、人を魅了する能力が少し
 くらいでもあると、きわめて役に立つのだ。


オープンソースプロジェクトというとオタクっぽいイメージがあり
ますが、それをうまく機能させるためには、コーディネータや
リーダの対人能力、コミュニケーション能力、さらには人間的魅力が
必要なのです。

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[ブルックスの法則] オープンソースプロジェクトの実態
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もちろん、一般のソフトウェア会社での請負開発やパッケージ開発
でも、プロジェクトマネージャ、リーダの対人能力、コミュニケー
ション能力は重要です。
しかし、彼らとプログラマとの関係は、上司と部下の関係です。
指示命令関係が最初から存在するのです。

一方、オープンソースプロジェクトのコーディネータやリーダは、
全く指示命令関係のないボランティアを使ってプロジェクトを進めます。

したがって、上記(1)のとおり、実現できそうな見込みを示し、説得
力のある説明ができなければ、プロジェクト自体が立ち上がりません。
また、上記(3)のとおり、ほかの人たちのアイデアを正しく評価し、
受け入れる能力は、プロジェクトを持続させるために必須なのです。


「ソースをオープンにしさえすれば、全世界を才能プールとして使える」
というようなことを書く学者もいます。
しかし、実際には、オープンソースプロジェクトで人を集めることは、
ソフトウェア会社の社内でプロジェクトメンバーを集めるよりも、
ある意味でもっと難しいことなのです。

> オープンソースの作業に使えるボランティアプログラマの才能の
> 量は限られており、それぞれのオープンソースプロジェクトは他の
> オープンソースプロジェクトとこの限られたプログラミングリソース
> をめぐって競っており、最も魅力的なプロジェクトだけが彼らに使える
> 以上のボランティア開発者を獲得するのだ。
>
> (ジョエル・スポルスキ著「ジュエル・オン・ソフトウェア」より)


優秀なコーディネータやリーダに率いられた魅力的なプロジェクトに
技術者が集中し、他の大部分のプロジェクトは技術者が不足している
というのがオープンソースプロジェクトの実態です。

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[ブルックスの法則] コンセンサスを得る以外には選択肢はなかった
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さて、下記の文章は誰が何について書いた文章でしょうか?

> もしこれらの人々の誰かが私の部下であったなら、製品はそんなに
> 良いものとはならなかっただろう。
> 彼らのあるものは上司にとやかく言うのはまずいと思うかもしれない。
> あるいは、私がうぬぼれや近視眼のために、私のやり方でやるように
> 断固として命令していたかもしれない。
> 実際にはコンセンサスを得る以外には私に選択肢はなかった。
> このような意思決定形式が、正しいことが行われるようにするための
> 最善の方法だった。


「オープンソースプロジェクトのリーダが、自分が率いたオープン
ソースプロジェクトについて書いた文章だ」と言っても誰も疑わない
でしょう。

しかし、実はこの文章は、マイクロソフトのプログラムマネージャ
経験者(ジョエル・スポルスキ氏)が自分が率いたExcel VBAの開発に
ついて書いた文章なのです。

ジョエル・スポルスキ氏によれば、マイクロソフトのプログラム
マネージャは他のソフトウェア会社にはない独特の概念だそうです。
「製品のデザインと仕様を所有するが、プログラマに対する指揮命令権は
持っていない」という不思議な存在なのです。

詳細は第125号を参照してください。
( http://www.kei-it.com/sailing/125-060501.html または 
http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/05/post_a4c0.html )

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[ブルックスの法則] 命令は良い製品を生み出さない
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一般には、オープンソース陣営とマイクロソフトは、正反対のアプ
ローチを採用していると思われています。

しかし、ジョエル・スポルスキ氏が描くマイクロソフトのプログラム
マネージャ像とエリック・レイモンド氏が描くオープンソースプ
ロジェクトのコーディネータ/リーダ像とは、非常に似ていることに
気づきます。

