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August 2005

August 29, 2005

人事の基本指針

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第90号 2005/08/29
▼ まえがき
▼ [賃金決定の仕組み] 給与は動機づけの中心ではない
▼ [賃金決定の仕組み] 人事面での基本的な指針
▼ [賃金決定の仕組み] 個人事業主と整合性のある人事システム
▼ [賃金決定の仕組み] スタッフ部門に最適の賃金制度
▼ [賃金決定の仕組み] 次回以降の予告


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まえがき
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こんにちは、蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

第86号から成果主義型賃金制度をテーマとしています。
このテーマはあと数回続きそうなので、また、一旦終了しても、
断続的に続きそうなので、「永久運動の設計」シリーズから独立させて
「賃金決定の仕組み」シリーズとしました。

「賃金決定の仕組み」シリーズを最初から読みたい方は、
http://www.kei-it.com/sailing/back_salary.html を参照してください。


最近、賃金制度関係で下記の3冊の本を読みました。

(1)虚妄の成果主義 高橋伸夫著 日経BP社
(2)リストラと能力主義 森本卓郎 講談社現代新書
(3)デフレに克つ給料・人事 蒔田照幸著 文春新書

3冊とも非常に参考になりました。
今週号ではこの3冊について少し詳しく書きます。


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[賃金決定の仕組み] 給与は動機づけの中心ではない
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「虚妄の成果主義」は極めて根本的な問題を扱っていました。

我々はついつい「給与や作業条件を良くすれば、職務満足度が高まり、
生産性も向上する」つまり「給与や作業条件が動機づけの中心である」と
考えてしまいます。

高橋伸夫氏はこれを真っ向から否定します。
給与や作業条件は欠勤・離職(参加の意思決定)とは密接に結びついて
いるが、生産性(生産の意思決定)や職務満足とは関連がないと主張します。
給与や作業条件は、「もっぱら職務不満足を予防するための環境的要因」
だと言うのです。

これは我々の日常的な観察と一致します。
「給料が低いから会社を辞めた」という話はよく聞きます。
そして、給料が高ければ確かに離職率は低下するでしょう。
しかし、給料の高い会社の人たちが職務に満足していて、生産性も高く、
創造性を発揮しているかというと必ずしもそうではありません。
現実にはその逆ケースの方も多いのです。

「仕事はつまらないが、給料はそこそこもらえるし、安定しているから
辞められない。仕事は会社から文句を言われない程度にやっている」
という話もよく聞きます。

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[賃金決定の仕組み] 人事面での基本的な指針
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では、何によって人は職務に満足し、生産性を高め、創造性を発揮する
のでしょうか?

高橋伸夫氏は、それは、自分が有能であるという感覚、自己決定度、
そして、将来への見通しであると言います。
そして、その証拠として、高橋伸夫氏は下記の質問に対する答えと
満足比率とがきれいな直線的関係を示したという調査結果を挙げています。

(1)トップの経営方針と自分の仕事との関係を考えながら仕事をしているか。
(2)上司からの権限委譲がなされているか。
(3)自分の意見が尊重されていると思うか。
(4)21世紀の自分の会社のあるべき姿を認識しているか。
(5)良いと思ったことは、周囲を説得する自信があるか。

上記5項目は、このまま、慶の(そして他のソフトウェア会社でも)
人事面での基本的な指針になり得るものです。

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[賃金決定の仕組み] 個人事業主と整合性のある人事システム
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一方「リストラと能力主義」は、「個人優先の人事制度」を説いている
本です。

全体の三分の一位が、近未来小説風になっています。

ある会社で人事部長と組合の委員長が話し合って、次々と人事制度を
改革していく物語ですが、最終局面で組合の委員長が「われわれを
個人事業主にしてください」と要望するストーリーになっています。

森本卓郎氏は「強い日本的雇用慣行の下で働いているサラリーマンには、
あまりに非現実的な極論に思えるかもしれないが、私は10年もしない
うちに、この物語が身近なものになると確信している」と言います。

ほとんどの人事・労務関係の本では、個人事業主は無視されます。
その中で、この本が「自由と自己責任の人事システムを追及していくと、
最後にたどりつくのは個人事業主である」と主張し、個人事業主について
きちんと考えていることは立派です。

