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November 2005

November 28, 2005

請負開発の納品プログラムは「製品」ではない

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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第103号 2005/11/28
▼ まえがき
▼ [製造業の呪縛] エリック・レイモンド著「魔法のおなべ」
▼ [製造業の呪縛] 「インハウス開発」とは
▼ [製造業の呪縛] インハウス開発が多いのは、米国も同じ
▼ [製造業の呪縛] 請負開発の納品プログラムは「製品」ではない
▼ [製造業の呪縛] パッケージソフト会社は何を売っているのか?
▼ [製造業の呪縛] 次回以降の予告


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まえがき:新シリーズ開始
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こんにちは、蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

・第102号から「製造業の呪縛」シリーズを連載しています。

・第102号ではシリーズ名を「製造業かサービス業か」としていましたが、
 「製造業の呪縛」と改名します。

・「製造業の呪縛」シリーズを最初から読みたい方は、
 http://www.kei-it.com/sailing/back_maker_service.html 
 を参照してください。

・バックナンバーはブログでも公開しています。
 ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/

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[製造業の呪縛] エリック・レイモンド著「魔法のおなべ」
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エリック・レイモンド氏はオープンソース運動の理論的な指導者です。

1998年に「伽藍とバザール」という有名な論文を書きました。
「Linuxはブルックスの法則(遅延したプロジェクトへの要員追加は、
さらなる遅れをもたらす)を打ち破った」と主張している論文で、
非常に面白いので、そのうち本メルマガでも解説します。

下記URLから、原文と山形浩生氏の翻訳版がリンクされています。
http://cruel.org/freeware/cathedral.html


次いで、エリック・レイモンド氏は1999年に、「魔法のおなべ」
という論文を書きました。
やはり、オープンソースについての論文ですが、「伽藍とバザール」が
開発方法論的な観点から論じているのに対し、「魔法のおなべ」は
経済学的な観点から論じています。

下記URLから、原文と山形浩生氏の翻訳版がリンクされています。
http://cruel.org/freeware/magicpot.html


本メルマガの「製造業の呪縛」シリーズは「魔法のおなべ」を参考に
しています。

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[製造業の呪縛] 「インハウス開発」とは
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今から20年前、世界中のプログラムの90%は汎用機COBOLで書かれて
いました。業種的には、ほとんどが銀行や保険会社などの金融系でした。
そしてそれらのプログラムは、ユーザが社内開発していました。
(社内開発には、システム開発受託会社への下請けも含まれます。)

その後、流通、製造などあらゆる産業でコンピュータが使用される
ようになりました。
現在では、自動車もパチンコもマイクロチップで制御されています。

しかし、そこで動くプログラムの開発は、ユーザが社内開発する、
または、それをシステム開発受託会社に下請けして開発するという
点については、全く変わりがありません。

これらの開発は、「インハウス開発」あるいは「カスタム開発」と
呼ばれます。


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[製造業の呪縛] インハウス開発が多いのは、米国も同じ
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インハウス開発は、それが使われる環境と密に統合されています。
ここで言う「環境」とは、業務系では、業務のやり方、社内組織、
既存システムなどですし、制御系では、そのソフトウェアが組み
込まれるハードウェア・ソフトウェア環境です。

インハウス開発は環境と密に統合されているが故に、再利用が難しく、
また、環境が変わるにつれて、ソフトウェアをそれに適合させるために、
たえず様々な作業が継続的に必要になってきます。
この作業を「メンテナンス」と呼びます。

米国は日本に比べてパッケージ利用率が高いと言われます。
そして、「日本のシステム開発はインハウス開発が多いからダメなんだ」
と言われます。

しかし、インハウス開発が多いのは、米国でも同じです。


> これは「メンテナンス」と呼ばれていて、どんなソフトエンジニア
> でもシステムアナリストでも、これがプログラマの賃金の大部分
> (75% 以上)を占める点には同意するはずだ。
> そしてこれにともなって、ほとんどのプログラマの労働時間が
> 割かれるのは(そしてプログラマの給料の大部分を占めるのは)、
> まったく販売価値のないインハウスのコーディングやメンテナンス
> だということになる。
>        (Eric S. Raymond 著「魔法のおなべ」より)

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[製造業の呪縛] 請負開発の納品プログラムは「製品」ではない
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システム開発受託会社がインハウス開発を請負う場合、確かに
「もの作り」はします。

