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January 2006

January 30, 2006

社員500人全員が借入の連帯保証人という組織

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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第112号 2006/1/30
▼ まえがき
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 社員500人全員が借入の連帯保証人
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 公認会計士からの返信
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 組織は自由に設計してよい
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 監査法人以上に個人が重要
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

第110号から「大きくなるか、小さくなるか」シリーズを再開しています。
「大きくなるか、小さくなるか」シリーズでは、慶を含め、中小ソフト
ウェア会社にとって理想の組織はどのようなものか、考えていきます。

「大きくなるか、小さくなるか」シリーズを最初から読みたい方は、
http://www.kei-it.com/sailing/back_big_small.html 
を参照してください。

バックナンバーはブログでも公開しています。
ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/

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[大きくなるか、小さくなるか] 社員500人全員が借入の連帯保証人
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第111号では監査法人の組織を取り上げました。

引き続き、監査法人についてお話します。

ものの本には「監査法人は合名会社の形態をとる」と書かれています。
また、「合名会社では社員(出資者)は会社の債務について無限責任を負う」
とも書かれています。
これは、「会社が会社の借金を返せなくなったときは、社員が個人の
財産を提供してでも返さなければならない」という意味です。

大手監査法人には約500人の社員がいます。
その社員全員が借入金の連帯保証人になるということなど、あり得る
のでしょうか?

この点について、大手監査法人に勤めている友人にメールで質問して
みました。


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[大きくなるか、小さくなるか] 公認会計士からの返信
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すると、その公認会計士から次のような返信が来ました。


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 基本的には、監査法人の社員及び代表社員は、借入金その
 他すべてにおいて、無限連帯責任を負っています。

 現在の監査法人は、社員・代表社員の数が500人程度まであり、
 職員も含めると3000人規模の大組織となっています。
 全く知らない社員・代表社員の監査上の問題から、訴訟に
 及んだ場合にも、無限連帯責任を負うことになり、責任が
 重過ぎるものとなっています。

 平成16年4月1日から改正公認会計士法が施行され、
 指定社員制度が設けられました。
 企業等の法定監査については、社員・代表社員のうち、
 指定社員として当該企業等を担当するものについては従来どおり
 無限連帯責任を負うものとし、指定社員以外の社員・代表社員は
 出資金額を限度とする有限責任にとどめるものです。

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[大きくなるか、小さくなるか] 組織は自由に設計してよい
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監査法人の組織を取り上げた理由は、株式会社以外の組織を例示
したかったからです。それも個人中心の組織を・・・。

平成17年7月に交付された新会社法では、会社組織の自由度は大幅に
拡大されています。

今話題の日本版LLP、日本版LLCも可能となっています。

日本版LLP、日本版LLCとは、簡単に言えば、合名会社に無限責任制を
導入したような組織です。
Googleで「日本版LLP」「日本版LLC」で検索すれば、5万件以上ヒット
するので、詳しくはそちらを参照してください。

新会社法の下では、日本版LLC型ソフトウェア会社を作ることも
不可能ではありません。

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[大きくなるか、小さくなるか] 監査法人以上に個人が重要
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今の慶のITサービス事業部に約20名の個人事業主がいます。
このグループの発展形として日本版LLCが考えられなくもありません。

しかし、そこに単純に日本版LLCを導入するだけでは、今すでにある
ソフトウェア技術者の事業協同組合と大差ないものになってしまいます。
ソフトウェア技術者の事業協同組合からは、新しい事業・製品・
サービスは生まれません。

もしもソフトウェア会社の仕事が、公認会計士の仕事のように型に
はまった仕事(昔の汎用機のプログラマの仕事はそれに近いものが
ありました)なら、それでもよいかもしれません。

しかし、ポスト産業資本主義時代のソフトウェア会社は新しい製品や
サービスを次々と生み出していかなければ、利益を上げられません。
そして、コアとなるアイデアは個人からしか生まれません。
ソフトウェア会社で個人が重要だという意味は、監査法人で
個人が重要だという意味以上のものがあるのです。

 関連事項:
  第8号「ポスト産業資本主義の時代」
  http://www.kei-it.com/sailing/08-040126.html
  第85号「コアになるアイデアは個人からしか生まれない」
  http://www.kei-it.com/sailing/85-050725.html

差異性を次々と生み出せる組織とは?
その中での、自由と自己責任とは?(無限責任との関係が重要)

考察は次号に続きます。

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[大きくなるか、小さくなるか] 次回以降の予告
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次号以降は次のようなテーマで書く予定です。

・差異性を生み出せる会社とは?
・その中での、自由と自己責任とは?(無限責任との関係が重要)
・日本版LLC型ソフトウェア会社


それ以外に、下記の技術系テーマもそのうち書きます。

・ブルックスの法則を超えるもの
・贈与と交換
・ピアレビュー


次号は、2月6日発行予定です。

乞うご期待!!