下記のことを考慮すると、ソフトウェア会社の人事システムは、
個人事業主も含めた人事システム、個人事業主と整合性のある人事
システムであるべきです。
・プログラマは知的創造的職業である。
・ソフトウェア開発技術は企業横断的な職業能力である。
・上記と関連して、ソフトウェア業界は人材の流動性が高く、
 個人事業主が多い。


個人事業主の増加については、第83号「個人事業主とは」
( http://www.kei-it.com/sailing/83-050711.html )を参照してください。

また、個人事業主と整合性のある人事システムについては、第87号
「ICグループは吉本興業や大野事務所に学べ」「成果主義型正社員グループ」
( http://www.kei-it.com/sailing/87-050808.html )
を参照してください。

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[賃金決定の仕組み] スタッフ部門に最適の賃金制度
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3番目の本「デフレに克つ給料・人事」で蒔田照幸氏が推奨している
賃金制度は「責任等級制度」です。

「責任等級制度」は「職能資格制度」(第88号、第89号参照)から曖昧さを
排除し、成果主義的要素を強めた制度です。
それでいて、「虚妄の成果主義」で高橋伸夫氏が主張している
長期雇用の良さを引き出しています。

プログラマのように企業横断的な職業能力ではなく、企業固有の職業能力が
求められるスタッフ部門には、これが最適の賃金制度だと思います。

詳細は次号以降でお話します。

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[賃金決定の仕組み] 次回以降の予告
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次号は次のようなテーマで書く予定です。

・責任等級制度とは何か?
・成果主義とは何か?
・ソフトウェア会社と成果主義

次号は、9月5日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、
目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は平成17年8月28日現在、429名です。


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August 22, 2005

職能資格制度のミソ

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第89号 2005/08/22
▼ まえがき(8/24セミナー残席あり)
▼ [賃金決定の仕組み] 職能資格制度のミソ:資格等級と職位の分離
▼ [賃金決定の仕組み] 職能資格制度の昇格が年功的である理由
▼ [賃金決定の仕組み] 賃金制度関係の3冊の本
▼ [賃金決定の仕組み] 責任等級制度
▼ [賃金決定の仕組み] 次回以降の予告


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まえがき(8/24セミナー残席あり)
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こんにちは、蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

第86号から成果主義型賃金制度をテーマとしています。
このテーマはあと数回続きそうなので、また、一旦終了しても、
断続的に続きそうなので、「永久運動の設計」シリーズから独立させて
「賃金決定の仕組み」シリーズとしました。

「賃金決定の仕組み」シリーズを最初から読みたい方は、
http://www.kei-it.com/sailing/back_salary.html を参照してください。


さて、第88号でお知らせしたとおり、慶が所属している業界団体
「羅針盤21」http://r-21.jp/ で、成果主義をテーマとした研修会を
行います。

【日時】8月24日水曜日13:30~17:00
【場所】トスラブ市ヶ谷アルファーロ
【テーマ】本当の意味での成果主義型報酬体系とは何か?
【講演会内容】
 13:30~14:00 導入(蒲生)
 14:00~15:00 講演(人事労務コンサルタント内藤講師)
 15:00~15:15 休憩
 15:15~16:00 講演(人事労務コンサルタント畑中講師)
 16:00~16:45 ディスカッション

会場を大きな会議室に変更したので、まだ5名ほど空きがあります。
本来は羅針盤21の会員しか出席できませんが、本メルマガの読者は
無料でご招待いたしますので、聴講を希望される方は
office@kei-ha.co.jp にメールでお申し込みください。

冒頭の30分で私が用語などの基礎知識を解説しますので、人事・給与に
詳しくない方でも十分に理解できるセミナーになると思います。

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[賃金決定の仕組み] 職能資格制度のミソ:資格等級と職位の分離
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第88号で解説した職能資格制度についてもう少し話します。

