January 25, 2020

トマトの養液栽培農家

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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第257号 2020/01/21 『トマトの養液栽培農家』
▼ まえがき
▼ (1)イスラエルのIoTクラウド農業
▼ (2)練馬区内のトマトの養液栽培農家
▼ (3)ビニールハウス全体
▼ (4)ボイラーとダクト
▼ (5)養液と水
▼ (6)イスラエルのICT農業との違い
▼ あとがき


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まえがき
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こんにちは。蒲生嘉達(がもうよしさと)です。

第256号『新章の構想』(2019年11月9日発行)で記したとおり、
「IT技術者のための農業入門」は次の方向で書き進めます。

第1部:農業のICT化はどの程度進んでいるのか?
第2部:AI、IoT、クラウドと農業

農家.comブログ(↓)では、毎週情報発信をしてますので、是非ご覧ください。

 ブログ:https://www.nou-ka.com/infomes_list_1.html
 調理情報:https://www.nou-ka.com/infomes_list_3.html
 豆知識:https://www.nou-ka.com/infomes_list_5.html


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 (1)イスラエルのIoTクラウド農業
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次の文章は竹下正哲著「日本を救う未来の農業」(第3章 最先端ICT農業とは
 第7節 IoTクラウド農業の時代)からの引用です。
イスラエルで行われている農業を記しています。

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 土壌センサーは、土壌の温度、水分量、pH、ECを分単位で
 リアルタイムに計測してくれる。気象センサーは気温、湿度、
 照度、降水量、風速などをやはり分刻みで計測してくれる。
 さらにすごいのは、日本ではまだまったく使われていないが、
 植物成長量センサーだ。
 ----------------------------

同書では、水に乏しいイスラエルではドリップ灌漑が普及し、
それを基盤として、各種センサーを活用して、IoTクラウド農業が
行われていることを解説しています。

日本では雨が豊富なため、露地でのドリップ灌漑は行われていません。
辛うじてハウス栽培でドリップ灌漑が行われています。


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 (2)練馬区内のトマトの養液栽培農家
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私は農業ボランティアとして月2回ほど休日に練馬区内の農家に行き、
様々な農作業のお手伝いをしています。

その中にハウス内でトマトの養液栽培(つまりドリップ灌漑)を行っている
農家があります。
練馬区内で行われているトマトの養液栽培としては、先進的な事例です。

その様子を記します。

 

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 (3)ビニールハウス全体
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House_20200126162601    ビニールハウスはUVカットするフィルムで覆われています。

紫外線がカットされるとコナジラミ、アザミウマなどの害虫の侵入が
抑制されるそうです。

ビニールハウス内は白いシートで覆われ、スリッパを履いて入ります。

トマトを植え付ける台(ベッドと呼びます)にはヤシガラが入っています。

植え付けた苗は上からロープで誘引します。

苗は500本植え付けられています。


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 (4)ボイラーとダクト
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Ondo 温度センサーがハウス内に一つ吊り下げられていて、設定温度以下になると、
ボイラーに接続されている大きなビニールのダクトに自動的に温風が
送られます。

写真ではビニールのダクトはペシャンコですが、夜気温が下がると温風で膨れます。

 

 

 

 

 

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 (5)養液と水
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Youeki 養液と水は別系統になっていて、養液と水を別々に、設定された時刻に
自動で流します。
例えば、養液は1日1回、潅水は1日4回など。

養液も水も循環させません。

養液は一種類のみで、生育ステージによって量を変えます。

第5果房開花期が最も多く、第1果房開花期の6倍の量となります。
養液の濃度は変えません。

上記の通り生育ステージによって量が異なるので、第1果房開花期は1分56秒、
第5果房開花期は約11分38秒と設定されています。


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 (6)イスラエルのICT農業との違い
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この養液栽培は日本では先進的ですが、冒頭で引用したイスラエルの
ICT農業とは次の点で異なっています。