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January 23, 2006

監査法人の組織

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第111号 2005/1/23
▼ まえがき
▼ [大きくなるか、小さくなるか] オレが、オレがって奴ばっかり
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 四大監査法人
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 機能資本家が結合する企業形態
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 「オレが、オレが」を大切にしながら
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

今週号から、もう一度、会社の適正規模「大きくなるか、小さくなるか」
について考えてみます。

・バックナンバーはブログでも公開しています。
 ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/


「大きくなるか、小さくなるか」シリーズでは、慶を含め、中小ソフト
ウェア会社にとって理想の組織はどのようなものか、考えていきます。

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[大きくなるか、小さくなるか] オレが、オレがって奴ばっかり
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私の友人に大手の監査法人に務めている公認会計士がいます。
その友人から「公認会計士って『オレが、オレが』って奴ばっかりだよ。
SEも似てると思うけど・・・」という言葉を聞いたことがあります。

確かに、ある程度仕事ができるようになったソフトウェア技術者は
次の点で公認会計士に似ています。

(1)汎用的な技能
公認会計士の技能もシステム開発の技能もともに汎用的な技能です。
したがって、組織特殊的な技能を持っている人よりも、転職が容易です。

 関連事項:
  第36号「汎用的な人的資産を蓄積した従業員は流動的」
   http://www.kei-it.com/sailing/36-040809.html 
  第30号「組織特殊的な人的資産」
   http://www.kei-it.com/sailing/30-040628.html


(2)開業が容易
公認会計士は独立して税務の仕事ができます。(監査の仕事はできません。)
つまり組織に属さなくても、個人で開業できるのです。
ソフトウェア技術者も組織に属さず、個人で開業する(個人事業主になる)
ことが容易です。

 関連事項:
  第83号「個人事業主とは」
   http://www.kei-it.com/sailing/83-050711.html


(3)組織でなければできない仕事もある
それでは、監査法人という組織に入りたがる公認会計士がいる理由は
何でしょうか?
税務の仕事は個人でできますが、監査の仕事は個人ではできないからです。
ソフトウェア技術者にも、組織に属さなければできない仕事もあります。


(4)責任の大きなプロジェクト
監査はチームで行うプロジェクトです。
また、その結果に対する責任が厳しく要求されます。
この点もシステム開発と似ています。

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[大きくなるか、小さくなるか] 四大監査法人
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5人以上の公認会計士がいれば監査法人は設立できますが、中には
500人以上もの公認会計士を擁する巨大組織になっている監査法人も
あります。

いわゆる四大監査法人(あずさ監査法人、監査法人トーマツ、
新日本監査法人、中央青山監査法人)です。

このような巨大な監査法人は「オレが、オレがって奴」をどうやって
組織化しているのでしょうか?

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[大きくなるか、小さくなるか] 機能資本家が結合する企業形態
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http://www.kei-it.com/sailing/pdf/111-060123.pdf は、
一般的な大手監査法人の組織図を簡略化したものです。


社員総会が最高機関です。
ここで言う「社員」とは出資者のことです。
会社の基本方針は、社員総会において、総社員の過半数によって
決められます。

監査法人で働く公認会計士の全てが「社員」ではありません。
出資していない公認会計士は「職員」と呼ばれます。

監査法人の社員総会は株式会社の株主総会に似ていますが、次の
点で大きく異なります。

株式会社の株主総会はできることが極めて限定されています。
株主総会は取締役の選任はしますが、経営も業務の執行もしません。
その代わり、その結果責任も負いません。

一方、監査法人の社員総会は少なくとも理論的には何でも決められます。
監査法人の社員は、出資し、経営に参加し、業務の執行もし、そして、
結果責任も負うのです。

監査法人は、機能資本家(出資をし、かつ経営にも参加する資本家)が
結合する企業形態なのです。

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[大きくなるか、小さくなるか] 「オレが、オレが」を大切にしながら
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次回以降で、監査法人の組織について、もう少し掘り下げます。