(1)職能資格ごとの基本給テーブル
職能資格制度では職能資格ごとに基本給テーブルがあります。
例えば社員1級には社員1級用の基本給テーブルがあり、社員1級の人は
そのテーブルの中で給料が上がっていきます。
そして、その社員が社員2級になるだけの能力を身に付けたと会社が
判断したときに、その社員は社員2級に昇格し、その後は社員2級用の
基本給テーブルにもとづいて給料が上がっていきます。

(2)等級の昇格は必ずしも昇進を約束しない
職能資格制度では、等級と職位とがある程度は関連付けられています。
例えば「係長は社員5級でなければなれない」などのように。

しかし、これは「社員5級になれば全員係長になれる」という意味では
ありません。ここが職能資格制度のミソです。

基本給テーブルが変わるのですから、賃金は資格等級に連動します。
そして、昇格のスピードが人によって違うとは言っても、後述のように
昇格は年功的に運用されやすいので、年配者の方が若者よりも賃金は
高くなります。
職能資格制度は賃金面では年功序列的なのです。

しかし、職能資格制度においては、資格等級(そしてそれに連動する賃金)と
職位とは直接的には連動しません。
等級の昇格は必ずしも職位の昇進を約束しないのです。
30歳で課長になる人もいれば、40歳で役職なしという人もいるのです。
職能資格制度は職位面では能力主義的なのです。

職能資格制度のこの二面性が下記の相反する要求を解決してきました。
・社員のニーズ:結婚したり子供ができたりすると必要となるお金が
        増えるので、50代前半までは定期昇給して欲しい。
・会社の事情:ポストには限りがあり、誰でも昇進させるわけにはいかない。

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[賃金決定の仕組み] 職能資格制度の昇格が年功的である理由
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職能資格制度の昇格が年功的である理由について、もう少し掘り下げて
みましょう。

(1)最低経過年数をベースに決められてしまう
先に「その社員が社員2級になるだけの能力を身に付けたと会社が
判断したときに、その社員は社員2級になり・・・」と書きました。

この判断は会社が固有に定めた職能要件定義を基準にして行われます。
職能要件定義には、例えば「営業職の○○資格等級では、○○の
仕事を任せられて、○○の能力が要求される」というようなことが
書かれています。

しかし、このような職能要件定義は抽象的な表現にならざるを得ないので、
実際には、それぞれの等級で定められている最低経過年数をベースに
決めてしまいます。それが唯一の数値的基準だからです。
成績の良い人は最低経過年数で昇格し、成績の悪い人はほんの少し
(1年~3年)遅れて昇格します。

(2)下げられない
また、職能給はその人の能力に対する賃金なので、成果が出たからと
言って急速に上げることができないかわりに、成果が出なかったからと
言って下げることもできません。
年齢給と同じく、基本的に下げられないのです。
したがって、これまでの日本企業は成果は賞与に反映させてきました。

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[賃金決定の仕組み] 賃金制度関係の3冊の本
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最近、賃金制度関係で下記の3冊の本を読みました。

(1)リストラと能力主義 森本卓郎 講談社現代新書
(2)虚妄の成果主義 高橋伸夫著 日経BP社
(3)デフレに克つ給料・人事 蒔田照幸著 文春新書


3冊とも非常に有益な本でした。

「リストラと能力主義」は、「年功制は製造業においては今後とも
重要な制度であり続けるであろうが、知的創造的職業では成果主義で
行かなければならない」というようなことを主張している本です。

一方、「虚妄の成果主義」は「成果に連動した賃金体系は、内発的
動機づけを低下させ、その結果として満足感を減少させてしまう。
また、基準をクリアするために働くようになり、ベストを尽くすことが
なくなる」と成果主義を徹底的に批判した本です。
高橋伸夫氏は職能資格制度に基づく年功制の復活を主張しています。

どちらが正しいのかは、次号以降に議論したいと思います。

残りのもう一冊、「デフレに克つ給料・人事」は上記の2冊とは趣の
違う本です。
上記2冊は学者が書いた本なのに対し、「デフレに克つ給料・人事」は
実際に多くの会社の賃金制度を設計してきたベテランコンサルタントが
書いた本なので、非常に具体的、実践的です。

