第223号

上は曇、下は雨

「上昇基調に入った新規開発投資」の要旨

第223号「上は曇、下は雨」の補足です。

日経コンピュータ2009年9月30日号 景況/IT投資動向調査①「上昇基調に入った新規開発投資 運用・保守分野の緊縮ムードは続く」の要旨です。

まず、「昨年から続いていたシステム開発投資の抑制は2009年7~9月に底を打った」と指摘しています。

ただし、「企業の売上高別にIT投資DI(ディフュージョンインデックス)を算出すると明暗が分かれる」と指摘しています。

つまり、売上高500億円未満の企業に限って見ると、2009年7~9月の新規開発投資額と2009年4~6月の新規開発投資額を比較した場合、増やしている企業よりも減らしている企業の方が多いのです。

そして、

全体的に回復基調であるものの、売上高500億円未満の企業で新規開発投資が本格的に再開するまでは時間がかかりそうだ。

と結論づけています。

また、もう一つ重要な指摘は「運用・保守分野のDIはマイナス基調が続く」という点です。

運用・保守分野では、売上高の大小にかかわらず、2009年4~6月と比べて、2009年7~9月の新規開発投資額と2009年4~6月の新規開発投資額を比較した場合、増やしている企業よりも減らしている企業の方が多いのです。

IT投資額の6~7割は運用保守分野であるのが一般的だ。運用保守分野の緊縮ムードが続く限り、09年内にIT市場全体が回復することはなさそうだ。

と結論づけています。

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「ITサービスの1Q決算、60%超の減益」の要旨

第223号「上は曇、下は雨」の補足です。

日経コンピュータ2009年9月2日号 スペシャルレポート「ITサービスの1Q決算、60%超の減益 製造業不振が影響、外注抑制が中堅以下を直撃」の抜粋です。

○09年度4~6月期はIT業界総崩れ

同記事は、まず、「09年度4~6月期はIT業界総崩れともいえる結果だった」と指摘しています。

8月半ば、ITサービス各社の2009年4~6月期決算が出そろった。主要なITサービス会社89社の業績を合計すると、売上高は前年同期比4.7%減、営業利益は同66.3%減と減収減益だった。

そして、

業績悪化の主な要因は(1)製造業のIT投資の急減、(2)大手銀行の大規模投資の一服、(3)ハードウェア販売の不振の三つだ。

○中堅以下ほど厳しい

同記事ではさらに「中堅以下ほど厳しい」ということを指摘しています。

中堅以下ほど利益確保が困難になっている点も特徴だ。

「企業規模別に見たITサービス会社の売上高、営業利益の増減」という図が載っています。それによると、売上高が1000億円以上の会社は減収減益といえども、営業利益はプラスなのに対し、売上高が1000億円以下の会社は営業利益がマイナスになっています。

例えば、500億~1000億の会社は前年同期は34.1億円の営業黒字だったのに対し、09年度4~6月期は22.5億円の営業赤字となっています。

同記事は、中堅以下ほど利益確保が困難になっている理由として下記の2点を挙げています。

(1)大企業よりも中堅企業向けの方が売上高の減少率が大きい。

中堅以下のエンドユーザは大企業ではなく中堅企業であり、その中堅企業が大企業以上にIT投資を抑制しているということです。

(2)大手システムインテグレータの内製化、外注抑制

大手システムインテグレータも人が余っているので、内製比率を高め、外注費を減らしているということです。

この点は、6月17日に「新航海術の補足ブログ」に書いた下記の記事でも触れました。

[新航海術の補足ブログ]中小ソフト会社の冬の時代はしばらく続く
http://www.gamou.jp/comment/2009/06/post-7525.html

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