センサーは温度センサーのみ。(しかもハウス内で1個)
水や養液は自動で流しますが、あくまでも人間の設定です。
研究所が作成したマニュアルと農家の経験値で設定します。
例えば、使う苗(品種、接ぎ木苗か否か等)によっても生育度合いが微妙に違います。
農家はそこを経験値で調整しています。

 

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あとがき:農家.comのおすすめ商品
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農家.com https://www.nou-ka.com/ のおすすめ商品

・季節のりんご◇家庭用:3kg
  https://www.nou-ka.com/detail0000000824.html

・令和元年産伊佐米なつほのか(白米)25kg
  https://www.nou-ka.com/detail0000000897.html

・無肥料・無農薬・自然栽培天日干し米『おいらせ夢ロマン』白米5kg  令和元年産 
  https://www.nou-ka.com/detail0000000704.html

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November 09, 2019

新章の構想

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第257号 2019/11/9 『新章の構想』

▼ まえがき
▼ (1)構想:第1部
▼ (2)構想:第2部
▼ あとがき


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まえがき
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こんにちは。蒲生嘉達(がもうよしさと)です。

1月17日に第256号『新章スタート!IT技術者のための農業入門』を発行して以来、
約10か月お休みしてしまいました。

農家.comブログ(↓)では、毎週情報発信をしてますので、是非ご覧ください。

 ブログ:https://www.nou-ka.com/infomes_list_1.html
 調理情報:https://www.nou-ka.com/infomes_list_3.html
 豆知識:https://www.nou-ka.com/infomes_list_5.html

 

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 (1)構想:第1部
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今後は、次のような方向で書き進めようと思います。

第1部:農業の機械化はどの程度進んでいるのか?

私は2年前に練馬区の農のサポーター(注)になり、農業ボランティアとして
活動しています。
具体的には、月2回ほど休日に練馬区内の農家に行き、様々な農作業の
お手伝いをしています。

その中で実際に接している農家の機械化の実態について書きます。
特に、トマトの養液栽培について詳しく書きます。


(注)練馬区の農のサポーターについては、農家.comブログの下記記事を
参照してください。

 練馬区「農の学校」と「ねりま農サポーター」
 https://www.nou-ka.com/infomes_detail.html?info_id=0000000667

 

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 (2)構想:第2部
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第2部:AIと農作業

第1部は私の実体験を基に書きますが、ここからは経験していないことなので、
私もAIについて勉強しながら書きます。

内容的には次のようなものになるかと予想しています。

・画像認識によって、出荷調整作業は自動化される。
・例えば、現在のトマト栽培で最も手がかかるのは、脇芽取りだが、
 それは容易に機械化できない。
・しかし、それもディープラーニングの発展によって、将来は可能になる。

 

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あとがき:農家.comのおすすめ商品
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今回は、予告のみです。
乞うご期待!

農家.com https://www.nou-ka.com/ のおすすめ商品
・季節のりんご◇家庭用:3kg
  https://www.nou-ka.com/detail0000000824.html

・令和元年産伊佐米なつほのか(白米)25kg
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January 18, 2019

新章スタート!IT技術者のための農業入門

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第256号 2019/01/17 『新章スタート!IT技術者のための農業入門』
▼ まえがき
▼ (1)3年11ヶ月メルマガを休んだ理由
▼ (2)農業の「人工知能」活用を阻む最大の壁は何か
▼ (3)通常のIT技術者は理解できない
▼ (4)新章スタート!IT技術者のための農業入門
▼ (5)つけたし
▼ あとがき
 
 
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まえがき
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こんにちは。蒲生嘉達(がもうよしさと)です。
 
メルマガの発行は3年11ヶ月ぶりです。
 
農家.comブログ(↓)では、毎週情報発信をしてますので、是非ご覧ください。
 
 ブログ:https://www.nou-ka.com/infomes_list_1.html
 調理情報:https://www.nou-ka.com/infomes_list_3.html
 豆知識:https://www.nou-ka.com/infomes_list_5.html
 
 
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 (1)3年11ヶ月メルマガを休んだ理由
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3年11ヶ月、メルマガをお休みした理由は次のとおりです。

