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February 27, 2006

社内持ち帰り開発ができる会社

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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第116号 2006/2/27
▼ まえがき
▼ [製造業の呪縛] 個人情報保護法の影響
▼ [製造業の呪縛] 今でもほとんど社内持ち帰りという会社
▼ [製造業の呪縛] 継続的な関係を前提とした下請け構造
▼ [製造業の呪縛] 社内持ち帰り開発ができる会社
▼ [製造業の呪縛] 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

今週号は、社内持ち帰り開発について考えます。

どのシリーズに分類しようか迷いましたが、「製造業の呪縛」シリーズに
分類します。

「製造業の呪縛」シリーズを最初から読みたい方は、
http://www.kei-it.com/sailing/back_maker_service.html
を参照してください。

バックナンバーはブログでも公開しています。
ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/

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[製造業の呪縛] 個人情報保護法の影響
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去年4月1日に個人情報保護法が完全施行されました。
その影響について次のような声を聞きます。

○S社I常務の談話(2006年2月)
「全てのデータ、ドキュメントが持ち出せなくなりました。
パソコンの持ち込みすらできなくなりました。
弊社はこれまでずっと社内持ち帰りでやってきましたが、去年4月
以降は全部常駐になりました。
社内の開発フロアには今は誰もいませんよ。」

 S社は、1985年設立、従業員数約140名、売上高12億円、
 ISO9001認証も取得している会社です。
 業務的には金融・流通系を得意とし、顧客は大手メーカ、大手SIerが
 ほとんどです。

○U社コンサルタントの談話(2006年1月)
「今までは調査分析のための元データをCD-ROMでもらえましたが、
去年4月以降は常駐しないと調査分析ができなくなりました。」

 U社はデータマイニングのパッケージの販売とそれに伴う
 コンサルテーション、カスタマイズを得意とする会社です。


個人情報保護法の影響で、持ち帰りの仕事は減っています。

もっとも、持ち帰りの仕事が減っている理由は、プロジェクトの
度重なる失敗の方が大きいかもしれません。
例えば、次のような声も聞こえます。

○R社営業の談話(2006年2月)
「2004年度は持ち帰りと中国オフショアの失敗で大赤字を出して
しまいました。2005年度は2年分の利益を出さないといけないんですよ。
今は持ち帰りと中国オフショアは止めて、ほとんど常駐です。」

R社は東証一部上場企業です。

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[製造業の呪縛] 今でもほとんど社内持ち帰りという会社
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しかし、今でもほとんど社内持ち帰りという会社もあります。

先週、B社を訪問し、Y取締役と会談しました。

B社は1982年設立、社員数55名、売上高約4億の会社です。
大手メーカ数社からの直取引が売上の大半を占め、そのほとんどは
社内持ち帰りです。

持ち帰りが多い理由は、大手メーカとの付き合いが長いからです。
付き合いが長く、信用があるからというだけでなく、開発環境の
問題もあります。

大手メーカの製品(ハードウェア、パッケージ、ミドルウェア)を
使った開発経験が豊富で、その製品特有の開発環境(ハードウェア・
ソフトウェア)が社内にあるから、持ち帰らせてくれるのです。

例えば、大手メーカN社のPOSシステム開発の前提となるN社製
POS専用機も社内に設置しています。

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[製造業の呪縛] 継続的な関係を前提とした下請け構造
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要するに、「継続的な関係を前提とした下請け構造に基づいた
持ち帰り」なのです。

このことは、大手メーカの製品や文化に縛られるという結果も
もたらします。

まず、技術的に縛られます。
例えば、VB.NETによるC/Sシステムの開発はB社の売上でかなりの比重を
占めていますが、それは、ベースとなるメーカ製パッケージがVB.NET
によるC/Sシステムだからです。


また、独自の顧客開拓、事業展開ができなくなります。
その結果、社歴のわりには規模や範囲は拡大しなくなります。


そして、企業文化が製造業の文化に近くなります。

> 製造現場の目標は明確だ。よりよい品質のものを、少しでも安い
> コストで作ること以外に目標はない。
>      (森永卓郎著「リストラと能力主義」より)


ここでは、「粒の揃った労働者が一丸となって努力しよう」という
文化が支配的になります。

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[製造業の呪縛] 社内持ち帰り開発ができる会社
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今後、社内持ち帰り開発ができる会社は下記の二つでしょう。

(1)コンサルテーション→パッケージのカスタマイズ
例えば、上記U社の場合、調査分析は常駐になりましたが、パッケージの
カスタマイズは、今でも自社内で行っています。

(2)顧客と継続的な関係を築ける会社
上記B社は大手メーカと継続的な関係を築きました。
そのため、持ち帰りが可能となったのです。
顧客がエンドユーザであっても、強固な信頼関係を築くことができれば、
持ち帰りは可能となります。

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次回以降の予告
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次号では、「パッケージを作るとしたら、どこを狙ったらよいか」
について考えます。


次号以降では次のようなテーマも取りげていきます。

労務系:
・雇用契約、裁量労働制、個人事業主

技術系:
・ブルックスの法則を超えるもの
・贈与と交換
・ピアレビュー

外国系:
・中国は脅威か?


次号は、3月6日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
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目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

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彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は2006年2月13日現在、455名です。


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