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September 12, 2005

昇給は絶対評価?相対評価?

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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第92号 2005/09/12
▼ まえがき
▼ [賃金決定の仕組み] 昇給評価は絶対評価か?相対評価か?
▼ [賃金決定の仕組み] 建前は絶対評価、でも、何となく相対評価
▼ [賃金決定の仕組み] 定期昇給の目的は会社全体の業績向上
▼ [賃金決定の仕組み] 競争が目的なので、相対評価
▼ [賃金決定の仕組み] 次回以降の予告


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まえがき
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こんにちは、蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

第86号から成果主義型賃金制度をテーマとしています。
このテーマはあと数回続きそうなので、また、一旦終了しても、
断続的に続きそうなので、「永久運動の設計」シリーズから独立させて
「賃金決定の仕組み」シリーズとしました。

「賃金決定の仕組み」シリーズを最初から読みたい方は、
http://www.kei-it.com/sailing/back_salary.html を参照してください。

バックナンバーはブログでも公開しています。
ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/
コメント、トラックバック、大歓迎です。

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[賃金決定の仕組み] 昇給評価は絶対評価か?相対評価か?
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第90号、第91号では、高橋伸夫著「虚妄の成果主義」を参考にして
根本的な話をしました。


今週号からはより具体的な問題について考えてみます。

例えば、社員から下記の質問を受けたら、経営者や人事責任者は明確に
答えられるでしょうか?

【質問1】
昇給評価は絶対評価ですか?それとも相対評価ですか?

【質問2】
管理職手当って何ですか?
責任が重いから手当が付くんですか?
でも、責任が重いから基本給が高いんでしょう。
あえて手当にする理由は何ですか?
たまにポケットマネーでおごるから手当が付くんですか?

【質問3】
ポストが限られているから、長年真面目に働いても、全員課長に
なれるわけではないですよね。
たとえ課長に昇進できなくても、せめて昇格できる職能資格制度
の方がよいのではないでしょうか?
(職能資格制度については、http://www.kei-it.com/sailing/89-050822.html 参照)

【質問4】
評価の要素となっている「能力」「成果」「やる気」「プロセス」等
について明確に説明してください。


今週号では「質問1」について考えます。


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[賃金決定の仕組み] 建前は絶対評価、でも、何となく相対評価
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職能資格制度も目標管理制度も建前では絶対評価です。
職能資格制度の場合、職能要件定義に規定されている要件を満たせば、
全員、昇格します。それによって、昇給します。
目標管理制度では、目標を達成した人は全員が高い評価を受けます。

評価をABCの3段階評価とすると、ABCの割合、つまり定員が
決まっていないのです。

しかし、読者の中で管理職として部下の昇給評価をした人ならお分かり
でしょうが、ほとんどの会社では、建前は絶対評価ですが、実際には
相対評価をやっています。
それも、建前は絶対評価なので、ABCの割合を明確にした相対評価
ではなく、何となく全体のバランスとって、何となく相対評価を
しています。
それでいて誰も「相対評価が正しい」とは言いません。

成果主義を標榜している会社でも、そのほとんどが、「建前は絶対評価、
実態は何となく相対評価」です。

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[賃金決定の仕組み] 定期昇給の目的は会社全体の業績向上
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私が「デフレに克つ給料・人事」(蒔田照幸著 文春新書)が面白いと
思った理由の一つは、はっきりと「昇給評価は相対評価でやるべきだ」
と断言している点です。

同書では「原則3段階で等級別にA評価が25%、B評価が55%、C評価は20%。
そして特に突出して優れた成績を残した者はS評価、全然仕事がダメで
あった者はD評価」と比率も明示しています。
(「A評価が20%、B評価が60%、C評価は20%」でない理由もあるのですが、
それは本メルマガでは割愛します。)


蒔田氏は、一方で、「賞与は成績評価直結型の各人別配分式でやるべきだ」
とも言っています。
賞与の本質は「利益の分配」だからです。

それに対し、定期昇給の目的は「利益の分配」というよりも、
「会社全体の業績向上」だと、蒔田氏は主張します。

> 定期昇給をする最終的な目的は、会社の業績向上のため、つまり会社が
> 儲けるためなのである。
>          「デフレに克つ給料・人事」(蒔田照幸著)より


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[賃金決定の仕組み] 競争が目的なので、相対評価
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なぜ、定期昇給が「会社全体の業績向上の仕組み」なのでしょうか?

定期昇給における各評価は、会社から社員に発せられた次のような
激励メッセージです。

 S評価:この次もS評価になるように頑張ってほしい。
 A評価:良い成績だったけれどS評価者もいる。ここを伸ばしてさらに
     頑張ってほしい。
 B評価、C評価:来期はここを直してA評価をとれ
 D評価:死に物狂いで頑張って、せめてB評価をとってほしい

この激励と競争の仕組みがうまく機能するためには、下記が前提と
なります。

・定期昇給は毎年やる。
・たとえD評価者であっても若年層はほんの少し昇給させる。
・S評価者は他の評価者よりもUPするが、その幅は極端に大きくはない。

そして、競争が目的なので、相対評価なのです。


読者はここまで読んで、第90号で言及した、「虚妄の成果主義」で
紹介されている実話を思い出さないでしょうか?
ある年に、給料に数百円の違いをつけられて、一方は自分の方が
評価されていると張り切り、他方はあいつには負けれないと頑張り、
二人して出世街道をばく進し、同時に取締役になった時点で給料が
同じになったという話です。
( http://www.kei-it.com/sailing/91-050905.html 参照)


蒔田氏は「年功型」を批判し、「実力主義給料」を提唱していますが、
日本型年功制の良い部分は、それをより明確化して受け継いでいると
言えます。


慶のスタッフ部門の定期昇給も基本はこの方針でいくべきだと思います。

但し、技術部門は少し違います。
この点については、次号以降で説明します。

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[賃金決定の仕組み] 次回以降の予告
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次号は次のようなテーマで書く予定です。

・年俸制とは何か?
・責任等級制度とは何か?
・成果主義とは何か?
・ソフトウェア会社と成果主義

次号は、9月19日発行予定です。

乞うご期待!!

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