黄葉と紅葉
黄葉と紅葉。どちらも「こうよう」と読みます。
ほとんどの植物の葉は老化すると黄色くなります。左の写真は黄色くなった古いサツマイモの葉です。
黄色くなると言っても、黄色い色素が新たに作られるわけではありません。
葉には元々、緑の色素(クロロフィル)と黄色い色素(カロチノイド)が含まれていて、古くなると緑の色素が分解され、黄色い色素のみが残るのです。
光合成は葉の中にある緑色の色素であるクロロフィルで行われます。秋が深まると日が短くなり気温が下がることで、クロロフィルは光合成をやめ糖を作らなくなり、その役目を終えます。
・・・(中略)・・・
それに対して、紅葉は葉に残存した糖とタンパク質が化学変化し、赤い色素(アントシアニン)を合成する現象です。下の写真はオオモミジの見事な紅葉です(左の写真は12月3日皇居東御苑で撮影)。モミジは、緑→黄→赤 と変化します。写真のオオモミジも黄葉部分と紅葉部分が混じっています。樹木は葉の中に残された養分をできるだけ体内に取り込もうと、細胞の内容物を分解し始めます。クロロフィルも分解されて吸収されます。そうすると葉では今まで目立たなかった黄色い色素であるカロチノイドが目立ってきます。
(「緑と水のひろば」2017秋号「紅葉のしくみ 黄葉のしくみ」より)
最初の写真をよく見ると、サツマイモの葉の中に黄色ではな、黒くなっている葉があることに気づきます。これはクロロフィルが残っている状態でアントシアニンが合成されたため、緑と赤で黒く見えるのです。すいおうは黄葉する場合が多く、ベニアズマやベニハルカは黒くなる場合が多いです。
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