しかし、他に転用できない特注品を作っているのです。

ネジや歯車などの工業製品は、規格に合っていれば、様々な用途に
使用されます。だから大量生産に意味があるのです。
しかし、インハウス開発プログラムの複製には、販売価値どころか
利用価値もありません。
セブンイレブンのPOSシステムをコピーしても、ローソンでは使えない
のです。


住宅でも衣類でも、中古市場が形成されるのは、他に転用できる
からです。
しかし、インハウス開発プログラムの中古市場など考えられません。
中古住宅にも古着にも販売価値はありますが、インハウス開発
プログラムには販売価値はないのです。

請負開発の納品プログラムは、「市場で販売できない」という意味で
「商品」でも「製品」でもありません。
請負開発会社は「提示された仕様のプログラムを作成する」という
サービスを販売しているのです。

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[製造業の呪縛] パッケージソフト会社は何を売っているのか?
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それでは、多くの複製が作られ、パッケージ化され販売されるプログラムは
「製品」でしょうか?
パッケージソフト会社は、商品を販売しているのでしょうか?
それとも、サービスを販売しているのでしょうか?

一般には、商品を販売していると考えられています。

しかし、Raymond氏は「魔法のおなべ」で、パッケージソフトに関して、
「消費者が支払う価格の上限は、そのベンダのサービスの期待将来価値
である」と述べています。


面白い見解なので、次号でこの点について解説します。

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[製造業の呪縛] 次回以降の予告
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次号以降は次のようなテーマで書く予定です。

・パッケージソフト会社は何を販売しているのか?
・オープンソース時代のソフトウェア会社のあり方
・製造を外注した場合のソフトウェア会社のあり方
・ソフトウェア全体を外注するサービス会社のあり方

付け足しとして
・日本標準産業分類(平成14年3月改訂)ではソフトウェア会社は
「サービス業」ではなくなっている。


次号は、12月5日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、
目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は平成17年11月27日現在、448名です。


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November 21, 2005

ソフトウェア産業は製造業かサービス業か

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第102号 2005/11/21
▼ まえがき:新シリーズ開始
▼ [製造業かサービス業か] 本シリーズで書きたいこと
▼ [製造業かサービス業か] 上司が部下に言う定番の一つ
▼ [製造業かサービス業か] 違いは「商品の有無」
▼ [製造業かサービス業か] 注文住宅を建てる工務店もサービス業?
▼ [製造業かサービス業か] 「製造業である」という主張も健在
▼ [製造業かサービス業か] 次回以降の予告


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まえがき:新シリーズ開始
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こんにちは、蒲生嘉達(がもう よしさと)です。


第101号( http://www.kei-it.com/sailing/101-051114.html )で
次の予告をしました。


> 米国のソフトウェア会社が、それもPC系ソフトウェア会社に限って、
> 儲かっているか否かに関わらず、自社のソフトウェアを減価償却
> しないのなら、このことはもっと本質的で重大な問題を含んでいる
> のではないでしょうか?
>
> 「ソフトウェアの価値をどのように考えるのか」という問題を・・・。
>
> 次号以降で、「ソフトウェアの価値とは何か?」というテーマにまで
> 踏み込みます。


これは非常に大きなテーマなので、新シリーズ「製造業かサービス業か」を
立ち上げます。


「ソフトウェア振替という麻薬」シリーズでは、まだ、「資本金」
「増資」「新会社法の1円起業」などについて書きたいことが残って
いますが、しばらくお休みします。

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[製造業かサービス業か] 本シリーズで書きたいこと
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「製造業かサービス業か」シリーズでは、次のようなことを書く予定です。

(1)「ソフトウェア産業は製造業である」という主張も健在。

(2)パッケージソフトは製造業かサービス業か?

(3)米国ですら、プログラマの給料はパッケージの販売価格で
   決まっていない。

(4)デルはPC製造ですら、流通業、サービス業に変えた。

(5)広告が主たる収入源になる時代のソフトウェア会社の姿。

(6)オープンソース(つまり製造が無料の世界)との関係。

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[製造業かサービス業か] 上司が部下に言う定番の一つ
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「君たちはソフトウェア産業は製造業だと思っているだろうが、
本当はサービス業なんだよ。」

私がこの業界に入った20数年前から、この言葉は、上司が部下に言う
言葉の定番の一つでした。

この場合、上司が言いたいことは次のようなことです。

・顧客満足が目的であって、良いプログラムを作ること自体が目的ではない。
・顧客とのコミュニケーションを大切にしなければならない。
・オタクっぽいマニアックなプログラマではなく、ビジネスマンであれ。
・自己満足的な職人芸の追求に走ってはいけない。


しかし、これらは、サービス業であるが故の要請でしょうか?
製造業なら、顧客満足を軽視してもよいのでしょうか?
製造業なら、自己満足的な職人芸に走ってもよいのでしょうか?