ソフトウェア会社が、規模を拡大しながらも、個人の「オレが、オレが」
を大切にし、創造的で高収益の会社になるためには、学ぶべき点が多いと
思うからです。

> 知的創造物を売る会社では、現場が個別に経営判断をして、
> その積み重ねが会社の判断になればいいんです。
>  (森永卓郎著「リストラと能力主義」より)


次のようなことを書こうと思っています。
・監査法人は合名会社。
・事業協同組合と合名会社との比較。
・機能資本家と社員持ち株制度との比較。
・機能資本家と事業部制、カンパニー制、企業グループとの比較。
・現実に中小ソフトウェア会社は運営上は株式会社ではないし、
 典型的な株式会社になる必要もない。
・新会社法との関連

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[大きくなるか、小さくなるか] 次回以降の予告
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次号以降のテーマは上述のとおりです。

それ以外に、下記の技術系テーマもそのうち書きます。

・ブルックスの法則を超えるもの
・贈与と交換
・ピアレビュー


次号は、1月30日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、
目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
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January 16, 2006

大きくなるか、小さくなるか

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第110号 2005/1/16
▼ まえがき
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 2006年は第二の創業期
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 第45号~第51号での考察
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 有限会社にヒントがあるかも
▼ [大きくなるか、小さくなるか] 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

今週号から、もう一度、会社の適正規模「大きくなるか、小さくなるか」
について考えてみます。

・バックナンバーはブログでも公開しています。
 ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/

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[大きくなるか、小さくなるか] 2006年は第二の創業期
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慶が会社として機能しだしたのは2000年からです。
その後5年間で、WEBシステム開発事業部、ITサービス事業部、
人材コンサルティング事業部が立ち上がり、売上高は4億円を超え、
正社員・契約社員・個人事業主の合計が60名となっています。

まずまずの成功ですが、最近、私は、今までのやり方が一つの限界に
来ていると感じています。

したがって、「2006年は第二の創業期」と捉え、やり方を根本的に
変えていこうと思っています。


さて、今後の方向性を考える上で、まず極めて基本的な問題が、
念頭に浮かびます。
「大きくなるか、小さくなるか」という問題です。


> --------------------【問題】--------------------
> ○売上2億円の会社を5つ作るべきか、売上10億の会社を1つ作るべきか?
> ○大きくなるか?小さくなるか?
> 会社は「規模の経済」「範囲の経済」の論理で大きくなる方がよいのか?
> それとも、コア・コンピタンスに集中し、残りの機能は極力アウト
> ソーシングする、つまり小さくなる方がよいのか?
> ------------------------------------------------
> (第50号 http://www.kei-it.com/sailing/50-041122.html より)

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[大きくなるか、小さくなるか] 第45号~第51号での考察
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次に示すように、以前にもこの問題について考えたことがあります。

第45号 http://www.kei-it.com/sailing/45-041018.html
  ・一人当たりの採用コストは大企業の方が安い
  ・中小企業の中途採用の現状
  ・リクナビやリクナビNEXTも「規模の経済」
  ・慶の営業に見る「範囲の経済」

第46号 http://www.kei-it.com/sailing/46-041025.html
  ・巨大組織がかかりやすい病気
  ・大企業が有利でなくなる理由
  ・超巨大企業の時代へ

第48号 http://www.kei-it.com/sailing/48-041108.html
  ・大きくなる必要がない理由
  ・巨大にならなければならない理由
  ・二つの道

第50号 http://www.kei-it.com/sailing/50-041122.html
  ・人材紹介会社の適正規模

第51号 http://www.kei-it.com/sailing/51-041129.html
  ・小さな会社の方が給料が高くなる
  ・システム開発請負会社の過去と現在


これらで書いたことを要約すると、次のようになります。
(岩井克人著「会社はこれからどうなるか」からの影響を強く受けて
います。)

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ポスト産業資本主義の時代にあっては、会社には次の二つの道がある。
(1)地球規模で「規模の経済」「範囲の経済」を追求する激烈な
 競争に参加する。
(2)標準化の進展によって、モノでもカネでも情報でも世界中どこでも
 ほぼ同一条件で手に入れられるようになったことを利用して、
 モノ・カネ・情報の流通以外の分野で独自の差異性を見出していく。
 この場合は、「規模の経済」「範囲の経済」の力は弱まる。
 システム開発請負会社の最適規模も10年前と比べ、小さくなっている。

