産業分類上の「ソフトウェア業」
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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第105号 2005/12/12
▼ まえがき
▼ [製造業の呪縛] 新産業分類ではソフトウェアはサービス業ではない
▼ [製造業の呪縛] 情報通信業などの大分類新設は国際的な流れ
▼ [製造業の呪縛] 「サービス業→お客様は神様」を生み出す曖昧さ
▼ [製造業の呪縛] 次回以降の予告
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まえがき
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こんにちは、蒲生嘉達(がもう よしさと)です。
・第102号から「製造業の呪縛」シリーズを連載しています。
・「製造業の呪縛」シリーズを最初から読みたい方は、
http://www.kei-it.com/sailing/back_maker_service.html
を参照してください。
・バックナンバーはブログでも公開しています。
ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/
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[製造業の呪縛] 新産業分類ではソフトウェアはサービス業ではない
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「ソフトウェア業はサービス業だ」と主張している人も「いや、
やっぱり製造業だ」と主張している人も、一般的な産業分類では
ソフトウェア業はサービス業に分類されていると思っています。
しかし、日本標準産業分類では、ソフトウェア業は大分類レベルでは
サービス業に分類されていません。「情報通信業」に分類されているのです。
( http://www.stat.go.jp/index/seido/sangyo/3.htm 参照)
確かに昔はサービス業に分類されていましたが、2002年3月の改定で、
「情報通信業」が新設され、ソフトウェア業はそこに分類されるように
なりました。
「情報通信業」は、単純に旧サービス業から分離したのではなく、
下記の3つが統合されたものです。
・電気通信と郵便業の一部(旧分類では「運輸・通信業」)
・新聞・出版(旧分類では「製造業」)
・放送、情報サービス、調査、映画・ビデオ制作、ラジオ番組制作
(旧分類では「サービス業」)
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[製造業の呪縛] 情報通信業などの大分類新設は国際的な流れ
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2002年3月の改定では、他にも「医療、福祉」「教育、学習支援」が
旧サービス業から独立し、大分類となっています。
また、一般にはサービス業と思われている飲食店は、旧分類では
「卸・小売業」でしたが、旧サービス業の旅館・その他宿泊所と合体し、
「飲食店、宿泊業」となりました。
したがって、現時点で日本標準産業分類上、大分類レベルでサービス業と
言えるのは、次の2分類のみです。
・複合サービス業:郵便業、協同組合
・サービス業(他に分類されないもの):
専門サービス業(他に分類されないもの)、学術・開発研究機関、
洗濯・理容・美容・浴場業、娯楽、修理、リース、広告など
「情報通信業」「飲食店、宿泊業」「医療、福祉」「教育、学習支援」
を独立した大分類にするということは、日本の総務省の独創では
ありません。
むしろ日本の総務省が国際的な流れに追随したというのが実態です。
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[製造業の呪縛] 「サービス業→お客様は神様」を生み出す曖昧さ
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もちろん、今でも、「有形の物を生産する第一次および第二次産業」
に対する「無形のサービスを供給する第三次産業」という概念は
存在します。
したがって、「ソフトウェア業は第三次産業だ」あるいは
「ソフトウェア業はサービスを供給する産業だからサービス業だ」という
言葉自体は、間違いではありません。
実際にソフトウェア業は情報通信業の中の小分類では「情報サービス業」
に分類されています。
しかし、「第三次産業」「サービスを供給する産業」という概念が
あまりにも広すぎるので、「これはこういう意味で言っているんだ」
と説明しないと、イメージだけの無意味な言葉になってしまいます。
「ソフトウェア業はサービス業だ。サービス業ではお客様は神様だ。
だから、無理難題を何でもきけ」という乱暴な三段論法を展開する
人も出てきてしまうのです。
レイモンド氏も「魔法のおなべ」で「ソフトウェア業はサービス産業だ」
と言っています。
この言葉の意味するところは「ソフトウェア業を工場モデルで考えては
いけない」ということです。
そして、それを根拠にして、レイモンド氏は、ソフトウェア業界で
現実に起きている流れを説明し、未来を示唆しています。
> Red Hat をはじめとする Linux ディストリビュータがやっているのは、
> こういうことだ。かれらが実際に売っているのは、ビット自体という
> 意味でのソフトではない。
> ちゃんとうごく OS を組み立てて試験することによる付加価値なんだ。
> (エリック.S.レイモンド著「魔法のおなべ」より)
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[製造業の呪縛] 次回以降の予告
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次号以降は次のようなテーマで書く予定です。
・オープンソース時代のソフトウェア会社のあり方
・製造を外注した場合のソフトウェア会社のあり方
・ソフトウェア全体を外注するサービス会社のあり方
次号は、12月19日発行予定です。
乞うご期待!!
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