植物一般

2024年1月21日 (日)

ゴジラ、トカゲ、ウーパールーパー、そして植物の再生力

Gozzi 皆様はもう「ゴジラ-1.0」をご覧になられたでしょうか?私は去年12月に見てきました。
 
以下、ネタバレになるので、未見の方は注意してください。
 

映画の終盤、ゴジラは敷島浩一(神木隆之介)の捨て身の攻撃によって、上半身を爆破されました。

そしてゴジラが海中深く沈んでいくシーンで映画は終わりました。

そのシーンでは、沈んでいくゴジラの体から新しい器官がポコポコと再生しているように見えました。

いつの日か、全身が再生されることを暗示していました。

 

Goz 私はゴジラの再生力に驚きました。
 
トカゲはしっぽが切れてもはえてきますが、手足は切断されるともとには戻りません。
  
(ネット記事「傷ついたトカゲの腕や足が再生するのに必要な日数とは?」参照)
 
一方、ウーパールーパーは手足や心臓を再生できるだけでなく、脳や脊髄のような中枢神経すら再生する能力があります。
  
(ネット記事「切り取られた「脳を再生」するウーパールーパーの秘密を解明!」参照)
 
ウーパールーパーが脳を再生する能力があると言っても、「脳の一部が切り取られても再生する」という意味です。
 
脳全体を失った後で脳が再生されるということはありません。


ゴジラ-1.0ではゴジラが頭部全体を失ったにもかかわらず、再生されることを暗示していました。
 
Godzilla5405831_600 ゴジラの再生力はウーパールーパーをはるかに超えています。
 
ところが、植物の再生能力はゴジラ以上です。
 
植物は茎、葉、根を土に挿すだけで、植物全体が再生できます。
 
挿し木は茎や葉や根に分化した細胞から、個体を構成する様々な細胞を生み出せるということなのです。
 
関連する過去記事:

 

 

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2020年4月20日 (月)

サツマイモのツルボケを化学的に説明します

Satuma_20200420095601 サツマイモ栽培では、「チッソ分が多いとツルばかり繫茂してイモの肥大が悪くなる」と言われます。これがツルボケです。
 
ツルボケを化学的に説明してみます。
 
9 【光合成→デンプン】
 
(1)植物は光合成によって、二酸化炭素と水からグルコース(ブドウ糖)と酸素を作ります。
 

  • 二酸化炭素:CO2
  • 水:H2O
  • グルコース(ブドウ糖):C6 H12 O6

 
(2)グルコース(ブドウ糖)がデンプンとなり、イモに蓄えられます。

  • デンプン:C6 H10 O5

 

【窒素→タンパク質】
 
(1)土中の窒素(硝酸の形になっている)が根から吸収され、アンモニアに変化します。

  • 窒素:N
  • 硝酸:HNO3
  • アンモニア:NH3

 
(2)アンモニアからアミノ酸が作られます。
アミノ酸は複雑なので、化学式は書きませんが、N、O、H以外に炭素原子(C)が含まれています。
 
(3)アミノ酸が幾つか連結してペプチドになり、さらに多数連結してタンパク質となり、それが茎葉を作る材料となります。

Imo

【炭素(C)を奪い合う】
 
重要なことはアンモニアからアミノ酸が作られるときに、炭素(C)をグルコースから取ってくるということです。
 
「収穫時には窒素が切れないとデンプン価が低くなり、イモのできが悪くなる」の意味は、収穫時に窒素が残っていると、「窒素→タンパク質」の流れに炭素(C)を消費され、デンプン合成が阻害されるということです。
 
したがって、「追肥は植え付け後30日ころまでに終わらせるとよい」と言われます。
 
 


写真の説明
 
1枚目:2019年7月5日撮影(植え付け後約3週間)
 
2枚目:2017年9月18日撮影
 
3枚目:2016年11月5日撮影

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2020年3月19日 (木)