蒔田照幸氏が強く推薦している制度は「責任等級制度」です。
私は「職能等級」「職務等級」は知っていましたが、「責任等級」という
言葉はこの本で初めて知りました。
しかし、Googleで「責任等級」で検索すると189,000件、「責任等級制度」
では77,000件ヒットするところを見ると、広く普及している制度のようです。

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[賃金決定の仕組み] 責任等級制度
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最近、私が立て続けに賃金関係の本を読んで研究している理由の一つは、
慶のスタッフ部門(事務・営業)の給与体系を見直したいからです。

現在、慶のスタッフ部門では独自の賃金テーブルがなく、技術職の
テーブルに無理やり当てはめて、賃金を決めています。

・スタッフ部門は人数が少なかった。
・会社として軌道に乗せることが先決だったので、ライン部門に比べて
 スタッフ部門の制度整備が遅れた。
・新卒が多かったので、まずは初任給にしておけばよかった。

などがその理由です。

しかし、それが限界に来ているので、スタッフ部門独自の給与体系を
早急に作ろうと思っています。

蒔田照幸氏が推薦している責任等級制度は慶(及び、他の中小ソフト会社)
のスタッフ部門の給与制度としては使えそうなので、次号で解説します。

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[賃金決定の仕組み] 次回以降の予告
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次号は次のようなテーマで書く予定です。

・責任等級制度とは何か?
・成果主義とは何か?
・ソフトウェア会社と成果主義

次号は、8月29日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、
目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

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ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は平成17年8月21日現在、424名です。


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August 15, 2005

職能資格制度

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第88号 2005/08/15
▼ まえがき
▼ [賃金決定の仕組み] 職能給って年次で決まるものなの?
▼ [賃金決定の仕組み] 年功制から職能資格制度へ
▼ [賃金決定の仕組み] 古典的な年功制、能力主義的な年功制
▼ [賃金決定の仕組み] 年功制+職能資格制度 vs. 成果主義
▼ [賃金決定の仕組み] 成果主義セミナー(無料招待できるかも)
▼ [賃金決定の仕組み] 次回以降の予告


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まえがき
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こんにちは、蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

第86号から成果主義型賃金制度をテーマとしています。
このテーマはあと数回続きそうなので、また、一旦終了しても、
断続的に続きそうなので、「永久運動の設計」シリーズから独立させて
「賃金決定の仕組み」シリーズとしました。

「賃金決定の仕組み」シリーズを最初から読みたい方は、
http://www.kei-it.com/sailing/back_salary.html を参照してください。

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[賃金決定の仕組み] 職能給って年次で決まるものなの?
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今後、社内開発の技術者、営業・管理などのスタッフの賃金決定の
仕組みについて考察していきます。

しかし、その前に、基本的な概念(年功制、能力主義、成果主義、
職能給、職務給など)を理論的に整理しておきましょう。


下記はAERA 2005年6月13日号「変種成果主義に負けない 漂流する
日本企業の制度」( http://www.asahi.com/job/special/TKY200506150203.html )
に出てくる文章です。

> 比嘉さんの勤める中堅メーカーは多くの日本企業と同様、年功序列型の
> 賃金制度だった。しかし、業績不振で会社は成果主義を採用。
> 年次で給料の決まる「職能給」から、ポストで賃金の決まる「職務給」へ
> 改定した。

この文章を読んで、読者は疑問に思わないでしょうか?

そもそも「職能給」って年次で決まるものなのですか?
年次で決まる「勤続給」に代わるものとして、能力で決まる「職能給」
が導入されたのではないのですか?
年功とは関係なしに能力を評価して処遇を決定するのが職能資格制度
ではないのですか?

