デコポンが1個600円で売っていました
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第243号「デコポン」の補足です
スーパーもその道のプロが仕入れています。価格、品質ともに熾烈な競争にさらされています。
送料を考慮すれば、産直は必ずしも安くありません。
それでは、産直のメリットは何でしょうか?
(1)買い物に行く手間がはぶける
まず、「買い物に行く手間がはぶける」「自宅まで運んでくれる」ということがあげられます。
スーパーが近くにない人、スーパーにあるかないか分からない品物を見に行く時間がない人にとっては大きなメリットでしょう。
しかし、それなら、ネットスーパーはどうでしょうか?
西友ネットスーパーでも、デコポンが127円で売られていました。
しかし、この画面を見て買う人は少ないでしょう。
リアル店舗では山積みされたデコポンには品質にばらつきがありました。それを自分でてにとって選べるところがリアル店舗の良さなのです。その中のどれが送られてくるか分かりませんし、この写真では品質のばらつきの幅が分かりません。
イトーヨーカドーのネットスーパーでも「理由ありデコポン」が1パック399円で売っていました。しかし、これではどの程度の「理由あり」か分かりません。
農家がネットショップで魅力的な写真と詳細な説明を掲載すれば、ネットスーパーに勝つことはできるでしょう。
(2)農家単位のブランド化が可能
スーパーのリアル店舗でも、契約農家の商品は高いです。
スーパーの通常の商品の味は当たり外れがあるのに対し、「この農家なら大丈夫」ということをスーパーが保証しているという安心感があるから、高くても売れます。
ネットショップでも同じような効果を出すことが可能です。
ネットショップでは良い商品を出し続けてリピーターを作って行くことによって、自分自身をブランド化していくことができます。
(3)理想のタイミングで出荷できる
スーパーや八百屋の商品は見た目重視の傾向があります。
スーパーや八百屋に出ている果物は理想のタイミングよりは少し早めに収穫されています。デコポンのように貯蔵庫での熟成が必要な果物の場合は完熟前に出荷されます。
それに対し、産直では、本当に理想のタイミングで出荷されます。
但し、これには「ときには熟しすぎる」というリスクもあります。
この点は消費者にきちんと説明する必要があります。
(4)輸送効率が悪く市場に流通しにくい商品も扱える
スーパーや八百屋の商品は、実際には輸送しやすいものに偏っています。
例えば、三浦大根は大きく、ひし形のため、段ボールに摘みにくく輸送効率が悪いため、市場では青首大根に淘汰されました。地這いキュウリが市場から駆逐されたことは、メルマガ新航海術第240号「地這いキュウリ」で書きました。
BtoBでは輸送効率が悪く市場に流通しにくい商品を、BtoCでは扱うことができる可能性があるのではないでしょうか?
(5)農家が価格を決められる
産直の場合、農家が価格を決められます。そのため、農家側の利益を大きすることもできます。または、農家の判断で格安で販売することもできます。
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第243号「デコポン」の補足です。
昨日(2012年3月31日)、デコポンが野口果樹農園から届きました(左の写真)。1kg22個で送料込で3,200円でした。1個あたり145円になります。
デコポンがどのくらいの価格で売られているのか、近所の小売店に調査に行きました。
(1)西友
西友では、佐賀県産デコポンが1パックで397円で売られていました。1パックには大玉2個か小玉4個が入っていました。大玉の場合は1個約200円、小玉の場合は1個約100円になります。
中玉は1個127円でバラウリされていました。
産地は「佐賀、愛媛、広島」と表示されていました。
山積みされた中から客が自分で選びますが、品質にはばらつきがありました。野口果樹農園のものより少し大きいものも、少し小さなものもありました。その中で最も大きいものを1個購入しましたが、その産地が佐賀、愛媛、広島のどれなのかはわかりません
(2)スーパーサカガミ
近所にあるスーパーサカガミという食品スーパーにも行きました。
そこでは、鹿児島産デコポン(やや大玉)が3個パック499円(1個当たり166円)で売られていました。
広島県デコポン(中玉)は1個150円で売られていました。中玉は野口果樹農園のものよりほんの少し小ぶりでした。