両者ともに、製品のデザインと仕様を所有しますが、プログラマに
対する指揮命令権は持っていません。

彼らのリーダーシップの源泉は、権力関係ではなく、共通の理解、
コンセンサス、納得なのです。

ジョエル・スポルスキ氏、エリック・レイモンド氏ともに、権力関係
によるリーダーシップは良い製品を生み出さないと主張しています。


オープンソースであろうとクローズドソースであろうと、知的創造物を
作り出すプロジェクトで成功するためには、同じような仕組みが必要だ
ということなのでしょう。

メンバーの自由な創造と、「共通の理解」がセットで存在すること。
そして、それを実現するために、冒頭の(1)~(4)で示したような、
対人能力やコミュニケーション能力に優れたリーダが存在すること。

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次回以降の予告
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次号以降では次のようなテーマを取りげていきます。

技術系:
・グーグルの衝撃(本を読むこと、ネットで読むこと)
・OSS(オープンソースを持ち上げる人々、オープンソースの実態)
・Linux台頭とSUN
・メーカからの請負、エンドユーザからの請負
 (品質管理、検収、瑕疵担保責任の違い)
・オブジェクト指向再論
・PMBOK
・SEO対策

外国系:
・中国は脅威か?

財務系
・資産と費用

経営系:
・壊れ窓の理論

法務系:
・コンプライアンス
・執行役の裁量の範囲と取締役会の決定権

労務系:
・雇用契約、裁量労働制、個人事業主
・景気回復、新卒の採用難、2007年問題

営業系:
・売れる営業マン


次号は、6月26日発行予定です。

乞うご期待!!

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創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
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June 12, 2006

取締役と執行役員

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第131号 2006/6/12
▼ まえがき
▼ [永久運動の設計] ほとんどの会社で取締役会は機能していない
▼ [永久運動の設計] 業務執行取締役
▼ [永久運動の設計] 執行役員
▼ [永久運動の設計] ライブドアには業務執行取締役は存在しない
▼ [永久運動の設計] ライブドアでは取締役会は機能していなかった
▼ [永久運動の設計] 関連するバックナンバー
▼ 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

今週号では、取締役と取締役会について解説します。

「永久運動の設計」シリーズに分類します。

「永久運動の設計」シリーズを最初から読みたい方は、
http://www.kei-it.com/sailing/back_forever.html を参照してください。

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[永久運動の設計] ほとんどの会社で取締役会は機能していない
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取締役会の機能は下記の二つです。

(1)監督機能:執行機関(代表取締役)を監督する。

(2)決定機能:会社の重要事項を決定する。
 尚、法律で定められている取締役会の主な専決事項は次の4つです。

 ・重要な財産の処分、譲り受け
 ・多額の借財
 ・重要な使用人の選任、解任
 ・重要な組織の設置、変更、廃止


しかし、大企業でも中小企業でも、取締役会が、執行機関(代表取締役・
業務執行取締役・執行役員)とは独立した立場で、上記機能を発揮する
ことは、ほとんどありません。
これは日本だけではなく欧米でも同様です。


> 経営者側の提案する議案の何もかもが、従順な取締役たちによって
> 当たり前のごとく承認される。
> 劇的な倒産を招いたエンロンの経営者たちが突出した事例である。
> 伝統ある有名企業ゼネラル・エレクトリックもまた御多分にもれない。
>
>       (ジョン・K・ガルブレイス著「悪意なき欺瞞」より)


取締役会が機能しない最大の理由は、特に大企業の場合は、企業経営が
複雑で難しすぎるので、取締役会が経営陣を監督したり会社の重要な
問題を判断することが現実的に不可能だからです。

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[永久運動の設計] 業務執行取締役
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取締役会が機能しない二番目の理由は、取締役会が執行機関を監督する
と言っても、実際には取締役会のメンバーが業務執行担当者となって
いる場合が多いからです。