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[賃金決定の仕組み] 年功制から職能資格制度へ
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日本の賃金制度の歴史を書いた本やホームページ(例えば、
http://www.progress-site.com/manage/02_06.html )では、年功制と
職能資格制度との関係は次のように解説されます。

 年功を基準にして賃金などの処遇を決めていくと、会社が飛躍的に
 成長している間は大きな問題にはならないが、会社の規模的な拡大が
 停滞すると、役職ポストも不足するし賃金もそれまでのように上昇
 させるわけにはいかなくなる。
 したがって、高度成長が終わりを告げた頃から、年功とは関係なしに
 能力を評価して処遇を決定する職能資格制度が広く浸透していくこと
 になった。

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[賃金決定の仕組み] 古典的な年功制、能力主義的な年功制
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高度成長時代の古典的な年功制では、賃金=年齢給+勤続給+役職手当
でした。今でも公務員はこの古典的な年功制です。
「勤続給」がある分、中途入社組が生え抜き組を追い抜かすことは
ありませんでした。


一方、職能資格制度では、賃金=年齢給+職能給+役職手当 となります。

ごく標準的な職能資格制度とは次のようなものです。

・主任、課長代理、課長、次長、部長 などの役職とは別に、社員の
 職能資格を決めます。
 例えば、社員1級、社員2級、・・・というように決めます。
 この等級区分は10段階前後が一般的です。

・等級が上がるための最低経過年数が定められています。
 例えば「社員1級から2級に上がるためには最低2年間は勤続しなければ
 ならない」など。

・また、役職と等級とはリンクされています。
 例えば「主任は社員5級でなければなれない」など。


職能資格制度は、実際の細かい制度設計と運用次第で、年功的にも
能力主義的にもなり得ます。

例えば、年齢給を完全には廃止しないケースもあります。
むしろその方が一般的で、例えば、年齢給4割、職能給6割というように
ブレンドされます。

年齢給を廃止せず、最低経過年数を長めにとり、役職と等級との
リンクを強めれば、職能資格制度は実質的には年功制に近くなります。

一方、年齢給を完全に廃止し、最低経過年数を短くし、役職と等級
とのリンクを緩めれば、急速な昇給、昇進も可能になり、能力主義的に
なります。

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[賃金決定の仕組み] 年功制+職能資格制度 vs. 成果主義
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高橋伸夫著「虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ」を7割位
読みました。

副題は「日本型年功制復活のススメ」ですが、高橋伸夫氏は、古典的な
硬直した年功制に返れと言っているわけではありません。

高橋伸夫氏が復活を主張している年功制は、職能資格制度によって
修正され、能力主義的に運用されている年功制です。
日本企業がオイルショックなどの危機に直面しながらも、逞しく乗り
越えていった時代の年功制です。

高橋伸夫氏にとっては、年功制、職能資格制度は同義語で、その反対語が
成果主義なのです。
最近は、高橋伸夫氏だけでなく、これがこれらの用語の一般的な使い方に
なっています。

論点が、「年功制vs.職能資格制度」から「職能資格制度によって
修正された年功制vs.成果主義」に変わったからです。


冒頭に紹介したAERAの記事で、「年功序列=職能給」であるかのように
書かれている理由はこのためです。

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[賃金決定の仕組み] 成果主義セミナー(無料招待できるかも)
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慶が所属している業界団体「羅針盤21」http://r-21.jp/ で、
成果主義をテーマとした研修会を行います。

【日時】8月24日水曜日13:30~17:00
【場所】市谷
【テーマ】本当の意味での成果主義型報酬体系とは何か?
【講演会内容】
 13:30~14:00 導入(蒲生)
 14:00~15:00 講演(人事労務コンサルタント内藤講師)
 15:00~15:15 休憩
 15:15~16:00 講演(人事労務コンサルタント畑中講師)
 16:00~16:45 ディスカッション


本来は羅針盤21の会員しか出席できませんが、席が空いていれば、
無料招待できるかもしれません。
希望者がいれば、理事長にお願いしてみますので、無料招待希望者は
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[賃金決定の仕組み] 次回以降の予告
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次号は次のようなテーマで書く予定です。

・成果主義とは何か?
・ソフトウェア会社と成果主義

次号は、8月22日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
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目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
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August 08, 2005

ICと成果主義型正社員

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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第87号 2005/08/08
▼ まえがき
▼ [永久運動の設計] 慶の事業部
▼ [永久運動の設計] ITサービス事業部
▼ [永久運動の設計] ICグループは吉本興業や大野事務所に学べ
▼ [永久運動の設計] ICグループの背後にあるもの
▼ [永久運動の設計] 成果主義型正社員グループ
▼ [永久運動の設計] 次回以降の予告(WEBシステム開発事業部・管理本部)