清瀬市役所の取り組みと温暖化対策

Kiyose 先日、所用で清瀬市役所を訪問しました。
市役所前で、清瀬市内で伐採されたケヤキの丸太、一枚板(1枚目の写真)、枝(2枚目の写真)、ウッドチップ(3枚目の写真)が売られていました。
Kiyoseeda_20200319183801 ウッドチップは雑草対策として庭や通路に敷きます。
また、市役所内では、ケヤキを用いた様々な商品(コースター、筆立て等)が売られていました。

これらを温暖化対策の視点から見てみます。

【二酸化炭素を吸収する】
清瀬市はケヤキを「市の木」に制定し、市内の様々な場所に植えています。
これらのケヤキは光合成によって、二酸化炭素を吸収し、酸素を排出します。
そして、光合成の能力は若くて成長している木の方が優れています。
したがって、計画的に老木を伐採し、代わりに若い木を植えることは理にかなっています。

Kiyosechip 【二酸化炭素を貯蔵する】
次に、伐採された老木に注目してみましょう。
これらは光合成の結果生成された有機物の塊です。
この中には多くの炭素が貯蔵されています。
これらを丸太、一枚板などにして使用した場合、炭素は貯蔵されたままです。
(ゴミとして燃やしたり、放置して腐らせたりすると、二酸化炭素として排出されます。)
つまり、木材として利用するということは、二酸化炭素を調整するという意味で、温暖化対策となるのです。

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2019年5月21日 (火)

発芽の積算温度

例えばスイートコーンの発芽適温について、次のように書かれます。
 

「発芽適温
 25~30℃で最低温度は10℃、最高温度は43℃です。日平均気温の積算温度が125~175℃で圃場発芽に達します。播種最低地温は14℃で、地温が確保できないときには温床育苗として、本葉2.5枚で定植します。」タキイ種苗


この文章には様々な情報が含まれています。
 
「発芽適温25~30℃」と言っても、トウモロコシの種まきは通常4月に行われるので、その際には気温は25℃になっていません。
 
そこで「日平均気温の積算温度が125~175℃で圃場発芽に達します」の部分が重要になります。
日平均気温は、(日の最高気温+日の最低気温)/2 で求められます。
日平均気温が15℃だとしたら、積算温度=15℃×日数 です。
 
その積算温度が「125~175℃で圃場発芽に達する」のだから、
日平均気温が15℃の場合は、8日(125℃/15℃)~12日(175℃/15℃)で発芽することになります。
 
また、「播種最低地温は14℃」なので、地温が14℃より低ければ、その温度は積算されず、発芽しません。

あるいは、種籾の発芽については、積算温度は次のように書かれます。

浸種をする日数は水温によって異なります。水温×日数を積算温度と言います。種籾の場合、発芽に必要な積算温度は100度です。水温が15度であれば7日間、水温が12度なら8日間が目安となります。(くぼたのたんぼ

また、種籾が発芽にいたる過程は次のとおりです。積算温度の中で次のことが行われます。出芽率向上委員会

  1. 水分吸収
  2. 各種酵素の働きが活発化
  3. 胚乳の養分が分解される
  4. 胚の中の幼芽・幼根に養分が送られる
  5. 発芽 

 
写真は、左から、落花生の発芽、枝豆の発芽、オクラの発芽です。

Rakka Eda Okura

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2018年8月 7日 (火)

サルスベリの花

Saru

夏になると、サルスベリの木がピンクの美しい花を咲かせます。
公園でも個人の家の庭先でもよく見かけます。


サルスベリの名のとおり、幹はすべすべしています。

最初、縮れたピンクの部分の一つ一つが花かと思いましたが、よく見ると、それは花弁です。1つの「がく」に6枚の花弁がついています。

Sarusuberi

Saruhana


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2018年2月28日 (水)

