「ネット帝国主義と日本の敗北」からの引用
第228号「プライベートクラウド vs. パブリッククラウド」の補足です。
岸博幸氏は「ネット帝国主義と日本の敗北」の「第3章ネット上で進む帝国主義 第2節プラットフォームの米国支配の問題点」で、米国のネット企業にプラットフォーム・レイヤのサービスを独占された場合の問題点として次の3点をあげています。
- 米国の情報支配
- 米国のソフトパワー強化
- 米国による世界のネット広告市場の制覇
それぞれ傾聴に値する指摘ですが、ここでは1.の部分のみ引用します。
情報支配の怖さ
岸博幸氏は留学、国際機関勤務で5年間ニューヨークに住んでいたそうです。米国の情報機関とも一緒に仕事をしていた経験を持っている方なので、次の文章には説得力があります。
米国駐在時には経済産業省のニューヨーク・オフィスにも関わっていましたが、そこのオフィスの電話も盗聴されていました。
・・・(中略)・・・
そうした経験から個人的には、情報という点に関しては米国は怖い国であると思っています。もしあなたやあなたの企業が米国に目を付けられたら、あなたが米国のネット企業に預けている情報は決して安全ではないと考えるべきです。
・・・(中略)・・・
企業の重要情報をメールでやり取りすることも多いはずです。政府の官僚も重要な情報をメールでやり取りしています。そうしたときに、所属する組織のメールではなく、米国のネット企業のフリー・メールを使っている人もいるのではないでしょうか。私の知り合いの官僚にもそういう人が何人もいます。
・・・(中略)・・・
国家の安全保障における情報の重要性は極めて高いのです。ビジネスにとっても同様です。
米国愛国者法
この法律に基づけば、米国の当局はプラットフォーム・レイヤーのネット企業に対しても、サーバーに蓄積されている情報の提供を求めることができるはずなのです。
・・・(中略)・・・
「米国のネット企業のプラットフォーム・サービスをまったく利用しないことは無理ですが、競争力のある同様のサービスや手段を国内に持つことは、競争の観点のみならず安全保障の観点からも重要なのです。」
クラウド・コンピューティング
当の米国では、連邦政府がクラウド・コンピューティングのサービスを調達する場合、サービスを提供する側が守るべき要件として、・・・(中略)・・・「データセンターの施設やハードウェアが米国本土に置かれていること」が必要とされています。米国内ではなく“米国本土”なのです。
・・・(中略)・・・
日本は、行政や民間、更にはネット評論家の類いの人も含め、クラウド・コンピューティング・サービスをあまりに無邪気に受け入れ過ぎているように思います。
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