「顧客満足が目的」という点では、製造業もサービス業も同じはずです。
街角の理髪店でも、松下電器やトヨタのようなメーカーも消費者の満足
がなければ成り立ちません。

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[製造業かサービス業か] 違いは「商品の有無」
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製造業とサービス業の違いは、「顧客満足を目的とするか否か」ではなく、
「商品の有無」です。

例えば、我々が自動車を買う場合、顧客が買うものは、自動車という
商品が主で、付随するサービスは従です。
自動車そのものに商品価値があり、その自動車を買った人はそれを
中古市場で売ることもできます。

一方、理髪店は髪を切るというサービスで対価を得ているのであり、
納品物はありません。

納品物があるサービス業もあります。
例えば、調査を依頼された探偵は、最終的には報告書や証拠写真を
納品物とするでしょう。
しかし、それらには顧客にとっての(調査対象の相手を問い詰める際の)
「利用価値」はありますが、商品としての「販売価値」はありません。

また、調査結果は「分かりませんでした」となることもあり得ます。
しかし、その場合でも、利用者は調査というサービスに金を払います。
最初から調査結果の仕様があるわけではないからです。

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[製造業かサービス業か] 注文住宅を建てる工務店もサービス業?
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「ソフトウェア産業は製造業ではなく、サービス業である」という主張は、
コンサルタントがコンサルタント契約によって調査やアドバイスをする場合、
ネットワークエンジニアやプログラマが準委任契約で常駐作業をする場合
には、異論はないでしょう。

しかし、システム請負開発の場合は、それほど自明ではありません。

サービス業派は次のように言うでしょう。
「システム請負開発の仕事とは、顧客のニーズを汲み出し、顧客と
相談しながら仕様を詰め、実装し、納品後はメンテナンスするという
一連の作業です。
この複雑で多岐にわたる作業の中で、納品プログラムが占める割合は
大きなものではありません。」

しかし、これに対しては、次の反論が考えられます。

「例えば、注文住宅を建てる工務店もオーダーメイドの仕立屋も、
顧客のニーズを汲み出し、顧客と相談しながら仕様を詰め、実装し、
納品後はメンテナンスしています。
それらも、みんなサービス業なんですか?」


経済学では、商品としての販売価値のあるものを消費財と呼び、
道具として利用価値のあるものを中間財と呼びます。

注文住宅を供給する工務店も、オーダーメイドの仕立屋も、
システム請負開発会社も、契約当時に仕様が存在した中間財を
製造して納品しています。

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[製造業かサービス業か] 「製造業である」という主張も健在
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「我々は中間財の製造という『モノ作り』に責任と誇りを持っている。
だから、製造業なんだ」という主張は十分に成り立ち得ます。

例えば、インターネットで検索すれば、下記のような記事が幾つも
出てきます。


・日本総合システム株式会社のホームページより
> 当社はソフトウェア業界で「真の物創りのできる企業」として確固たる
> 地位を占めることを目指しています。一般にはソフトウェア産業は
> サービス業と言われますが,当社は製造業と考えています。
> ( http://saiyou.nssys.co.jp/html/gyoumu-annai.html


・「硬派のホームページ」より
> ソフト産業も、製造業と同じはず。確かに、メーカに属していない
> ソフト開発組織の場合は、産業分類では、サービス業に分類される。
> だが、「もの作り」であることには変わりはない。
> ソフトウェアの設計や開発は、どう見ても「サービス業」ではおかしい。
> 部品のチップや歯車を作るのは製造業で、同じように部品の一つである
> 「ROM」チップに納まるソフトを作る会社(組織)が「サービス業」
> というのはおかしい。
> 製造業であるのなら、製造技術を競う必要がある。
> 製造業でやって来たように、ソフト産業でもそれをやればよい。
> ( http://homepage3.nifty.com/koha_hp/Else/Head0207.html )

 
これらの堂々たる主張にサービス業派は、果たして反論できるでしょうか?