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[大きくなるか、小さくなるか] 有限会社にヒントがあるかも
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このように以前の考察は抽象的なレベルに止まっていました。

しかし、最近、「規模の経済」「範囲の経済」という視点からではなく、
「会社の組織」という視点から考えると、もう少し具体的な回答が
見出せるのではないかと考えるようになりました。

自ら規模の拡大に制限をかけた「有限会社」という仕組みにヒントが
あるのではないかと考えるようになったのです。

「売上2億円の会社を5つ作るべきか、売上10億の会社を1つ作るべきか?」
という問題を次のように、置き換えて考えて見たいのです。

「有限会社の良さを取り入れた有限会社的な株式会社を5つ作るべきか、
それとも、株式会社の良さを活かした典型的な株式会社を1つ作るべきか?」

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[大きくなるか、小さくなるか] 次回以降の予告
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次号以降は次のようなテーマで書く予定です。

・新会社法では有限会社は無くなるのか?
・有限会社の知恵


これ以外に、下記の技術系テーマもそのうち書きます。

・ブルックスの法則を超えるもの
・贈与と交換
・ピアレビュー


次号は、1月23日発行予定です。

乞うご期待!!

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創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
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目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

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また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
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第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
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January 10, 2006

ソフトウェアのコモディティ化が進むということ

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第109号 2005/1/9
▼ まえがき
▼ [製造業の呪縛] 3分の2は開発・実装に関連するサービス収入
▼ [製造業の呪縛] インドはサービスとしてのソフト開発に専念している
▼ [製造業の呪縛] パッケージ・ソフトが置かれている状況
▼ [製造業の呪縛] 安くて気の利いたものしか売れなくなる
▼ [製造業の呪縛] 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

・第102号から「製造業の呪縛」シリーズを連載しています。

・「製造業の呪縛」シリーズを最初から読みたい方は、
 http://www.kei-it.com/sailing/back_maker_service.html 
 を参照してください。

・バックナンバーはブログでも公開しています。
 ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/

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[製造業の呪縛] 3分の2は開発・実装に関連するサービス収入
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日経コンピュータ2006/1/9号にマイケル・クスマノ氏が書いた
「日本のソフトウェア産業の謎」という記事が載っています。

「製造業の呪縛」シリーズで私が言いたかったことと近いことが
書かれているので、今回その記事を引用しながら、これまでの
まとめをします。


第103号、第106号では、「ソフトウェア産業というと、ついつい
パッケージ・ソフトを思い浮かべてしまうが、実際にはインハウス
開発の方がはるかに大きい」ということを述べました。
( http://www.kei-it.com/sailing/103-051128.html
http://www.kei-it.com/sailing/106-051219.html 参照)

マイケル・クスマノ氏も同じようなことを言っています。

> ソフトウェア産業の3分の1は標準化された製品の販売、残りの3分の2は
> カスタマイズやITコンサルティングといったソフトウェア開発・実装に
> 関連するサービス収入である。

上記数字にはシステム運用管理やデータ・エントリといったサービスは
含まれていません。これらも含めると、サービス系の比重はさらに大きく
なります。


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[製造業の呪縛] インドはサービスとしてのソフト開発に専念している
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マイケル・クスマノ氏は、富士通、日立、NEC、CSK、NTTデータなどの
日本のITベンダーは従業員数や売上高では世界屈指のITベンダーだが、
「ソフトウェア企業というよりは、注文でソフトを生産するカスタム・
ショップであり、システム・インテグレータだ」と指摘しています。

ここまでは誰でも言うことですが、マイケル・クスマノ氏は、「それは
日本だけではない」ということを指摘しています。

> 欧州の大部分やインド、中国でも、パッケージ・ソフトの開発より、
> 顧客個別のニーズに応えるためのソフト開発のボリュームのほうが
> 大きい。例えばインドは、サービスとしてのソフト開発に専念
> している。


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[製造業の呪縛] パッケージ・ソフトが置かれている状況
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マイケル・クスマノ氏はパッケージ・ソフトが置かれている状況
について次のように書いています。

> 世界のパッケージ・ソフト市場は、急激な低価格化やセキュリティ問題、
> 優れたオープン・ソースの登場など、深刻な問題に直面しつつある。
> 現在、パッケージ・ソフト収入の源泉は、インストール・ベースの
> ライセンス料金から、保守サービス料金へと移っている


