90年代に大手ソフトウェア会社の外注比率が激増した理由
第206号の補足です。
第206号:個人事業主が置かれている状況
[Blog] http://www.gamou.jp/sailing/2008/06/post_a55d.html
[HP] http://www.kei-it.com/sailing/205-080531.html
第204号では90年代に大手ソフトウェア会社の外注比率が激増し、内製比率が激減したという話をしました。
第204号:ソフトウェア業はもともとは多重階層型でなかった
[Blog] http://www.gamou.jp/sailing/2008/05/post_2eb8.html
[HP] http://www.kei-it.com/sailing/204-080510.html
その原因として、新川正子氏は「建設外注費の理論」で次の2点を挙げています。
- ソフトウェアの外注を委託・受託しやすい環境が整った。
・技術の標準化
・コンピュータ価格の下落により、小資本で開業することが容易になった。 - バブル崩壊とそれに続く長期にわたる不況による環境変化
・経営者側にあっては経営の軽量化への選好の変化
・労働者側から見れば企業に拘束されたくない若者の増加
注意深い読者は、これらは外注比率の増加の要因であって、階層の多重化の要因ではないことに気付いているでしょう。
上記2点は米国も同じであり、それがインドオフショアの増加の要因となっています。
しかし、インド企業は多重階層化していません。
インドのソフトウエア産業、特に大手ではエンドユーザーからの直接の受注を原則として、決してソフトウエアの下請け開発は行わない。また受注した開発案件を下請けに出すとか、派遣技術者を使って開発を行うこともない。
http://it.nikkei.co.jp/business/column/takeda_india.aspx?n=MMITzp000020032007
なぜ、日本のソフトウェア業界は多重階層化したのかという問題の答えのヒントも同じ記事に述べられています。
(インドでは)プロジェクトが終了次第、また次の会社に移っていくのが現実である。結果としてそれが転職率の高さという数字に表われる。
http://it.nikkei.co.jp/business/column/takeda_india.aspx?n=MMITzp000020032007
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