また、パッケージソフトウェア会社は中間財ではなく、消費財を
売っています。
「パッケージソフトウェア会社は製造業ですか?それとも、
サービス業ですか?」という質問に、サービス業派は答えられる
でしょうか?

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[製造業かサービス業か] 次回以降の予告
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次号以降は次のようなテーマで書く予定です。

・製造業派への反論。
・パッケージソフトは製造業かサービス業か?
・米国ですら、プログラマの給料はパッケージの販売価格で決まっていない。


次号は、11月28日発行予定です。

乞うご期待!!

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November 14, 2005

マイクロソフトはWindowsを資産計上していない

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第101号 2005/11/14
▼ まえがき
▼ [ソフトウェア振替という麻薬] MSはWindowsを資産としていない
▼ [ソフトウェア振替という麻薬] 負債を手に入れ、資産だと思いこむ
▼ [ソフトウェア振替という麻薬] クリンジリーの言葉
▼ [ソフトウェア振替という麻薬] 米国ソフト会社が減価償却しない理由
▼ [ソフトウェア振替という麻薬] ソフトウェアの価値とは何か?
▼ [ソフトウェア振替という麻薬] 次回以降の予告


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まえがき
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こんにちは、蒲生嘉達(がもう よしさと)です。


・第97号から「ソフトウェア振替という麻薬」シリーズを連載しています。

・「ソフトウェア振替という麻薬」シリーズを最初から読みたい方は、
 http://www.kei-it.com/sailing/back_furikae.html を参照してください。

・バックナンバーはブログでも公開しています。
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[ソフトウェア振替という麻薬] MSはWindowsを資産としていない
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先週号では、倒産したベンチャー企業F社の貸借対照表を紹介しました。
その貸借対照表では、資産合計5,001万円の中でソフトウェアが
2,005万円を占めていました。

F社は極端な例ですが、日本のソフトウェア会社の多くは、自社開発
したパッケージ製品、ASPサービスのシステムを資産として扱っています。
例えば、第99号では、NRIが平成16年度の決算で173億円の
ソフトウェアを資産としていることを記しました。
( http://www.kei-it.com/sailing/99-051031.html「大手ソフト会社の『ソフトウェア』」参照)


ここで、読者は次のように考えるのではないでしょうか?
「NRIですら173億円のソフトウェア資産を持っているのだから、
世界最大のパッケージ会社であるマイクロソフトの貸借対照表には
莫大な金額のソフトウェア資産が存在するのだろう。」

ところが、実は、マイクロソフトの貸借対照表にはソフトウェアは
資産として計上されていないのです。

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[ソフトウェア振替という麻薬] 負債を手に入れ、資産だと思いこむ
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> 資産は私のポケットにお金を入れてくれる
> 負債は私のポケットからお金をとっていく
> ( ロバート・キヨサキ著「金持ち父さん、貧乏父さん」 より)

MS WindowsやMS Officeはマイクロソフトのポケットに毎日、大金を
注ぎ込んでくれます。したがって、本当の資産です。

一方、日本のソフトウェア会社のソフトウェア資産は、毎年、
減価償却費として、会計上の利益を減らすだけでなく、その開発費に
使った借入れの返済として、毎月、自社の口座から現金を流出させます。
つまり、偽物の資産です。

本当の資産は資産として扱われず、偽物の資産が資産として扱われて
いるのです。

ここで、「金持ち父さん、貧乏父さん」 の次の言葉が頭をよぎります。

「金持ちは資産を手に入れる。中流以下の人たちは負債を手に入れ、
資産だと思いこむ。」

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[ソフトウェア振替という麻薬] クリンジリーの言葉
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私は、マイクロソフトの貸借対照表を実際に見たわけではありません。
インターネットで探したら入手できるかもしれませんが、英文の
財務諸表は私も読みこなせません。

私が「マイクロソフトは自社のソフトウェアを資産として扱っていない」
と考える根拠は、ロバート・X・クリンジリー著「コンピュータ帝国の興亡」
中の次の記述です。

> コンピュータ会社は金の出入りの管理には積極的だが、一般的に
> 税金の計算にはきわめて保守的な態度をとる。
> たとえば、パーソナルコンピュータのソフトウェア会社のほとんどが、
> 自社のソフトウェアを減価償却しないのだ。
> 彼らは、ソフトウェアには資産価値がまったくないようなフリを
> するのである。
> IBMは帳簿上、ソフトウェアの減価償却費として20億ドル以上を
> 計上している。だがマイクロソフトは、MS-DOSにもほかの製品にも
> まったく減価償却費を計上していない。
> もしマイクロソフトがIBMのような方法で会計処理すれば、
> いまのままでいっさいの変更をせずに収入を倍増できるだろう。
> ウォール・ストリートがマイクロソフト株を愛している理由は、
> そこにある。


