採用が事業モデルを決める
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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第119号 2006/3/20
▼ まえがき
▼ [永久運動の設計] 急速に深刻化するIT技術者不足
▼ [永久運動の設計] IT技術者不足なのに単価は上がらない
▼ [永久運動の設計] 採用の側からの事業再構築
▼ [永久運動の設計] MS日本法人が7月にサポート料を値上げへ
▼ [永久運動の設計] オープンソースの導入が急速に進展 他
▼ [永久運動の設計] 次回以降の予告
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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。
今週号は、日経コンピュータ2006年3月20日号
( http://itpro.nikkeibp.co.jp/NC/index.html ) の中で、
私が面白いと感じた記事について、コメントします。
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[永久運動の設計] 急速に深刻化するIT技術者不足
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○急速に深刻化するIT技術者不足
> IT技術者不足が、この1年で急速に深刻化している。
> 本誌が2月末から3月上旬にかけて実施した緊急調査では回答した
> IT企業の70%が、過去6カ月間に技術者不足を経験。
> そのうちの67%が、昨年4月以降に不足の傾向が顕著になったと
> 答えている。 ・・・(中略)・・・
> 特に、金融、通信、運用、組み込みの技術者不足が顕著。・・・
日経コンピュータは、技術者不足の原因として下記の3つを上げています。
・最大の原因は、金融機関のIT投資の増加。
・業績が好調な製造業大手をはじめ、さまざまな業種でIT投資が増えている。
・ユーザ企業が自社システム部門再強化に乗り出している。
そのため、IT業界からユーザ企業のシステム部門に転職する技術者が
増えている。
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[永久運動の設計] IT技術者不足なのに単価は上がらない
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それほど技術者不足が深刻なら、普通に考えると、需要と供給の関係で、
IT技術者単価が上昇するはずです。
しかし、日経コンピュータは、一概に上がっていないことも指摘しています。
> 自社のIT技術者の単価は、「上がった」と答えた企業は5%にとどまった
> のに、9%の企業が「下がった」と答えている
ユーザからの価格引下げ要求が依然として根強いため、単価は逆に
下がっているのです。
但し、協力会社への支払い単価は上昇傾向です。
> 仕事を依頼するパートナー企業のIT技術者に支払う単価が上がった、
> と答えた企業が36%に達した
これは私の実感とも一致しています。
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[永久運動の設計] 採用の側からの事業再構築
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現在、大手も中小もソフトウェア会社は、次のような悩みを抱えています。
・技術者を採用できない。(中途も新卒も)
・採用コストがかかる。(採用広告費はほとんどドブに捨てることになる。)
・採用しても定着率が悪い。
・協力会社の技術者単価は上がっているので、協力会社に頼ると採算が
取れない。
参考ページ:
第96号「定着率が悪く、中途採用も難しい」
http://www.kei-it.com/sailing/96-051010.html
第45号「中小企業の中途採用の現状」
http://www.kei-it.com/sailing/45-041018.html
このような状況の中で、中小ソフトウェア会社が採るべき戦略は
次のどちらかです。
(1)未経験者採用を前提としたモデルを確立する。
(2)人が増えないことを前提としたモデルを確立する。
(1)(2)の戦略のどちらを採るかによって、営業、人事などの基本方針が、
正反対なくらい大きく異なります。
慶は、サービス系は(1)、開発系は(2)でいきます。
(2)の場合、人が増えなくても、昇給は必要なので、人件費は上昇します。
したがって、次のどちらかが実現できないと、事業は成り立ちません。
・人数は同じでも売上は上げる
・売上が横ばいなら、人件費以外の経費を削減する。
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[永久運動の設計] MS日本法人が7月にサポート料を値上げへ
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「IT技術者不足」以外に面白かった記事をいくつか上げます。
○MS日本法人が7月にサポート料を値上げへ
アップグレード権付きのサポート契約「ソフトウェア アシュアランス(SA)」
の料金を約3割値上げするそうです。
この記事は下記の号と合わせて読めば、背景が分かります。
第109号「パッケージ・ソフトが置かれている状況」
http://www.kei-it.com/sailing/109-060109.html
> 現在、パッケージ・ソフト収入の源泉は、インストール・ベースの
> ライセンス料金から、保守サービス料金へと移っている
第104号「独占企業は自由にサポートを打ち切る」
http://www.kei-it.com/sailing/104-051205.html
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[永久運動の設計] オープンソースの導入が急速に進展 他
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○オープンソースの導入が急速に進展 ミドルウェアの利用が拡大
> ユーザ企業・公共の情報システムにおけるOSSの導入率は48.8%となった。
> 前回調査(※)の32%からこの1年間で16.8ポイントも上昇しており、
> OSSの導入が活発に進んでいる。
このあたりは、第107号「インフラの世界」
http://www.kei-it.com/sailing/107-051226.html
を読めば、背景が分かります。
○グローバル経営に飲み込まれた決算発表
IBMは多国籍企業経営からグローバル統治に変わり、日本IBMには
地域本社的な機能は無くなったという内容の記事です。
第46号「超巨大企業の時代へ」
http://www.kei-it.com/sailing/46-041025.html
と関連しています。
○「2年以内に抜本的改革」動き出す日本の経営者
米IBMが実施した世界各国のCEO800人へのインタビューによると、
76%のCEOが「新しいアイデアを顧客ないしビジネスパートナーから得る」
と答えたそうです。
「コアになるアイデアは個人からしか生まれない」のも事実
(http://www.kei-it.com/sailing/85-050725.html 参照)ですが、
「商売になるアイデアは、顧客と接することからしか生まれない」
のも事実です。
営業の大切さを感じさせる文章でした。
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次回以降の予告
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次号以降では次のようなテーマも取りげていきます。
労務系:
・雇用契約、裁量労働制、個人事業主
技術系:
・ブルックスの法則を超えるもの
・贈与と交換
・ピアレビュー
外国系:
・中国は脅威か?
次号は、4月3日発行予定です。
乞うご期待!!
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本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、
目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。
したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。
また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は2006年3月18日現在、466名です。
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