「銀の弾はない」を深く知りたい方のために
第207号「Java技術者が時間を費やしていること」の補足です。
第207号でマーチン・ファウラー氏のインタビュー記事を紹介しました。
その中に出てくる「銀の弾はない」とは、「人月の神話」の著者として有名なフレデリック・ブルックスが1986年に著した論文です。
原題は「No Silver Bullet - Essence and Accidents of Software Engineering」です。
その論文を要約すると次のようになります。
- ソフトウェア開発の難しさには、本質的複雑性と偶発的複雑性がある。
- 本質的複雑性とはプログラムに表現するもの自体の複雑性である。 (ファウラー氏が挙げている例では、給与支払システムの開発での給与支払の業務ルール)
- 偶発的複雑性とは、本質的複雑性をプログラムに表現するための複雑性である。
- 偶発的複雑性は改善されるが本質的複雑性は改善できない。
- したがって、ソフトウェア開発の生産性向上はある時点で頭打ちになる。 (既に1986年の時点でそのようになっている。)
さらに興味のある方は、拙著「2010年のシステム開発(試読版)」( http://www.kei-it.com/sailing/pdf/2010-shidoku-1.pdf )をご覧ください。
「2010年のシステム開発(試読版)」は、出版することを目指していた「2010年のシステム開発」の第1章です。「2010年のシステム開発」はこの第1章を執筆して以来、執筆がストップしています。
今回の「銀の弾」シリーズで明るい未来が描ければ、執筆を再開します。
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