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2008年6月

「日本のソフトウェア産業がいつまでもダメな理由」への不満

第206号「個人事業主が置かれている状況」の補足です。

第203号第204号第205号で、私は「日本のソフトウェア産業がいつまでもダメな理由」(久手堅憲之著)を批判的に引用しています。

個人事業主に関する記述でも、この本については不満があります。

(1)P.59
「会社を飛び出した後の選択肢」としてフリーランスになることを「おすすめプランの1つ」としてあげています。

そして、挿絵には「近ごろは登録先も多い、自己責任で好きな道に」という注釈がついています。

「登録先」とは何でしょうか?
登録型の派遣会社でしょうか?
あるいは協同組合(例:首都圏ソフトウェア協同組合)でしょうか?

いずれにしても登録して持ち帰り案件が来るとは思えません。

また、第206号で書いたとおり、個人事業主がエージェントに登録して常駐作業をすることも難しくなってきています。

(2)P.58
次のような記述もあります。

「技術への純粋な評価とそれに見合った収入を求めるのなら、みなさん独立して個人事業主になって、会社とは委託契約などの形で向き合うことが一つの選択肢じゃないですかね。自分の能力・技術がいくらで売れるのか。歩合でも何でも、リアルタイムに評価がもらえます。給与体系を自ら破壊できますね」

「会社とは委託契約などの形で向き合う」が、「ソフト会社から持ち帰り案件をもらう」という意味なら、それは第206号で書いたとおり、難しくなっています。

「会社とは委託契約などの形で向き合う」が「エンドユーザや元請会社と契約し、常駐開発する」という意味なら、大手ほど個人事業主と契約しなくなってきています。

「会社とは委託契約などの形で向き合う」が「二次請け会社と契約して元請会社に常駐する」という意味なら、第206号で述べたとおりの状況です。

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90年代に大手ソフトウェア会社の外注比率が激増した理由

第206号の補足です。

第206号:個人事業主が置かれている状況
[Blog] http://www.gamou.jp/sailing/2008/06/post_a55d.html
[HP] http://www.kei-it.com/sailing/205-080531.html

第204号では90年代に大手ソフトウェア会社の外注比率が激増し、内製比率が激減したという話をしました。

 第204号:ソフトウェア業はもともとは多重階層型でなかった
 [Blog] http://www.gamou.jp/sailing/2008/05/post_2eb8.html
 [HP] http://www.kei-it.com/sailing/204-080510.html

その原因として、新川正子氏は「建設外注費の理論」で次の2点を挙げています。

  1. ソフトウェアの外注を委託・受託しやすい環境が整った。
     ・技術の標準化
     ・コンピュータ価格の下落により、小資本で開業することが容易になった。
  2. バブル崩壊とそれに続く長期にわたる不況による環境変化
     ・経営者側にあっては経営の軽量化への選好の変化
     ・労働者側から見れば企業に拘束されたくない若者の増加 

注意深い読者は、これらは外注比率の増加の要因であって、階層の多重化の要因ではないことに気付いているでしょう。

上記2点は米国も同じであり、それがインドオフショアの増加の要因となっています。
しかし、インド企業は多重階層化していません。

インドのソフトウエア産業、特に大手ではエンドユーザーからの直接の受注を原則として、決してソフトウエアの下請け開発は行わない。また受注した開発案件を下請けに出すとか、派遣技術者を使って開発を行うこともない。

http://it.nikkei.co.jp/business/column/takeda_india.aspx?n=MMITzp000020032007

なぜ、日本のソフトウェア業界は多重階層化したのかという問題の答えのヒントも同じ記事に述べられています。

(インドでは)プロジェクトが終了次第、また次の会社に移っていくのが現実である。結果としてそれが転職率の高さという数字に表われる。
http://it.nikkei.co.jp/business/column/takeda_india.aspx?n=MMITzp000020032007

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