業務執行を兼任する取締役を「業務執行取締役」と呼びます。

大企業でも業務執行取締役は多いですが、中小企業の場合は業務執行を
しない純然たる(本来の)取締役の方が、むしろ珍しいでしょう。

業務執行取締役は、従来は法律上の制度ではありませんでしたが、
新会社法では法律上の制度として認められています。

ここは誤解しやすいところなので強調しておきますが、旧会社法でも
新会社法でも取締役会そのものには執行機能はありません。
「業務執行取締役会」というものは、昔も今もあり得ないのです。
(従来の有限会社や新会社法での「ボードなき会社」では「業務執行
取締役会」はあり得ると言えなくもないのですが、この点については
説明を割愛します。)

「業務執行取締役」とは「取締役会」の一部ではなく、執行機関の
一部です。

肩書きが「取締役副社長」「専務取締役」「常務取締役」である
人たちは、明らかに業務執行取締役です。
しかし、肩書きが「取締役」でも実態としては業務執行取締役である
場合が多いです。

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[永久運動の設計] 執行役員
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業務執行取締役と似た制度として、執行役員という制度があります。

執行役員は企業側が工夫して作り上げてきた自主的な制度であり、
従来は法律上の制度ではありませんでしたが、新会社法では「執行役」
という名称で明確に認められています。

執行役員制度が考え出された理由は、業務執行取締役という制度には
次のような弊害があると考えられるようになってきたからです。


> たとえば、「工業用地買収の件」の例で、取締役会から一任された
> 業務執行取締役が、候補地を探し出し、売主の内諾も得て、取締役会
> の承認決議を求める場合を考えてみましょう。
> この場合、業務執行取締役は「工業用地買収の件」の提案者ですから、
> 「ここまで来た以上、なんとかして認めてもらいたい」と思うのが
> 当然です。
> けれども、その立場は「その土地は会社が求める土地として本当に
> 妥当なのか」を「ボードの一員」として改めてクールに判断する
> 取締役の立場と必ずしも一致しません。
> そこで、用地買収の決定機能、監督機能を担当する取締役と、執行を
> 担当する執行役員とを最初から分けたらよいのでは、ということに
> なったのです。
>
>            (中島茂氏著「取締役の法律知識」)


つまり、「監督する側とされる側とが同一人物なら、判断が甘くなる
から、取締役と執行担当者は別人であるべきだ」という主張です。
立場に着目した分離論と言えます。

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[永久運動の設計] ライブドアには業務執行取締役は存在しない
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これに対し、能力に着目した分離論と呼べるものもあります。

「取締役に要求される能力と執行役員に要求される能力とは異質だから、
取締役と執行担当者とは別人であるべきだ」という主張です。


> プレイングマネージャーとマネージャーというのは、執行役員と
> 取締役の違いにもつながってくる。目の前に横たわっている仕事を
> 遂行する能力が高いということと、経営全体を総合的に判断する
> 能力というのは、イコールではない。自分の事業範囲しか見られない
> 人間は、取締役には決してなれない。
> わが社では、執行役員と取締役を明確に分けている。
> 執行役員には経験や実力に優れている人物を配置し、取締役には
> 参謀的な人間を入れている。しかも取締役は経験ではなく、ビジネス
> センスや発想が重視されるポジションだから、年齢もできれば
> 若い方がいい。
>
>      (「堀江貴文のカンタン!儲かる会社のつくり方」より)


「わが社では、執行役員と取締役を明確に分けている」が本当だと
すれば、ライブドアには業務執行取締役は存在しないはずです。

そして、ライブドアの組織図を見てみると、確かに「取締役副社長」
「専務取締役」「常務取締役」などは存在しません。
( http://corp.livedoor.com/company/organization.html 参照)

証券取引法違反で起訴された宮内亮治氏や熊谷史人氏も単なる「取締役」
でした。

また、平松社長は、執行役員社長であり、代表取締役社長では
ありません。
そして、事業本部ごとに執行役員副社長がいます。

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[永久運動の設計] ライブドア平松社長は取締役ではない
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取締役に要求される能力と執行役員に要求される能力とは異質である
という堀江氏の主張には、私も賛同します。