これまで、技術面、会社経営面でその時々で気になったことをテーマにして
書いてきたのですが、両面で気になるテーマが少なくなってきたからです。

会社経営面はルーティンワークが確立したので、
また、技術面は年齢的に新しいプログラミング技術を学ぶことが無くなったので、
両面ともに書くテーマに出会いにくくなったのです。

最近はプログラミング技術よりも農業技術を学んでいて、それが
農家.comに活かされています。

 
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 (2)農業の「人工知能」活用を阻む最大の壁は何か
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さて、最近ネットで「農業の「人工知能」活用を阻む最大の壁は何か」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55062 という記事を読みました。

「農業でAIを使ってリアルタイムに施肥を最適化するという話を
よく聞くが、実際には無理。その理由はAIではなくセンサーの側にある」
という内容の文章です。

キモの部分を2か所引用します。

「農業現場で使えるセンサーは、事実上、pHメーターとECメーター
の2つしかありません。・・・(中略)・・・
 そしてpHメーターは、プラスのイオン(陽イオン)とマイナスのイオン
(陰イオン)のどっちの肥料成分の方が多いかしか分かりません。
ECメーターは、その両方のイオンの総量しか分かりません。
たった2つしかないデータからは、いくら最新の深層学習をさせても、
お望みの結果は出しにくいと思います。」

「分析が難しいのは、植物が吸収する肥料成分が、無機イオンという
形だからです。」


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 (3)通常のIT技術者は理解できない
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私はある程度農業を勉強しているので、上記文章を読んで
理解できましたが、通常のIT技術者はこの文章を理解できないのでは
ないでしょうか?

実際に、ツイッターで次のように発言しているRubyonRails技術者
を見つけました。

「土や水を測るセンサー種類が、少ないから難しいという話だけど、
野菜にセンサーつけて糖度とか測るのじゃダメなのかな?
さっぱりわからんけど。」
https://twitter.com/gatsuonRails

 
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 (4)新章スタート!IT技術者のための農業入門
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「農業の「人工知能」活用を阻む最大の壁は何か」を読んで、
私は「IT技術者のための農業入門」シリーズを書きたくなりました。

IT技術者(とりわけ、農業に関連する仕事をするIoT技術者、AI技術者)が
知っておいた方がよい農業知識について書いていこうと思います。

乞うご期待!

 
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 (5)つけたし
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最近読んだ記事では「記者の考えを変える契機は農業者が与えてくれた」
https://business.nikkei.com/atcl/report/15/252376/122800186/
も面白かったです。

これについても機会があれば取り上げます。

 
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あとがき:農家.comのおすすめ商品
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農家.com https://www.nou-ka.com/ のおすすめ商品
・季節のりんご◇家庭用:3kg
  http://www.nou-ka.com/detail0000000582.html
 
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December 11, 2015

「正常時の借入」の弊害

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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第255号 2015/12/11 『「正常時の借入」の弊害』
▼ まえがき
▼ (1)下町ロケットの佃製作所の場合
▼ (2)中小ソフト会社の場合
▼ (3)現金不足に陥る4つの理由
▼ (4)非常時の借入
▼ (5)将来の利益を返済が食いつぶす
▼ (6)正常時の借入
▼ (7)「正常時の借入」の弊害
▼ あとがき
 
 
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まえがき
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こんにちは。蒲生嘉達(がもうよしさと)です。
 
メルマガの発行は半年ぶりです。
 
農家.comブログ(↓)では、毎週情報発信をしておりますので、
そちらも是非ご覧ください。
 
 
 
 
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 (1)下町ロケットの佃製作所の場合
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TBSドラマ「下町ロケット」は町工場「佃製作所」の佃社長(阿部寛)と
社員達が奮闘するドラマです。
 
第1話では、大口取引先から取引打ち切りを一方的に通知され、売上高が激減し、
資金繰りが悪化します。
そのため、佃社長と殿村経理部長(立川談春)が銀行に追加融資を
お願いに行くのですが、既に巨額の借入があるので、冷たくあしらわれます。
その後競合大手との特許紛争が発生し、・・・と物語は続いていきます。
 