1992年に書かれた本ですが、ソフトウェアの減価償却に対する、
会社としての基本的な考え方に関するものなので、現在でも事情は
ほとんど変わらないでしょう。

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[ソフトウェア振替という麻薬] 米国ソフト会社が減価償却しない理由
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では、何故、米国のソフトウェア会社はソフトウェアを減価償却
しないのでしょうか?

一つは税金面でメリットがないことが考えられます。

第99号( http://www.kei-it.com/sailing/99-051031.html 参照)で、
私は次のように書きました。

> ソフトウェア振替には非常に大きなメリットがあります。
> もしもこれが無ければ、パッケージの開発をした年度は大幅な赤字に
> なってしまいます。
> また、次の年度でパッケージが売れて大きな利益が出た場合は、
> 納税額も膨らんでしまいます。


しかし、これは、日本のソフトウェア会社の次のような事情を前提
とした話です。
・銀行からの借入れが多く、銀行からの評価を気にしなければならず、
 そのため、営業利益を赤字にできない。
・しかし、利益率が低いため、投資をするとすぐに営業利益が赤字に
 なってしまう。

そのため、経費を減価償却費として繰り延べせざるを得ないのです。

一方、とほうもない利益を上げているマイクロソフトは減価償却して
会計上の利益を増やしても、納税額が増えるだけで、何のメリットも
ないのでしょう。

また、自己資本で運営しているので、銀行の評価など気にする必要は
ありません。
巨額の投資によって、万が一、営業利益が赤字になったとしても、
将来儲かる根拠のある赤字なら困らないのです。

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[ソフトウェア振替という麻薬] ソフトウェアの価値とは何か?
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しかし、「儲かっているから税金面でのメリットがない」という説明
だけでは、不十分です。

クリンジリーは「パーソナルコンピュータのソフトウェア会社の
ほとんどが、自社のソフトウェアを減価償却しない」と言っています。
「儲かっているソフトウェア会社は、自社のソフトウェアを減価償却
しない」と言っているわけではありません。

また、クリンジリーも言っているとおり、米国でもIBMのように、
ソフトウェアもやっているハードウェアメーカーは、ソフトウェアの
減価償却費を計上しています。

米国のソフトウェア会社が、それもPC系ソフトウェア会社に限って、
儲かっているか否かに関わらず、自社のソフトウェアを減価償却
しないのなら、このことはもっと本質的で重大な問題を含んでいる
のではないでしょうか?

「ソフトウェアの価値をどのように考えるのか」という問題を・・・。


次号以降で、「ソフトウェアの価値とは何か?」というテーマにまで
踏み込みます。

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[ソフトウェア振替という麻薬] 次回以降の予告
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次号以降は次のようなテーマで書く予定です。

・ソフトウェアの価値とは何か?


次号は、11月21日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、
目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は平成17年11月12日現在、437名です。


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November 07, 2005

倒産したベンチャーの貸借対照表

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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第100号 2005/11/07
▼ まえがき
▼ [ソフトウェア振替という麻薬] 倒産した某ベンチャー企業
▼ [ソフトウェア振替という麻薬] 某ベンチャーの貸借対照表
▼ [ソフトウェア振替という麻薬] 資産の40%がソフトウェア
▼ [ソフトウェア振替という麻薬] 資本金ではなく純資産で判断すべき
▼ [ソフトウェア振替という麻薬] 次回以降の予告


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まえがき
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こんにちは、蒲生嘉達(がもう よしさと)です。


・第97号から「ソフトウェア振替という麻薬」シリーズを連載しています。

・「ソフトウェア振替という麻薬」シリーズを最初から読みたい方は、
 http://www.kei-it.com/sailing/back_furikae.html を参照してください。

・バックナンバーはブログでも公開しています。
 ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/

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[ソフトウェア振替という麻薬] 倒産した某ベンチャー
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慶は平成13年9月から平成14年8月にかけて、継続的に、某ビジネス
モデル系ベンチャー企業(以下F社と呼びます)からシステム請負開発
を受注しました。
内容はF社が提供する予定の新サービスの開発でした。

