第217号

フレックスタイム制と裁量労働制

固定的時間外労働手当の背後にあるもの

第217号「フレックスタイム制と裁量労働制」の補足です。

第217号「フレックスタイム制と裁量労働制」
[Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2009/02/post-5c53.html
[HP版] http://www.kei-it.com/sailing/217-090218.html

「固定的時間外労働」とは固定給(賃金や手当)の中に固定的に時間外労働時間手当を含める制度のことです。
例えば「固定給に20時間分の時間外労働時間が含まれる」とした場合は、20時間までは固定給のみの支払となり、20時間を超えた分からは時間と比例して時間外労働時間手当が支払われます。

雇入通知書などで時間外労働時間手当にあたる部分が明確に区分されていることが必要です。

この制度の背後には、確かに残業代を抑制したいという会社側の思惑があります。

しかし、それだけではありません。

第217号で述べたように、仕事内容や制度によっては、会社側で時間外労働をコントロールできない場合があるという事情があるのです。

時間外労働をするか否かが従業員に委ねられる、つまり、会社側として管理できないなら、ある範囲内は固定給に含めたいと考えるのも自然なことだと言えるでしょう。

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フレックスタイム制度で時間外労働の申請・承認が機能しない理由

第217号「フレックスタイムと裁量労働」の補足です。

第217号「フレックスタイム制と裁量労働制」
[Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2009/02/post-5c53.html
[HP版] http://www.kei-it.com/sailing/217-090218.html

(1)時間外労働には、本来、申請・承認が必要

時間外労働とは、本来、従業員の裁量で自由にやるものではありません。
会社が命令して行わせるもの、または、従業員が申請して、会社承認のうえで行うものです。

時間外労働時間は「会社にいた時間」ではなく、「時間外労働として会社によって承認された時間」です。

固定時間制度を採っている会社では、時間外労働をするためには、事前の申請・承認が必須です。あるいは、何らかの原因により事前申請が困難な場合を考慮して、事後申請を認めている会社も多いでしょう。

尚、固定時間制度を採っている会社でも、申請・承認の手続きがなく、時間外労働が従業員の裁量に任されている場合には、下記(3)のフレックスタイム制度と同じ問題が発生します。

(2)フレックスタイム制度では申請・承認が難しい

フレックスタイム制度の下では「時間外労働には申請・承認が必要」という原則が守れなくなります。

例えば、Aさんが2月20日に10時に出社し、21時に退社したとしましょう。
その会社の休憩時間が1時間だとすると、Aさんはその日10時間働いたことになります。

その会社の1日の標準労働時間が8時間だとすると、10時間-8時間=2時間 について、Aさんは事前または事後に残業申請をすべきでしょうか?

フレックスタイム制度では、その月に時間外労働が発生するか否かは月の最後になってみないと分かりません。

2月20日に10時間働いても、翌日の労働時間が6時間なら、相殺されてしまいます。

2月20日の2時間は時間外労働になるかもしれないし、ならないかもしれないのです。

仮に事前申請するとしたら、「月全体の出勤予定」または「月の時間外労働予定」となるでしょう。定型的な仕事ならば、それも可能です。(それがいわゆる「1か月単位の変形労働時間制」です。)

しかし、ソフトウェア開発のように非定型的な仕事では無理です。

(3)フレックスタイム制度の問題点

「時間外労働には申請・承認が必要」という原則を守れなくなるということは、「働いた時間=会社にいた時間」となるということです。

このことはフレックスタイム制度の次のような欠点につながります。

・生活残業が発生しやすい。
・成果のわりに時間外労働が多くなりすぎた場合は、会社は赤字となる。
・生産性の低い人ほど労働時間が増え、給料が高くなる場合がある。

(「3種類の基本的な労働時間制度の比較」http://www.kei-it.com/sailing/2009/3types.htm の「フレックスタイム制度×欠点」参照。)

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