« 90年代に大手ソフトウェア会社の外注比率が激増した理由 | トップページ | ネイティブの機能へと降りていく必要のある部分 »

「日本のソフトウェア産業がいつまでもダメな理由」への不満

第206号「個人事業主が置かれている状況」の補足です。

第203号第204号第205号で、私は「日本のソフトウェア産業がいつまでもダメな理由」(久手堅憲之著)を批判的に引用しています。

個人事業主に関する記述でも、この本については不満があります。

(1)P.59
「会社を飛び出した後の選択肢」としてフリーランスになることを「おすすめプランの1つ」としてあげています。

そして、挿絵には「近ごろは登録先も多い、自己責任で好きな道に」という注釈がついています。

「登録先」とは何でしょうか?
登録型の派遣会社でしょうか?
あるいは協同組合(例:首都圏ソフトウェア協同組合)でしょうか?

いずれにしても登録して持ち帰り案件が来るとは思えません。

また、第206号で書いたとおり、個人事業主がエージェントに登録して常駐作業をすることも難しくなってきています。

(2)P.58
次のような記述もあります。

「技術への純粋な評価とそれに見合った収入を求めるのなら、みなさん独立して個人事業主になって、会社とは委託契約などの形で向き合うことが一つの選択肢じゃないですかね。自分の能力・技術がいくらで売れるのか。歩合でも何でも、リアルタイムに評価がもらえます。給与体系を自ら破壊できますね」

「会社とは委託契約などの形で向き合う」が、「ソフト会社から持ち帰り案件をもらう」という意味なら、それは第206号で書いたとおり、難しくなっています。

「会社とは委託契約などの形で向き合う」が「エンドユーザや元請会社と契約し、常駐開発する」という意味なら、大手ほど個人事業主と契約しなくなってきています。

「会社とは委託契約などの形で向き合う」が「二次請け会社と契約して元請会社に常駐する」という意味なら、第206号で述べたとおりの状況です。

|

« 90年代に大手ソフトウェア会社の外注比率が激増した理由 | トップページ | ネイティブの機能へと降りていく必要のある部分 »

第206号」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「日本のソフトウェア産業がいつまでもダメな理由」への不満:

« 90年代に大手ソフトウェア会社の外注比率が激増した理由 | トップページ | ネイティブの機能へと降りていく必要のある部分 »