他に広島県内の契約農家のデコポン(中玉)が3個パック499円(1個当たり166円)で売られていました。
(3)近所の八百屋
近所の八百屋では、熊本産デコポン(中玉)が3個パック500円(1個当たり167円)で売られていました。
別の果物専門店では、大玉は1個250円、あるいは、4個780円で売られていました。また、中玉は3個480円で売られていました。
(4)外見の比較
下の写真それぞれの中の3つのデコポンは、左から、スーパーサカガミ広島産中玉バラ売りデコポン、野口果樹農園のデコポン、西友の中玉バラ売りデコポン。
(5)価格調査の結論
外見と価格のみを見た場合の結論は次のとおりです。
野口果樹農園のデコポンは、
・八百屋よりは安い。
・果物専門店よりは安い。
・スーパーとほぼ同等。
・スーパーの契約農家よりは安い。
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第2xx号(未発行)の補足です。
「世界経済を破綻させる23の嘘(ハジュン・チャン著)」の中の「第9の嘘:世界は脱工業化時代に突入した」の要約です。
(1)製造業の生産性向上によって非工業化が起きる
サービスではその性格上、多くの場合、生産物の品質を落とさずに生産性の向上をはかるのは本質的に難しい。
したがって、サービスは製造品よりも生産性の向上が遅く、そのため、国内生産に占める製造業の比率は減って行く。
国内生産に占める製造業の比率の減少のほとんどは、製造品の絶対量の減少のせいではなく、サービス業と比較して製造品の価格が安くなったためである。
(2)非工業化のマイナス面
しかし、非工業化には次のマイナス面がある。
そして、
わたしたちはいま脱工業化時代に生きているのだという神話のせいで、非工業化のマイナス面を無視するようになった政府がたくさんある。
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第236号「農業とIT」の補足です。
第236号で、ヤル気のある専業農家が置かれている状況について、次のように述べました。
これについての証言を二つ引用します。
同じ作物を作る他産地の農家と競合し、産地間競争による値下げ合戦の消耗戦を生んだ。そこにつけ込まれて、寡占化する流通・小売に価格決定権を奪われ、どこの産地も農家の手取りが減る一方である。(浅川芳裕「日本は世界5位の農業大国」)
これまでの農家は、作物を生産してJAなどに持っていけば、売上が確保されていました。しかし、作物の値段が下がってしまうと、作っても、作っても利益が出ないということになります。この状況から脱却するためには、自ら販路を開拓していくしかありません。そのためには他の農家と違う品種を育てたり、加工を施したり、差別化を図らなくてはならないのです。(松本一浩著「農はショーバイ!」)
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第236号「農業とIT」の補足です。
第236号で、今後日本の農業では次の3つの流れが同時に進むと述べました。
(A)ヤル気のある専業農家の大規模化、集約化
(B)農業周辺ビジネスの拡大
(C)零細な兼業農家の衰退
これについて補足します。
(1)人口の波
藻谷浩介氏が「デフレの正体」で、『経済は「人口の波」で動く』、『「景気の波」を打ち消すほど大きい「人口の波」が、日本経済を洗っている』と指摘しています。
農業の今後の方向性も根底には「人口の波」の影響があります。
農業も放っておいても、生産年齢人口が激減していきます。つまり、放っておいたら、耕作放棄地が激増します。
余った農地を使えるのは次の2種類の人たちです。
(2)ヤル気のある専業農家の大規模化
耕作放棄地が増える中でヤル気のある専業農家の大規模化が進むことは自然ですし、また、そうでなければなりません。
先進国とは、いうなれば経済成長によって農家が他産業に移り、農業のGDP比率が相対的に低くなった国である。そして、残った少数精鋭の農家が技術力、生産性を高めた結果、大きな付加価値(農業GDP)を生むことができるようになった国なのだ。(浅川芳裕著「日本は世界5位の農業大国」)
20ヘクタール以上の米作農家の平均農業所得は1200万円を超えている。(山下一仁著「農協の大罪」)
(3)農業周辺ビジネス起業家
但し、専業農家の大規模化は農地として最も適した土地を中心に起きるでしょう。
大規模化しやすく耕作しやすい平野部で、遊休地がさらに増えていくことは考えにくいでしょう。これからも遊休地が増えていくのは、耕作しにくい中山間地だと思う(松本一浩著「農はショーバイ!」)