これは、第104号( http://www.kei-it.com/sailing/104-051205.html )で
私が言いたかったことです。

パッケージ・ソフトの保守サービスは、工業製品の保守サービスよりも
はるかにコストがかかります。
したがって、パッケージ・ソフトで長期的に成功するためには、次の
3つの方法しかないのです。

・マイクロソフトのような独占企業になって、自分の都合で保守サービスを
 打ち切れるようになる。

・保守サービスで金を取れるビジネスモデルを作る。
(例えば、オープンソースの保守サービスを売っているRed Hat
などの Linux ディストリビュータがこれにあたります。)

・保守サービスをセットにした製品企画をする。
(例えば、SAP R/3やオラクルEBSがこれにあたります。)

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[製造業の呪縛] 安くて気の利いたものしか売れなくなる
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オープン・ソースの台頭、パッケージ・ソフトの急速な低価格化により、
ソフトウェアはコモディティ(日用品)化します。
会計ソフトもCADソフトも既にコモディティ化しています。

コモディティ化とは、100円ショップ化するということです。
安いのは当たり前、安くて気の利いたものしか売れなくなるという
ことです。
パッケージ・ソフトだけでなく、カスタム開発もこの巨大な潮流に
引きずられて、価格が下落しています。

これは次のことを意味します。

ソフト会社が開発技術で儲けるためには、極端に安くできるような
優れた生産技術・ノウハウが必要となります。
マイケル・クスマノ氏も「ソフトウェアのコモディティ化が進む
ということは、ソフトウェア開発における効率の高さが極限まで
求められる」と言っています。

もしも、開発で儲けられないなら、気の利いたサービスで儲ける
ことを考えなければなりません。


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[製造業の呪縛] 次回以降の予告
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次号以降は次のようなテーマで書く予定です。

・ブルックスの法則を超えるもの
・贈与と交換
・ピアレビュー


次号は、1月16日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、
目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は2006年1月7日現在、450名です。


本メルマガの内容に興味を持つであろう方をご存知なら、是非
本メルマガの存在を教えてあげてください。

(以下をそのまま転送するだけです。)
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【お勧めメルマガ ソフトウェア業界 新航海術】
⇒ http://www.mag2.com/m/0000136030.htm または
 http://www.kei-it.com/sailing/ 
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January 05, 2006

2006年の展望(顧客と共に、他社と共に)

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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第108号 2005/1/2
▼ まえがき
▼ [製造業の呪縛] 2006年のインフラ、ミドルウェア開発
▼ [製造業の呪縛] 2006年のアプリケーション開発
▼ [製造業の呪縛] 2006年の持ち帰り型一括請負
▼ [製造業の呪縛] 顧客と共に、他社と共に
▼ [製造業の呪縛] 特許
▼ [製造業の呪縛] 次回以降の予告


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まえがき
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明けまして おめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。

蒲生嘉達(がもう よしさと)です。
今週号では、年頭に当たり、2006年の展望をお話します。


・第102号から「製造業の呪縛」シリーズを連載しています。

・「製造業の呪縛」シリーズを最初から読みたい方は、
 http://www.kei-it.com/sailing/back_maker_service.html 
 を参照してください。

・バックナンバーはブログでも公開しています。
 ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/

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[製造業の呪縛] 2006年のインフラ、ミドルウェア開発
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2006年は、景気回復によって、システム開発の総量は増えていきます。

しかし、インフラ、ミドルウェアの世界ではオープンソース化が、
一層進みます。
(第107号「インフラの世界」
http://www.kei-it.com/sailing/107-051226.html 参照)

したがって、インフラ、ミドルウェアの世界では、メーカがソフト
会社に一括請負として発注する仕事の量は減少します。
開発案件の数は増えますが、オープンソースを使う、またはオープン
ソースをハッキングするなどによって、開発費を劇的に減らしていきます。

> 何を書けばいいかわかってるのがよいプログラマ。なにを書き直せば
> (そして使い回せば)いいかわかってるのが、すごいプログラマ。
>          (レイモンド著「伽藍とバザール」より)

インフラ、ミドルウェアの世界では、このようなハッキング型の開発
スタイルがますます主流になっていくでしょう。

したがって、メーカが大規模開発を一括請負として丸投げすることは減り、
オープンソースとの調整部分やハッキング部分のみの発注となり、
常駐型開発かごく小規模な一括請負が主流になるでしょう。