堀江氏の主張の中で、さらに私が面白いと感じた点は次の部分です。

・取締役には参謀的な人間が向いている。
・取締役は経験ではなく、ビジネスセンスや発想が重視される。

一般には、取締役会は監督機関なので、取締役は経験豊富でバランス
感覚のある人が適しているとされています。

しかし、堀江氏が持つ取締役のイメージは、斬新な発想で事業を
企画するアイデアマン、参謀、策士、策略家です。
逮捕前の宮内亮治氏のように・・・。

冒頭で、取締役会の機能には、監督機能と決定機能があると述べました。
法律家が描く取締役会像は監督機能が強調される傾向があるのに対し、
堀江氏の描く取締役会像は極端に積極的な決定機関です。
私はこれ自体は悪くないと思っています。むしろ評価しています。

それでは、ライブドアでは、取締役会は機能していたのでしょうか?

やはり、機能していなかったのです。
監督機能が全く存在していなかったのです。

宮内亮治氏や熊谷史人氏は、代表取締役である堀江氏も取締役としての
自分自身も監督することができませんでした。
ライブドア事件は、取締役会が機能しなかったが故に発生したという
点では、エンロン事件と同じなのです。

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[永久運動の設計] 関連するバックナンバー
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第29号「会社法の主要な登場人物」
http://www.kei-it.com/sailing/29-040621.html

第32号「株式会社の基本形」
http://www.kei-it.com/sailing/32-040712.html

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次回以降の予告
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次号以降では次のようなテーマを取りげていきます。

技術系:
・グーグルの衝撃
 (本を読むこと、ネットで読むこと)
・OSS(オープンソースを持ち上げる人々、オープンソースの実態)
・Linux台頭とSUN
・メーカからの請負、エンドユーザからの請負
 (品質管理、検収、瑕疵担保責任の違い)
・オブジェクト指向再論
・PMBOK
・SEO対策

外国系:
・中国は脅威か?

法務系:
・コンプライアンス
・取締役と執行役員

労務系:
・雇用契約、裁量労働制、個人事業主
・景気回復、新卒の採用難、2007年問題

営業系:
・売れる営業マン


次号は、6月19日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
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目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
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彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

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ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
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June 05, 2006

管理職の深夜労働手当

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第130号 2006/6/5
▼ まえがき
▼ [賃金決定の仕組み] 労基法では管理職でも深夜労働手当はある
▼ [賃金決定の仕組み] 管理職手当とは、みなし労働手当
▼ [賃金決定の仕組み] 夜、横になってからも業務について考える
▼ [賃金決定の仕組み] 賃金規定に明記する必要がある
▼ 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

今週号では、管理職の深夜労働手当について解説します。

「賃金決定の仕組み」シリーズに分類します。

「賃金決定の仕組み」シリーズを最初から読みたい方は、
http://www.kei-it.com/sailing/back_salary.html を参照してください。

バックナンバーはブログでも公開しています。
ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/

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[賃金決定の仕組み] 労基法では管理職でも深夜労働手当はある
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管理職の時間外手当について、社会保険労務士から次の説明を受けた
ことがあります。

> 時間外労働の適用除外者として、「労働者の従事する業務の性質
> または態様からみて、労働時間に関する法的規制を適用することが
> 必ずしも適当でない場合があり、
>
> 1.天候など自然的条件に左右される事業に従事するもの 
> 2.監督・管理の地位にある者、機密の事務を取り扱う者 
> 3.監視・継続的労働に従事する者で労働基準監督署長の許可を受けたもの
>  
> は適用除外」と労基法上、定められています。
>
> 尚、時間外労働、休日労働の適用除外の管理職の方でも、PM10時~
> AM5時までの深夜労働に関しては、25%以上増しの割増賃金の支払は
> 発生します。


労働基準法上、管理職(監督・管理の地位にある者)が時間外手当の
適用除外者であることは、よく知られています。
しかし、管理職でも深夜労働手当は払わなければならないこと
(上記説明での「尚、」以降)は、あまり知られていません。

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[賃金決定の仕組み] 管理職手当とは、みなし労働手当
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しかし、現実には管理職に深夜労働手当を払っていない会社は多いと
思います。

これは違法なのでしょうか?