耕作しにくい中山間地や細切れになった都市近郊の農地には、耕作放棄地が増えてくるでしょう。
しかし、これらを有効活用する農業周辺ビジネス起業家も出てくるでしょうし、また、出てこないといけません。
農業界は今、レジャーや観光、不動産、教育、医療といった産業界の知恵や実績を吸収しながら、新たなビジネスを創出できる絶好のポジションにあるのだ。(浅川芳裕著日本は世界5位の農業大国)
「半農半X(はんのうはんえっくす)」などのライフスタイルを持つ新しい兼業農家もこの中に含まれます。
また週末農業愛好者、市民農園愛好者はユーザとして農業周辺ビジネスに参加しています。
(4)零細な兼業農家の衰退
零細な兼業農家を保護する政策が、日本の農業をゆがめていることは多くの識者が指摘しています。
小農・零細農家は、本職はサラリーマンの兼業農家なので今や富農である。それに対して、なかなか農業規模を拡大できず、所得が増えない主業農家こそが貧農である。(山下一仁著「農協の大罪」)
零細な兼業農家のほうが専業農家よりも高い所得を上げ、かつ専業農家の規模拡大による所得増加を妨害し、また、土日農業のために、手間隙かけない農薬・化学肥料多投の農業を実施している。(山下一仁著「農協の大罪」)
零細な兼業農家こそ高齢化が進んでいるのであり、彼らはヤル気のある専業農家や農業周辺ビジネス起業家に土地を提供する側に回るだろうし、また、そうなっていかなければなりません。
日本にとって必要な専業農家、いわゆる本物のプロ農家が高齢化したというよりも、8割の疑似農家が「統計上の高齢化」を引き起こしているにすぎない
(浅川芳裕著「日本は世界5位の農業大国」)
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第236号「農業とIT」の補足です。
自分が耕せる農地をどの程度持っていたら自給自足できるのでしょうか?
(1)米
米を主食とした場合、最低5アール(約0.5反)の水田が必要でしょう。
根拠は以下のとおりです。
【生産量】
ベテラン専業米農家が条件のよい環境の1反で収穫できる米の量は約500kgと言われています。
たとえば、「岡山県新規就農者ガイドブック」では農業経営指導指標(ベストの数字)が530kgとなっています。
他の文献でも、
1反(約300坪)の田んぼで収穫できるお米は、どんなにとれても8俵(480kg)と言われています。そのお米を仮に1俵=1万5000円で、JAに買ってもらえるとすると、8俵で売上は12万円です。(松本 一浩著「農はショーバイ!」より)
【消費量】
一方、人は年間どれだか米を食べるのでしょうか?
宮沢賢治の「雨にも負けず」の中で「一日に玄米四合と味噌と少しの野菜を食べ」という一節があります。
1合=150gとして、4合=600g
宮沢賢治は年間219kg(600g×365日=219,000g=219kg)食べていたことになります。
ちなみに、現在の日本人はその三分の一も米を食べません。
お米を食べる量は年々減ってきており、一人が1年間に食べる量でみると、昭和35年には114.9kgでしたが、平成16年には61.5kgと、ほぼ半減しています。
http://www.pref.miyagi.jp/syokushin/s-hanbai/miyagicomenaviweb/future/future01.html
宮沢賢治の時代の食生活に戻るとすると、米の生産量が480kg/反なら、「219kg÷480kg=0.46反」の水田が必要ということになります。
田んぼの条件が悪い場合にはもっと必要になるでしょう。
(2)ジャガイモ
ジャガイモを主食とした場合は、もう少し狭くても自給自足できるかもしれません。
農林水産省の資料によれば、ジャガイモの20年度の10a当たり収量は、最高の北海道で3,860kg、最低の滋賀県で1,040kg、東京都で2,010kgです。(「いも類関係統計データ」参照)
東京の収量で計算しても米の約4倍の収量があります。
単純に収量のみ考え、連作障害問題も無視するなら、水田の四分の一の面積(1.25アール)のジャガイモ畑があれば人一人が生き延びることができるのかなと考えています。
また、ジャガイモは米よりも短期間に収穫できます。上記が年1回栽培を前提とした数字なら、空いている時期には他の野菜も栽培できることも考えられます。
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