また、インフラの世界でも、開発ではなく、ネットワーク構築・運用
などのサービス分野は2006年も拡大し続けます。

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[製造業の呪縛] 2006年のアプリケーション開発
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アプリケーションの世界では、昔はゼネコン型の一括請負が盛んでした。
メーカや大手SIerが、銀行や証券などの大手ユーザから一括請負し、
それを分割して孫請けに発注するというパターンです。

このパターンは2006年も減り続けるでしょう。

その理由は、次の二つです。
・きれいに切り出して孫受けに出せるような仕事が減ったから。
・きれいに切り出せる仕事はオフショアに出した方が安いから。

きれいに切り出せない開発のみが国内に残り、増え続けます。

きれいに切り出せない開発とは、顧客の環境に密に依存する開発です。
ここで言う「環境」とは、顧客の業務、ビジネスモデル、社内IT環境、
社内事情(組織、人間関係、場合によっては発注者の性格)などを含みます。
(第49号「日本に残る仕事」
http://www.kei-it.com/sailing/49-041115.html 参照)

そして、この種の開発は、次のような性格を持ちます。
・小規模
・短納期
・仕様変更が多発する。仕様が不明確でなかなか決まらない。
・客先常駐、または、元請常駐の要求が強い

したがって、2006年も客先常駐型の技術者の需要は増え続けます。
慶で言うなら、ITサービス事業部は市場拡大を前提として、積極的な
運営を図っていくべきです。

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[製造業の呪縛] 2006年の持ち帰り型一括請負
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上述のとおり、インフラ、ミドルウェアの世界でも、アプリケーション
の世界でも、従来型のゼネコン的一括請負案件は減ります。


では、持ち帰り型一括請負で儲けられる会社はないのでしょうか?

そんなことはありません。

2005年に慶と取引の始まったG社は、持ち帰り型一括請負で成功
しています。

注目すべきなのは、G社は、開発技術の側からではなく、
ビジネスモデルの側からアプローチしているという点です。
コンサルティング、企画提案から運用・メンテナンスに至るまで、
顧客に長期的なサービスを提供しています。

「最初に持ち帰り開発ありき」ではなく、「最初に顧客満足ありき」です。

地方に事業所を持っているのみならず、大連に子会社も持っています。
地方での開発、海外での開発が有利な場合は、それらを十分に活用し、
東京本社で開発した方がメリットがあるもののみ、本社内で開発
しています。


慶としては、2006年は、大手エンドユーザであるD社に対し、
ビジネスモデルの側からアプローチをしていきたいと思っています。

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[製造業の呪縛] 顧客と共に、他社と共に
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ここでもう一つ指摘しておきたいことは、ビジネスモデル側からの
アプローチとは、「顧客と共に」であると同時に、「他社との連携」も
意味しているということです。

中小ソフトウェア会社にとって、顧客満足は自社のみで実現できる
ものではないからです。

慶は、D社を満足させるために、データマイニングに強いU社、
マーケティングに強いS社と連携して話を進めています。

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[製造業の呪縛] 特許
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第107号( http://www.kei-it.com/sailing/107-051226.html )で
発明を取り上げたところ、読者から、「ビジネスモデル特許が
難しい理由は、大概のビジネスモデル特許は他人の発明に依存し
単独で機能することがないからだ」というご指摘を受けました。


> 加えて、『その発明単独で実現可能か?』は、実施段階での大事な
> 一要素だと考えております。
> 多くの発明、特にビジネスモデル特許は、他人の発明に依存し単独で
> 機能することはなく、権利配分など様々な問題を抱えることになる
> のではないでしょうか?
>
> 従って、単純発明で効果が高く、その製造コストが低く、同時に
> 製造段階でも他の発明に依存しないものが最も実現性が高いと考えます。

2006年は、慶の営業・企画部門では上述の「ビジネスモデル側からの
アプローチ」に加え、オリジナルサービスの開発、ソフトウェア特許
取得も積極的に進めていきたいと考えています。

(第107号「ある発明家との業務提携」
http://www.kei-it.com/sailing/107-051226.html 参照)

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[製造業の呪縛] 次回以降の予告
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次号以降は次のようなテーマで書く予定です。

・ブルックスの法則を超えるもの
・贈与と交換
・ピアレビュー


次号は、1月9日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

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第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
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バックナンバーはブログでも公開しています。
ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/


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