平成14年3月までに約2,000万円を受注し、それについては全額支払われ
ましたが、平成14年4月以降は支払いが遅れたり、口頭では注文して
おきながら、正式な注文書の発行が遅れたりするようになってきました。

詳しい経緯は省きますが、平成14年9月にF社のS社長が行方をくらまし、
F社は事実上倒産しました。
そのため、慶はかなりの額の貸し倒れ損失を蒙りました。

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[ソフトウェア振替という麻薬] 某ベンチャーの貸借対照表
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そのすったもんだの過程で、私は平成14年5月末のF社の貸借対照表を
入手しました。
それを若干簡略化したものを http://www.kei-it.com/sailing/pdf/100fb1.pdf
に示します。

資本金は5,000万円ですが、剰余金が-5,242万円なので、資本合計は
242万円のマイナスになっています。

それを埋めるために、借入れが膨らんでいます。
一年以内返済予定長期借入金が840万円、長期借入金1,090万円、
さらに役員短期借入金が3,078万円あります。

銀行からの融資ではなく「役員短期借入金」となっていることから、
親戚・知人から金を借り、さらには金利の高い金融業者(いわゆる街金)
から個人で借りているF社のS社長の姿が浮かび上がってきます。

貸借対照表の数字もこのようにひどいものでしたが、S社長は
「他に帳簿に付けていない4,000万円の借入がある」と言っていました
から、実態はもっと悲惨でした。

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[ソフトウェア振替という麻薬] 資産の40%がソフトウェア
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さらに注目すべきことは、資産合計5,001万円の中で、ソフトウェアが
2,005万円も占めているということです。
資産合計の40%に当たります。
そのソフトウェアの大半は慶が請負ったシステムです。

もしもソフトウェアを資産に計上しなければ、F社の貸借対照表は
http://www.kei-it.com/sailing/pdf/100fb2.pdf
のようになります。

資本合計は-2,247万円となり、資産合計は2,995万円に減ります。
これではあまりにも体裁が悪いので、F社はソフトウェアを資産
として計上したのでしょう。

多くの人が「資本金5,000万円、資産合計5,001万円」という
立派な外見と、S社長の夢を追いかけるような姿勢に騙されました。

それでも、そのソフトウェア資産が本当に利益を生み出すもの
だったら、まだ救いようがあります。
しかし、F社を含め、ほとんどのビジネスモデル系ベンチャーの
ソフトウェア資産は利益を生み出せません。

また、仮に多少利益を生み出せたとしても、そのソフトウェア資産の
耐用年数は非常に短いのです。
ビジネスモデル系ソフトウェアの耐用年数は、アイデアの耐用年数
だからです。1年もたてば時代遅れになってしまいます。

その一方で毎年、減価償却費が経費を膨らませます。
「減価償却費は会計上の数字に過ぎない、実際に金は出て行かない」
ということは、半分は正しいのですが、半分は間違えています。
自己資金で開発したならそのとおりですが、実際には開発するために
多額の借金をしているのですから、減価償却費に近い金額の現金が
借入れ返済のためにどんどん流出していくのです。

貸借対照表の科目で言うなら、負債と現金預金が毎月減っていきます。

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[ソフトウェア振替という麻薬] 資本金ではなく純資産で判断すべき
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F社事件から、会社を資本金で判断してはならないということが
分かります。
純資産(資本合計のこと)で判断すべきです。

F社は資本金5,000万円でしたが、純資産は-242万円でした。

また、資産の中でソフトウェア資産が大きい会社(特にビジネスモデル系
ベンチャー)はその部分を引いて見なければ財務の実態はつかめません。

F社の純資産はソフトウェア資産を引くと、-2,247万円となりました。

しかし、資本金はどの会社も公開していますが、純資産やソフトウェア
資産は公開していません。
そのため、実態は資金ショート寸前の会社も外見は立派に見える
ことがあります。

一見好調だったビジネスモデル系ベンチャーが、突然倒産したり、
大企業に身売りしたりする理由はここにあります。

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[ソフトウェア振替という麻薬] 次回以降の予告
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次号以降は次のようなテーマで書く予定です。

・米国ソフト会社は減価償却しない
・資本金
・増資


次号は、11月14日発行予定です。

乞うご期待!!

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目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は平成17年10月30日現在、436名です。


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