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January 24, 2005

品質とは

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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第59号 2005/01/24
▼ まえがき
▼ [保存できないエディタ] 基本から学ぶソフトウェアテスト
▼ [保存できないエディタ] 品質とは
▼ [保存できないエディタ] 保証とは
▼ [保存できないエディタ] 次回以降の予告


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まえがき
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こんにちは、蒲生嘉達(がもう よしさと)です。
最近のできごとです。

(1)無償対応/有償対応アンケート
第57号で私が提起した問題について、メルマガ「新・中国ビジネス入門」
の発行者である幸地司氏がサイトでアンケートを実施しています。
非常に参考になりますので、下記URLを参照してください。

アンケート結果:
http://clickenquete.com/a/r.php?Q0003268C5aac

関連するメルマガ:
http://www.ai-coach.com/backno/ciplatest.html
http://www.ai-coach.com/backno/cip0171.html


(2)ソフト人脈
ソフト人脈1月25日号に、慶の「倍速開発」の記事と、慶が加盟
しているコンソーシアム「羅針盤21」の記事が掲載される予定です。


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[保存できないエディタ] 基本から学ぶソフトウェアテスト
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第57号以降は下記の本を参考にしています。

 「基本から学ぶソフトウェアテスト」
 Cem Kaner,Jack Falk,Hung Quoc Nguyen著
 日経BP社発行

米国では1999年、日本では2001年に出版された本です。

日経BP社の宣伝文句では「世界で最もたくさん読まれているソフト
ウェアテスト技術の決定版的教科書」ですが、Amazon.co.jpの
カスタマーレビューでは、「技術として目新しいものや、生産工程の
省略に繋がるものはない」とか「カタログみたいな本」といった
批判的な記事も載っています。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822281132/249-4981904-2459539

実際に教科書的なだけに、網羅的で、分厚いです。
本メルマガの読者が読んでも多分退屈するでしょう。
なにぶん500ページ近い大著なので、私も全部は読んでいません。
しかし、下記の章では、品質、テスト、開発プロセス、法的責任に
ついての米国での基本的で一般的な考え方が公平に述べられている
ので、参考になりました。

 第4章 ソフトウェアエラー
 第12章 テスト計画とドキュメント
 第13章 開発全体におけるテストの役割
 第14章 ソフトウェアの不具合に対する法的責任
 第15章 テストチームの管理

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[保存できないエディタ] 品質とは
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下記は二つとも「基本から学ぶソフトウェアテスト」からの引用です。

> 魅力と不具合は両方で品質を決めているもので、どちらか一方が
> 絶対というわけではない。

> 品質とは、幅広い概念である。品質の高い製品は、顧客の望む機能を
> 備えており、不具合とも無縁である。


昔のMACは(今もそうかもしれませんが)、しょっちゅうフリーズして
いました。
初期のUNIXは同時期に存在していたオフコンに比べてバグの多い代物でした。
初期のウォークマンは故障の多い製品でした。
しかし、それらがユーザに広く受け入れられた理由は、それらが魅力的
だったからです。それらは、魅力的な機能を備えているという意味で
品質の良い製品だったのです。

一方、1980年代に日本の工業製品が世界中を席捲した理由の多くは、
それらが他国の製品に比べて革新的な機能を備えていたからというよりも、
故障しなかったからです。
それらは、不具合が少ないという意味で品質の良い製品だったのです。

「品質が良い」という言葉は、「魅力的だ」という意味と「不具合が少ない」
という両方の意味で使われます。
両方とも兼ね備えているのがベストですが、両者は時にはトレードオフの
関係にもなり得るものです。
革新的で魅力的な製品ほど、不具合も多くなりがちだからです。

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[保存できないエディタ] 保証とは
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下記も「基本から学ぶソフトウェアテスト」からの引用です。

> 製品の品質と性能に関する約束のことを保証という。


製品はそれを購入した人が期待していた機能の全てを備えていなければ
ならないのでしょうか?
また、不具合は皆無でなければならないのでしょうか?

いずれも不可能です。
したがって、製品を顧客に販売するに当たって「ここまでなら品質を
保証します」という約束が必要となるのです。
「保証」とはこの約束のことです。

そして、この保証の範囲が、市販ソフトウェアと請負開発とでは
大きく異なるのです。

例えば、第57号で無償追加派で持ち出している「黙示の仕様」という
概念は、市販ソフトウェアでのみ適用される概念なのです。
(詳細は次号以降で)


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[保存できないエディタ] 次回以降の予告
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第57号での有償追加派と無償追加派の対立は重要な問題を提起して
いるので、結論を出すのはあと数回かかります。
次回以降では次のようなことを順次解説していきます。
・市販ソフトウェアの保証と請負開発の保証の違い。
・ウォータフォール型開発プロセスと請負開発との密接な関係。
・漸増的開発プロセスと市販ソフトウェア開発との密接な関係。
・契約には違反していないが、製品として欠陥がある場合(第57号
 での例のような場合)の考え方。
・請負開発をインクリメンタルにやるためにはどうすればよいのか。


次号は、1月31日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
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目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
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彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると
思います。
したがって、第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々
にも公開することにしました。


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