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まえがき
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こんにちは、蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

「永久運動の設計」シリーズは、ソフトウェア会社の最適な組織
について探っていくシリーズです。

「永久運動の設計」シリーズを最初から読みたい方は、
http://www.kei-it.com/sailing/back_forever.html を参照してください。

先週号から成果主義型賃金制度について考察しています。


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[永久運動の設計] 慶の事業部
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「まぐまぐ!」の読者のために簡単に慶の事業部について解説します。

下記URLの図は、2003年3月発行「ソフトウェア業界 航海術」の
「あとがき」に載せた慶の事業概要と方向性です。
http://www.kei-it.com/sailing/plan.html
2年以上経った現在でも基本的な構造はこの図のとおりです。

慶は他の多くのソフトウェア会社と同様に、請負開発と技術者派遣
(業務請負)を事業の二本柱としています。
そして前者はWebシステム開発事業部が、後者はITサービス事業部が
担当しています。

また、スタッフ部門として管理本部が存在し、営業、事務、経理などを
担当しています。

ちなみに、図の右下に「付加価値の高い人材コンサル系サービス」と
注記された矢印がありますが、これは2004年に人材コンサルティング
事業部 http://www.k-bank.jp として実現されています。

今週号からは、慶のこのような体制を前提にして、技術者、営業、
事務それぞれについて最適な賃金制度について考えて行きます。

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[永久運動の設計] ITサービス事業部
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ほとんど全てのソフトウェア会社が業務請負を行っている中で、
慶のITサービス事業部は幾つかの特色を持っています。

その中の一つが、基本的に自社で雇用した契約社員または直接契約
した個人事業主を使って業務請負をしているという点です。
稼動している技術者数は約45名ですが、協力会社はほとんど使って
いませんし、正社員は現時点で1名のみです。


私は慶ITサービス事業部は今後は次の二つのグループに大きく
分かれていくと考えています。

(1)IC(インディペンデント・コントラクター)グループ
(2)成果主義型正社員グループ

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[永久運動の設計] ICグループは吉本興業や大野事務所に学べ
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IC(インディペンデント・コントラクター)という言葉については、
第83号「インディペンデント・コントラクター」
http://www.kei-it.com/sailing/83-050711.html を参照して
ください。

ここで、IC(直訳すると独立契約社員)という言葉を使ったのは、
個人事業主だけでなく、確定申告はしていなくても精神的には
個人事業主に近い契約社員も含めるという意味です。

ICグループの制度設計については、タレント事務所や法律事務所の
ような、個人主義的な組織から学ぶべきところが多いと思います。

吉本興業のようなタレント事務所は、タレントを発掘し、育て、
仕事を与えます。
タレントが一人前になった後は、営業とマネージメントを担当します。
(ちなみに、吉本興業の給料は完全歩合制で、タレントが売れっ子
になって、法外なギャラを稼げるようになっても、必ずその1割を
吉本側が天引きするそうです。)

あるいは法律事務所を考えてみましょう。
モーニングに連載されている「カバチタレ!」の行政書士 田村勝弘は
何故、大野事務所に所属しているのでしょうか?
彼は既に行政書士の資格も持っているので、一人で開業することも
可能です。
また、行政書士は事務所に所属していても、一旦案件を任せられたら
一人で動きます。

それでも田村勝弘が大野事務所に所属している理由は、新米行政書士
だと仕事が取れないし、修業も足りないからです。
営業、指導、そして最終責任を取ることが大野事務所の存在理由
なのです。

慶のICグループも、営業、指導、そして最終責任を取ることが、
存在理由となります。

もう一つ言うと、個人主義であるからこそ、理念が必要になってきます。
この理念の提供も慶のICグループの役割なのです。

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[永久運動の設計] ICグループの背後にあるもの
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ICグループの背景としては下記の2点があります。

・ICの増加(第83号 http://www.kei-it.com/sailing/83-050711.html 参照)
・「人材登録型の業務請負」への大手派遣会社の本格参入
 (第84号 http://www.kei-it.com/sailing/84-050718.html 参照)

大手派遣会社の上記サービスに対抗するために、ICに対して慶が提供する
サービスを差別化し、特色を明示していかなければなりません。

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[永久運動の設計] 成果主義型正社員グループ
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次に「成果主義型正社員グループ」について解説します。
このグループは現時点では存在していません。
今後、ITサービス事業部の中で「契約社員(準正社員)→成果主義型正社員」
というルートを作っていきたいのです。

何故ICグループだけではいけないのでしょうか?