蒸散

Endo

野菜をベランダで栽培する場合、夏場ははぼ毎日水やりをする必要があります。
 
晴れている日には、朝たっぷり水やりをしても昼には土がカラカラに乾いてしまい、もう一度水やりをすることもよくあります。
 
一方、畑ではよほどのことがない限り、水やりをしません。
この違いの理由を、私は次のように考えていました。 

  • 畑では深くまで根を張ることができて、深いところから水分を吸い出せるから。

  • プランターは高畝のようなもので、水が下に落ちやすいから乾きやすい。

おそらく二つとも正しいと思います。

Apios


しかし、植物の「蒸散」について理解すると、もう一つの重要な理由が分かります。
 
蒸散とは、根から吸い上げた水を葉の気孔から放出する作用です。
 
植物はこの蒸散によって吸い上げた水を用いて光合成をします。また、蒸散によって吸い上げた水に溶けている肥料養分を吸収することができます。

しかし、蒸散にはもう一つの役割があります。植物の体温が上がりすぎることを防ぐことです。人間が汗で体温を下げるのと同じです。
 
そして、ベランダでのプランター栽培では、プランターの側面からも強烈な日光があたるので、畑の露地栽培よりも植物の体温が上がりやすいのです。


そのため、ベランダで育てた野菜は体温をさげるために蒸散を活発にする必要があり、それに大量の水が消費されるのです。
 

Jaga



 
写真は上から順に、つるありインゲン、アピオス、ジャガイモ。

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2017年12月20日 (水)

皇居東御苑

Zouki

皇居北の丸公園 」の続きです。
 
12月3日(日)に皇居北の丸公園を抜けて、隣の皇居東御苑に行きました。
 
二の丸武蔵野林には、武蔵野林(雑木林)が再現されています。コナラ、クヌギを中心に柔らかい色調に紅葉する樹木が多く植えられています。
 

参考記事:黄葉と紅葉

Juugatu

十月桜が花を咲かせていました。秋と春に二回開花する桜です。





イロハモミジの燃えるような紅葉。その美しさに目を奪われます。

Moeru


 

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2017年12月18日 (月)

黄葉と紅葉

Kiba

黄葉と紅葉。どちらも「こうよう」と読みます。
 
ほとんどの植物の葉は老化すると黄色くなります。左の写真は黄色くなった古いサツマイモの葉です。
 
 
黄色くなると言っても、黄色い色素が新たに作られるわけではありません。
葉には元々、緑の色素(クロロフィル)と黄色い色素(カロチノイド)が含まれていて、古くなると緑の色素が分解され、黄色い色素のみが残るのです。

Ichoo

イチョウの見事な黄葉も仕組みは同じです。(左の写真は12月3日武道館前で撮影)

光合成は葉の中にある緑色の色素であるクロロフィルで行われます。秋が深まると日が短くなり気温が下がることで、クロロフィルは光合成をやめ糖を作らなくなり、その役目を終えます。

・・・(中略)・・・

樹木は葉の中に残された養分をできるだけ体内に取り込もうと、細胞の内容物を分解し始めます。クロロフィルも分解されて吸収されます。そうすると葉では今まで目立たなかった黄色い色素であるカロチノイドが目立ってきます。
(「緑と水のひろば」2017秋号「紅葉のしくみ 黄葉のしくみ」より)

Koyo

それに対して、紅葉は葉に残存した糖とタンパク質が化学変化し、赤い色素(アントシアニン)を合成する現象です。下の写真はオオモミジの見事な紅葉です(
左の写真は12月3日皇居東御苑で撮影)。モミジは、緑→黄→赤 と変化します。写真のオオモミジも黄葉部分と紅葉部分が混じっています。
 
最初の写真をよく見ると、サツマイモの葉の中に黄色ではな、黒くなっている葉があることに気づきます。これはクロロフィルが残っている状態でアントシアニンが合成されたため、緑と赤で黒く見えるのです。すいおうは黄葉する場合が多く、ベニアズマやベニハルカは黒くなる場合が多いです。

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