 
工場は巨額の設備投資・研究開発費が必要です。
中でも佃製作所のような独立系の中小企業は資金を銀行からの融資に
頼ることになります。
 
 
 
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 (2)中小ソフト会社の場合
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一方、中小ソフト会社の場合、佃製作所ほどには設備投資・研究開発費は
必要ありません。
 
無借金、あるいは、極めて短期的・限定的な借入で十分だというのが、
私の持論です。
 
これは、第247号でも書いたことですが、今回はもう少し分かりやすく
書き直します。
 
 第247号(2013/4/13)無借金経営
 
 
 
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 (3)現金不足に陥る4つの理由
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中小ソフト会社の場合、現金不足に陥り、借入が必要となる主な理由は次の4つです。
 
(A)顧客倒産などによる貸し倒れ
(B)プロジェクトの失敗による赤字
(C)仕事減少による赤字
(D)売掛金の回収よりも、給料などの支払が先に出る
 
 
(A)(B)(C)(D)の順で非常時から正常時に近づきます。
 
 
 
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 (4)非常時の借入
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(A)顧客倒産などによる貸し倒れ
 
これは相手側に原因のある交通事故の被害者になったようなものです。
遭遇しないよう注意しなければなりませんが、それでも遭遇してしまう
可能性はあります。
 
 
(B)プロジェクトの失敗による赤字
 
これは見積やプロジェクト管理の失敗が主な原因です。
自社に非がある場合もあるし、顧客に非がある場合もあります。
失敗しないように心掛けなければなりませんが、残念ながら、
ソフトウェア請負開発ではしばしば発生することです。
 
 
(C)仕事減少による赤字
 
大口顧客との取引が打ち切られたというような会社個別のケースもあるし、
2008年から2012年位まで続いた不況のように業界全体のパイが
縮小する場合もあるでしょう。
ソフト会社の売上原価のほとんどは人件費であり、社員が減らない限り、
売上が減っても原価は減らず、資金不足となります。
 
 
 
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 (5)将来の利益を返済が食いつぶす
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(A)(B)(C)が原因の借入は明らかに悪い借入です。
 
将来の利益を返済が食いつぶすからです。
 
やむをえず借入せざるを得ない場合もあるでしょうが、
それはあくまでも非常時であり、極力早く返済しなければなりません。
あるいは、非常時に強くなるよう、自己資本(内部留保や資本金)を
増やしていく必要もあります。
 
 
 
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 (6)正常時の借入
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(D)売掛金の回収よりも、給料などの支払が先に出る
 
これはソフト会社の宿命とも言える性格です。
 
(A)(B)(C)が理由の借入と(D)が理由の借入借入とはかなり異なります。
前者はキャッシュフロー上も会計上も赤字なのに対し、後者は
キャッシュフロー上は赤字でも会計上は黒字です。
したがって、銀行は必ず貸してくれます。
 
(A)(B)(C)が「非常時の借入」なのに対し、(D)は「正常時の借入」
とも言えます。
 
売上の成長によって現金需要が増えたが、自己資本がそれほど
増えていないから現金不足になったというだけなので、売上が減れば
自然と消える借金です。
 
 
 
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 (7)「正常時の借入」の弊害
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「正常時の借入」と言っても次の3つの弊害があります。
 
・利息支払や保証金の負担
・財務処理の複雑化
・借入に対する意識が甘くなる
 
また、理屈の上では「売上が減れば自然と消える借金」ですが、
実際には売上が減っても借金が減らないことが多いです。
 
なぜなら、「売上が減る」ということは、「(C)仕事減少による赤字」
という状態であり、資金が返済に回らないのです。
 
したがって、(D)の借入に対しても慎重であるべきであり、
成長に伴う現金需要の伸びは自己資本(内部留保・増資)で補うのが理想です。
 
 
 
 
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あとがき:農家.comのおすすめ商品
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