第218号

1990年のバブル崩壊と今回の不況の違い

ITPro「SIerの通期見通しに下方修正相次ぐ」についてのコメント

第218号「1990年のバブル崩壊と今回の不況の違い」の補足です。

大手SIerの状況について説明した記事の例として、下記のITProの記事をあげました。

 「SIerの通期見通しに下方修正相次ぐ」
 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20090325/327173/?ST=solution

この記事についてコメントします。

 ドイツ証券で情報サービス産業を担当する菊池悟シニアアナリストは「他業界に比べれば需要の落ち込みはまだ健全な範囲」と説明する。同氏によれば、2000年代前半に起きたITバブルの崩壊のときですら需要の落ち込みは3%程度だった。今回はそれより悪いが、減少幅は10%程度にとどまるとみる。「仮に90%の需要が残るのであれば、工場の操業停止に追い込まれている製造業などよりも恵まれている」(菊池シニアアナリスト)。

(1)比較すべきは何?

今回の不況と比較すべきは2000年代前半のITバブルの崩壊ではなく、1990年のバブル崩壊でしょう。
ITバブルの崩壊の震源地は新興ITベンチャーであり、影響範囲は限られていました。
日本のソフトウェア開発受託会社には大きな影響はありませんでした。

一方、金融を震源地として経済全体に波及し、日本のソフトウェア開発受託会社に大きな影響を与えてたという意味で、1990年のバブル崩壊と今回の不況は共通しています。震源地が米国か日本かの違いはありますが・・・。

 関連記事:
 第138号1990年代後半からITバブル崩壊まで
 http://www.gamou.jp/sailing/2006/07/1990it_4944.html

 第139号
 ITの発展が資本主義の変化をもたらしたのではない
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/08/it_60d2.html

(2)減少幅は10%程度にとどまる

大手ソリューションプロバイダ視点では正しいのでしょうが、中小ソフト会社の実感とは異なっています。
「減少幅は10%程度にとどまる」としても、そのしわ寄せは下請けに来るので、下請けにとっては、10%程度にとどまりません。「操業停止」に追い込まれる場合もあり得ます。

 上野氏も菊池氏も本当に厳しいのは2009年度だと見ている。「基幹系に食い込んでいるソリューションプロバイダならよいが、周辺系のシステムを手掛ける手がけている企業はさらに需要が落ち込むだろう」(菊池シニアアナリスト)。「IT業界はユーザー企業に遅れて景気回復するので早くとも2010年秋以降になるのでは」と大和総研の上野シニアアナリストも話す。

この点については同感です。
IT業界の景気回復は2010年秋以降になることを前提にして事業計画を立てなければなりません。

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慶のビジネスプランが経営革新計画承認

第218号の補足です。

弊社製品開発部で開発中の自社サービスのビジネスプランが、2月27日付けで、東京都から 「中小企業新事業活動促進法に基づく経営革新計画」の承認を受けました。(20産労商支第790号)

経営革新計画承認書(PDF)
日刊工業新聞(2009年3月10日)紙上での発表(PDF)
・東京都産業労働局のホームページでの発表:http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/shoko/loan/shien/2102.pdf

東京都から経営革新計画の承認を得られる企業は年間約500社です。
これまでの累計でも3,978社に過ぎません(都内事業所総数は約690,000社)。
弊社のビジネスプランが非常に高い評価を受けました。

上記ビジネスプランの詳細の公表は今しばらくお待ちください。

経営革新計画については、東京都産業労働局の下記ページを参照してください。
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/shoko/loan/shien/1gaiyo.htm

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T健保の被保険者数が平成21年度は3,800名減る

第218号の補足です。

T健康保険組合「平成21年度事業計画ならびに予算概況について」からの引用です。文中の健康保険組合名は「T健保」に変えています。また、下線は私が付けました。

昨年末から今年の年始にかけ、T健保で加入各社に緊急アンケートを実施したところ、21年度に「前年比で業績悪化」と見る企業は全体の42.7%にのぼるという厳しい結果が示されました。T健保ではこれを踏まえ、予算編成の基礎となる被保険者数・報酬月額・賞与額について、前年比で以下のとおり減少すると推計しています。

被保険者数は、前年比3,800名減の188,800名となります。ここ数年、着実に増えてきた被保険者数が前年割れとなるのは、バブル経済が崩壊した平成4年度以来のことです。また、報酬月額は、前年比1,100円減の368,150円、賞与額(年間)は同じく57,825円減の894,604円と、いずれも大きく減少し、T健保の財源の大半を占める保険料収入に大きな影響を与えることになります。

一方、支出面では、皆様の医療費や現金給付の原資となる保険給付金、高齢者医療への負担という二つの支出が増加します。とくに高齢者医療への負担は、総額320億円と巨額です。前年比で14億円の増加となり、このため経常収支では74億6,900万円の赤字計上が見込まれます。

大手SIerの状況について説明した記事はネットでもよく見かけます。
例: 「SIerの通期見通しに下方修正相次ぐ 理由は金融危機とIT投資抑制」
 

しかし、中小ソフト会社の状況について、数字的根拠を持って説明した資料はほとんどないので、引用しました。

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