社労士や労働基準監督署に質問すれば、即座に「違法」という回答が
返ってくるでしょうが、本メルマガでは「必ずしも違法ではない」
という説明をします。


そもそも管理職手当とは何でしょうか?

結論から言うと、管理職手当とは、深夜労働手当、時間外労働手当、
休日労働手当の「みなし労働手当」です。
管理職が1ヶ月にするであろう深夜労働、時間外労働、休日労働に
およその目星をつけて一定額で支給するというのが管理職手当
なのです。

多くの人は、「管理職になると責任が重くなるから管理職手当が付く」
つまり「管理職手当とは職務の責任に応じた報酬である」と考えて
います。

しかし、職能資格制度では基本給と役職手当が密接にリンクされて
います。
「責任が重くなるから基本給も上がる」とも言えるし、「基本給が
上がるから責任が重くなる」とも言えます。
職務の責任に応じた報酬は、全てではありませんが、かなりの部分、
基本給の中に含まれているのです。

責任等級制度や職務給制度ではそれがさらに徹底されます。
職務の責任範囲に応じて基本給を決めるのが責任等級制度、
職務内容に応じて基本給を決めるのが職務給制度だからです。

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[賃金決定の仕組み] 夜、横になってからも業務について考える
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「主任→係長→課長→部長」と役職が上昇し、役職手当がUPしていく
につれて、時間ではなく成果が求められます。

とは言っても、成果を上げるためには、普通は労働時間も増えます。
しかし、それは必ずしも社内での労働ではありません。
むしろ、社内で人と同じことをやっていても、人と違う成果は出ない
のです。

夜、横になってからも業務上の問題について考える必要も出てきます。

下記はマイケル・レヴィン著「「壊れ窓理論」の経営学」からの引用です。

> 執念を持たなければ失敗する。
> 夜、横になってからも業務の改善や顧客サービスの向上、目下の
> 壊れ窓の修理について考える。そうでなくては、自分の仕事を正しく
> こなしているとは言えないのである。

ここでの「壊れ窓」とは、小さな問題という意味です。
この言葉は経営者に対するものですが、管理職にもある程度
あてはまります。


このような深夜労働をどのようにカウントすればよいのでしょうか?
やはり「みなし」でいくしかないのです。

役職の上昇は、労働時間に関する裁量の拡大であり、したがって、
みなし労働時間の拡大なのです。

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[賃金決定の仕組み] 賃金規定に明記する必要がある
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先に

> 社労士や労働基準監督署に質問すれば、即座に「違法」という回答が
> 返ってくるでしょうが、本メルマガでは「必ずしも違法ではない」
> という説明をします。

と書きました。

「必ずしも」が付いているのは、「管理職手当にどの程度の深夜労働
手当、時間外労働手当、休日労働手当が含まれているのかが賃金規定に
明記されていれば」という条件付きだからです。

慶では、WEBシステム開発事業部と管理本部の賃金規定の改訂を行い、
今年7月1日に施行します。
そこには、管理職手当に含まれる深夜労働手当、時間外労働手当、
休日労働手当が明記されています。

ITサービス事業部の賃金規定改訂についても近日中に検討に入ります。

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次回以降の予告
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次号以降では次のようなテーマを取りげていきます。

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・Linux台頭とSUN
・メーカからの請負、エンドユーザからの請負
 (品質管理、検収、瑕疵担保責任の違い)
・オブジェクト指向再論
・PMBOK
・SEO対策

外国系:
・中国は脅威か?

法務系:
・コンプライアンス
・取締役と執行役員

労務系:
・雇用契約、裁量労働制、個人事業主
・景気回復、新卒の採用難、2007年問題

営業系:
・売れる営業マン


次号は、6月12日発行予定です。

乞うご期待!!

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目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

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ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は2006年6月3日現在、498名です。


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