ニッチ概念と島泰三著「親指はなぜ太いのか」
第230号「ニッチを切り開く」の補足です。
(1)ニッチの一般的説明
「ニッチ(niche)」という言葉について、一般には次のような説明がされます。
(A)もともとは「へきがん(物を置く壁のくぼみ)」、「適材、適所」を意味する言葉であった。
(B)生物学で次のような意味に使われるようになった。
生物学で使われるニッチ(生態学的地位。ニッチェとも)とは、その生物が活動する時間、空間、餌等、環境のすべての資源のこと。同じニッチを持つ他種の生物はいない。(はてなキーワード http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%CB%A5%C3%A5%C1 )
(C)それが転じて、「隙間」という意味で使われるようになった。
ニッチとは「隙間」の意味である。大企業がターゲットしないような小さな市場や、潜在的にはニーズがあるが、まだビジネスの対象として考えられていないような分野を意味する。(コトバンク http://kotobank.jp/word/%E3%83%8B%E3%83%83%E3%83%81 )
(2)「親指はなぜ太いのか」のニッチ
「親指はなぜ太いのか」P.22からP.32で島泰三氏は生物学でのニッチ概念について詳細に説明しています。
【古典的定義】
チャールズ・エルトン(Charles Elton)が『動物の生態学』で「(ニッチは)その動物の生物的環境における位置、その食物ならびに敵にたいする諸関係、を意味する」と定義した。ニッチのキーワードは、「食物」であり、「動物共同体内の関係の多くは食物関係である」。
【エルトン後の理解】
エルトンはそれぞれの種についてあまりにも粗いとらえかたをしていた。そのためニッチ概念はその後粗略に扱われる傾向があり、動物の生息環境一般として理解されていたりする。
(上で引用した「はてなキーワード」の理解がこれに近いと言えます。)
【島泰三氏の定義】
島泰三氏は「親指はなぜ太いのか」の中でニッチを次のように定義し直しています。
ニッチとはその動物の生物的環境における位置、その主食にたいする諸関係、を意味する。
「主食」を最重要視しているわけです。別の箇所では次のようにも表現しています。
サルたちは、彼らをとりまく生態系のなかから他の種が利用していない物を取り上げて、それを自分たちの主な食物としたとき、新しい種として生態系のなかで安定した地位を得ることができる。それがニッチである。
(3)ニッチ概念から口と手連合仮説へ
島泰三氏さらに霊長類について「主食は霊長類の手(指)と口(歯)の形を決定する」という「口と手連合仮説」を唱えています。
この仮説には、形は知られているが生態がわからないサルの主食を推理できるという威力がある。
「親指はなぜ太いのか」は原猿類から類人猿まで「口と手連合仮説」を検証し、さらには初期人類(形は知られているが生態がわからないサル)の主食を推理した本です。
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- ニッチ概念と島泰三著「親指はなぜ太いのか」(2010.08.21)
コメント
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