確かにICという生き方は次のように非常に魅力的な面も持っています。

> 会社に属し給料をもらって働く「会社員」ではなく、企業と対等の
> 関係で契約を結び、独立した個人事業主として能力・スキルを提供し、
> 成果で応え、報酬を得る。
> 自分を常に仕事を選択する立場に置き、やりたい仕事をやりたい時にやる。
> そんな、組織に縛られずに、自分が培った人脈・経験・スキルを活かして
> 働く人を、私たちはプロワーカーと名付けました。
>                (引用したアントレ3月号より)

しかし、皆がそこまで自由と自己責任を求めるかというと、そうでは
ありません。

特に家庭を持った人は、収入の安定、生活給の保証を強く求めます。

個人としての収入の安定は、会社にとってもメリットがあります。
定着率が向上し、それが組織の安定と拡大、また質的向上にも
つながるからです。
また、組織の安定はチーム体制が作りやすくなるという効果も生みます。

このグループの賃金制度は、収入の安定と成果主義との適度なブレンドが
必要となります。

・極端な短期的変動は避けるが、中期的には個人売上に連動して変動
 していく。
・個人売上が極端に減っても生活給の保証はする、

などが賃金制度の設計の要件となります。

実は、2週間前この賃金制度の骨子がほぼ完成しました。

まずは、月間個人売上の変動が比較的少ないインフラ系技術者から
「契約社員(準正社員)→成果主義型正社員」というルートを確立して
いきます。

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[永久運動の設計] 次回以降の予告(WEBシステム開発事業部・管理本部)
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WEBシステム開発事業部は持ち帰り型請負開発を中心とする事業部です。
また、管理本部は営業・事務などのスタッフ部門です。

両方とも正社員の事業部で、しかも新卒採用が多いという特徴が
あります。

持ち帰り型請負開発の社員、及び、営業・管理などのスタッフは
単純には成果主義は適用できません。

次号以降で、この当たりの解説をします。


8月15日発行予定です。

乞うご期待!!

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August 01, 2005

成果主義型賃金制度

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第86号 2005/08/01
▼ まえがき
▼ [永久運動の設計] 日経新聞では成果主義は評価が高い
▼ [永久運動の設計] 週刊誌、月刊誌では成果主義は評判が悪い
▼ [永久運動の設計] 高橋伸夫著「虚妄の成果主義」
▼ [永久運動の設計] 次回以降の予告(成果主義考察の文脈)


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まえがき
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こんにちは、蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

「永久運動の設計」シリーズは、ソフトウェア会社の最適な組織
について探っていくシリーズです。

「永久運動の設計」シリーズを最初から読みたい方は、
http://www.kei-it.com/sailing/back_forever.html を参照してください。

今週号から数回にわたり、成果主義型賃金制度について考察します。


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[永久運動の設計] 日経新聞では成果主義は評価が高い
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成果主義型賃金制度は、日経新聞では「導入が進み、企業の満足度も
高い」というように書かれます。例を二つ挙げます。


○2005年5月18日号朝刊 「成果主義『導入・拡大』28%」
 企業は個人の業績を反映する成果主義型賃金制度が広がり、
 同制度に対する企業の満足度も一段と高まっている。
 日本経済新聞社が実施した2005年賃金動向調査最終集計では、
 過去1年間に成果主義型の制度を導入・拡大した企業は全体の
 28.0%。制度に満足する企業の割合は約4割に達し、成果主義を
 強化する動きが活発になっている。
 ( http://www.kei-it.com/sailing/shiryou/nikkei050518-1.png 参照)

