サツマイモのツルボケを化学的に説明します
サツマイモ栽培では、「チッソ分が多いとツルばかり繫茂してイモの肥大が悪くなる」と言われます。これがツルボケです。
ツルボケを化学的に説明してみます。
【光合成→デンプン】
(1)植物は光合成によって、二酸化炭素と水からグルコース(ブドウ糖)と酸素を作ります。
- 二酸化炭素:CO2
- 水:H2O
- グルコース(ブドウ糖):C6 H12 O6
(2)グルコース(ブドウ糖)がデンプンとなり、イモに蓄えられます。
- デンプン:C6 H10 O5
【窒素→タンパク質】
(1)土中の窒素(硝酸の形になっている)が根から吸収され、アンモニアに変化します。
- 窒素:N
- 硝酸:HNO3
- アンモニア:NH3
(2)アンモニアからアミノ酸が作られます。
アミノ酸は複雑なので、化学式は書きませんが、N、O、H以外に炭素原子(C)が含まれています。
(3)アミノ酸が幾つか連結してペプチドになり、さらに多数連結してタンパク質となり、それが茎葉を作る材料となります。
【炭素(C)を奪い合う】
重要なことはアンモニアからアミノ酸が作られるときに、炭素(C)をグルコースから取ってくるということです。
「収穫時には窒素が切れないとデンプン価が低くなり、イモのできが悪くなる」の意味は、収穫時に窒素が残っていると、「窒素→タンパク質」の流れに炭素(C)を消費され、デンプン合成が阻害されるということです。
したがって、「追肥は植え付け後30日ころまでに終わらせるとよい」と言われます。
写真の説明
1枚目:2019年7月5日撮影(植え付け後約3週間)
2枚目:2017年9月18日撮影
3枚目:2016年11月5日撮影
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