○2005年5月20日号朝刊 「成果主義、86.7%導入」
 日本経済新聞社が実施した賃金動向調査(最終集計)で、職務給
 など成果主義型の賃金制度を取り入れている企業が回答企業の
 86.7%に上った。
 自社の成果主義型賃金に不満を持つ企業は減少傾向にある。
 また、成果主義を見直すと答えた企業も、実態は内容の改善を
 目指しており、成果主義を強化する流れは加速している。
 ( http://www.kei-it.com/sailing/shiryou/nikkei050520.png 参照)

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[永久運動の設計] 週刊誌、月刊誌では成果主義は評判が悪い
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一方、サラリーマンを読者層とする週刊誌、月刊誌では、成果主義型
賃金制度の評判は芳しくありません。
大概「成果主義が導入されて給料が下がった。成果主義の本当の目的は
人件費削減」という書き方がされます。

AERA 2005年6月13日号の「変種成果主義に負けない」も同様の記事でした。
( http://opendoors.asahi.com/data/detail/5002.shtml 参照)

今手元にあるSAPIO平成17年4月27日号には、次の見出しの記事が載って
います。

(1)勝ち組企業は今も変わらず『終身雇用制』を堅持している
          (ジェームス・C・アベグレン)
(2)離脱企業続出!社員のやる気を削ぎ、モラルを低下させる
 『成果主義』の悪弊」(高橋伸夫)

(2)の記事によれば、「この3月18日に、財団法人労務行政研究所が
発表した調査結果では、労使共に9割が、成果主義人事制度について
『問題あり』と回答している」そうです。

日経新聞では「導入拡大」しているはずの成果主義が、SAPIOによれば
「離脱企業続出!」なのです。

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[永久運動の設計] 高橋伸夫著「虚妄の成果主義」
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上記(2)の記事は高橋伸夫氏が書いた記事です。

高橋伸夫氏は「虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822243729/ref=pd_bxgy_text_2/250-1945339-7293056
の著者です。

私は「虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ」は読んで
いませんが、上記(2)の記事はそのダイジェスト版だと思います。
記事の中からいくつか文章を引用します。いずれも鋭い指摘です。

・人件費を削減するための口実として成果主義を悪用してきたのだろう。

・営業部門以外の部署で個人の業績や成果を定義することは至難の業である。

・生き残って大企業へと成長したベンチャーは必ずどこかで成果主義から
 年功ベースの制度に転換している。

・IBMやHP、GEなど米国の大企業は以前から日本企業のシステムに非常に
 近いシステムを採っていることで有名だ。

・成果主義とは、「業績が上がればたくさんお金をやるが、下がれば
 あなた自身の責任だから、生活はどうなろうと会社は知ったこと
 ではない」と宣言しているようなものだ。

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[永久運動の設計] 次回以降の予告(成果主義考察の文脈)
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次週以降で、この賛否両論のある成果主義について考察します。
一般論ではなく、次のような文脈の中で考えていきます。


ソフトウェア技術者個人や中小ソフトウェア会社が生きていく道
として次の二つがあります。

(1)システム開発そのもののノウハウで生きていく。
(2)独自サービスやパッケージ商品で生きていく。

どちらの道を選択するにしても、他業界以上に個人の力が重要と
なります。なぜなら、
・システム開発は個人の能力差が非常に大きい仕事です。
・コアとなるアイデアは個人からしか生まれません。
 (第85号「コアになるアイデアは個人からしか生まれない」
 http://www.kei-it.com/sailing/85-050725.html 参照)

さらに、技術の標準化が個人の独立性を高め、人材の流動化を促し、
契約社員や個人事業主を増やします。
(第83号「個人事業主が増えた理由」
http://www.kei-it.com/sailing/83-050711.html 参照)
人材の流動化は成果主義強化の圧力として働きます。
個人事業主は成果主義の極端な表れです。

一方、逆に組織化の流れも生まれます。
それは、製品やサービスの短命化・成功確率の低下から来ています。
(第85号「成功確率が低く、成功しても寿命が短い」
http://www.kei-it.com/sailing/85-050725.html 参照)
個人でヒットを出し続けることは難しいので、組織が必要になって
くるのですが、その組織は従来型の組織とは異なるため、従来型の
賃金制度とは異なる賃金制度が必要となってきます。


次号は、8月8日発行予定です。

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